サイコシンセシスという心理療法について書くシリーズです。今日は、無意識の領域について。ある程度、人間の心理の構造を知ることで、ガイディング(サイコシンセシスのカウンセリング)で何をしようとしているのか、それを理解する基礎づくりをしていきたいと思います。

前回の記事も参考にしてください。


サイコシンセシスでは、人の意識領域の周りにある無意識をの領域を、大きく3つに分けています。下位無意識、中位無意識、上位無意識の3つです。

下位無意識は、自分のこれまでの人生での経験で感じたこと、考えたこと、思ったこと、いろんな記憶やエネルギーが抑圧されています。願望、欲望、行動力といった、とても強い、人としての根本的な生命エネルギーが溢れているエリアでもあります。

中位無意識は意識を中心として、今現在の意識に近いエリアで、何かきっかけがあればすぐ思い出せるような意識、現在の活動に直接関わっているエリアです。

上位無意識は、自分と他人を繋ぐような、集合無意識であったり、自分の人生の目的、自分の存在意義、自分が何に向かうべきかといった、人間を成長に導くエネルギーのエリアです。

従来のカウンセリングは、下位無意識と言われている、その人のトラウマの問題であったり、インナーチャイルドの問題であったり、その人の抱えている歪んだ信念だったりを、ケアしていくのが大きな目的であったと思います。サイコシンセシスも、下位無意識への対処はとても重要視しています。

しかし、実際、下位無意識へのアクセスはとても負担が大きいものです。そもそも、辛い体験であるからこそ、蓋をして、意識の奥深くに閉じ込めて、自分の意識に登ってこないように、無意識に抑圧しているエリアです。その蓋を開ける作業が簡単なはずもないし、楽しいはずもありません。

サイコシンセシスでは、その大変な作業を行うのに、上位無意識の力を借りることがあります。この視点が、他の心理療法にない視点かな、と思います。
上位無意識のエリアには、自分が望ましいと思う特性を強化するヒントがたくさんあります。そのエネルギーを拝借しながら、下位無意識のアクセスを進めていくイメージです。

サイコシンセシスのガイディングでは、イメージをたくさん使うのも特徴だと思います。自分の心というのは、言葉や文字だけでは表せないものもたくさんあり、視覚的、聴覚的、触覚的な要素や、その時の感情、思考、意欲など、いろいろな精神機能の要素を扱うのにも、イメージを使うというのが適切だったりするのだろうと思います。