こんにちは。連日の雨で桜もところどころ散りかけてはいますが、この週末はまだあちこちで花見ができそうです。関東は春真っ盛り、ほんの少しの間に冬はどこへやら、遠く過ぎて行ったようです。さて、新学期も始まり、学校、幼稚園、保育園も新しいクラスに通い始める子供たち、屈託なく、楽しそうです。今日はこの季節にも多くみられる感染症の一つ、溶連菌についてお話ししましょう。溶連菌とは「溶血性連鎖球菌」という菌の略称で、代表的な感染症としては、咽頭炎、扁桃炎など、喉にくっつき、炎症を起こし、熱が出たり、腫れたり、喉が痛かったりするものです。
「なんだ、そんなのただの風邪と同じじゃん?」と言われそうですが、似てはいますが全然違います。普通の風邪、大多数はウイルスによるものですが、これらは放っておいてもまず大丈夫、自然に治ります。しかし、溶連菌は自然に治る場合も多いのですが、場合によってはとんでもないことが起こるのです。例えば、リウマチ熱と言って、多関節炎、心臓の広範な炎症などを合併したり、急性糸球体腎炎という腎臓の炎症を起こすこともあります。場合によっては一生涯抗生剤を飲み続けることになる患者さんもいます。しかも、こんなありふれた、しかも重大な感染症があちこちの病医院で見逃されてしまっているのです!!なんてこった!治療はペニシリンを10日間内服させる、というシンプルなものです。診断が問題です。これは溶連菌の所見ですよ、という明らかなものはなく、すごく腫れている、とか、喉の粘膜がとても赤くなっていて、ちょっとした擦り傷なみのようであるとか、まあ、溶連菌の患者を500人くらい見ればわかるよ、というような、あいまいで、感覚的な所見しかありません。ですから、ある程度怪しい場合は、必ず検査します。僕が知っているちゃんとした小児科医の人たちは、見逃さないよう検査をなさっています。喉の専門家であるはずの耳鼻科医が意外に見逃しているのが、とても残念です。
なお、日本の医学部および大学教育では、感染症の教育がなおざりになっています。大学に臨床の感染症内科医がいる病院はごくわずかです。僕の知る限り、筑波大にもいません。教育が十分でないので、師匠もだめなら弟子もダメ、という状況が僕の若い時からずっと続いています。感染症に興味や関心を持つ医師は、本当に少ない、というのが現実です。良い所もたくさんある日本の医療ですが、感染症については、多くの改善すべき点があると考えます。
すいません、ちょっと力が入りすぎ?ましたか。なお、以前のブログも、「カテゴリー」の中から呼び出してお読みになれます。皆さんが病気を知るうえで、少しでも参考になるようにと真面目に、考えながら書いているつもりです。最後に、溶連菌については色々な話が有りますので、、また別の機会にお話しします。読んでもらって、皆さんのために少しでもなればうれしいです。では、また。