うちの診療所は開業して今年の4月で9年経ちました。9年間お世話になった電子カルテシステムから、この春新しい電子カルテシステムに変更することにしました。

変更することになった経緯は以下のような流れです。
まず、オンライン診療をそろそろ始めようと思いました。

オンライン診療は、コロナ禍の時に、医療機関で導入するところが一気に増えたと思います。発熱外来での導入が目的だったと思うのですが、精神科・心療内科でオンライン診療を行うところも増えたように思います。そのような状況の中、初診で来る患者さんから、オンライン診療の話を聞くことがたまにありました。オンライン診療で診てもらったけれども、通常の対面診療をしてくれる診療所に行ってくださいと言われました、とのこと。紹介状もありませんし、PDFにて診断書だけもらった、といった話も聞いたり。なので、あまりオンライン診療に良い印象を持ってなかったんですね。失礼ながら、困ったらオンライン診療をしていないところに押し付けてくる、みたいな。

なので、コロナ禍ではオンライン診療をする気にどうしてもなれませんでした。

でも、コロナ禍の影響で、学会や研修会もオンラインで受けられることが増えました。会議もオンラインで参加したことがありますし、学校の懇談なんかもオンラインで受けたりしました。オンライン、とっても便利です。地方に住んでいると、学会や研修会に参加するのも、往復の時間も含めかなり時間を取られていましたから、移動せずに色々なサービスが受けられる恩恵は本当に大きいです。

また、産業医業務の中で、メンタル不調者の面談をオンラインでする機会もいただきました。対面じゃなくてオンラインで話すのって変な感じかな、と思っていましたが、思ったより大丈夫だな、という感触を持ちました。

技術の進歩の恩恵は、やはり積極的に取り入れたい。私のいる香川県は、島嶼部も多くて、通院に関して交通の不便な方、時間のかかる方も多いです。通院したいがその時間が取れない、交通が不便で通院するだけで疲れてしまう、といった悩みをお持ちの方に、オンラインという選択肢があると、通院を継続しやすくなるのではないかと考えました。

診療報酬改定で、精神科でもオンライン診療を行うと保険請求できるようになったことも大きかったです。2024年までの診療報酬体制では、オンライン診療だとほとんど保険請求できませんでした。診療所として経営を考えると、患者さんに自費の負担をかなりお願いしなければならなくなり、そこまでしてオンライン診療をしたいと希望される方がいらっしゃるだろうか?という疑問もありました。保険請求できるようになったことで、オンライン診療を行なっても、経営的にも収支が取れるようになりました。

そのような流れもあり、この春からオンライン診療を導入したのです。それに伴い、電子カルテを、オンライン診療と相性の良いものに変更しました。今度の電子カルテは、自宅のパソコンからもアクセスできるものにしました。家にいながら、電子カルテを見て仕事をすることが可能な環境になりました。そうなると、理論上は、オンライン診療のみであれば在宅ワークが可能、ということになります。

医療従事者で、在宅ワークなんて、あり得るのか?と思っていましたが、できなくはない環境になりました。私、ちょっと在宅ワークに憧れがあります。在宅ワークには在宅ワークの大変さもあると思うのですが、やったことないものへの憧れですよね。通勤のない生活。リラックスできる自宅での仕事。

しかし、まずは新しい電子カルテと、オンライン診療に慣れていくのが先決です。だいぶ練習しましたが、ふとした時に「あれ?」と思うことがあり、まだ前のカルテほど使いこなせてません。患者さんにお待たせする時間が長くならないよう、精進していこうと思います。