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投稿者: furujinmachi
4月から環境が変わった方も多く、慣れないうちは疲れがたまり、GW明けで疲労感を感じてる方も多いと思います。でも徐々に慣れてきて、同じ作業をするのにも疲れは減っていくかと思います。新しいことを始める時の目安として、3のつく期間を目安にする、というのを以前どこかで知りました。3日、3週間、3ヶ月というのが一つの目安になるというものです。
新しい環境になって、例えば学校であったり職場であったり。まずは最初の3日間、行けるかというところですね。最初の3日、なんとか行けたら、次は3週間です。4月スタートで環境が変わると、3週間頑張ったら、GWが見えてきます。GWで一休みして、次は3ヶ月。3ヶ月頑張れると、かなり慣れてくると思います。そうやって、継続して学校にいったり働いたりできるようになっていきます。
物理の法則で「慣性の法則」と呼ばれるものがあります。動き続けている物体を動かすのには対してエネルギーは要りませんが、止まった物体を動かし始めるのにエネルギーがたくさん必要になるという法則ですね。これは結構心理学にも当てはまるところがあって、普段やっていることを維持するのは、やっていないことを始めるより楽なんですね。
メンタル不調などを経験し、しばらく活動を止めていた人が、活動を再開する時にはかなりのエネルギーが必要になります。例えば不登校だった人が、頑張って学校に行こうとする。あるいはしばらく働いていなかった人が、バイトを始めようとする。そういう場合は、1回学校や仕事に行くだけでかなり疲れます。毎日行き続けている人の1日とは疲れ具合がかなり違うと思っていただきたい。
最初から無理をして、ぱたっと行けなくなるよりは、週1回とか 2回とかのペースで、ゆっくりと慣らしていって欲しいとは思うのですが、一方で、毎日行った方が早く慣れるんですね。その辺りが難しいところで。特に、周りの人は学校でも職場でも毎日来ているとなると、周りの人は平気なのに自分は随分と疲れてしまうという状況で、疲れやすい自分を責めてしまうことにもなります。
休職しようかどうしようか悩んでいる人も、一旦休むと再び仕事に行くのが大変ではないかと感じていらっしゃる方が多いですね。これは、正しい感覚だと思います。なんとか治療しながらごまかしごまかし生き続けた方がいいのか、思い切って休んだ方がいいのか。簡単に決められることではないので、少し様子を見たり、周りとも相談したり、いろいろと情報を集めて決めないといけないと思います。
でも、必要なら一旦止まって休養することも大切です。そして、再び動き出す時には、焦る気持ちを受け止めつつ、なかなか慣れない悔しい気持ちと折り合いをつけながら、ゆっくりと漕ぎ出していって欲しいと思います。
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投稿者: furujinmachi
苦手な資料作り、ラストスパートです!もう今回は、自分の覚え書きです。でも、こうやってまとめて書くことで申請書の完成が見えてきました。
当院でのスーパービジョン体制
・指導者:公認心理師有資格者(常勤)
・頻度:月2回の個別/グループ指導
・内容:記録・対応振り返り・倫理的課題の整理など
・記録:スーパービジョン記録表に記載(保管)
到達目標に基づいたチェックリスト
1. 心理的アセスメントを実施・報告できる
2. 面接記録を正確に作成し、守秘義務を理解している
3. チーム内で多職種と協働し、連携の重要性を理解している
4. スーパービジョンを受け、適切にフィードバックを活かせる
5. ケース検討会で自らの見立てを提示し、議論に参加できる
そして、添付資料として、当院でしっかり実習ができることを示す下記のデータを添付します。
当院の診療実績(全て令和6年)
・年間新患数:551名
・年間心理検査実施件数:212件
・公認心理師によるカウンセリング件数:512件
・精神保健福祉士による面談件数:465件
・看護師による面談件数:54件
・リワークプログラム実施回数:108回
・カンファレンス実施頻度:週1回、1時間
・これまでの指導実績:香川大学医学部臨床心理学専攻心理実践実習A(大学院修士課程1年生)30時間/1人 合計12人(2020年より受け入れ、例年2〜3人)
そして、最後に実務的な決め事。
実務従事者の募集定員ならびに募集・採用の方法
募集定員:年間2名を上限とする。1名あたり、週3日(1日8時間)勤務を基本とし、十分な実務経験(年間720時間程度)を提供できる体制を整えている。
募集方法:当院公式ホームページ上での公募に加え、香川大学大学院 臨床心理学専攻との連携により、大学側の推薦も受け付ける。
採用方法:志望理由書の提出および面接により選考を行い、実務経験の適性と学習意欲を確認した上で、受け入れを決定する。
給与、勤務時間、休暇に関する事項
実務経験の初期段階(原則として1年目、または院内基準を満たすまでの期間)は、無給での研修・実習期間として位置づける。この期間中、実務者は指導者の監督のもと、心理検査の補助、デイケアの見学・参加、新患面接への同席などを通じて、段階的に実践的スキルを習得する。
所定の評価項目(心理検査の実施能力、予診対応力、デイケア支援力など)において一定の基準を満たし、単独での業務遂行が可能と判断された場合には、以後の該当業務に対し、時給1,200円の有償報酬を支給する。
該当する業務には、心理検査の単独実施と所見記載、新患の予診、リワークデイケアの運営補助などが含まれる。
すべての勤務実績は、勤務日誌・実績記録(様式2・3)に基づいて記録・確認しており、指導者の評価・確認を経て段階的に有償業務への移行を行う。
勤務時間:週3日、当院の開院時間に準ずる(1日8時間勤務)。
給与発生後、6ヶ月間の勤務実績に基づき、勤務時間に応じた有給休暇を付与。やむを得ない理由で実習予定日に休む場合、振替実習日を設定し、実習プログラムに支障をきたさないように配慮する。
健康管理に関する事項
本施設は医療機関であるため、日常の体調不良や心理的ストレスに対して速やかに対応可能な体制を整えている。
希望があれば、年1回の定期健康診断に準じた受診機会を設けることもできる。
また、勤務中の体調不良時には柔軟に勤務を調整し、必要に応じて医師の関与を行う。
外部の研修活動に関する事項(学会、研究会等への参加の可否及び費用負担の有無)
学会・研究会等の外部研修活動への参加については、専門的知見の向上と実践力の強化を目的として奨励する方針である。
原則として、参加費・旅費等の費用は自己負担とするが、当院が参加を推奨する研修会(例:心理検査・心理療法に関する講習等)については、事前の承認を得た場合に限り、当院が費用を全額負担する。該当する研修への参加後は、学んだ内容を実習や業務に活かすことが期待されるとともに、必要に応じてフィードバックを行うことが求められる。
これで、一度厚生労働省の担当部門に問い合わせしてみて、修正や変更が必要か確認しようと思います。前回、メールを送ったら1ヶ月ほどでお返事が来ましたので、待ってみようと思います。
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投稿者: furujinmachi
ただ、共感することと、甘やかすこととがごっちゃになってることがあるのかなと思いますので、そのことについても書こうかと思います。
例えば、子どもが「ゲームで課金したい!」と言ったとします。それを共感しなきゃ、と言うことで、「じゃあお金だそうか」と言うべきかどうか。共感するのは、子どもが「課金したいなあ」と思っている部分であって、課金して、もっとゲームを楽しみたいのか、欲しいアイテムがあるのか、ゲーム内で強くなって、みんなに賞賛されたいのか、そこには課金してどうしたいのか、という思いがあると思うんですよね。その部分に共感することは、問題ないと思うんです。
「欲しいアイテムがあるんだね」「強くなってみんなに注目されたいよね」みたいな感じで、共感を示す。でも、それと実際お金を出すかどうかは別問題です。
私たちも、お友達とかと「あの服欲しいよね」「あの化粧品いいよね」みたいな話をしても、それで実際お金があれば買いますし、ちょっとやりくりが心配なときは我慢して、お金が貯まってから買いますよね。でも、「欲しいよね」という気持ちには共感しますよね。「あれいいね、欲しいよね」という感じで。それと全く同じことになりますので、「いいなあ、欲しいなあ」という気持ちには十分共感してあげて良いのです。
だから、子どもが「課金したい!」って言ったときに、「何言ってるの、そんなお金ないわよ」と頭ごなしに否定するのでもなく「頑張ったら小遣いあげようか」みたいな甘やかすのではなく、お金を出す出さないではなくて、「いいなあ、欲しいなあ」の部分に共感する、そういう風に心がけていただくと、会話が弾むのではないかと思うんですね。「今やってるゲーム面白いの?」「課金したらどんなふうになるの?」と興味を示して、「へえ、いいわねえ」って。「欲しい!」って言うワクワクする気持ちに共感してもらえるといいなあと思います。
子どもは、欲しかった気持ちを分かってもらえるだけでも、「でもまあ、お小遣い足りないから仕方ないか」と諦めをつけることもありますし「課金ばっかりしてても勿体ないよね」と納得できることもあります。「今度もっと欲しいヤツあるからもうちょっと我慢するわ」みたいな。十分共感してもらえたら、どうしたいかは自分でちゃんと考えられる子も多いです。
十分共感しても、衝動性のコントロールが難しいお子さんに関しては、きちんとルールを決めて、ルールの上で対応する必要があります。でもその場合でも、気持ちには寄り添えるし、寄り添ってもらった方がいいかなと思います。「欲しいとどうしても欲しくなって、気持ちのコントロールが出来なくなってしんどいね」というふうに声かけしてもらってもいいのかなと思います。
是非共感することの参考にしてみて下さい。
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投稿者: furujinmachi
お子さんが通院されている親御さんから、共感について聞かれました。育児書とか、メンタル不調の方への対応の本・ネットの情報などを見ると、共感が大事、と書かれているんですよね。でもその共感っていったい何なのか?そこの本質的なところが難しいんですよね。
そもそも、人間は、相手の思考は見えないですから、本当の意味で、相手がどう思っているのか理解することは不可能です。その人と全く同じ人生経験をして、全く同じ気質や体質を持ち、その上で全く同じ体験をすれば、同じ気持ちになって共感できるかもしれませんが、そんなことも不可能ですよね。
でも一方で、人類という同じ生き物の中で、共通する感覚や感情があるのも事実です。なので、相手のことを知ろうとすることは出来るし、自分の中での近い感覚や体験に照らし合わせて、想像することは出来ます。
共感とは、「相手のことを知ろうとする過程」と言えそうですね。すべてを知ることは出来なくても、知ろうと努力してくれる人がいることは、その人の助けになることが多いと思います。
相手が子どもさんだと、自分でも自分の気持ちが分からないこともあります。だから、「その気持ちになんて名前をつけたらいいのか、どういうラベルを貼ったらいいのか」を一緒に考える作業が、共感することにつながると思うんですね。
また、相手が子どもさんの場合は、親が答えを出してあげなきゃいけない、って感じる方も多いようです。答えを出すことが必要な場合も、もちろんあるのですが、共感する、という作業に関しては、答えを出す、アドバイスをする、という対応はNGになりますね。
不登校のお母さんが苦戦する対話に、以下のようなものがあると思います。
「お母さん、明日学校どうしたらいいと思う?」
こう尋ねられたら、なんて答えましょうか?
「明日は休んだらいいんじゃない?」とか「明日は頑張って行ってみる?」とか。子どもが尋ねてきたのだから、こちらの意見を言わなきゃって思いますよね。
でもこれがワナだと思うんですよ。
子どもがこのような質問を投げかけてきたときに、共感的に接すると言うことは、「この子は、この質問をどんな気持ちでしてるんだろう?」と考えることです。
「明日は何か苦手なイベントがあって、不安になってるのかしら?」とか、「学校に行くのもしんどいけど、行かないのも不安なのかしら?」とか、「ずっと学校に行けていないことを、母親である私がどう思っているのか心配になってるのかしら?」とか。
何が気になっているのか分からないときには、「学校に行こうかどうしようか、悩んでるのね?」と聞いてみることで、さらに何か自分の気持ちを話してくれるかどうか、促してみていいと思うんですよね。
あと、共感することと、受け入れて甘やかすことはまた違うんです。このあたりのさじ加減って難しく感じるところもありますが、原則が分かると大きく間違えないのかなと思います。ちょっとまた引き続きこの話は書きますね。
そもそも、人間は、相手の思考は見えないですから、本当の意味で、相手がどう思っているのか理解することは不可能です。その人と全く同じ人生経験をして、全く同じ気質や体質を持ち、その上で全く同じ体験をすれば、同じ気持ちになって共感できるかもしれませんが、そんなことも不可能ですよね。
でも一方で、人類という同じ生き物の中で、共通する感覚や感情があるのも事実です。なので、相手のことを知ろうとすることは出来るし、自分の中での近い感覚や体験に照らし合わせて、想像することは出来ます。
共感とは、「相手のことを知ろうとする過程」と言えそうですね。すべてを知ることは出来なくても、知ろうと努力してくれる人がいることは、その人の助けになることが多いと思います。
相手が子どもさんだと、自分でも自分の気持ちが分からないこともあります。だから、「その気持ちになんて名前をつけたらいいのか、どういうラベルを貼ったらいいのか」を一緒に考える作業が、共感することにつながると思うんですね。
また、相手が子どもさんの場合は、親が答えを出してあげなきゃいけない、って感じる方も多いようです。答えを出すことが必要な場合も、もちろんあるのですが、共感する、という作業に関しては、答えを出す、アドバイスをする、という対応はNGになりますね。
不登校のお母さんが苦戦する対話に、以下のようなものがあると思います。
「お母さん、明日学校どうしたらいいと思う?」
こう尋ねられたら、なんて答えましょうか?
「明日は休んだらいいんじゃない?」とか「明日は頑張って行ってみる?」とか。子どもが尋ねてきたのだから、こちらの意見を言わなきゃって思いますよね。
でもこれがワナだと思うんですよ。
子どもがこのような質問を投げかけてきたときに、共感的に接すると言うことは、「この子は、この質問をどんな気持ちでしてるんだろう?」と考えることです。
「明日は何か苦手なイベントがあって、不安になってるのかしら?」とか、「学校に行くのもしんどいけど、行かないのも不安なのかしら?」とか、「ずっと学校に行けていないことを、母親である私がどう思っているのか心配になってるのかしら?」とか。
何が気になっているのか分からないときには、「学校に行こうかどうしようか、悩んでるのね?」と聞いてみることで、さらに何か自分の気持ちを話してくれるかどうか、促してみていいと思うんですよね。
あと、共感することと、受け入れて甘やかすことはまた違うんです。このあたりのさじ加減って難しく感じるところもありますが、原則が分かると大きく間違えないのかなと思います。ちょっとまた引き続きこの話は書きますね。
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投稿者: furujinmachi
本当は昨日、サイコシンセシスの誘導文の音声をあげようと思っておりました。
しかし、音声データを埋め込むのに少し苦労をしました。
この記事で告知していた音声を上げる予定でした。でも、ちょっとうまくいかなくて、すでに書いていた別の記事を昨日あげたんです。
音声どうしたものか悩んでいると、noteの公式さんの記事が。
これは、なんだか音声データを投稿しやすくなるのでは?
ちょっと期待も込めて、この機能が実装されるのを待ってみようと思います。
技術の進歩って本当にすごいなと思ってるんですが、このような投稿のしやすさとかもどんどん変わっていくのでしょうね。
先日、メールに要約がつくようになったのに気づきました。AIの技術ってこういうところにも使われているんだなあと。chatGPTは、スタッフから存在を聞いて使うようになりましたが、講演会の資料作りや画像作り、書類作成、あと夕食作りやダイエットの相談など、いろんなことに対応してくれて、本当にすごいと思います。
診療所でも、昨年より「電話対応自動化のIVRy(アイブリー)」を導入しました。これは、夜間も緊急等は対応するべしという行政の圧に負けての導入でした。行政は、医療分野に働き方改革を導入したいはずなのに、診療所にも夜間対応するよう働きかけてきて、一体医療従事者を大事にしたいのか酷使したいのか分かりませんが。
夜間電話対応を行うことに対しては、私自身、大学病院勤めが長かったのでかなり警戒しました。当直していると、いろいろと電話ってかかってくるんですよ。当院の看護師さんも病棟勤務の長い方達なので、夜間電話対応には不安が大きかったです。
ただ、行政が求める夜間対応は、全ての電話に対応しろ、ということではなくて、緊急かどうかの判断をしてほしい、という趣旨ではあるんですよ。だから、緊急ではない案件は、翌日以降の診療時間内に対応させていただくことで問題ない、ということなんですね。
とはいえ、緊急かどうか、一旦電話を受けて判断しないといけないから、結局、電話対応を誰かがしなければなりません。スタッフと交代ですれば、週1日ずつになりますが、電話当番の日のストレス、緊張感はかなり負担になリます。
その頃、行政の指導を受けて、夜間電話対応を検討している診療所が多かったのか、いろんな業者さんがメールやFAXで営業をしてこられてたんですね。夜間電話代行サービスの案内がたくさん届きました。自分自身とスタッフの負担をこれ以上増やさないためにも、外部サービスの導入を積極的に考えようと思いました。
最初は、コールセンターのように人が対応してくれるサービスを検討したんですが、そちらはややコストが高かったんですね。どのくらい利用することになるかわからず、最初から導入コストが高いサービスを入れるのは躊躇します。もう少しリーズナブルで使えそうなサービスがないか探したところで、IVRyを見つけました。AIが対応してくれて、緊急性の高い電話だけ、通知が届く設定にできます。夜間以外にも、日中も電話対応してくれるため、日中の電話業務の負担が軽減しました。
結果として、夜間緊急の問い合わせはほとんどなく、IVRyはもっぱら日中活躍してくれている状態ですが、このような新技術を積極的に取り入れて、自分やスタッフの業務軽減を図る工夫は続けていきたいと思います。
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投稿者: furujinmachi
実は私、本当はこういう事務作業苦手なんですよ、でも言い出したものがやるべきと思うので、頑張って資料作りしております。
前回の記事を作成後に色々と追加で調べると、どうやら実務従事者に対するプログラムをフルタイムで組む必要はなく、3年間で通算720時間、240回を超える支援の実施ができることが必須とのことで、それが達成できるなら非常勤での勤務でも良いとのこと。募集の最低人数は2人との指定があったため、当院のような規模の小さな医療機関では、毎日2人を指導するのは少し負担が大きく、スタッフに無理を強いることになるのが心配でした。しかし、交代で来ていただき一度に1人ずつ指導するような形を取れるならば、スタッフの負担も軽減できそうです。
週3回来ていただくことを想定した、プログラムは下記のようになりそうです。
勤務時間:週3日
1年目:心理支援の基礎と観察・補助
・新患の予診への同席と記録(週4回/6時間)
・再診患者の聞き取りの同席と記録(週20回/2時間)
・心理検査の同席、補助、記録(週2回/5時間)
・心理面談の同席、記録(週2回/2時間)
・精神保健福祉士(PSW)面談の同席、記録(週2回/2時間)
・リワークデイケアの運営補助、記録(週1回/3時間)
・ケース検討会への参加、記録(月2回/2時間)
・医師・PSW・看護師・公認心理師とのミーティング参加(週1回/1時間)
・公認心理師によるスーパービジョン(月2回/2時間)
2年目:実施・記録とチーム連携の習得
・新患の予診の実施と記録(週4回/6時間)
・再診患者の聞き取りの実施と記録(週20回/2時間)
・個別支援の実施(週4回/4時間)
・心理検査の実施と所見作成(週2回/5時間)
・リワークデイケアの実施、記録(週1回/3時間)
・ケース検討会での発表(月2回/2時間)
・医師・PSW・看護師・公認心理師とのミーティング参加(週1回/1時間)
・公認心理師によるスーパービジョン(月2回/2時間)
3年目:実践力の強化と教育的支援の計画
・新患の予診の実施と記録(週4回/6時間)
・再診患者の聞き取りの実施と記録(週20回/2時間)
・個別支援の実施(週4回/4時間)
・心理検査の実施と所見作成(週2回/5時間)
・リワークデイケアの実施、記録(週1回/3時間)
・ケース検討会での発表(月2回/2時間)
・医師・PSW・看護師・公認心理師とのミーティング参加(週1回/1時間)
・公認心理師によるスーパービジョン下での自己評価と修正(月2回/2時間)
・最終評価および総括レポート作成
単発・変動業務
・スタッフによる各種講義(1年目に月1回実施)
・親子面談、産業医面談の陪席(月1回程度)
・PSWの企業訪問の同伴(2ヶ月に1回程度)
他分野への対応方針
当院は保健医療分野に該当しますが、以下のような工夫により、他分野に関する実務経験を提供します。
福祉分野
・PSWの面談陪席、ケース検討を実施し、視点を共有
・地域の障害福祉サービス事業所との連携記録の共有
・自立支援医療、精神障害者保健福祉手帳、障害年金の活用支援に関わる機会を設定
教育分野
・学校関係者との連携を行っている事例に関与
・発達支援が必要な生徒の支援方針について検討する場を設定
司法・矯正分野
・加害・被害に関する支援の記録を共有する
・精神医療審査会についての講義を行う
産業・労働分野
・リワークデイケアにおける復職支援への参加
・産業医との連携内容を含めた復職支援事例の検討
・就労支援事業所とのやりとりや復職面談記録の共有
・産業医活動の陪席
各活動の記録は、スーパービジョン記録、ケース記録、事例検討シート等に明記し、経験の分野ごとの整理ができるようにします。
なんとかあと一息で、とりあえずのたたき台ができそうですよ!
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投稿者: furujinmachi
サイコシンセシスの話の続きです。前回は上位無意識の力を借りるのに、イメージ療法を使う話を書きました。
上位無意識の力を借りる方法の一つに、自分が望ましいと思う資質を喚起し発展させる方法というのがあります。こうなれるといいな、この資質が自分の中で育つといいな、と思うものを、イメージの力を借りて上手に取り入れていく、という方法です。
望ましい資質というのは、例えば以下のようなものになります。
美しさ、慈悲の心、理解力、勇気、創造性、パワー、情熱、安定性、自由さ、穏やかさ、安全、無執着、助け合い、愛情、寛容さ、感謝の心、見抜く力、好奇心、調和の心、ユーモア、包容力、喜び、忍耐力、信頼する、信念を持つ、清々しさ、奉仕の心、静寂さ、意志の力、賢さ、責任感、エネルギー などなど
私は、今は何をするにもエネルギーが必要なので、朝晩、自分の体にエネルギーが満ちているイメージを行なっています。
<イメージのやり方>
まず、リラックスして、呼吸に意識を向けます。これは、今からするイメージになるべく集中するためです。イメージをしようとしながら別のことを考えてしまい、雑念が入ってくることはよくあります。そうなった時は、「ああ、雑念が入っているな」と気づいて、また呼吸に意識を戻すように練習してもらえると良いと思います。
そして、自分の前に、自分が得たいと思っている資質を、すでに持っている状態の自分がいることをイメージします。できるだけ具体的に。どんな表情をしていて、どんなポーズをとっていて、どんな様子から、持っている資質を感じるか。丁寧にイメージします。
そして、その自分の中に入っていきます。着ぐるみを着るように、その中に入って、その中にいることがどんな感じか、体験します。細胞の隅々まで、その資質が入ってきていることをイメージします。
そのイメージをしっかりと感じて、その資質をしっかりと吸収して、イメージを終えます。
すでに資質をもっているイメージをするのが難しい場合は、その資質を象徴するイメージを思い浮かべて、そこからその資質に包まれる体験をするやり方の方が取り組みやすいです。
このやり方で、自分のオリジナル誘導文を作成し、それを録音して、朝晩2回聞くというやり方で、自分の欲しい、望ましい資質を育てる役に立ちます。腹筋を鍛えるのと一緒で、毎日コツコツ取り組んでいただけるといいと思います。
カテゴリー: 総合
投稿者: furujinmachi
今年の春、久しぶりに学会に一つ入会しました。
医者の世界って、本当に学会がいっぱいあります。
ほとんどの医者が、自分の専攻科のメインの学会には入会していて、そこの専門医をとっていると思うんですね。それから、さらに自分の興味のある分野に関する学会にいくつか入会するようになります。
私も大学病院にいる頃に、いくつかの学会に入会しました。
あと、いろいろと勉強していく上で、資格を取ることにすごくこだわっていた時期がありました。資格が取れると、自己肯定感が上がるんですよね。達成感があります。どうせ一生懸命勉強するなら、何か成果が欲しいというのは、受験勉強を頑張っていた名残のように思います。
でもしばらく育児、仕事とバタバタしているうちに、資格を取りたい熱は下がってきていました。特に開業すると、毎日が外来業務で、仕事量がぐっと増えました。そのため、仕事が終わった後にもうひと勉強するだけの気力が残っておらず、いろいろ気になる情報はあるものの、情報収集する時間がうまく取れずにいました。まあ、自分のために遊ぶ時間も大事ですので、仕事の後はゆっくりする時間に当てていたんですね。
しかし最近やっとこの開業生活にも慣れてきて、体力的、気力的余裕が戻ってきました。それと、開業して働く中で、もっと自分の専門性や、自分の目指したい方向性を考えたり意識したりすることが増えてきて、その自分の方向性を周りに分かってもらう、納得してもらうためにも、専門医や認定医の資格をもう少し取得したい気持ちも出てきました。
実際、患者さんが、通院する先の先生がどれくらい専門医や認定医を持っていることを意識されているかは分かりません。私も自分が内科や耳鼻科、産婦人科に行くのに、資格はそんなに気にしていないというか。評判や口コミだったり、実際自分が行ったときにどのように対応してもらえたか、それらが通院を続ける判断材料になりますよね。なので資格を取りたいのは、やっぱり自己満足的なところは大きいかなと思います。
でも、どの学会も、専門医や認定医は簡単には取れません。学会に参加し、場合によっては学会で発表して、試験を受けて、面接があるところもあります。一定の条件をクリアしないと取れないし、取得したのちにも、研鑽の継続が求められます。
医学は進歩し続けていきます。常に新しい情報に触れる機会を作っておかないと、いつの間にか自分のしている治療が古いものになってしまう。そして、学んだ知識を活かせる機会が、毎日提供されるというのは、やりがいがあることでもあります。なんだかんだ言って、知識を吸収する知識欲が強いんですよね。自分の知識欲を満たしつつ、それを患者さんに還元していきたいなと思います。
カテゴリー: 総合
投稿者: furujinmachi
公認心理師のBルート指定施設になるための必要書類を用意しようと思いつつ、先週はGW明けの仕事の忙しさで追われていました。
厚生労働省のHPの資料をしっかり読むと、プログラムに必要な内容は以下のように書かれています。
実務従事者が行う心理に関する支援の実施時間(指導時間含む):720時間以上かつ240回以上、対象は個人でも集団でも可、このうち270時間は、大学院の科目に相当する講義の受講で代替可
720時間というと、1週間7時間したとしたら1年間で350時間を超えますので、通常1週間40時間労働と考えますと、最初の1年間が陪席中心となっても、2年目以降で支援の実施をしていただけると十分達成できそうです。医療現場での仕事は、ほぼ全て支援の実施に該当しますので、ここはクリアできそうですね。
ケースを3例以上担当
これも、当院にはカウンセリングを希望して来られる方が多く、問題なく担当していただけると思います。
多職種と連携した業務を経験
これも、当院には看護師、精神保健福祉士がいて、担当するケースが精神保健福祉士の面談を受けることもありますし、これまで看護師が事前聞き取りをしていれば情報共有します。リワークデイケアの実務を担当してもらう場合も、多職種連携になりますので大丈夫そうですね。
他分野の施設で60時間以上の見学、研修が望ましい
これが唯一、当院のみでは実施できない部分になります。ただ、これは「望ましい」であり必須ではないこと、また、当院での業務でも他分野の経験ができることを申し添えて、厚生労働省に打診してみたいと考えています。
なので、まずは、基本情報として下記をまとめます。
・施設名称、所在地
・施設の責任者の氏名
・実施責任者の氏名、略歴
・実施指導者の氏名、略歴
・実施期間
・実施目的
それから、プログラムを作成し、実務として何をしていただくか、どのような講義を予定しているかを整理します。
それから、下記のデータを用意し、当院が十分に実務経験が積める施設であることを証明します。
・年間新患数
・心理検査実施件数
・カウンセリング・面接件数
・リワークプログラム実施回数
・実習者の関与が可能な活動
・カンファレンス実施頻度
・指導者の配置状況
それから、他分野の経験ができることの補足プログラムを添付しようと思います。
最後に、実際のところの、下記のことを取り決める必要が出てきます。
・実務従事者の募集定員ならびに募集・採用の方法
・給与、勤務時間、休暇に関する事項
・健康管理に関する事項
・外部の研修活動に関する事項(学会、研究会等への参加の可否及び費用負担の有無)
色々と頭の中がごちゃごちゃとしていましたが、やっと資料作りをまとめる方向性が見えてきました。大体の形は見えてきていたのですが、色々と情報を調べれば調べるほどまた情報が錯乱していっておりました。わからないことはChatGPTにも聞いたりしていたのですが、同じことの堂々巡りになってしまうこともあります。
アウトプットしてまとめると、自分の中でしっかりと形になっていくのがわかります。読んでいただいている方にも、同じことの繰り返しになってしまっているかもしれませんが、不慣れなことの考えを整理しているので、ご容赦いただければと思います。
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投稿者: furujinmachi
以前の記事で、当院で心理検査を実施するときの説明資料を作成したいと感じていることを書きました。
当院で一番多い心理検査が、発達障害に関連するものです。当院では現在、2つの検査を行っています。MSPAとWAISという検査です。
MSPAは、発達障害の方の、困りごとの聞き取りの検査になります。発達障害の特性と思われる項目を、全般的に網羅しています。ADHD(注意欠如多動症)やASD(自閉スペクトラム症)に関連するもの両方を把握できます。
この検査では、事前に患者さんに、アンケートに記入をしてもらいます。できるだけ、親にも検査協力を依頼しますが、すでに親から自立され親が遠方にいらっしゃる方や、親子関係の問題などで、親に協力が依頼できない場合もあり、その場合はご本人が覚えている限りのことを話していただいたり、通知表などを持参していただいて参考にさせていただくこともあります。
そして、公認心理師が、検査当日に、そのアンケート用紙を参考にして、本人と、協力が得られた場合は親から、困りごとの詳細な状況を聞き取りします。どのようなシチュエーションで、どれくらいの困り事だったのかを聞いて、それが発達障害のどの特性からきているものなのかを見立てて、チャートにします。
もう一つのWAISという検査は、知能検査になります。対面で「知能検査です」というと「血の検査」と聞き取られてしまい、採血かと思って嫌な顔をされることがあります(特にお子さんの場合)。IQを測定します、などと伝えて補足してます。(ちなみにWAISは16歳以上の方が対象になり、それより若い方は同等の検査でWISCという検査があってそちらを行いますが、説明する内容はほぼ同じです)。
発達障害の場合、IQ自体は、高い方も低い方もいて、IQの高い低いでは診断になりません。それよりも、WAISではいろんな項目の測定を行い、言語理解、知覚推理、ワーキングメモリー、処理速度の4項目の得点が出るのですが、その項目間での差が大きい傾向があるかどうかを確認しています。ある項目はすごくよくできるのに、ある項目がすごく低い、というパターンが、発達障害の方にはよくみられます。なので、そのような能力パターンがあるかどうかを確認します。
ただし、WAISはうつ状態や不安症状が強すぎる時には実施できません。うつや不安のせいでスコアが変動してしまうからです。なので、うつ状態や不安症状が強い方は、それらの治療をしてから実施するようにしています。
うつ状態や不安症状を治療するにも、まずは発達障害かどうか診立てないと、治療がうまく構築できない場合もあります。そのような場合は先にMSPAだけ実施し、暫定的な診立てをして、後から状況を見てWAISを実施することもあります。
普段、こういった説明をさせてもらっているので、これを元に資料を作ってみようと思います。
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投稿者: furujinmachi
昔のジェネリック医薬品は、いろんなメーカーさんが好きな名前をつけていました。私は医者になってすぐ大学病院に勤務し、アルバイトで別の精神科病院にも週1回勤務していました。そうすると、同じ薬でも、病院によって採用しているメーカーが違うので、名前が違ったり、ということがよくありました。
例えば、抗精神病薬で有名な「セレネース」という薬がありましたが、これがアルバイト先では「リントン」という名前だったんですね。最初のうちは、何が何の薬なのか、覚えるのに苦労しました。カルテも、大学病院が電子カルテと紙カルテの運用が半々で、アルバイト先の病院は紙カルテでした。なのでパソコンが常時ある環境でもなく、スマホやタブレットもない時代でしたから、お薬の検索も簡単ではなかったですし。
実際、類似した名前の製品の取り違えによる医療ミスを起こすリスクもあったりで、2005年にジェネリック医薬品の名前は「成分名+会社名/屋号」に統一されるようになりました。
お薬は、開発された時に、成分名がつき、そのお薬が実際販売されるときに、お薬の商品名というのが別につくんですね。例えば、とてもよく使われる抗うつ薬で「レクサプロ」という薬がありますが、これは商品名で、この薬の一般名(成分名)は「エスシタロプラム」になります。この薬は2022年にジェネリック医薬品が販売されたので、ジェネリック医薬品は全て『エスシタロプラム「〇〇(会社名/屋号)」』という形になります。
しかし、このカタカナの名前、なかなか覚えられないですよね。私は商売道具なので、自分がよく使う精神科の薬はさすがに覚えていますが、患者さんは自分の飲んでいる薬の名前を把握するのは大変ではないかと思います。
よく患者さんが「アメルの薬」とおっしゃったりすることがあるんですね。「アメル」というのは、共和薬品工業株式会社が製造するジェネリック医薬品に使う、いわゆる「屋号」というものになるので、アメルというのは、作っている会社目に該当します。なので、それがフルニトラゼパム「アメル」かもしれないし、エスタゾラム「アメル」かもしれないし、ゾルピデム「アメル」かもしれないし。アメルではなく、その前の名前が大事なんですが、なんとなく「アメル」の方が覚えやすくてそっちを覚えてしまうんでしょうね。アメルだとたくさんあって分からないんです。
最近はお薬手帳を持参される方が増えましたから、お薬手帳で確認できるので助かります。
ともあれ、ジェネリック医薬品の名前のつけ方が統一されたことで、新たな薬の名前を覚える必要が減り、正直助かりました。その薬の商品名と一般名さえ覚えておけば、ジェネリック医薬品が出ても、どの先発薬に対するジェネリック医薬品なのかの把握がしやすくなりました。
しかし、お薬はどんどん新しいものが出てきます。最近では、睡眠薬の開発が増えてきていますね。新しいお薬を覚えて把握するのは大変ですが、より安全で使いやすい薬が増えてくれるのは大歓迎です。頑張って、新しい薬も使いこなせるようになっていきたいと思います。
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投稿者: furujinmachi
公認心理師のBルート指定施設になるためのプログラムを思案中です。
実際、当院に心理学科大学卒の方に就職していただいた場合に、どのような業務をしていただきたいかを考えました。しっかり働いて、実践を積んでいただきたいと思っています。
1年目
新患の予診・診察の陪席(週10人程度)
リワークデイケア運営の補助(年3クール実施、1回3ヶ月で記録も含め1クールあたり96時間程度)
リワークデイケアのミーティング参加(リワークデイケア開催時期に合わせて週1回1時間)
心理検査の陪席、記録作成(週2回程度)
公認心理師の面談陪席、記録作成(週2回程度)
精神保健福祉士の面談陪席、記録作成(週1回程度)
再診患者との簡易面談
医師の産業医面談の陪席、記録作成(週1回程度)
親子面談の陪席、記録作成(週1回程度)
大学院生の実習の対応(年間3人、一人あたり40時間)
業務の振り返り(週1回程度)
2年目
新患の予診の実施、記録作成
リワークデイケアの実施、記録作成
リワークデイケアのミーティング参加
心理検査の実施、記録作成
公認心理師・精神保健福祉士の面談陪席、記録作成
ケースの担当
再診患者との簡易面談
医師の産業医面談の陪席、記録作成
親子面談の陪席、記録作成
大学院生の実習の対応
業務の振り返り、スーパーヴィジョン(週1回程度)
3年目
2年目に引き続く。ただし面談の陪席を減らして、実際の担当のケースを増やす。
やっていただけることは思ったより多く、たくさんの経験が積めるのではないかと思います。当院は普段から多職種で業務分担、連携をしておりリワークデイケアもしておりますので大学院生の実習でも割と好評です。あとはこれで時間を割り振りしておかしくないか、プログラムとしてふさわしい講義的なものを足すか、といった調整になりそうです。
当院で実施している心理検査は、ロールシャッハテスト、PFスタディ、HTPなどの投影法と、自己記入式の簡易心理検査、ブルドン抹消検査、あとは知能検査のWISC、WAISと、発達障害の評価のためのMSPAになります。これら心理検査の陪席をしたのち、実践して経験していただけます。検査件数は、ばらつきはありますがトータルで月に10件は超えると思います。今、心理検査は予約待ち状態になってますので、検査実施者が増えたらそれだけ早く患者さんに心理検査を提供できるのではないかとも思います。
心理療法としては、傾聴を主体とした来談者中心療法、プレイセラピー、認知行動療法、対人関係療法、インナーチャイルドセラピー、サイコシンセシスなどの指導ができます。
当院での特徴やこれまでやっている診療実績に合わせて、あとは日々の振り返り、自己学習、私も含めてスタッフからの講義、ケースカンファレンスなどの時間を確保していく必要がありそうです。私もスタッフもあまり負担が強くなりすぎないよう、皆で分担して指導にあたれるといいのかなと考えています。これでたたき台を作成し、一旦スタッフと相談してみようと思います。
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投稿者: furujinmachi
先日、症状が改善し、通院を卒業された方がいました。当院のスタッフがずっと面談を担当して、困りごとを共感して聞き、必要に応じて助言をしておりました。
徐々に良くなられて、だんだんと通院間隔があいてきた頃、診察で「こういうときに、〇〇さん(面談担当スタッフ)や先生ならなんておっしゃるかな、って考えるんです」と話しておられました。
このように、診察や面談の場面以外でも、自分を支えてくれる人なら、こういう時になんて言ってくれるか、を考えられるようになると、メンタル不調の症状がよくなる方が多いように思います。
人生から、ストレスや悩み、困難を取り除くことは難しいです。むしろ人は、多少のストレスがある方が健康になるとも言われています。ストレスがあり、辛い思いをするときに、自分を理解し支えてくれる存在があることは、とても大事だと思うんですね。
でも、自分を支えてくれる存在に、すぐには話をできない場合もあります。そういった存在が身近にいて、毎日話ができる環境の人は、とても良い環境にあると言えますし、そういう人は余程の衝撃がない限りは、メンタル不調になりにくいと思います。
しかし、すぐにそういう人と話ができなくても、「あの人に話したらなんと言ってくれるかな?」と考えて、自分に思いやりのあるメッセージを言ってくれることを想像できるだけでも、温かい気持ちになれるんですよね。
メンタル不調になる人は、とにかく自分を責める方が多いです。自己肯定感が低く、自分のことが嫌い。なので自分に思いやりのあるあたたかい言葉やあたたかい気持ちを向けることがとても苦手です。
なので、私たちが患者さんにあたたかい言葉、あたたかい気持ちを向け、それを伝えていくことで、徐々に自分自身にそれを取り入れてくださると、とても嬉しく思います。
これは「カウンセラーの内在化」と言われているようです。最初は、通院し、カウンセリングを受けて、カウンセラーに支えてもらいます。カウンセラーは自分の外にいて、会いに行って助けてもらう存在です。でもずっと、カウンセリングを続けていると、そのうちに「こういう時に、あの人ならなんて言ってくれるかな」ということを考えられるようになっていきます。カウンセラーが自分のうちにいて、いつでもアクセスできる状態ですね。自分の中に、カウンセラーを取り込めた状態です。
最終的には、きちんと自分自身で、自分に思いやりやあたたかい気持ちを向けられるようになれるといいな、と思います。自分のことを大好きと思うのは難しいかもしれませんが、「まあ、悪くないかな」くらいに思えるようになっていただきたいなと思っています。
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投稿者: furujinmachi
精神科の薬物治療では、維持療法が大事になってきます。お薬を飲んで、症状が良くなっても、しばらくお薬を継続するんですね。これは内科とかではあまりないことだと思います。いや、内科でも高血圧とか、慢性的な病気は同じですかね。とにかく、しばらくお薬を続ける必要があります。十分な維持療法をせずにお薬をやめてしまうと、再発のリスクが高まり、些細なきっかけで、あるいは特にきっかけなく、症状が再発する可能性が高くなってしまいます。
ただ、じゃあその維持療法の期間をいつまでにするのか、そこが問題です。一応、病状に応じて、3ヶ月とか、半年とか、目安はありますが、どうしようかなと悩むことがあります。
ある程度の量のお薬を飲まれていると、急にやめてしまうと離脱症状が出ることがあります。離脱症状を再発と勘違いし、お薬は一生やめられないと思い込んでしまう方もいますので、離脱症状には注意が必要だと思っています。
すっかり良くなっていたのに、お薬を減らしたりやめたりした途端に悪くなり、お薬を再開したらすぐ良くなった、という場合には、病状の再発ではなくて、お薬を減量したりやめたりしたことによる離脱症状の可能性が高いです。その場合は、いったんお薬を減量前の量に戻し、症状が落ち着いてから、再び、もっとゆっくりとしたペースで減量していきます。または、離脱症状の出にくいお薬に一旦置き換えて、それからやめていくようにしたりと、工夫をします。
ただ、このような状況では、患者さんがお薬を減らすことをどう思っているか、どんなふうに受け止めているかがかなり重要になります。離脱症状であることを納得し、冷静に合理的に受け止めていられる方であれば、上記のような工夫でお薬の減量を進めていきます。しかし、離脱症状で嫌な思いをした、あるいは離脱症状を再発だと勘違いされている場合などでは、再びお薬を減らすことを怖がられる場合も結構あります。その場合は、無理に減らそうとすると、患者さんが「お薬を減らされることが不安」になり、結果として精神症状が悪化する、という現象が起きてしまいます。お薬を減らす場合は、減量することに患者さんがどれくらい前向きか、どれくらい不安な気持ちがあるか、そのこともとても大切になってきます。
お薬を減らすことに不安が強い場合は、通常の維持療法より長めに維持療法の期間を持ちます。また、患者さんの性格にもよりますが、飲み忘れなくきっちり飲まれているうちは、維持療法を継続することが多いです。患者さんが薬を飲むことで安心感を得ている場合が多いように思えます。だんだん飲み忘れが増えてきたら、減量のタイミングかな、と思います。(まだ維持療法を続けて欲しい期間に飲み忘れる方の場合は、もう少しだけ頑張って飲んでいて欲しいとお願いします)。
なので、一応の維持療法の期間を伝えつつも、患者さんの様子を聞きながら、いつまで続けるかを決めていっている感じです。大事なのは、薬をやめるかどうかではなく、日常生活がきちんと送れることだと思います。お薬を減らすことを頑張るあまり、日常が辛くなっては意味がありません。要はバランスなのかなと思います。
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投稿者: furujinmachi
前回、下位無意識に閉じ込められているトラウマを扱うのに、上位無意識の力を借りることについて少し書きました。
トラウマケアをするための心理療法として、インナーチャイルドセラピーという手法があります。これは、子ども時代のトラウマで傷ついた子どもが、自分の心の中にいて、その子ども(インナーチャイルド)をケアしていく、という心理療法になります。
ただ、その人自身が、子どもをケアできるほどの状態でない場合、まず、その人自身が子どもをケアできるだけの自己肯定感だったり、自尊心だったりを回復する必要があります。本当の意味で、自己肯定感が回復し、自尊心が持てるようになるために、インナーチャイルドをケアしていかないといけないのですが、車輪の両軸のように、どちらも大事というか。インナーチャイルドのケアをするために、大人の自分がまずその力を強め、そしてインナーチャイルドのケアをする。そうしたらまた大人の自分に力がつく、その繰り返しになります。
大人の自分に力をつける作業が、上位無意識の力を借りることになると思います。まず、自分自身に必要な要素を、イメージの中で取り入れていくようにします。
何が必要かは、その人によって違います。純粋にエネルギーを必要とする人もいますし、リラックスできること、自分にパワーがあると信じること、愛情、忍耐力、意志の力、清明さ、いろんな要素を必要とすることがあります。今、たちまち健康であまり困っていない人でも、「もう少し自分を律せるといいなあ」とか「もう少し体力があるといいいなあ」とか「もう少し自己主張できるといいなあ」とか、そんなふうに思うこともありますよね。そういう時にも、上位無意識の力を借りて、イメージによって得たいものを取り入れるようにしていくことが可能です。
カウンセリングは筋トレ、と紹介したことがありましたが、
イメージ療法も筋トレです。日々、コツコツと行なうことが大切です。徐々に自分の中にイメージが定着したり、イメージが変化したりしていきます。
朝晩2回、3分程度のイメージから始めるので良いと思います。イメージを行って、気づいたことや感じたことを日記やメモとして書くことが推奨されます。そのメモは見直すこともあれば、見直さないこともあります。でも、習慣にしておくと、ある時ふっと気づいたりすることが出てきます。
イメージのやり方も結構自由でいいんですよね。でも何でもいいと言われたら困る方も多いので、いくつか典型的なイメージ法というのがあります。最近では、ネットでいろいろな音声が入手できるので、瞑想系のイメージ誘導文を音声で聞くのが簡単で良いと思います。私は自分でボイスメモに自分の音声を入力して、それを聞きながらやっています。目を閉じてイメージする方がイメージしやすいので、文章を目で読んでするよりは、音声を聞きながらする方がやりやすいと思います。
次回、私がやっている方法も含めて、イメージ誘導文の例をいくつか提示してみたいと思います。
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投稿者: furujinmachi
公認心理師が狭き門になっている現状をどうにかしたく、Bルート指定施設になるにはどうしたらいいかを思案中です。
公認心理師の受験資格取得の区分B(Bルート)のプログラム認定は、文部科学省と厚生労働省が合同で行なっているようで、厚生労働省のHPに資料がありました。
これによると、申請手続きを行うのに、一番大変そうなのは、プログラムの内容を決めることにありそうです。
プログラムには到達目標があり、これを大学において習得した内容と合わせて達成するように、とのこと。
一般的に、心理学科の大学で履修することになるものについても、厚生労働省で定められたものがありました。
https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/000964022.pdf
ということは、結局、何が習得できればいいのかを考えました。自分一人で考えてもわからないことも多く、chatGPTにも相談しました。
厚生労働省が提示する「到達目標」は主に次の5分野になります。
1.保健医療分野
2.福祉分野
3.教育分野
4.司法・犯罪分野
5.産業・労働分野
そして、施設の機能に応じて、どうしても重点的になる分野が出てくるのは致し方ないという判断になるようです。
大学で修得した知識を実際の支援に応用し、実務経験を積ませることが求められるとのこと。
当院は医療機関ですので、日々の業務は当然1.の保健医療分野に該当します。しかし、他の分野に関しては、以下のようなやり方で取り組めるとのこと(chatGPTの提案です)。
福祉分野:精神保健福祉士とのケースミーティングの実施し、支援の視点を共有。地域の障害福祉サービス事業所との連携記録を共有。福祉的制度(自立支援医療、障害者手帳)の活用支援場面への同席。
教育分野:学校との連携ケースに関わる。子どもや学生の来院ケースに同席し、発達支援の方針づくりを経験。教育機関からの紹介で受診した事例の初期支援を記録。
司法・矯正分野:保護観察中の患者との関わり(通院治療の支援)への同席。裁判所や家裁調査官との連携記録の共有(守秘義務に配慮)。DVや被害・加害に関連するケースへの支援。
産業・労働分野:リワークデイケアにおける復職支援の実務。産業医との意見交換や復職面談の記録。就労支援事業所との連携・報告書作成。
このような取り組みであれば、当院で普段から実施していることであり、特別何か追加しなければならないことはなさそうです。こうやって整理すると、医療機関で働いていても、さまざまな分野との連携があり、公認心理師として多くの知識や実務経験が要求されるのも当然、と納得できます。
補足的に他分野の専門家を招いて勉強会を行うのも良いとあるので、交流のある人にお願いしてみることも検討したいと思います。
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投稿者: furujinmachi
うちの診療所では心理検査をすることが多いのですが、患者さんにその必要性を説明するのに、説明資料をちゃんと作りたいと思うに至りました。特に、時間をかけて行う検査で、事前に予約が必要なものは、口頭では説明しておりますが、文章を用いてきちんと説明した方が良いと感じています。
以前リワークデイケアの記事を書き、その時にも資料作りがしたいと思って色々とまとめました。
しかし、このシリーズをまとめた結果、患者さんに何を伝えたいのか自分の中で結構整理できてしまって、結局資料を作らないまま、患者さんは私の熱い思いをただ聞くという状況が続いています。なんだか、資料にすると伝えたい情報が画一的になってしまって、この人にはこういう理由で伝えたい、という私の意図がうまく伝わらないような気がしてしまっているのです。(実際に参加が決定しましたら詳細な資料をお渡ししますのでご心配なく)。
話を戻して、心理検査なのですが、心理検査に関しては、患者さんから希望があって実施する場合と、こちらから実施したいということを説明して受けてもらう場合とがあります。患者さんからの希望で多いのは、発達障害に関する検査です。当院では大人の発達障害の診療にも力を入れていて、診断に有用な検査を実施しています。なので、大人の方で発達障害の診断を受けたい方からの問い合わせが多い状況にあります。
発達障害の診療は、子どもさんでもニーズが強いと思います。子どもさんの場合は、発達障害の診療をしている小児科を受診される方が多いですが、当院では中学生以上は診療させていただいており、小児科がなかなか予約が取れずに困ってらっしゃる方や、発達障害ではないかが気になる上に、少しうつになってきていたり、不登校の問題も抱えていらっしゃったりする中学生の方、高校生の方が来られたりします。
こちらがお願いして行う検査では、ロールシャッハテストという検査があります。これは、その人の心理状態や精神状態をよく反映したもので、自分の気持ちや状態をうまく言語化できない学生さんに実施させていただくことが多いです。
あとは、復職の可否を判定するのに、参考にすることが多い、ブルドン抹消検査という検査。これは認知機能を測定することが可能です。メンタル不調になり休職した方が、復職しても大丈夫かどうかは、気持ちの落ち込みが回復していることはもちろんですが、集中力や判断力などの認知機能の回復もとても重要です。その認知機能を測定できるのでとても便利な検査です。
これらの説明資料を作るために、普段何をどう説明しているのか、何回かに分けて書こうと思います。というわけでこの話はまた続きます。
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投稿者: furujinmachi
うちの診療所では、患者さんを私が呼びにいくスタイルをとっています。もう少し忙しくなれば、クラークを雇って、カルテ入力などは手伝ってもらうか、そのあたりも音声AIなどに助けてもらうか、色々と工夫をしようとは思っていますが、できる限り患者さんを呼びにいくのは継続したいと思っているんですよね。
患者さんを待合に呼びにいくと、待合でどんなふうに過ごしているのかが見えます。診察室では、特に通院を開始したばかりの方は緊張されていたりもするので、普段とはすこし違うところもあると思うのですよね。診察室ではあまり話をされない方が、待合ではご家族とよくお話をされたりするのを見ると、「診察室では緊張されるんだな」と気づいたりもします。待合でも硬い表情で緊張しておられるのを見ると、「まだ不安・緊張が強くてしんどそうでいらっしゃるな」と思ったりもします。
待合で座っていられずに立って待ってらっしゃる人とか(混雑しているのではなくて、様々な理由で座れないことがあります)はお待たせすると申しわけない気持ちになります。
患者さんの診断やお薬の聞き具合などは、もちろん患者さんが話されることを最優先に判断しておりますが、待合や診察室でのご様子を見て、表情や話し方などの情報もすごく大事です。うちは再診の患者さんも、看護師さんがご様子を聞きにいくのですが、看護師さんと話しているご様子なんかもちらっと見たりしています。
また、当院の待合は、大きめのソファー、カウンター席、2人席などいくつかのタイプがあり、患者さんにとってお気に入りの席があったりします。「この人は多分あの席にいるな」と思って呼びにいった時に、想像通りのところにいらっしゃると、なんとなく嬉しく思ったり。
最初に開業するときに、待合をどうするかを悩みました。開業する前には大学病院で勤務していたのですが、患者さんが「病院って、来るだけでしんどくなります」と話されたのを聞いて、「しんどいから来るのが病院なのに、病院に来てしんどくなってたら本末転倒だな…」と思ったんですよね。なので、できるだけ待合で待っている時間がリラックスできるように、いろいろなタイプの席を用意して、少しでもお気に入りの場所を作ってもらえたらな、と思っているのです。
それでも往復の道中がしんどい方もいらっしゃいますし、やはり待つのが疲れる方もいらっしゃいます。オンライン診療の導入や、待ち時間の短縮など、患者さんの通いやすい、利用しやすい診療所にする工夫はこれからも重ねていく必要があると思っています。
ちなみにうちは靴を脱いでスリッパに履き替えてもらうのですが、それも、靴を履いたままだとなんとなくリラックスできないように思って、履き替えていただくようにしています。患者さんには靴の脱ぎ履きをするというお手間をかけますが、待合ではできるだけゆっくりとした気持ちで待っていていただければと思っています。
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投稿者: furujinmachi
先日、大学の心理学科に通っている学生さんから聞いたのですが、大学院への進学がすごく大変になっているとのこと。聞けば、実習協力医療機関を探すのに苦労しており、実習が出来ないため、たくさんの学生さんを受け入れられない状況になっているようです。
カウンセラーという職種は、長らく「臨床心理士」という資格が重視されておりました。しかし、それは国家資格ではなかったんですよね。正式には、公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会という協会が認定した、いわゆる民間資格でした。ただし信頼性・専門性が高く、心理職の代表的資格として広く認知されているものではあったんですよね。そして、それを取得するのに、原則大学院まで進学することを要件としていました。民間資格なのに、かなりの学歴を要求する資格だったんですね。
ただ、これだけカウンセラーという仕事の重要性が増してきているのに、国家資格ではないことが問題視され、公認心理師という資格が2017年に生まれました。しかし、臨床心理士とは重なる部分と異なる部分とがあり、現在、心理学科の大学の多くは、臨床心理士と公認心理師の両方の資格が取れるようにカリキュラムを組んでいます。
特に、公認心理師の資格取得のためのカリキュラムになってから、医療機関での実習が重要視されているようです。しかし、まだ医療機関の方が、心理士さんの実習に十分対応できないようで、協力医療機関を確保するのに苦戦をしいられている、ということです。
私も地元の大学より依頼を受け、ここ数年大学院生の実習生を1年間で3人受け入れています。リワークデイケアや私の外来診察、心理検査、新患の予診の見学などをしてもらっています。
大学で心理学科を選択して入学された方の多くは、カウンセラーになることを希望されていると思うんですよね。カウンセラーに興味のない人が心理学科に来るとは思い難い。しかし、国が認める公認心理師だったり、あるいは民間資格ながら強い信頼性を持つ臨床心理士の資格を取るためには、大学院まで進学する必要があり、その大学院が狭き門になりつつある、という状況なのです。
ただし、大学院に進学できない人でも、公認心理師になれる道があります。いわゆる「Bルート」と言われるもので、指定された施設で2年以上(通常は3年間)実務経験を積むことで、公認心理師の受験資格を得られるというものです。
しかし、この指定施設が極めて少ないのが現状です。医療機関でこの指定をとっているのは、全国で1桁です。Bルートでの受験者は全体の1%未満という状況のようです。
これから、公認心理師の必要性はどんどん大きくなっていくと思います。なんとか、当院も指定施設として認定していただけないか、これから色々体制を整えてみたいと考えています。
医療スタッフの研修は、一筋縄でいかず、コツコツと育てていく必要があります。当院に実習生が来られている時には、ぜひ実習生の育成を見守っていただけるとありがたいです。
カウンセラーという職種は、長らく「臨床心理士」という資格が重視されておりました。しかし、それは国家資格ではなかったんですよね。正式には、公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会という協会が認定した、いわゆる民間資格でした。ただし信頼性・専門性が高く、心理職の代表的資格として広く認知されているものではあったんですよね。そして、それを取得するのに、原則大学院まで進学することを要件としていました。民間資格なのに、かなりの学歴を要求する資格だったんですね。
ただ、これだけカウンセラーという仕事の重要性が増してきているのに、国家資格ではないことが問題視され、公認心理師という資格が2017年に生まれました。しかし、臨床心理士とは重なる部分と異なる部分とがあり、現在、心理学科の大学の多くは、臨床心理士と公認心理師の両方の資格が取れるようにカリキュラムを組んでいます。
特に、公認心理師の資格取得のためのカリキュラムになってから、医療機関での実習が重要視されているようです。しかし、まだ医療機関の方が、心理士さんの実習に十分対応できないようで、協力医療機関を確保するのに苦戦をしいられている、ということです。
私も地元の大学より依頼を受け、ここ数年大学院生の実習生を1年間で3人受け入れています。リワークデイケアや私の外来診察、心理検査、新患の予診の見学などをしてもらっています。
大学で心理学科を選択して入学された方の多くは、カウンセラーになることを希望されていると思うんですよね。カウンセラーに興味のない人が心理学科に来るとは思い難い。しかし、国が認める公認心理師だったり、あるいは民間資格ながら強い信頼性を持つ臨床心理士の資格を取るためには、大学院まで進学する必要があり、その大学院が狭き門になりつつある、という状況なのです。
ただし、大学院に進学できない人でも、公認心理師になれる道があります。いわゆる「Bルート」と言われるもので、指定された施設で2年以上(通常は3年間)実務経験を積むことで、公認心理師の受験資格を得られるというものです。
しかし、この指定施設が極めて少ないのが現状です。医療機関でこの指定をとっているのは、全国で1桁です。Bルートでの受験者は全体の1%未満という状況のようです。
これから、公認心理師の必要性はどんどん大きくなっていくと思います。なんとか、当院も指定施設として認定していただけないか、これから色々体制を整えてみたいと考えています。
医療スタッフの研修は、一筋縄でいかず、コツコツと育てていく必要があります。当院に実習生が来られている時には、ぜひ実習生の育成を見守っていただけるとありがたいです。
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投稿者: furujinmachi
講演会で聞いた話ですが、精神科治療の状況というのは日本と外国では違いがあるようです。それぞれの善し悪しもあるので一概にどこの国がいいとは言えないところもありますが、気になったのは、1日に診る患者さんの人数です。
ヨーロッパ諸国では1日あたりの外来患者数は10人未満の国が多く、アメリカでは地域により差がありますが、6人から25人とのことでした。精神科医の不足が懸念されているアフリカ諸国のデータでは、ナイジェリアが1日50人とのこと。
もっとも、イギリスは日本と医療制度が違い、イギリスで精神科の専門医にかかるためには3年程度の待機期間があるとのこと。それもそれで問題だな、とも思います。
しかし、この人数の比較だけでみると、日本では、精神科医が1日に診る患者さんの数が相当多いことになります。1日10人しか診ていないクリニックなんて聞いたことがありません(完全自費診療とかならあるかもですが)。それだけ毎日相当の数の患者さんを診ていて、その上で新患の予約が取りにくいということは、単純に需要と供給のバランスが成り立っていないということになります。私も1日の診察人数が50人を超えることはけっこうありますので、「ナイジェリアと一緒か…」と思うと、少し考えさせられるものがあるというか(ナイジェリアの医療事情を詳細には知りませんので、偏見や誤解はあるかもしれません)。
もし、ヨーロッパ諸国のように、1日数人の患者さんを診察するスタイルならば、今の日本の精神医療の質は全然違うものになると思います。
日本の精神科医療が、たくさんの患者さんを診るようになっているのは、精神科治療が入院中心だったときの名残であるとのことも、そのときの講演会で伺いました。また、精神科の診察を希望する患者さんの増加数に対して、精神科医の数が足りていない問題だったりとか、そもそも医者の人数も、地域によってかなりバラツキがありますので、医者偏在の問題とかもあると思います。
これからの精神科医療をどうしていけばいいのか、そういった大きな問題は、厚生労働省や医師会などでも議論されているところと思います。しかし、大きな改革はすぐには難しいので、なんとか今の体制で出来ることを考えていく必要があると思います。
先日、研究機関のアンケート調査に協力をしたのですが、そのアンケートでは、医師以外のスタッフによる業務分担の状況確認がありました。これからは、精神科でも業務分担だったり、いろんなスタッフと協力して、患者さんの満足度を高めていく流れになるのではないかと思います。しっかりと診察時間を確保することが難しい状況でも、お困り事に少しでも対応できるよう工夫していこうと思います。
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投稿者: furujinmachi
サイコシンセシスという心理療法について書くシリーズです。今日は、無意識の領域について。ある程度、人間の心理の構造を知ることで、ガイディング(サイコシンセシスのカウンセリング)で何をしようとしているのか、それを理解する基礎づくりをしていきたいと思います。
前回の記事も参考にしてください。
サイコシンセシスでは、人の意識領域の周りにある無意識をの領域を、大きく3つに分けています。下位無意識、中位無意識、上位無意識の3つです。
下位無意識は、自分のこれまでの人生での経験で感じたこと、考えたこと、思ったこと、いろんな記憶やエネルギーが抑圧されています。願望、欲望、行動力といった、とても強い、人としての根本的な生命エネルギーが溢れているエリアでもあります。
中位無意識は意識を中心として、今現在の意識に近いエリアで、何かきっかけがあればすぐ思い出せるような意識、現在の活動に直接関わっているエリアです。
上位無意識は、自分と他人を繋ぐような、集合無意識であったり、自分の人生の目的、自分の存在意義、自分が何に向かうべきかといった、人間を成長に導くエネルギーのエリアです。
従来のカウンセリングは、下位無意識と言われている、その人のトラウマの問題であったり、インナーチャイルドの問題であったり、その人の抱えている歪んだ信念だったりを、ケアしていくのが大きな目的であったと思います。サイコシンセシスも、下位無意識への対処はとても重要視しています。
しかし、実際、下位無意識へのアクセスはとても負担が大きいものです。そもそも、辛い体験であるからこそ、蓋をして、意識の奥深くに閉じ込めて、自分の意識に登ってこないように、無意識に抑圧しているエリアです。その蓋を開ける作業が簡単なはずもないし、楽しいはずもありません。
サイコシンセシスでは、その大変な作業を行うのに、上位無意識の力を借りることがあります。この視点が、他の心理療法にない視点かな、と思います。
上位無意識のエリアには、自分が望ましいと思う特性を強化するヒントがたくさんあります。そのエネルギーを拝借しながら、下位無意識のアクセスを進めていくイメージです。
サイコシンセシスのガイディングでは、イメージをたくさん使うのも特徴だと思います。自分の心というのは、言葉や文字だけでは表せないものもたくさんあり、視覚的、聴覚的、触覚的な要素や、その時の感情、思考、意欲など、いろいろな精神機能の要素を扱うのにも、イメージを使うというのが適切だったりするのだろうと思います。
カテゴリー: 総合
投稿者: furujinmachi
先日来られた患者さんの話ですが、現在お仕事を休職されており、復職するに当たって、カウンセリングを受けて、自分の問題点をきちんと解消してから復職して下さい、と言われたとのことでした。
これまで3回ほど休職をされたことがあるため、これ以上休職しないで良いように、対策を立ててきて欲しいとのこと。
同じような話は他の方からも聞きます。完全に治して、問題なくフルタイムで働けて、再発しないようになったら復帰して欲しいとか。でもそれって過剰要求ですよね。風邪が治って仕事復帰するのに、2度と風邪を引かないようになってから復帰してくれって言ってるのと同じくらい、厳しい話だと思います。
ちなみに、一般的に要求される復職基準について、以下の記事でも紹介してますので参考にしていただければ。
ただ、確かに再発予防対策は重要です。しかし、冒頭に紹介した方のようなケースで少し気になるのは、世間一般の人がカウンセリングにどのようなイメージを抱いているのか、というところです。
数回、カウンセラーと話をしたら、再発予防対策が出来るような気づきがしっかり得られて、その人のメンタルに定着する、みたいに思われているのでしょうか?
カウンセリングの重要度が認識されて、カウンセリングを希望される方が増えてくるのはとてもありがたいのですが、どうも提供する我々と、希望される患者さんやご家族、会社の認識がすごくずれていると感じることが多々あります。
こちらの記事にも書きましたが↓
カウンセリングのイメージは筋トレです。コツコツ継続的にしていると必ず成果は出ますが、短期的にすぐ成果を得ようとするとかなり難しいです。
ですから、例えば3ヶ月間休職が出来るとして、その3ヶ月間でカウンセリングをして、しっかり再発予防対策をしてから復職して欲しい、というのは、3ヶ月間で腹筋を鍛えて腹筋を6つに割って欲しい、みたいな要望と近いと思ってます。はっきり言って無理です。
実際には、カウンセリングでも、話し合う内容を絞って短期間で成果を上げるようなプログラムもあります。これからは、そういうプログラムが人気が出るかもしれませんね。今人気の認知行動療法は、効果を高めるためにかなりプログラム化されたものもあります。ただ、実際は、プログラムをこなせばいいというほどの簡単なものではなく、カウンセリングを実施する人の力量だったり、受ける患者さんのモチベーションだったりもすごく大事になってくるようです。短期間で腹筋を6つに割るのも、めちゃくちゃ頑張れば、出来るかもしれない?みたいな感じでしょうか。
あとは、マンパワーの問題もあって、当院は今心理師が1人なので、頻繁にカウンセリングを受けたいと言われても、予約枠的に難しいという物理的な問題もあります。そうなると、リワークデイケアのように、集団で行う認知行動療法プログラムが一番効率的、ということになります。
(当院のリワークデイケアについての紹介も良かったらご覧下さい)。
カウンセリング、という言葉が一人歩きしないよう、カウンセリングの実態的なものが、筋トレのイメージくらい一般的に広まるようになって欲しいと感じます。
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投稿者: furujinmachi
精神科にかかり出した患者さんのフォローとして、薬剤師さんにしていただいて助かるのは残薬チェックです。患者さんがこれまで処方された薬を、どれくらい飲み残していらっしゃるか。それはすなわち、患者さんが、医療機関から処方されたお薬を、どれくらい指示通り内服されているかの指標になります。
お薬は、きちんと飲んでいることを前提に効果が期待されます。お薬を飲んでいるのに、思ったより効果が出ないな、というときに、お薬の内服状況が良くない場合という可能性が出てきます。それに気づかず、お薬が効いてないなら量を増やしましょう、種類を増やしましょう、ということになると、処方される薬がどんどん増えてしまう、ということになってしまいます。
そこで、実は患者さんがあまりお薬を飲んでおらず、結果として残薬が多いということがわかると、対応が変わってきます。患者さんは、お薬を飲んでいないということを医者に伝えた時に、医者がどのような反応をするかを心配して、医療機関には正直に言わない事があります。でも、薬局で確認されると、「実はまだお薬が1週間分残っている」とか、「今回はいらないくらい残っている」とか、そういったお話をしていただけることがあるようです。
なので、薬局から「この薬は残薬がこれだけあるので処方をこれだけ減らして欲しいとのことですが」といった連絡があると、「おや、患者さんはお薬をきちんと飲んでいないんだな」ということに気づけます。
お薬は、だいたい目安として、9割程度内服していただけていたら、効果は期待できます。ですので、2週間ごとにくる患者さんが、1、2回程度の飲み忘れをしている程度は大丈夫ということになります。人間ですから、うっかり忘れることはあります。
しかし、それ以上に飲み残しがある場合は、どうするか検討する必要があります。
まず、そもそもその薬を内服する必要があるかどうかを検討します。例えば睡眠薬を処方していて、その飲み残しが多い場合。患者さんがすでに薬を飲まずとも眠れるようになっているなら、お薬を減らす、やめるという選択肢が出てきますよね。
でも、できればもうしばらく、しっかりお薬を飲んでいただきたい場合だと、どうするか。まず、なぜお薬を定期的に飲めていないのか、その理由を把握する必要があります。単純にうっかり忘れてしまう場合や、定期的に内服しなければならないのを知らずに、調子の悪い時だけ飲めばいいと思っていた場合、飲んだ方がいいのは分かっているが、面倒で飲まずに寝てしまう場合だったり、内服した時の副作用がしんどくて、ついつい飲み飛ばしてしまう場合など、色々な理由があります。その理由に応じて、対策を立てていく必要があります。
・単純な飲み忘れ→飲み忘れない工夫を一緒に考える
・定期内服だと知らなかった→継続内服で効果が出ることを説明
・内服が面倒→内服回数や処方薬の数を減らす、注射などに切り替える
・副作用が気になる→副作用対策をする、薬を変更する などなど
また、さまざまな理由で、薬をやめたいとなった時に、自己判断で中断することは患者さんに負担をかける場合があります。前回の記事に書きました、離脱症状が出るからです。ですから、お薬をやめたい場合も、主治医に相談するよう伝えていただきたいのです。
精神科のお薬に慣れていない薬剤師さんでしょうか、患者さんに対して「こんなにお薬が出てるんですね」といったお話をされる方がいらっしゃるようです。そのように言われると、患者さんは不安になり、「お薬をやめた方がいいのだろうか」と考えて、自己中断に至る場合があるようです。患者さんもお薬を飲むことに不安を感じながら、治療を継続されています。「お薬を頑張って内服されているのですね、何か不安な点はありませんか?」といったように、患者さんが安心できるような声かけいただけるとありがたいなと思います。
実際の講演では事例を提示しながら話してみようと思います。
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投稿者: furujinmachi
当院は、はじめて来られる方は、看護師が最初に聞き取りをさせてもらっています。どういうことで相談に来られたのか、というところから始まり、これまでの経緯を聞かせていただいています。
精神科は、患者さんからの情報が大事です。とくに、以下のような情報があると、非常にありがたいです。
・何に困っているのか。病院に来ようと思ったきっかけは何か。
・自分で病院に来ようと思ったのか、誰かに勧められたから来たのか。
・その困りごとはいつから始まったのか。きっかけが何かあったか。
・困りごとに対して、自分で何か対処を試みたか。
・今までに、精神科の治療を受けたことがあるか。
・身体的な病気で何か治療を受けているか。
・今、誰と住んでいるか。家族や同居人は受診のことを知っているのか、あるいは何らかの支援が受けられるか。
・仕事/学校に在籍している人は、行けているのか。
・そうでない人は、何らかの社会参加をしているのか。
・受診にあたり、希望することは何か。診断書が欲しい、検査が受けたいなど特別に希望することはあるか。
診療所によっては、直接医師が診察を行うところもあると思います。患者さんからすると、医師にだけ1度話せばいいので、それはそれで負担が少ない点もあっていいと思います。
しかし、いきなり初対面の医師に、これまでのことを落ち着いて話すという作業はハードルが高い場合もあります。最初は看護師が聞き取った方が、話しやすい場合もあると思います。
また、昨今の、精神科/心療内科の予約の取りにくさはとても問題だと思っています。困っている人が、すぐ受診できない。この問題をどうにかしたいのですが、精神科/心療内科の初診の方は、時間を必要とすることが多いのです。何に困ってこられたのか、その状況を詳しく伺わないと、何をしたらいいのかが決まりませんので、最初の情報収集が重要になります。それが5分で終わることはまずありません。短くて20分、長いと1時間くらいかかります。
そして、通院されている患者さんも多い。そうなると、もし医者一人で聞き取りからすべてやっていると、初診の方は、1日1人みれるかどうか、ということになると思います。なので、医療機関によっては、初診の枠をかなり少なくしているところもあると思います。そのため、初診の予約が取りにくくなっています。
もう少し、困っている方に早く対応したいという思いもあり、当院ではスタッフを増やして、分業化して、1日にみる初診の患者さんの人数を増やしてます。それでも1日4人が上限かな、と思います。
精神科/心療内科の受診を迷ってらっしゃる方は、まずは、地域の精神科/心療内科の新患受付状況を確認してみてください。すぐに予約が取れないことが多いので、早めに行動されることをお勧めします。
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投稿者: furujinmachi
「こんなことで病院に来ていいのかどうか迷いました」と、初診の時におっしゃる患者さんがいます。これって、精神科や心療内科に独特の話なのでしょうか?
自分のことに置き換えて考えてみると、例えば歯医者さんとかは、歯が痛くなくても、定期健診でも行きます。私は割と虫歯になりやすい方なので、かかりつけの歯科医院から、定期健診の案内が来たら、診てもらいに行ってます。虫歯が出来てても、自覚症状がないうちに治療してもらえた方が、治療も大事にならないし、こちらも楽です。
あと、年に1回、内科検診も行っています。長く元気で働くためには、メンテナンスは大事ですよね。
精神科・心療内科に関しては、メンタル不調を経験した人が、維持療法として、定期的に通院を継続される方はもちろんいらっしゃいます。しかし、メンタル不調を経験していない人が、予防的に受診する、というパターンは経験したことがないです。冒頭のようにおっしゃるような方でも、何か困りごとが出来たから、病院に来ているので。
ただ、病院に来られて、色々とお話を聞いて、お薬を少しお出ししておきましょうか、次回はいついつ来て下さい、といった話をさせてもらった後に、「先生、私は病気ではありませんよね」とおっしゃる方がいます。私の頭の中は「?」ってなってしまうのですが。いや、病気だからお薬を出すんですけど…病気じゃないなら薬なんかいらないですよね?みたいな。
でもこれって、「精神科の病気」に対するイメージの問題がありますよね。精神科の病気になると、もう治らない、社会復帰できない、みたいな。
精神科の病気でも、内科の病気と同じで、病気の種類も重症度も人それぞれです。放置していたら悪化するところを、早めに来てくれて、悪化せずに改善することもあります。精神科の病気の多くが、内科の病気と同じように、治療を早く始めた方が早く回復するのです。ですから、メンタルの不調を感じたら、早めに病院に来てくれた方が、本来はいいと思うんですよね。
実際、「これって病気かな?自分の怠けかな?」って悩むレベルになっているときは、たいてい病気になっています。病院に来られて、お話を聞かせていただいて、それで、「それはあなたの怠けですね」ってなるケースはほとんどありません。
でも、「自分の怠け」と言われるのは辛い方もいるし、病気と言われるのが怖い方もいる。そうなってくると、それは「精神科の病気」に対する誤解の部分があるのかなと思います。
精神科の病気の方でも、確かになかなか改善せず、長く通院していただいて、長くお薬を試していただく方もいます。でも、お薬を飲みながらでも日常生活を支障なく過ごしておられる方もいます。また、短期間の治療で改善し、通院をやめる方もいます。そのあたりは、内科の病気と同じで、風邪だったり、糖尿病だったり、癌だったりで、重症度も通院期間も全然違ってくると思うんですよね。
なので、精神科に来られて、お薬が出たときには、いわゆるこころの風邪くらいにはなっていると思います。でも、それをどう伝えるかは、相手の受け止め方に応じて工夫する必要があるのだろうなと思ってます。しっかり病名として伝えてもらった方が納得できる人もいるでしょうし、はっきり病名を言われるとショックを受けて余計辛くなる人もいるでしょうし。何度か通院いただき、通院することになれてこられた頃にお伝えする方が負担が少ない場合もあると思います。
冒頭の話に戻ると、個人的には、あまり我慢せずに、「なんだか調子が良くないな」と感じたら、病院受診を検討してもらえると良いのではないかと思っています。
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投稿者: furujinmachi
薬剤師さんの勉強会の資料作りについての記事の続きです。『「こころの不調」に気づく〜うつ病のサインとその対応〜』についてです。
以下前回の記事です。
患者さんが精神科にかかりだしたときのフォローについて。精神科のお薬は門前薬局で受け取られることもあると思いますが、もともとのかかりつけ薬局で受け取られることもあると思います。
患者さんがどのくらいお薬のことを理解されているか、医師からなんて説明されているかを聞いていただけるとありがたいです。こちらも説明はしていますが、お薬が複数になると患者さんは誤解されていることもあります。理解が不十分な部分は補足していただけると助かります。
精神科でお薬を出す場合、メインの薬と、サブの薬がある場合があります。絶対飲んでおいて欲しい薬と、ある程度自己調整してもらっていいお薬です。頓服で出ているお薬は、自己調整してもらっていい場合が多いですよね。そのあたり、患者さんは誤解されていることが多いように思います。
精神科のお薬は、飲み出してすぐ効果が出ないものが多いです(それでも最近の薬は効果発現が早くなったと思います)。鎮痛剤みたいに、飲んだらすぐ効くと思われていると、効果がないと思って自己中断につながってしまいます。飲み続けることでじわじわ効果が現れますよ、とは説明するようにしていますが、初診はとにかくいろんなことを説明しますので、患者さんが覚えきれないこともあると思います。こちらが言い忘れてしまうこともあります。なので、そのあたり補足していただけるとありがたい。
副作用は出る場合は内服直後に出ることが多くて、なので最初は副作用は出たのに効果は出ない、という状態になるんですよね。でも飲み続けると副作用は軽減し、効果はじわじわ出てきます。ですので出来れば飲み続けてみていただきたい。薬はなるべく副作用が出ないように少量から開始するようにしていますが、どうしても体質的に強く副作用が出てしまう人がいます。そういう場合は一旦中止し、次回受診時に相談するようお願いしています。
患者さんの体質の問題もあったりするので、私はかなり薬を細かくして出すことがあります。1/8錠まで割ってもらうことがあります。同じようにしている精神科医もいるかもしれませんので、「この量はなんだ?」と思うことがあっても、そういう処方もある、と知っておいていただけると助かります。
あと、精神科の薬は、離脱症状が出るものが比較的多いように思います。ある程度の量を飲んでいて、急に中止すると、反跳現象が出てしまうのです。脳が、薬がある状態に慣れていて、急に薬が無くなると反動が起きてしまうのですね。めまい、吐き気、頭痛、冷汗、ふるえ等の症状がよく見られます。不眠になる人もいます。
離脱症状を防ぐために、お薬をやめるときは徐々に減らしていきます。なので、調子が良くなって薬をやめたいな、と思ったときも相談していただけるとありがたいです。やめたときにしんどくならないように少しずつ減らしていきます。
そういった精神科の薬の特徴についての説明を、薬剤師さんから補足していただけるとありがたいなと思います。
このシリーズはまだもう少し続けます。
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投稿者: furujinmachi
私は元々カウンセラーになりたいと思っていたのですが、医学部に入学できたため、精神科医になりました。元々カウンセラー志望だったこともあり、医者になってからも心理療法のほうが勉強していて面白いと感じることが多いです。
しかし、せっかく医者になったならば、医者でなければ出来ないことも頑張りたい。医師でなければ出来ないことの一つが、お薬を出すことだと思います。
大学時代に薬理学の授業がありましたが、私は薬理学がけっこう好きで、一生懸命勉強しました。その流れで、医者になってからも、新しい薬が販売になると、どんな作用機序のどういう薬なのかを知ることに興味が強いです。
薬物の開発というのは本当にすごくて、私が医者になってからこの25年の間、精神科の薬は大きく変わりました。より効果が早く、より副作用が少なく、安全な薬が増えていきました。
当院には常勤の公認心理師がいて、認知行動療法やカウンセリングをしています。私自身も公認心理師の資格を持っていて、日々心理療法の勉強をしております。認知行動療法も実施できます。そのような特徴のある診療所のため、「できれば薬を使いたくない、カウンセリングだけで治してほしい」という希望の方も来られます。
しかし、実際にはそれはかなり難しい場合があります(そしてなぜか、カウンセリングだけでは難しい人ほど、カウンセリングだけで治したいと希望される傾向があります)。その方の病気の種類によっては、薬物治療を行わずに治療をするのは現実的ではない、と判断せざるを得ないというか。例えば、高熱を出している人がいて、それを本人の治癒力を高めることだけでなんとか治してほしいと言われたら、高熱の原因とその方の体力によっては、可能な場合もあるかもしれませんが、高熱を放置することで非常に危険に晒されることになると思うんですよね。それと同じで、まずは今の精神的苦痛・苦しみをお薬で緩和しないことには、カウンセリングに取り組むことすら難しい場合があります。
あと、カウンセリングでの治療は、時間がかかることが多いです。コツコツと行う、筋トレのようなもので、成果を感じるのにある程度の時間を要します。なので、苦痛感があまりにも強いと、カウンセリングでの成果が出るのが待てない時もあると思います。
また、薬物治療で改善する症状と、カウンセリングや心理療法で改善する部分は異なります。それぞれの治療で、どの部分を治療し、どの部分を補うのか。その見立てが重要になってきます。
あとは、薬物治療の中でも、「漢方薬」という選択肢もあります。漢方薬でも、精神症状に効くものがいくつかあります。西洋医学的な安定剤、向精神薬に抵抗のある方でも、漢方薬なら飲んでもいい、という方がいらっしゃいます。なので、漢方薬も上手に利用しながら薬物治療を行うと、選択肢が広がり対応できる幅が広がります。
知識のブラッシュアップが大変ではありますが、精神科のお薬はまだまだ新しいものも開発されています。新しいお薬の知識も集めながら、心理療法との組み合わせも考えながら、漢方薬に対する知識も広げていきたいと、欲張ったことを日々考えています。
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投稿者: furujinmachi
昨年縁あってサイコシンセシスという心理療法の勉強会に参加し、膨大な参考図書を読みました。ずいぶん前に、別の心理療法の勉強会でも紹介され、そのときにも参考図書を何冊か読んだのですが、とにかく難しかったという印象で、あまり理解できないまま、いつか勉強しようと思って放置していたんですよね。
今回学んで、理解できた部分と、やはりまだ難しい部分とありますが、少しずつアウトプットしていきたいと考えています。
サイコシンセシスとは何か、という基本的な話からになりますが、正確な定義的なことを知りたい場合は検索されるなりchatGPTなりに聞いていただければよいかと。このnoteでは、私なりに理解した内容を書いていきます。
サイコシンセシスの創始者であるアサジョーリという方は、精神分析の創始者であるフロイトから、精神分析をまず学ばれたそうです。精神分析も、当時の精神医学界では画期的な治療法で、いろいろな精神医学的な症状が、人間の無意識の問題から派生している、と考え、無意識を意識化していくことで、それらの症状の治癒を目指したものになります。
無意識に抱えている問題を意識化する作業というのは本当に大切で、私たちは日々、多くのことを、無意識的に、自動操縦的に行っています。それでうまくいくこともたくさんあれば、そのせいでうまくいかないこともたくさんあります。自分の中で何が起こっていて、どうしてそのような行動、症状につながっているか、それを意識し理解するだけで問題が軽減することがよくあります。
この「無意識の意識化」という取り組みは、いろんな心理療法でやり方、言い方を変えていろいろと行われています。サイコシンセシスも、その点はとても重要視しています。ただ、サイコシンセシスでは、カウンセリングの目的をそこにとどめず、もっと人が成長するためには何が必要なのか、そういった視点が強く出ています。
なので、何か悩みや問題を抱えている人がいて、その悩みや問題を解消するための方策がカウンセリングだとすると、サイコシンセシスは、悩みや問題を解決することだけではなく、さらにその人が人間として成長を助けるための手法を構築している、と言えるかと思います。そのため、サイコシンセシスでは、カウンセリングを「ガイディング」と表現し、カウンセラーは「ガイド」と呼ばれます。「ガイド」と呼ばれるあり方とは、その人の人生を伴走し、ともに歩んでいくイメージになると思います。
とはいえ、心理療法として、カウンセリングとしてサイコシンセシスのテクニックを利用する場合は、その人の悩みや問題をどう取り扱うか、の部分が重要視されると思います。しかしそれでも、問題を抱えている人が、人生をどう歩んでいくのかという大きな視点を持ってみていく、ということにサイコシンセシスの特徴や意義があるように感じます。
定期的にこのシリーズは続けていきます。
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投稿者: furujinmachi
親子、夫婦などご家族内でメンタル不調者が複数人いらっしゃって、診療所にかかることもあると思います。
最初のうちは、患者さんのご家族を新たに担当して診察することはお断りしてたんですよね。
というのも、主治医は患者さんの味方でいるべき、というスタンスでいましたので、家庭内で何かストレスを抱えている場合に、どちらの味方をしたらいいか分からない事態を避けたかったんですよね。なのでそのリスクを避けるために、すでに通院されている方のご家族はみない、というルールにしていました。
今でも、明らかに大きな問題を抱えている家族同士はみないことにしています。例えば、現在すでに離婚協議中の夫婦をお二人とも患者として担当する、という事態は避けてます。ときどき、そのような状況下で、配偶者を診て欲しいと依頼されることってあるんですよね。でも実際のところそれって難しい。配偶者の方にもし精神科治療が必要なのであれば、その方の味方をしてくれる主治医にかかった方が良いと思うんですよ。私はどうしても、すでに通院されている患者さんの味方になってしまうので。
しかし、そこまで揉めていない、いわゆる普通の関係性のご家族までお断りするのは過剰防衛かな、と考えるようになりました。自分が信頼している医者に、自分の家族を診て欲しいと思うのは、ごくまっとうな願望だと思います。
ただ、お互いの診察内容は私からは話さないということとし、できるだけ家族が来ていることを意識せず、その人一人を診ている感覚で診察に当たるようにしておりました。そしてそのことを了承してもらって、対応しておりました。実際はそれもなかなか難しいところがあって、どうしても、「お母さんはこの前ああおっしゃってたなあ」とか「お姉ちゃんはこの前こんなこと話してたなあ」とかを思い出しながら診察することもあります。ある意味、患者さんの話だけを聞いてあげたいのに、バイアスがかかってしまうというか、先入観が入ってしまうというか。そういうのも避けたかったので、最初は断ってたわけなのですが。
でも、最近スキーマ療法という治療法のプログラムを視聴して、「家族を家族として診る」という視点をもっと意識するようになってきました。家族みんなを支援することが、結果それぞれ個人を支援することにつながる。誰にとってもプラスになるような、そんな支援が出来れば、双方へのメリットになる、という考え方ですね。喧嘩の仲裁に入るにしても、どちらが正しくてどちらが悪い、という解決ではなくて、双方が納得する、あるいは双方が折り合いがつくところが見つけられるといいし、そもそも仲裁するのではなく、どちらの気持ちもくみ取り共感することは可能なのかなと思います。
これは、具体的に何をするということでは無くて、治療をする私自身のスタンスの問題というか。この「家族全体」にとって、何の支援が望ましいのだろうか?という視点を意識したいと思っています。
しかし、ご家族の状況によっては、やはり個別性を重要視した方が良い場合もあると思います。ご家族を診させてもらえるかどうか、状況を確認ししっかり見定めていきたいと思います。
カテゴリー: 総合
投稿者: furujinmachi
うつに気づくにはどうしたらいいのでしょう?
まず、うつ病についての基本的な知識を知っておくことは大事だと思います。知らないものに関しては、気づきようがないと思うんですよね。
でもうつ病って、本当に全身いろんなところに症状が出て、それもいろんな組み合わせがあるので、結構個人差が大きい病気なんですよね。
でも、比較的共通する症状としては、気分の落ち込み、意欲の低下、集中力の低下といった精神症状と、あとは食欲不振と不眠です。
患者さんは、精神症状は病気と認識していないことが多くて、食欲不振や胃腸の調子が悪くなること、眠れないことで自分の異変に気づくことが多いように思います。なので、最初は内科の病気を疑って内科にいかれたり、ホルモンバランスが悪いのかと考えて婦人科に行ったりされます。
そこで、医師の方が異変に気づき、心療内科に行くよう助言することもあります。けれども、もともと持病があって、そのせいで体調不良があったり不眠があったり全身倦怠感があったりすると、うつ病のせいでしんどいのか、単なる持病でしんどいのか、その見分けは案外難しい部分もあると思います。
定期通院されている患者さんの場合は、普段と違うご様子に気づいた時に、気分が沈んでいないか、今まで好きでやっていたことへの興味が減っていないか、それを聞いてみていただけるといいのかなと思います。
薬剤師さんも、同じと思います。何か普段と違うご様子の方、普段より元気がない、声に覇気がない、動きが緩慢になっている方だったり。あと、内科に通院中の方であれば、以下のようなことがうつに気づくきっかけになることもあります。
・服薬コンプライアンスの低下:飲み忘れたり、内服をやめたと言い出したり。理由を聞いても、「なんとなく」「面倒になって」といった、曖昧な返事であることが多いようです。
・身体症状の訴えの増加:頭痛、倦怠感、胃腸症状が増える傾向にあります。検査しても異常が見つからないことが多いです。
・会話が続かない、あるいは長くなる:質問しても小さな声でボソボソと話されるのみで会話が続かない場合と、考えがまとまらず堂々巡りの話を繰り返すためにかえって話が長くなる場合とがあります。
そして、気づいたら、どう声をかけるか。
まずは、お元気のない様子を、主治医の先生が把握されているかどうかが大事だと思うんですよね。睡眠薬や安定剤などが追加されていたら、主治医の先生もメンタル不調に気づいて対応されているのだろうと思います。すでに心療内科受診を勧められているかもしれません。でも、特に何か主治医の先生が対策をされているような状況でなければ、不調そうに見えること、何かお困りになっていないのか、声をかけてみていただけるとありがたいなと思います。
そして、心療内科受診についての声かけ。そのような提案をされてすごくびっくりされる方もいれば、自分でも受診した方がいいのではないかとすでに考えている人、もう予約はとってあるという人まで色々な場合があり得ます。びっくりされた方には、少し丁寧に説明する必要があると思います。メンタル不調は誰にでも起こることで、早めの受診が早い回復につながること、メンタル不調があると内科の持病にも悪影響があることなどを伝えていただくと良いかと思います。
ただ、おそらく今どの地域でも、心療内科・精神科クリニックの予約はすごく取りにくくなっているのではないかと思います。受診したいと思っても、希望のクリニックで予約が取れるのに時間がかかるかもしれないので、そういう意味でも、早めに予約することを推奨していただけると良いのではないかと思います。
この内容はもう少し続けます。
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投稿者: furujinmachi
前回、メンタル不調で復職するに当たって、一番良いパターンは、メンタル不調がすっかり良くなって復帰するパターンだと書きました。そして、メンタル不調が改善したとする基準についても触れました。
しかし、問題になるのは、理想的なパターンだけではなく、すっかり良くなったわけではないけれども復帰しなければならない、という場合ですよね。
前回、復帰のパターンとして次の3つをあげました。
①十分メンタル不調が回復し、本人が意欲的に復帰する
②これ以上休めないので復帰する
③これ以上休んでも状態の改善が期待できないため一旦復帰する
②のケース。これは経済的な事情もかなり影響してきます。職場の規定でこれ以上休めない、休むと退職になる場合とか、傷病手当金をもらってきたけれども、受給できる期限を迎えてしまう、とかですね。
経済的に危機を迎えること自体が、うつ状態をさらに悪化させるリスクを伴います。コロナ禍でうつになる方が増えた、との報告がありますが、その一因として経済的に困窮した方が増えたからだ、とも言われています。なので、経済的な安定を得るメリットの方が、十分回復していない状態で復職するリスクを上回る場合は、復帰に踏み切ることがあります。
また、③の場合というのは、休業期間が長くなってきた方で、長期間休んでいるということ自体が、メンタル不調の原因になってしまってきているような場合です。うつ病は、急性期は休養が重要ですが、長期化して慢性化するとむしろ活動した方が良くなる場合があります。低活動であることでうつが遷延している場合は、いっそ復帰した方がいい場合があったりします。もちろん、可能であればその前にリワークデイケアや試し出勤など、リハビリが出来ると理想です。
いずれにせよ、②や③のパターンで復職を成功させるためには、周囲の支援が欠かせません。職場が、どのくらい患者さんのことを理解しサポートしてくれるのか、プライベートで、ご家族含めどのくらい支援が期待できるのか。支援が多いほど、復職が成功する可能性が高まります。
職場がメンタル不調に理解があって、試し出勤制度を利用できたり、本人の心理的負担が少ないように異動の調整、勤務時間の調整などしてくださると非常にありがたいです。働きやすくなりますし、それだけ配慮してもらえることに対して、(遠慮してしまう気持ちもありますが)正直嬉しい気持ちを患者さんも感じられます。
ただ、状況的にはまだ休むことが可能なのに、「職場に迷惑をかけている」といった罪悪感や、「あまり休むと二度と仕事に行けなくなるのではないか」といった不安・焦りから復職を希望される方もいます。職場から「早く復帰してほしい」と急かされる、と訴える方もいます。しかし、「職場から早く復帰しろと言われる」と話される方でも、よく聞くと、確かに職場の人は「いつくらいで復帰できそうですか?」と尋ねてこられていますが、事実確認であって急かしているわけではない、ということもままあります。本人の焦りや不安が「急かされている」という受け止め方に繋がる場合もあります。
正直、焦って復帰すると、復帰後にかなりしんどい思いをされ、結果、数ヶ月後に再び復職になるパターンが結構あります。休むことが可能であるならば、認知機能の改善が得られ、集中力や意欲が回復するところまで待って、リハビリを経て復職するのが理想と考えています。
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投稿者: furujinmachi
メンタル不調でお仕事をお休みされた方は、いつどのようなタイミングで復職するのでしょうか?
メンタル不調の復職判断基準は、内科疾患ほど明確に決まってないように思います。急性の内科疾患、感染症などであれば、完治したら復帰、ということになりますが、メンタル不調の場合はそうはいかないですよね。
実際の現場では、どういった状況で復帰になるかには、おおむね次の3つのパターンがあるように思います。
①十分メンタル不調が回復し、本人が意欲的に復帰する
②これ以上休めないので復帰する
③これ以上休んでも状態の改善が期待できないため一旦復帰する
①は一番良いパターンです。メンタル的にも体調的にも整ったので復帰する、という状況ですね。
②は、そもそも会社が3ヶ月しか休めないなど、病休の期間の規定がある場合。そこで復帰しなければ退職になるので、十分に回復していなくても一旦復帰してみる、ということはあります。また、傷病手当金の支給が切れてしまうタイミングで復帰する方もいます。
③の場合は、ある程度は改善したものの、元通りには至っていない。でも、おそらくこれ以上休んでいてもこれ以上は回復しないので、それであれば職場に配慮願いなどして一旦復帰してみる、というものになります。
こうやって考えると、メンタル不調の職場復帰の判断には、いろんな要素が絡んでくることが見えてきます。
職場復帰に関連する要素としては、次の3つがあるかなと思います。
①病状の改善②経済事情③支援体制
まず、病状の改善について。これは、先程の復帰パターンでも、一番いいのは、すっかり良くなって復帰することだと書きました。しかし、ここで問題になるのは、メンタル不調の改善を何をもって判断するのか、という点になります。
メンタル不調が改善したというのは、自覚症状の問題ですので、良くなったかどうかは患者さんが一番よく分かるはずです。でも、うつは脳機能のいろんなところに影響しますので、気持ちの落ち込みは改善したけれども、まだいまいちやる気が出ないとか、本を読んだりYouTubeを見ようとすると、疲れてしまうとか、そういう状況になったりします。また、復職するのに対して不安が高まると、不安のせいでなんだか不調を感じたりします。でもその不安は、復職しないと改善しない部分もあったりします。そのような意味で、本当に完全にメンタル不調が消失して復職できる人は少数派ではないかと思います。
先日受けた産業医講習会では、産業医の先生が復職を許可する基準として以下のようなものをあげていました。
・労働者自身が職場復帰に関して十分な意欲を示していること
・通勤時間帯に1人で安全に通勤ができること
・職場が設定している勤務時間の就労が可能であること
・業務に必要な作業が可能であること
・業務による疲労が翌日までに十分に回復していること
・適切な睡眠リズムが整っていること
・昼間の眠気がないこと
・業務に必要な集中力・注意力が回復していること
なのでまずは睡眠リズムが安定し、一人で外出して、職場まで行くことが可能であること、それから、職場で必要とされる勤務時間程度の時間帯に活動が出来ること、それが達成できていれば復職できるのかな、と思います。
集中力・注意力は認知機能と言われる部分になり、これに関しては簡便な検査でどの程度回復しているか測定することも可能ですし、読書や動画視聴などが集中出来るかどうかで確認できます。
この話はちょっと長くなりそうなので、次回また続きを書きます。
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投稿者: furujinmachi
夏頃に、薬剤師さんの勉強会に講師として招待されました。うつ病関連についての講義をお願いしたいという依頼でした。参加される方は、薬剤師さんであること以外に特に条件はないようです。うちの門前薬局のように、精神科の患者さんに多く関わる薬剤師さんから、精神科の方はそんなには来ないという薬剤師さんまで、いろいろな方が参加すると思われます。
さて、どんな話をしようかな、と考えております。うつ病の基本的なところのお話でもいいのかな、とか。お薬の詳しい説明の方が喜ばれるのかな、とか。
先日来られた新患の方は、内科を受診した帰りに寄った薬局の薬剤師さんに、心療内科に相談に行ってはどうかと勧められたとのことでした。内科で睡眠薬をもらったことで、薬剤師さんに眠れていないのか聞かれ、事情を話すと、心療内科を受診した方がいいのではと勧められたとのこと。その方は、実際にうつ状態になってこられていたので、抗うつ薬の内服を開始して元気になってこられました。
精神科の開業医のところには、そもそも精神科に来ることを決心した人しか来ません。でも、その前に誰かに受診を勧められたり背中を押してもらったりしていることはよくあります。薬剤師さんは、そういう意味ではゲートキーパー的な役割を担っているところはあるのかな、と思います。
そうであるとすると、まず、うつに気づくこと。それから、どのような状況であれば積極的に心療内科受診を勧めるか。その後のフォローはどうしたら良いか。精神科のお薬が出た時に気にかけていただきたいこと。そのようなあたりをお話しできたらいいのかな、と思います。
また、薬剤師さんの声かけでかえって患者さんが混乱して、困った事態も少しあります。なかなか薬剤師さんに対してお話しさせていただく機会は多くないので、こういうことはちょっと困ったので、このようにしていただけたら助かる、ということもお願いとしてお話しできたらと思っています。
なので、最初に、患者さん2人のケースを紹介しようと思います。
1人は、薬剤師さんの声かけで、当院診につながった方。
もう1人は、薬剤師さんの声かけで、お薬を自己中断してしまい、悪化してしまった方。
この2人から、精神科医として、薬剤師さんにぜひお願いしたいこと、期待したいこととして以下の点を提示しようと思います。
・薬剤師さんが「こころの不調」に気づき、患者さんに声かけをするゲートキーパーとしての機能を持っていること。
・患者さんが精神科受診につながった際のフォロー。
・自己中断に繋がらないような声かけの工夫。
こういった内容で講演してみようと思います。
講演タイトルは『「こころの不調」に気づく〜うつ病のサインとその対応〜』にしようと思います。
具体的な内容も考えてまた後日noteに書きます。
カテゴリー: 総合
投稿者: furujinmachi
うつ状態になって、休養したり薬物治療を開始したりして、回復していく訳なのですが、回復期には波がある、ということは以前からよく言われていました。うつ病治療のパンフレットなどにも必ず書かれていて、よくなっても波があって、また悪くなることがあります、でもそうやってだんだんよくなっていきます、と言ったことが書かれていることが多いと思います。
ちょうど、今頃の季節の、三寒四温と言われる感じと同じですよね。寒い日があったり暖かい日があったり。それと同じように、調子のいい日があったり悪い日があったりしながら、だんだんと回復に向かっていくイメージです。
でも、当人からすると、せっかくよくなったと思ったのに、また悪くなるとすごく不安になりますよね。すごくガッカリもすると思います。なので、あらかじめ、そういうことが起きますよ、と説明しておきます。少し良くなってこられた方には、波がありながら良くなりますので、と事前に伝えるよう心がけています。
しかし、この回復の波ですが、患者さんからよくよく話を聞くと、元気になったときにちょっと動きすぎている方が多いように思うんですよね。しばらくしんどくて、やっと元気が出てきたら、今まで出来なかったことをあれこれやりたくなりますよね。それで、思った以上に動きすぎている。元気だった頃から比べると、まだまだでも、病み上がりからすると動きすぎってことがあると思うんですよね。
なので、よくなっていたのに、また悪くなってしまった、とおっしゃる方には、「ひょっとして、よくなったのが嬉しくて動きすぎませんでしたか?」と尋ねるようにしています。そうすると、「確かに、ちょっと無理したかも…」と心当たりがあったりします。
ある程度、気分の波があるのは仕方がないとはいえ、良くなったり悪くなったりを繰り返すのは辛いものです。でも、悪いときに無理に持ち上げることは出来ません。ですから、良いときに、動きたいのを少し我慢して、気持ち余力を残して過ごすようにお願いしています。このセーブが、後の悪化を防いでくれるということですね。それと、うつになる方はそもそも真面目で、ちょっと良くなると頑張りすぎてしまうので、自分をいたわり無理をしないということを体験して欲しい、という思いもあります。
ただ、うつが少し良くなると、徐々に動いた方が回復が早まるのも事実です。なので、悪化を恐れてじっとしすぎてもダメです。なので、活動する内容について工夫をしてもらう場合もあります。コツは、体を使って頭を使わないように、ということです。たとえば、家事労働で言うと、
・頭を使うこと:料理、家の中の片付け
・体を使うこと:洗濯、掃除(片付け不要の状態で)
料理でも、メインで献立や買い物をしてくれる人がいて、その方の指示のもと、材料を切ったりお皿を洗ったりだけであれば、OKになります。掃除は、散らかっていて片付けからしなければならないと、片付けに頭を使うので、単純に掃除機をかける、拭き掃除をするだけならOKということになります。あとは、散歩に行くなどの軽い運動もお勧めです。
うつ状態は、思ったよりゆっくりと良くなっていきます。焦らず回復を待っていただきたいと思います。
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投稿者: furujinmachi
うちの診療所はテナントビルの6階にあるのですが、同じビルの2階に薬局があります。いわゆる門前薬局と言われるものです。病院やクリニックの近くには、そこの病院やクリニックでもらった処方箋を受け取ってお薬を出してくれる薬局がありますよね。
私が医者になって間もない頃は、まだこの「門前薬局」のシステムはそんなに進んでいませんでした。患者さんは、病院の中で、お薬をもらえるようになっていました。特に、精神科は、患者さんに病名をお伝えしていないことも多く、お薬に関しても、何の薬を出しているかも十分説明していない状況で、院内の薬剤部の薬剤師さんが、黙って患者さんにお薬を渡していました。
ところが、私が大学病院で働き出してしばらくした頃に、そのような精神科の「例外」も認めない、特別な理由のない限りは院外処方箋にするように、との指令が病院長から下ります。厚生労働省が、医薬分業を促進し、院外処方箋受取率を上げるように指示したとのこと。
そうなると、もう大慌てでした。院外処方箋にする、ということは、患者さんに薬の全てを知られる、ということです。医者が何の薬を出していて、それがどんな効果のある薬なのか、それを薬剤師が患者さんに伝えなければいけません。ということは、患者さんに、自分の病気が何なのか、伝えなければならない、ということにもつながります。
その頃に、ちょうど、「精神分裂病」が「統合失調症」に呼称変更されたんですよね。正直、名前が変わっただけなのですが、でも名前が与えるインパクトって、すごく大きい。精神が分裂している、といったら、本当に気のふれた人のようなイメージがありましたが、統合が失調している、ということになると、精神機能の取りまとめに不調がある、というような、より病気として対処されるイメージになったと思うんですよね。
そのことと、院外処方箋の普及が、患者さんへの病名告知を大きく後押ししたように思います。それと、薬物治療の進歩も大きかったです。新しいお薬が次々と発売され、統合失調症は、早く治療を行えば、後遺症を減らし、社会復帰することが十分可能な病気になっていきました。そのため、患者さんに病気を理解していただき、適切な治療を行う、ということが積極的に行われるようになりました。
院外処方箋になった頃は、精神科医の多くは、院外薬局の薬剤師さんに対して、「お願いだから余計なことは言わないで」とヒヤヒヤしてたと思います。実際、私のいた大学病院では、門前の薬局と、事前の打ち合わせとかもしてた記憶があります。
今では、薬剤師さんに助けられることが多くて、毎日感謝の日々ですね。お薬に対する患者さんからの問い合わせに対応していてくださったり、私が処方を間違えていたら問い合わせを下さったり。私、患者さんとは薬の打ち合わせは結構細かくするので、これはああしましょう、これはこうしましょうって決めるんですけど、たくさん変更があると、たまに間違ってしまいます。お恥ずかしい話ですが間違います。だって、やはり人間ですから、ミスはあると思うんです。でもそこで、薬局でダブルチェックしていただけるのが本当に助かってます。患者さんが、「先生と、今日は薬を2錠に増やしましょうって決めたんですけど」って薬剤師さんに話してくれて、私が実際の処方箋を増やしてなかったら、診療所に確認の電話を入れてくれます。
医者一人でできることは本当に限られてます。私が医者になった頃は、とにかく医者が治療の主体でした。今でも、医者が担う役割は大きいと思います。でも、いろんなコメディカルスタッフと役割分担し、協働するというスタンスになってきて、治療の質はぐっと上がってきたように感じています。
カテゴリー: 総合
投稿者: furujinmachi
よく患者さんに「私の病名は何になりますか?」と聞かれることがあります。精神科って、確かに、初めて来られたときに「あなたの病名はこれです」ってはっきり言わないところがあると思います。
でも、内科でも、他の科でも、そういう場合もあると思うんですよね。結局、インフルエンザみたいにすぐ診断がつくものと、そうでないものはあると思います。精神科の場合、すぐ診断がつくものが少ないです。少し経過を見させてもらわないと、結局何の診断がつくのかわからない。
うつ状態になって来られる方でも、うつ状態になっているのがうつ病のせいなのか、適応障害なのか、双極性感情障害なのか、トラウマなのか、一体何が原因でうつ状態になっているのか、初診の時には十分わからない、ということが多いです。しばらく経過を見させてもらって、「ああ、適応障害だったんだな」とか「うつ病だったのかな」とかがわかってきます。
でもそうはいっても、初診の時に「多分適応障害かな」「双極性感情障害かも知れないな」という予想をつけることはもちろんあります。しかし、それを伝えるか伝えないか。そこにはすごく治療的な意味合いもあります。
病名を伝えることで、ほっとする方もいれば、病名を伝えることで、ショックを受ける方もいます。もちろん、ショックを受けるから伝えない、ということではないのですが、伝えるタイミングは重要だと思います。事実をなんでも乱暴に伝えればいい、というわけではないのです。
でもタイミングを見計らっているうちに、伝え忘れているということも、まあ、あります。ずっと通ってくれている患者さんに、「先生、私の病名って結局何ですか?」と改めて聞かれて、「あれ?伝えてなかったかしら…」と思うこともあるのです。
あと、病気とまでは言い難いけれども、色々悩んでいたりお困りだったりで、お話を聞いたりアドバイスをしたり、ということもあります。こころの悩みと、精神の病気の境目は、曖昧な場合もあります。なので、実際はっきりとした病名をつけられない場合というのもあります。
なので、精神科の医者が病名を言わない理由としては、
・もう少し経過をみないと、診断がつけられない
・病名を伝えることで、患者さんがショックを受けないか心配している
・うっかり伝え忘れ
・病名がつけられるほどの症状ではないのだけれども、お困りだから支援している
とかが考えられるかなと思います。
もちろん、診断書を作成するため等の理由で、暫定的な診断をつけることがあります。でも、それは経過を見ているうちに、変わることもあります。
それから、ひとことで「うつ病」といっても、症状や経過はさまざまです。お薬が効くか、効かないかもさまざまです。医学で診断をつける意義というのは、それで治療法が決まるから、という意味合いが大きいと思うんですね。でも、精神科の場合は、診断がついてもそれだけで治療法が決まるわけではない。結局、個別に、その人にあった治療を考えていく必要性が出てきます。そうなると、診断をつける意味がどれくらいあるのか?という疑問も出てきます。
なので、診断をつけることを嫌がる先生もいらっしゃるだろうな、と思います。私も、診断をつけてその診断が一人歩きみたいになるのは嫌です。診断は大事だけれども、診断や病名が全てを決めるわけではないと思っています。
でも、内科でも、他の科でも、そういう場合もあると思うんですよね。結局、インフルエンザみたいにすぐ診断がつくものと、そうでないものはあると思います。精神科の場合、すぐ診断がつくものが少ないです。少し経過を見させてもらわないと、結局何の診断がつくのかわからない。
うつ状態になって来られる方でも、うつ状態になっているのがうつ病のせいなのか、適応障害なのか、双極性感情障害なのか、トラウマなのか、一体何が原因でうつ状態になっているのか、初診の時には十分わからない、ということが多いです。しばらく経過を見させてもらって、「ああ、適応障害だったんだな」とか「うつ病だったのかな」とかがわかってきます。
でもそうはいっても、初診の時に「多分適応障害かな」「双極性感情障害かも知れないな」という予想をつけることはもちろんあります。しかし、それを伝えるか伝えないか。そこにはすごく治療的な意味合いもあります。
病名を伝えることで、ほっとする方もいれば、病名を伝えることで、ショックを受ける方もいます。もちろん、ショックを受けるから伝えない、ということではないのですが、伝えるタイミングは重要だと思います。事実をなんでも乱暴に伝えればいい、というわけではないのです。
でもタイミングを見計らっているうちに、伝え忘れているということも、まあ、あります。ずっと通ってくれている患者さんに、「先生、私の病名って結局何ですか?」と改めて聞かれて、「あれ?伝えてなかったかしら…」と思うこともあるのです。
あと、病気とまでは言い難いけれども、色々悩んでいたりお困りだったりで、お話を聞いたりアドバイスをしたり、ということもあります。こころの悩みと、精神の病気の境目は、曖昧な場合もあります。なので、実際はっきりとした病名をつけられない場合というのもあります。
なので、精神科の医者が病名を言わない理由としては、
・もう少し経過をみないと、診断がつけられない
・病名を伝えることで、患者さんがショックを受けないか心配している
・うっかり伝え忘れ
・病名がつけられるほどの症状ではないのだけれども、お困りだから支援している
とかが考えられるかなと思います。
もちろん、診断書を作成するため等の理由で、暫定的な診断をつけることがあります。でも、それは経過を見ているうちに、変わることもあります。
それから、ひとことで「うつ病」といっても、症状や経過はさまざまです。お薬が効くか、効かないかもさまざまです。医学で診断をつける意義というのは、それで治療法が決まるから、という意味合いが大きいと思うんですね。でも、精神科の場合は、診断がついてもそれだけで治療法が決まるわけではない。結局、個別に、その人にあった治療を考えていく必要性が出てきます。そうなると、診断をつける意味がどれくらいあるのか?という疑問も出てきます。
なので、診断をつけることを嫌がる先生もいらっしゃるだろうな、と思います。私も、診断をつけてその診断が一人歩きみたいになるのは嫌です。診断は大事だけれども、診断や病名が全てを決めるわけではないと思っています。
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投稿者: furujinmachi
うちの診療所は開業して今年の4月で9年経ちました。9年間お世話になった電子カルテシステムから、この春新しい電子カルテシステムに変更することにしました。
変更することになった経緯は以下のような流れです。
まず、オンライン診療をそろそろ始めようと思いました。
オンライン診療は、コロナ禍の時に、医療機関で導入するところが一気に増えたと思います。発熱外来での導入が目的だったと思うのですが、精神科・心療内科でオンライン診療を行うところも増えたように思います。そのような状況の中、初診で来る患者さんから、オンライン診療の話を聞くことがたまにありました。オンライン診療で診てもらったけれども、通常の対面診療をしてくれる診療所に行ってくださいと言われました、とのこと。紹介状もありませんし、PDFにて診断書だけもらった、といった話も聞いたり。なので、あまりオンライン診療に良い印象を持ってなかったんですね。失礼ながら、困ったらオンライン診療をしていないところに押し付けてくる、みたいな。
なので、コロナ禍ではオンライン診療をする気にどうしてもなれませんでした。
でも、コロナ禍の影響で、学会や研修会もオンラインで受けられることが増えました。会議もオンラインで参加したことがありますし、学校の懇談なんかもオンラインで受けたりしました。オンライン、とっても便利です。地方に住んでいると、学会や研修会に参加するのも、往復の時間も含めかなり時間を取られていましたから、移動せずに色々なサービスが受けられる恩恵は本当に大きいです。
また、産業医業務の中で、メンタル不調者の面談をオンラインでする機会もいただきました。対面じゃなくてオンラインで話すのって変な感じかな、と思っていましたが、思ったより大丈夫だな、という感触を持ちました。
技術の進歩の恩恵は、やはり積極的に取り入れたい。私のいる香川県は、島嶼部も多くて、通院に関して交通の不便な方、時間のかかる方も多いです。通院したいがその時間が取れない、交通が不便で通院するだけで疲れてしまう、といった悩みをお持ちの方に、オンラインという選択肢があると、通院を継続しやすくなるのではないかと考えました。
診療報酬改定で、精神科でもオンライン診療を行うと保険請求できるようになったことも大きかったです。2024年までの診療報酬体制では、オンライン診療だとほとんど保険請求できませんでした。診療所として経営を考えると、患者さんに自費の負担をかなりお願いしなければならなくなり、そこまでしてオンライン診療をしたいと希望される方がいらっしゃるだろうか?という疑問もありました。保険請求できるようになったことで、オンライン診療を行なっても、経営的にも収支が取れるようになりました。
そのような流れもあり、この春からオンライン診療を導入したのです。それに伴い、電子カルテを、オンライン診療と相性の良いものに変更しました。今度の電子カルテは、自宅のパソコンからもアクセスできるものにしました。家にいながら、電子カルテを見て仕事をすることが可能な環境になりました。そうなると、理論上は、オンライン診療のみであれば在宅ワークが可能、ということになります。
医療従事者で、在宅ワークなんて、あり得るのか?と思っていましたが、できなくはない環境になりました。私、ちょっと在宅ワークに憧れがあります。在宅ワークには在宅ワークの大変さもあると思うのですが、やったことないものへの憧れですよね。通勤のない生活。リラックスできる自宅での仕事。
しかし、まずは新しい電子カルテと、オンライン診療に慣れていくのが先決です。だいぶ練習しましたが、ふとした時に「あれ?」と思うことがあり、まだ前のカルテほど使いこなせてません。患者さんにお待たせする時間が長くならないよう、精進していこうと思います。
変更することになった経緯は以下のような流れです。
まず、オンライン診療をそろそろ始めようと思いました。
オンライン診療は、コロナ禍の時に、医療機関で導入するところが一気に増えたと思います。発熱外来での導入が目的だったと思うのですが、精神科・心療内科でオンライン診療を行うところも増えたように思います。そのような状況の中、初診で来る患者さんから、オンライン診療の話を聞くことがたまにありました。オンライン診療で診てもらったけれども、通常の対面診療をしてくれる診療所に行ってくださいと言われました、とのこと。紹介状もありませんし、PDFにて診断書だけもらった、といった話も聞いたり。なので、あまりオンライン診療に良い印象を持ってなかったんですね。失礼ながら、困ったらオンライン診療をしていないところに押し付けてくる、みたいな。
なので、コロナ禍ではオンライン診療をする気にどうしてもなれませんでした。
でも、コロナ禍の影響で、学会や研修会もオンラインで受けられることが増えました。会議もオンラインで参加したことがありますし、学校の懇談なんかもオンラインで受けたりしました。オンライン、とっても便利です。地方に住んでいると、学会や研修会に参加するのも、往復の時間も含めかなり時間を取られていましたから、移動せずに色々なサービスが受けられる恩恵は本当に大きいです。
また、産業医業務の中で、メンタル不調者の面談をオンラインでする機会もいただきました。対面じゃなくてオンラインで話すのって変な感じかな、と思っていましたが、思ったより大丈夫だな、という感触を持ちました。
技術の進歩の恩恵は、やはり積極的に取り入れたい。私のいる香川県は、島嶼部も多くて、通院に関して交通の不便な方、時間のかかる方も多いです。通院したいがその時間が取れない、交通が不便で通院するだけで疲れてしまう、といった悩みをお持ちの方に、オンラインという選択肢があると、通院を継続しやすくなるのではないかと考えました。
診療報酬改定で、精神科でもオンライン診療を行うと保険請求できるようになったことも大きかったです。2024年までの診療報酬体制では、オンライン診療だとほとんど保険請求できませんでした。診療所として経営を考えると、患者さんに自費の負担をかなりお願いしなければならなくなり、そこまでしてオンライン診療をしたいと希望される方がいらっしゃるだろうか?という疑問もありました。保険請求できるようになったことで、オンライン診療を行なっても、経営的にも収支が取れるようになりました。
そのような流れもあり、この春からオンライン診療を導入したのです。それに伴い、電子カルテを、オンライン診療と相性の良いものに変更しました。今度の電子カルテは、自宅のパソコンからもアクセスできるものにしました。家にいながら、電子カルテを見て仕事をすることが可能な環境になりました。そうなると、理論上は、オンライン診療のみであれば在宅ワークが可能、ということになります。
医療従事者で、在宅ワークなんて、あり得るのか?と思っていましたが、できなくはない環境になりました。私、ちょっと在宅ワークに憧れがあります。在宅ワークには在宅ワークの大変さもあると思うのですが、やったことないものへの憧れですよね。通勤のない生活。リラックスできる自宅での仕事。
しかし、まずは新しい電子カルテと、オンライン診療に慣れていくのが先決です。だいぶ練習しましたが、ふとした時に「あれ?」と思うことがあり、まだ前のカルテほど使いこなせてません。患者さんにお待たせする時間が長くならないよう、精進していこうと思います。
カテゴリー: 総合
投稿者: furujinmachi
当院のリワークデイケアのご案内チラシを作成したく、私がどうしてリワークデイケアの参加を勧めたいのか、どんな思いでリワークデイケアを始めたのか、当院自慢のリワークデイケアの内容はどんなものか、そういったことをこれまで綴ってきました。
改めて、どんな方に声をかけていくかから。
まず、リワークデイケアに参加いただくのは、現在メンタル不調で休職中の方。あるいはメンタル不調を理由に退職した方。そして、復職、転職を問わず、仕事を再開したい(しなければならない)方です。
しかし、休職してすぐの時期は、休養をすることを優先しなければならないことも多くて、リワークデイケアに参加していただくのは、休職して少し経って、うつ状態が少し軽減した頃が望ましいと思います。休職してすぐのうちは、家から出るのも辛いと思います。そういった時期は休養することが優先になります。
少し休養して良くなってきて、次のようなことを悩むようになった方にぜひ参加してほしいです。
「休職中は、どう過ごすのがいいのだろう?」
「休んで少し回復してきたけど、復職するのがすごく不安だ」
「復職して、また同じようにならないか心配だ」
リワークデイケアに参加するメリットとしては、次のような点が挙げられると思います。
・出かける予定ができるため、生活リズムを整えることに意識が向く
・徐々に活動性を上げていくことが、出社リハビリになる
・プログラム内容が、再発防止に役に立つ内容になっている
・同じ体験をした人との相互理解が深まる(このことに関しては、同じ経験をした人との語り合いを積極的に望む方と、そうでない方がいるので、プログラム内の発言に関しては、無理はしなくて良いと説明しています)。
プログラム内容としては、以下のようになります。
期間:3ヶ月間、週3回、午前中の開催
初級:1ヶ月
・生活記録表をつけます:現在どのくらい活動できているか、睡眠リズムはどうなっているかを確認し、休職中の体調の整え方を検討します。良い睡眠を取るための工夫についても説明します。
・メンタル不調や薬についての解説:自分の病気や治療について知ることは、療養生活の上ではとても大切です。
上級:2ヶ月
・自分の気持ちを整える方法、リラクゼーションについて解説:復職すればストレスは必ず受けます。ストレスを受けた時のリラックスの仕方を練習します。
・コミュニケーションの仕方の練習:ストレス軽減のためにはコミュニケーションも大切です。どのように自分の気持ちを伝えればいいのか、職場での適切なコミュニケーションについて練習します。
・認知行動療法プログラム:自分の考え方の癖の調整の仕方、問題解決法について、取り組みます。
・ライフ・ワーク・バランスについて:今回の休職に至った経緯について振り返り、再発予防について考えます。また、自分の生活の中で、仕事がどのような意義があるのかについて、気持ちを整理します。
こんな感じでしょうか。この内容をもとに、チラシを作ってみようと思います。
改めて、どんな方に声をかけていくかから。
まず、リワークデイケアに参加いただくのは、現在メンタル不調で休職中の方。あるいはメンタル不調を理由に退職した方。そして、復職、転職を問わず、仕事を再開したい(しなければならない)方です。
しかし、休職してすぐの時期は、休養をすることを優先しなければならないことも多くて、リワークデイケアに参加していただくのは、休職して少し経って、うつ状態が少し軽減した頃が望ましいと思います。休職してすぐのうちは、家から出るのも辛いと思います。そういった時期は休養することが優先になります。
少し休養して良くなってきて、次のようなことを悩むようになった方にぜひ参加してほしいです。
「休職中は、どう過ごすのがいいのだろう?」
「休んで少し回復してきたけど、復職するのがすごく不安だ」
「復職して、また同じようにならないか心配だ」
リワークデイケアに参加するメリットとしては、次のような点が挙げられると思います。
・出かける予定ができるため、生活リズムを整えることに意識が向く
・徐々に活動性を上げていくことが、出社リハビリになる
・プログラム内容が、再発防止に役に立つ内容になっている
・同じ体験をした人との相互理解が深まる(このことに関しては、同じ経験をした人との語り合いを積極的に望む方と、そうでない方がいるので、プログラム内の発言に関しては、無理はしなくて良いと説明しています)。
プログラム内容としては、以下のようになります。
期間:3ヶ月間、週3回、午前中の開催
初級:1ヶ月
・生活記録表をつけます:現在どのくらい活動できているか、睡眠リズムはどうなっているかを確認し、休職中の体調の整え方を検討します。良い睡眠を取るための工夫についても説明します。
・メンタル不調や薬についての解説:自分の病気や治療について知ることは、療養生活の上ではとても大切です。
上級:2ヶ月
・自分の気持ちを整える方法、リラクゼーションについて解説:復職すればストレスは必ず受けます。ストレスを受けた時のリラックスの仕方を練習します。
・コミュニケーションの仕方の練習:ストレス軽減のためにはコミュニケーションも大切です。どのように自分の気持ちを伝えればいいのか、職場での適切なコミュニケーションについて練習します。
・認知行動療法プログラム:自分の考え方の癖の調整の仕方、問題解決法について、取り組みます。
・ライフ・ワーク・バランスについて:今回の休職に至った経緯について振り返り、再発予防について考えます。また、自分の生活の中で、仕事がどのような意義があるのかについて、気持ちを整理します。
こんな感じでしょうか。この内容をもとに、チラシを作ってみようと思います。
カテゴリー: 総合
投稿者: furujinmachi
さて、当院のリワークデイケアについて書いてきました。私としても、書くことで、自分がこのリワークデイケアについてどう捉えているのか、何を患者さんに理解してもらって、体験してもらいたいと思っているのか、それが整理できてきたように思います。
上級の最後の柱が、ライフ・ワーク・バランスについてです。これは、自分の人生の中で、仕事をどう捉えるか、ということと、今回、休職に至った理由はなんだったのか、それの振り返りになります。おそらく、リワークデイケアのプログラムの中で、一番大変な内容で、でも、一番取り組む価値のある内容だと思います。
休職して、薬物治療を受けて、しばらく休養していると、それなりには回復されてこられる方が多いです。でも、今回なぜ休職に至るほどの状態になってしまったのか、そのことの振り返りをせずに復帰してしまうと、再発する可能性を高めてしまいます。もし今後、似たような状況になった時に、どのような対策を取ればいいのか、今回復職する際に、どのようなことを気をつけなければならないか、そのことを考える時間をとってほしいのです。
振り返りをする時には、自分ばかりを背めて、「自分が悪かったからこうなったのだ」と思い込んでいる方には、「自分が悪いとばかり思っていたが、仕方がなかった点もあるのではないか」「自分ではない人が同じ状況になっても、やはり大変だったのではないだろうか。自分の能力不足だけではなかったのではないか」といったように、自分以外のところにも原因があったことに目を向けられるようになると良いと思います。
また、「上司のせいで休職になった」「同僚に理解がなく自分ばかりがしんどい思いをした」「とにかく仕事が忙しすぎた」といったように、周りの環境の問題を大きく捉えている人の場合は、「自分の伝え方が不十分で自分のしんどさがわかってもらえてなかったのかも」といったような、自分側で工夫できる点がなかったのかを考えられるようになると良いと思います。休職という大変な状況になるのは、たった一つの出来事が原因だったことは極めて稀で、いろんな要因が絡まって、メンタル不調に陥ってしまっています。
それは、仕事だけの要因にとどまらず、プライベート、家族や親しい人との中での問題が関係している場合もあります。今回、回復したのちには、いったいどのような生活、どのような人生を送っていきたいのか。その振り返りをしていく中で、復職ではなく転職を考えるようになる人もいます。でも、それはそれでいいと思います。自分が自分らしく生きていくには、どのような選択があるのか、それを考える一助に、このプログラムが役に立つといいなと思っています。
さて、プログラムの内容も自分なりに振り返りました。いよいよ、チラシ作りに入っていきたいと思います。
上級の最後の柱が、ライフ・ワーク・バランスについてです。これは、自分の人生の中で、仕事をどう捉えるか、ということと、今回、休職に至った理由はなんだったのか、それの振り返りになります。おそらく、リワークデイケアのプログラムの中で、一番大変な内容で、でも、一番取り組む価値のある内容だと思います。
休職して、薬物治療を受けて、しばらく休養していると、それなりには回復されてこられる方が多いです。でも、今回なぜ休職に至るほどの状態になってしまったのか、そのことの振り返りをせずに復帰してしまうと、再発する可能性を高めてしまいます。もし今後、似たような状況になった時に、どのような対策を取ればいいのか、今回復職する際に、どのようなことを気をつけなければならないか、そのことを考える時間をとってほしいのです。
振り返りをする時には、自分ばかりを背めて、「自分が悪かったからこうなったのだ」と思い込んでいる方には、「自分が悪いとばかり思っていたが、仕方がなかった点もあるのではないか」「自分ではない人が同じ状況になっても、やはり大変だったのではないだろうか。自分の能力不足だけではなかったのではないか」といったように、自分以外のところにも原因があったことに目を向けられるようになると良いと思います。
また、「上司のせいで休職になった」「同僚に理解がなく自分ばかりがしんどい思いをした」「とにかく仕事が忙しすぎた」といったように、周りの環境の問題を大きく捉えている人の場合は、「自分の伝え方が不十分で自分のしんどさがわかってもらえてなかったのかも」といったような、自分側で工夫できる点がなかったのかを考えられるようになると良いと思います。休職という大変な状況になるのは、たった一つの出来事が原因だったことは極めて稀で、いろんな要因が絡まって、メンタル不調に陥ってしまっています。
それは、仕事だけの要因にとどまらず、プライベート、家族や親しい人との中での問題が関係している場合もあります。今回、回復したのちには、いったいどのような生活、どのような人生を送っていきたいのか。その振り返りをしていく中で、復職ではなく転職を考えるようになる人もいます。でも、それはそれでいいと思います。自分が自分らしく生きていくには、どのような選択があるのか、それを考える一助に、このプログラムが役に立つといいなと思っています。
さて、プログラムの内容も自分なりに振り返りました。いよいよ、チラシ作りに入っていきたいと思います。
カテゴリー: 総合
投稿者: furujinmachi
上級プログラムについての紹介をしておりました。上級プログラムの2つ目の柱が認知行動療法なのですが、これについて詳しく書こうと思うと、それだけでシリーズになってしまうので詳細は割愛します。簡単に説明すると、自分の考え方の癖に気づいて、ものごとを少し違った見方をする練習をしていただきます。それと、何か困ったことがあった時に、解決法を柔軟に考える練習をしていただきます。仕事をしていると、ストレスに感じることや困ることはたくさんあります。でも、それに対処したり解決したり、上手く逸らしたりする方法を知っていると、ストレスがあっても、調子を大きく崩さずに乗り切れる可能性が高くなると思うのです。
認知行動療法は今大変流行りで、患者さんから「認知行動療法を受けたい」という要望をいただいたり、「どこそこから認知行動療法というものを受けるように言われてきました」とおっしゃられる方が来られたりします。ご要望に応えられるよう、私もスタッフも研鑽を積んでおりますが、とにかくマンパワー不足です。ワンツーマンで認知行動療法をしているだけの余裕がなかなかありません。なので、リワークデイケアというグループで認知行動療法をするのは非常に効率が良いです。それに、週に1回のペースで実施できるので、かなりのハイペースで認知行動療法が受けられることになります。
また、効率だけではなく、グループで実施すること自体の効果もあります。認知行動療法は、アイデアが結構大事なところがあります。いろんなものの見方や、問題解決の作戦など、とにかくアイデアをたくさん出して、それを吟味することが重要です。複数人で話し合うと、当然いろんなアイデアが出てきます。そして、そこにはメンタル不調を経験した当事者じゃないと出てこない発想もあったりするのです。医療従事者と一対一でするより、たくさんの気づきが得られるのではないかと思っています。
ただ、日本人はどうにもシャイなところがあり、グループで話し合う、みたいなのは苦手意識を持つ方も多いですよね。ですので、グループの良さを最初説明してもあまり納得されない方が多いです。なので仕方なく、早くたくさん認知行動療法を受けたいのであれば、リワークデイケアに参加するのがおすすめです、と説明することが多いです。実際参加してみていただけたら、グループの良さを実感されるのかな、と思っています。
明日は、上級の最後の柱、ライフ・ワークバランスについて書きたいと思います。
カテゴリー: 総合
投稿者: furujinmachi
昨日の記事にちょっと嘘を書いていたというか、間違ってました。上級のプログラムについてです。こっそり修正しました。プログラム内容がちょっと間違ってました。
上級プログラムのアサーショントレーニングですが、これはコミュニケーションの練習になります。メンタル不調になる方は、コミュニケーションの問題を抱えていることが多いです。そもそもうまく話せない、という方もいますし、ちゃんと周囲と話せている方でも、自分の気持ちを伝えたり、相手にお願いをしたりするのはかなり苦手、という方が多いです。
一般的な職場で、メンタル不調にならずに過ごしていくためには、コミュニケーション力はほぼ必須です。日本の仕事のスタイルで、誰とも関わらずに働くのはかなり難しいです。コミュニケーション力は、元々の素質もあると思います。でも、スキルとして鍛えることも可能です。どうすれば良いコミュニケーションになるのかを、考えてもらいます。
自分の気持ちを伝える時に、問題になるのは、何か交渉するときや、お願い事をする時になると思います。この時に、自分が我慢して相手に何も交渉しない話し方と、相手を責めて自分の意見だけを押し付けようとする話し方と、両極端の話し方を考えてもらって、その間くらいの言い方ってどうなるかな?みたいな感じで、ちょうど良いところを考えていきます。
自分が普段、どんなコミュニケーションになっているかを考えるのも大事です。言い方って、相手によっても違う時もありますよね。職場で自己主張できない方が、家庭ではわがままになってしまっている場合があったり。職場で色々と不平不満を言っても、家庭では無口だったり。会話量の問題もありますよね。話をほとんどしない人もいれば、すごく話しすぎる人もいる。でも、なんでも「ほどほど」がよかったりしますから、話をしない人は話す練習があった方がいいし、話しすぎる人は、黙って相手の話を聞く練習をした方がいい。
それと、コミュニケーションが苦手な人は、「こんなこと言ったらどう思われるだろう?」という不安を感じている人が多いと思うんですよね。その不安を解消するためにも、コミュニケーションの練習は、グループでやるのがいいと思っています。グループで練習すると、他の参加者に、自分の発言を聞いてどう感じるか感想を聞くことができます。いろんな人が、いろんな受け止め方をしますが、でも、当人が心配しているような反応ではないことが多いんですね。「どうして欲しいか言ってくれたほうが手伝いやすい」とか「嫌だったことを言われるとちょっと傷つくけど、黙って我慢されてるのも嫌かな」とか。自分の気持ちを伝えることの大切さを知っていただきたいと思います。
まだもうちょっと続きます。
カテゴリー: 総合
投稿者: furujinmachi
リワークデイケアの話をいつまで続けるのだろうと自分でも思っているのですが、ずっと長い時間noteの記事を書いていると疲れたり飽きたりしてしまうので、少しずつ書くしかないのです。書き終わったら自分まとめ記事にしようかなと思ったり。書く時間も基本朝活で、と思っているのですが、朝活で運動をしようかと思ったり。そうすると夜に書いてみたりと、自分の中での生活習慣もまだ試行錯誤中です。
とにかくこのリワークデイケアシリーズのスタートは、患者さんにリワークデイケアについて説明する案内文を作りたいところからだったんです。でも案内文が完成する前に、日々の勧誘活動が始まっております。
今までの記事はこちらから↓
さて、いよいよ上級の内容です。上級は、うちのリワークデイケアでのイチオシプログラムです。時々、復職までの期間が短く、初級だけ参加して復職する方がいらっしゃるんですが、それは本当はとっても勿体無いです(休める期間が会社によって異なるので仕方ないのですが)。初級は、上級に参加するための予備運動だと思っていただきたい。でも、初級だけでも参加する意味は十分あると思っていますので、初級だけ参加の方も歓迎しています。
上級のプログラムには、大きく3つの柱があります。一つがマインドフルネスとアサーショントレーニング。それともう一つが認知行動療法。そして最後の一つがライフ・ワークバランスの見直しです。
まずマインドフルネス。これも、認知行動療法の一つで、「今、ここ」に集中する練習になります。人は、日常生活を「自動操縦」で送っていることが多いんですよね。あまり考えたり感じたりしなくても、それなりに「いつも通りの毎日」を過ごせるようになっています。でも、そうすることで、無意識にいろんなストレスを抱え込み、なぜ自分がしんどくなっているのか気づかなくなってしまったりすることがあります。また、毎日を機械的に過ごすことで、喜びや楽しみを感じにくくなってしまいます。
マインドフルネスは、今をしっかりと感じる練習になります。自分が今、何を感じているのか?自分が今、どんな思考を持っているのか?「食べるマインドフルネス」では、食べ物を口に入れ、それをしっかりと感じる体験をします。今までとは違う食べ方、感じ方をすることで、いろんな気づきを得ます。また、今に集中することで、過去の記憶や未来の不安から解放され、リラックス効果があります。
他にも「歩くマインドフルネス」とか、いろんなやり方があります。きっと自分に合う、日々の生活に取り込みやすいマインドフルネスの方法が見つかると思います。
上級からは、感想などの意見交換をする機会が増えます。マインドフルネスも、最初はちょっとよくわからないとか、コツが掴めないとかの悩みがあります。でもそこで、他の参加者も同じような感想を言っていると安心したり、他の人の工夫を聞いて参考になったりします。一人でやるより、気づくことが増えてきます。
とにかくこのリワークデイケアシリーズのスタートは、患者さんにリワークデイケアについて説明する案内文を作りたいところからだったんです。でも案内文が完成する前に、日々の勧誘活動が始まっております。
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さて、いよいよ上級の内容です。上級は、うちのリワークデイケアでのイチオシプログラムです。時々、復職までの期間が短く、初級だけ参加して復職する方がいらっしゃるんですが、それは本当はとっても勿体無いです(休める期間が会社によって異なるので仕方ないのですが)。初級は、上級に参加するための予備運動だと思っていただきたい。でも、初級だけでも参加する意味は十分あると思っていますので、初級だけ参加の方も歓迎しています。
上級のプログラムには、大きく3つの柱があります。一つがマインドフルネスとアサーショントレーニング。それともう一つが認知行動療法。そして最後の一つがライフ・ワークバランスの見直しです。
まずマインドフルネス。これも、認知行動療法の一つで、「今、ここ」に集中する練習になります。人は、日常生活を「自動操縦」で送っていることが多いんですよね。あまり考えたり感じたりしなくても、それなりに「いつも通りの毎日」を過ごせるようになっています。でも、そうすることで、無意識にいろんなストレスを抱え込み、なぜ自分がしんどくなっているのか気づかなくなってしまったりすることがあります。また、毎日を機械的に過ごすことで、喜びや楽しみを感じにくくなってしまいます。
マインドフルネスは、今をしっかりと感じる練習になります。自分が今、何を感じているのか?自分が今、どんな思考を持っているのか?「食べるマインドフルネス」では、食べ物を口に入れ、それをしっかりと感じる体験をします。今までとは違う食べ方、感じ方をすることで、いろんな気づきを得ます。また、今に集中することで、過去の記憶や未来の不安から解放され、リラックス効果があります。
他にも「歩くマインドフルネス」とか、いろんなやり方があります。きっと自分に合う、日々の生活に取り込みやすいマインドフルネスの方法が見つかると思います。
上級からは、感想などの意見交換をする機会が増えます。マインドフルネスも、最初はちょっとよくわからないとか、コツが掴めないとかの悩みがあります。でもそこで、他の参加者も同じような感想を言っていると安心したり、他の人の工夫を聞いて参考になったりします。一人でやるより、気づくことが増えてきます。
カテゴリー: 総合
投稿者: furujinmachi
リワークデイケアお知らせチラシを作りたい思いからここまで記事を書いてきました。
隙間時間に少しずつ記事を書いて、朝活で仕上げているのですが、きちんと書き上げてから投稿しようとするとすごく時間がかかってしまうので、書いたものから少しずつ投稿しており、細切れになっております。
当院のリワークデイケアの特徴ですが、週3日で、3ヶ月間の期間でプログラムを組んでいます。最初の1ヶ月間が初級で、次の2ヶ月間が上級です。初級のうちは、担当スタッフがレクチャーをして、それを聞いてもらったり、個々に課題に取り組んでもらったりと、座学が中心になります。上級になると、その日のテーマに関してお互い意見を出し合ったりする機会が増えます。
開催当初は参加人数の少なかったリワークデイケアですが、昨年くらいから、10人ずつくらい参加してくれるようになりました。まだうつ状態が十分改善していない方も多く、最初から発言を求められると負担が大きいと思います。そのため、ある程度グループの雰囲気に慣れてから、発言する機会を増やすようになっています。全て座学で終わりにするのもよくなくて、お互いの意見を聞くことで、気づきが深まる部分があると思います。
初級プログラムの内容です。まず活動記録表をつけて、それを元に睡眠リズムについて見ていきます。1日の中で、何時に起きて、日中何をして、そして何時に寝ているか。そこで日中どれくらい動けているか、何をしている時に負担を感じて、何をしていると少し気分が楽になっているのか。頑張って無理して疲れてしまうというパターンになっていないか。活動記録から見えてくることはたくさんあります。
そして睡眠リズムを見ることで、睡眠についての理解を深めていただきます。睡眠に関する認知行動療法をベースとして、よく眠るための工夫を伝え、間違った睡眠衛生に陥っていないかを確認します。工夫してもあまり眠れていない時は、患者さん本人やスタッフから、私に報告があって、お薬で工夫するかどうかも検討します。
それから、病気やお薬についてのレクチャーがあります。私が説明する動画を見ていただいて、スタッフが補足して説明しています。診察では病気についての細かな説明や、薬についての細かな知識をお伝えするのがなかなか難しいですが、実際はきちんと知っていただくのは大切なことと思います。実際、このレクチャーを受けたのちに、「私は実はこういう悩みもあったのですが、レクチャーでこれも病気の症状と知りました」「お薬はしんどい時だけ飲めばいいのかと思ってました、毎日飲んだほうがいいのですね」といった感想を診察の時にいただくことがあります。きちんと診察で伝えきれていないことを反省するばかりです。でも、診察時間でできることは限られています。だからこそ、リワークデイケアを始めたのだし、リワークデイケアに参加していただく意義があるのだと思っています。
隙間時間に少しずつ記事を書いて、朝活で仕上げているのですが、きちんと書き上げてから投稿しようとするとすごく時間がかかってしまうので、書いたものから少しずつ投稿しており、細切れになっております。
当院のリワークデイケアの特徴ですが、週3日で、3ヶ月間の期間でプログラムを組んでいます。最初の1ヶ月間が初級で、次の2ヶ月間が上級です。初級のうちは、担当スタッフがレクチャーをして、それを聞いてもらったり、個々に課題に取り組んでもらったりと、座学が中心になります。上級になると、その日のテーマに関してお互い意見を出し合ったりする機会が増えます。
開催当初は参加人数の少なかったリワークデイケアですが、昨年くらいから、10人ずつくらい参加してくれるようになりました。まだうつ状態が十分改善していない方も多く、最初から発言を求められると負担が大きいと思います。そのため、ある程度グループの雰囲気に慣れてから、発言する機会を増やすようになっています。全て座学で終わりにするのもよくなくて、お互いの意見を聞くことで、気づきが深まる部分があると思います。
初級プログラムの内容です。まず活動記録表をつけて、それを元に睡眠リズムについて見ていきます。1日の中で、何時に起きて、日中何をして、そして何時に寝ているか。そこで日中どれくらい動けているか、何をしている時に負担を感じて、何をしていると少し気分が楽になっているのか。頑張って無理して疲れてしまうというパターンになっていないか。活動記録から見えてくることはたくさんあります。
そして睡眠リズムを見ることで、睡眠についての理解を深めていただきます。睡眠に関する認知行動療法をベースとして、よく眠るための工夫を伝え、間違った睡眠衛生に陥っていないかを確認します。工夫してもあまり眠れていない時は、患者さん本人やスタッフから、私に報告があって、お薬で工夫するかどうかも検討します。
それから、病気やお薬についてのレクチャーがあります。私が説明する動画を見ていただいて、スタッフが補足して説明しています。診察では病気についての細かな説明や、薬についての細かな知識をお伝えするのがなかなか難しいですが、実際はきちんと知っていただくのは大切なことと思います。実際、このレクチャーを受けたのちに、「私は実はこういう悩みもあったのですが、レクチャーでこれも病気の症状と知りました」「お薬はしんどい時だけ飲めばいいのかと思ってました、毎日飲んだほうがいいのですね」といった感想を診察の時にいただくことがあります。きちんと診察で伝えきれていないことを反省するばかりです。でも、診察時間でできることは限られています。だからこそ、リワークデイケアを始めたのだし、リワークデイケアに参加していただく意義があるのだと思っています。
カテゴリー: 総合
投稿者: furujinmachi
リワークデイケアにお誘いするのは休職中の方です。それと、休職中の方だけでなく、退職してしまったけれども、なんとか転職して社会復帰したいと思っている方にも参加していただいています。
休職中あるいは退職後の方でも、たとえば女性で、家事や育児が忙しい、親の介護をされている、そういった方で、日中の活動性が十分保たれている方には、声をかけないことがあります。ある程度、家事や育児、介護をすることが、社会復帰をするリハビリになっている部分があるからです。
でも、家事や育児を頑張り過ぎてしまう方は、お声かけをすることがあります。「ねばならない」思考が強くて、手を抜けず、「せめて家にいるときは、家事育児をちゃんとしなければ」と思っている方は、復職した時に、仕事も頑張り過ぎてしまうことが多いです。考え方を柔軟にしていただく必要性を強く感じます。
あと、「休職中に何をしたらいいかわからない」「早く良くなるためにどうしたらいいのだろうか」と悩んでいる方にもお声かけします。もう少し病状が良くなるまで、焦ってほしくないのですが、何もしていないことがしんどくなってしまうので、リワークデイケアに参加する、ということ自体が、安心感につながることが期待できます。
それから、「復帰しなければと思うけれども、うまく働けるだろうか」「うつは治ってきたけれども、体力も気力もまだ十分戻っていないと思う」といった方。本来リワークデイケアに参加していただきたいのは、ある程度抑うつ気分は改善してきたけれども、まだ体力や認知機能(集中力や思考力)、意欲といったものが十分回復していない方です。デイケアを通して、社会復帰できるところまで回復していただきます。
あるいは「せっかく元気になったけれども、復帰したらまた悪くなるんじゃないだろうか」「復帰するのがどうしても不安だ」とおっしゃる方。そういう方にもお声かけします。休職するに至った経緯の振り返りが役に立つと思うからです。
それと、長く休んでいるけれども、なかなか回復しない、という方にもお声かけしています。活動性が下がってしまっていることや、人と関わらない状況自体が、回復を妨げている可能性があるからです。
こうやって書いてみると、私自身が、リワークデイケアの意義や目的をどう捉えているのか、それが整理されてきたように思います。
次回は、当院のリワークデイケアの特徴や、参加された方の感想などをまとめてみたいと思います。