精神科医のつぶやき「認知行動療法は、今すごく需要のあるプログラムです|リワークデイケアその8」 (2025/05/09)
投稿者: furujinmachi
上級プログラムについての紹介をしておりました。上級プログラムの2つ目の柱が認知行動療法なのですが、これについて詳しく書こうと思うと、それだけでシリーズになってしまうので詳細は割愛します。簡単に説明すると、自分の考え方の癖に気づいて、ものごとを少し違った見方をする練習をしていただきます。それと、何か困ったことがあった時に、解決法を柔軟に考える練習をしていただきます。仕事をしていると、ストレスに感じることや困ることはたくさんあります。でも、それに対処したり解決したり、上手く逸らしたりする方法を知っていると、ストレスがあっても、調子を大きく崩さずに乗り切れる可能性が高くなると思うのです。
認知行動療法は今大変流行りで、患者さんから「認知行動療法を受けたい」という要望をいただいたり、「どこそこから認知行動療法というものを受けるように言われてきました」とおっしゃられる方が来られたりします。ご要望に応えられるよう、私もスタッフも研鑽を積んでおりますが、とにかくマンパワー不足です。ワンツーマンで認知行動療法をしているだけの余裕がなかなかありません。なので、リワークデイケアというグループで認知行動療法をするのは非常に効率が良いです。それに、週に1回のペースで実施できるので、かなりのハイペースで認知行動療法が受けられることになります。
また、効率だけではなく、グループで実施すること自体の効果もあります。認知行動療法は、アイデアが結構大事なところがあります。いろんなものの見方や、問題解決の作戦など、とにかくアイデアをたくさん出して、それを吟味することが重要です。複数人で話し合うと、当然いろんなアイデアが出てきます。そして、そこにはメンタル不調を経験した当事者じゃないと出てこない発想もあったりするのです。医療従事者と一対一でするより、たくさんの気づきが得られるのではないかと思っています。
ただ、日本人はどうにもシャイなところがあり、グループで話し合う、みたいなのは苦手意識を持つ方も多いですよね。ですので、グループの良さを最初説明してもあまり納得されない方が多いです。なので仕方なく、早くたくさん認知行動療法を受けたいのであれば、リワークデイケアに参加するのがおすすめです、と説明することが多いです。実際参加してみていただけたら、グループの良さを実感されるのかな、と思っています。
明日は、上級の最後の柱、ライフ・ワークバランスについて書きたいと思います。