以前の記事で、当院で心理検査を実施するときの説明資料を作成したいと感じていることを書きました。


当院で一番多い心理検査が、発達障害に関連するものです。当院では現在、2つの検査を行っています。MSPAとWAISという検査です。

MSPAは、発達障害の方の、困りごとの聞き取りの検査になります。発達障害の特性と思われる項目を、全般的に網羅しています。ADHD(注意欠如多動症)やASD(自閉スペクトラム症)に関連するもの両方を把握できます。

この検査では、事前に患者さんに、アンケートに記入をしてもらいます。できるだけ、親にも検査協力を依頼しますが、すでに親から自立され親が遠方にいらっしゃる方や、親子関係の問題などで、親に協力が依頼できない場合もあり、その場合はご本人が覚えている限りのことを話していただいたり、通知表などを持参していただいて参考にさせていただくこともあります。

そして、公認心理師が、検査当日に、そのアンケート用紙を参考にして、本人と、協力が得られた場合は親から、困りごとの詳細な状況を聞き取りします。どのようなシチュエーションで、どれくらいの困り事だったのかを聞いて、それが発達障害のどの特性からきているものなのかを見立てて、チャートにします。

もう一つのWAISという検査は、知能検査になります。対面で「知能検査です」というと「血の検査」と聞き取られてしまい、採血かと思って嫌な顔をされることがあります(特にお子さんの場合)。IQを測定します、などと伝えて補足してます。(ちなみにWAISは16歳以上の方が対象になり、それより若い方は同等の検査でWISCという検査があってそちらを行いますが、説明する内容はほぼ同じです)。

発達障害の場合、IQ自体は、高い方も低い方もいて、IQの高い低いでは診断になりません。それよりも、WAISではいろんな項目の測定を行い、言語理解、知覚推理、ワーキングメモリー、処理速度の4項目の得点が出るのですが、その項目間での差が大きい傾向があるかどうかを確認しています。ある項目はすごくよくできるのに、ある項目がすごく低い、というパターンが、発達障害の方にはよくみられます。なので、そのような能力パターンがあるかどうかを確認します。

ただし、WAISはうつ状態や不安症状が強すぎる時には実施できません。うつや不安のせいでスコアが変動してしまうからです。なので、うつ状態や不安症状が強い方は、それらの治療をしてから実施するようにしています。

うつ状態や不安症状を治療するにも、まずは発達障害かどうか診立てないと、治療がうまく構築できない場合もあります。そのような場合は先にMSPAだけ実施し、暫定的な診立てをして、後から状況を見てWAISを実施することもあります。

普段、こういった説明をさせてもらっているので、これを元に資料を作ってみようと思います。