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April 2016 の投稿一覧です。
カテゴリー: 4.生活習慣病
投稿者: satohcli10-9
こんにちは。世間はG.W で、今日から10連休の人もいるとか!我々医療人は、土曜は診療当たり前、「連休中はお休みですか?」と聞かれたり、祝日にも診療の問い合わせの留守電が入ってきます(もちろん出ません、なんせ誰もクリニックにはいません)。すいません、もう年なので、たまには休ませてください。
ところで、減量するうえで、食事はとても重要です。運動3割、食事7割、と言われるくらい重要なことです。というのも、30分走っても消費カロリーは400kcal未満、テニスも自転車も同様で、この場合にすべて脂肪でエネルギーを賄うとしたら、45gの脂肪で足ります。1kgの脂肪は9000kcalあるため、これを先ほどの運動だけで落とそうとすると、20回以上やらなければなりません。したがって、カロリー制限、食事制限を同時に行わなければ減量は困難です。
さて、巷には星の数ほどのダイエット法が存在し、アピールしています。しかし、あまり突拍子のないものは怪しい、と思ってください。1日1食の食事は代謝を落とし、必要なたんぱく質も摂取が不十分となり、「老け」ます。極端な糖質制限も、短期間なら効果が早く、「ライザップ」のような効果が表れますが、2,3か月が限度でしょう。2,3週間でも十分負担になります。頭脳労働に支障をきたす場合もありますので、つくば市内に多い、研究に従事する方は特に注意です。脂質制限は有効で、一般にやりすぎで困ることはないと思われますが、糖質制限よりも即効性がないようです。
ここで皆さんに注意していただきたいのは、「何か体に良いものを(たくさん)食べることで、健康になる。」ということは全くの間違いだということです。みのもんたのテレビや、NHKの「ためしてがってん」に出てくるようなうまい話はありません。食べ過ぎはとにかくだめです。特に根菜はカロリー満点!!たくさん食べてよいのは大根くらいです。いも、かぼちゃ、にんじん、ごぼう、れんこんなど、少し多く食べればご飯をおかわりしたと同じくらいになります。
また、お酒に注意。焼酎が体に良い、カロリーも少ない、蒸留酒だから、というのはうそです。35度の焼酎1合で、350kcalはあります。2合飲めば、親子丼1杯くらいあります。まだ日本酒のほうが良いです。また、カロリーオフの発泡酒もあります。お酒は太ります。つまみを多く食べる人はなおさらです。十分注意してください。
要するに、主食、脂質などの多い副食を20から30%カットして毎日たべるか、1食のみウルトラローカロリー(200~300kcal前後)のダイエットフードを食べるか、それが一番現実的だと思われます。なお、たんぱく質は減らさないでください。筋肉が分解され、やつれたみっともない体形になったり、高齢者ではサルコペニアという、体に必要な筋肉が無く、けがや寝たきりのリスクがある状態になります。肉、魚、大豆、乳製品はきちんと食べてください。
では、今日はこの辺で、最後に、お菓子はあっという間に太りますので、日を決めて、ケーキや和菓子だけでなく、せんべいやスナックも危険ですので、お忘れなく。
カテゴリー: 2.感染症
投稿者: satohcli10-9
こんにちは。先日溶連菌のことを書きましたが、その前に、溶連菌って何、どんな物?ということについて、今回は説明します。
1:溶連菌とは   正式には、溶血性連鎖球菌 の略です。ただし、感染しても人間の血液が溶けてしまう訳では無いので、心配しないでください。
2:いろいろな型が有ります  約130ほどの型が有り、その違いで扁桃炎、咽頭炎になるもの、とびひや他の皮膚感染を起こすもの、「人食いバクテリア」と呼ばれる、手足が壊死(腐ること)を起こしやすいものなどに分かれたりします。
3:どうやってうつるの?  飛沫感染が主ですので、くしゃみ、鼻水、痰などが飛んで行ってうつります。患者さんはマスクをして下さい。また、感染力が強いので、決められた通り学校、幼稚園などはお休みをして下さい。
4:人にうつすのはいつまで? 例えば、治療していない場合、10から21日間は感染性が有ります。化膿しているなら、もっと長期間感染力が有ります。ペニシリン(抗生剤の一つ)を始めると、約24時間で感染性がなくなります。(だから、幼稚園、保育園にも行けます)
5:一度かかると大丈夫? 一度かかった型には免疫ができますが、なんせ130種類もあるので、実際には何度も罹ります。
6:治療はどうするの? ペニシリンという抗生剤を10日間飲み続けます。必ず10日間です(WHOが勧告しているので、どんな医者も反論できません)。また、この抗生剤は必ず1日3回内服、と決まっているので、お昼に飲むことが義務です。学校、幼稚園、保育園には行って良いですが、お昼に薬を飲ませてもらわないといけません。
また、1日2回、1回の薬は、ぺニシリンより効果が不確実なので勧められていません(WHOはもとより、世界中の感染症学会、小児科学会などではペニシリンが第1選択薬)ですから、保護者や社会的都合から、「便利な」そのような抗生剤を投与するのは誤りですので、保護者の方が、正しい判断をして下さい。残念ながら、日本の医師は、感染症に対する意識が驚くほど低いことがよくあるからです。
7:きちんと飲ませるのは大変なんだけど?  大部分の患者さんは抗体ができて自然に治ってしまいますが、一部の方はその抗体が細菌だけでなく、自己抗体となって自分の体をも壊してしまうことが有ります。腎臓の組織、関節、あるいは心臓の弁、筋肉などが壊れることすらあります。しかも、前もって予測できません。ですから、「溶連菌に感染したら、全員がきちんと10日間内服してください。」ということになります。現実に、10年間薬を飲むことになったり、一生飲まなければならないなど、気の毒な状況にある患者さんもいます。きちんと飲んでください。
他にも有りますが、まあこのくらい知っておけば十分でしょう。なお、溶連菌はとてもありふれた感染症です。また、大人が保菌者となって子供にうつることも良くあります。溶連菌に感染した子供の保護者の方や、流行している学校、保育園などの先生方の中にも、感染していることに気付かない方が結構おられます。のどが痛かったら、大人の場合は熱がなくても溶連菌のことがありますので、医療機関にご相談してください。
では、今日はこの辺で。読んでいただき、ありがとうございました。
こんにちは。やっとインフルエンザの患者さんも少なくなってきました。今年は皆さん大変でしたね。熱出るたびに、インフルエンザの心配をして、あの、鼻が痛い検査を無理やりされて、子供さんたちはそのたびにおいおい泣いて、でもしないと幼稚園も学校も行けない、預かれない、と半ば脅されて、子供たちには嫌なシーズンでした、本当に。
さて、冬場に体がカサカサして、あちこち痒くて、皮膚科や近くの小児科で保湿剤をもらった人も多かったでしょう。「乾燥肌ですね。」と言われ、保湿で良くなった人もいれば、湿疹があちこちにできて、夜中掻き壊したり、とびひになった人もいるでしょう。これって何?ただの乾燥ですか?と思う患者さんや、家族の方も多いでしょう。実は、治りにくい人の大部分は「アトピー性皮膚炎」なのです。「でも、そんなこと言われたことないし。」「私も乾燥して痒くなるので、体質が似てるんじゃない。」実は、アトピーや、その他のアレルギー疾患は遺伝要因が強いのです。かなり似ますので、親がアレルギーや、アトピー体質の場合は、子供も同じような状況になる場合や、あるいは親御さんより悪いケースが多いのです。アトピー性皮膚炎は、多くが生後2,3か月から発症し、顔をこする、頭をかく、耳が切れる、抱っこされた時に顔をスリスリこすり付ける、等の行動をします。これは眠くなると一層やるので、「眠いのね。」など度のんきに考える方が多いのですが、アトピー患者は、眠いと痒みが増すものです。また、癖ではありません。赤ちゃんに「癖」は無く、痒いからこするのです。やがて、顔がきれいになっても、今度は体がカサカサして、湿疹が出てきます。そうなるとあちこち痒いので、体が紅白のまだらになったり、掻き壊しの傷が出来たりします。こうなると、保湿だけでは収まらず、「皮膚炎」を治療するために、ステロイド軟膏が必要です。また、「塗ると良くなるけど、止めるとすぐ悪くなるのよね。」と言ってくるお母様もいますが、それは当然です。「慢性」の病気ですから、ちょっと良くなったからと言って、止めてはいけないのです。ただしその一方で、ある程度きちんと塗っていれば、自然に良くなる患者さんはたくさんいます。自然治癒、寛解((落ち着いてくること)が多いのも特徴ですから、あまりショックに陥ったり、泣いたりしないで下さい。「敏感肌でカサカサかいかいだから、軟膏塗ってきれいにしてあげよっ!」とか「良い所ばっかり似るわけじゃないし!」とか軽く考えて、せっせと塗ってもらえば、大部分の人は良くなってきます。ただし、一部の患者さんは小学生、あるいは思春期になっても治りきりません。その時は、本人と保護者の方が協力して、「塗って塗ってぬりまくって」ください。ステロイドが基本です。どの国の皮膚科テキストを見ても、ステロイドは基本と記載されています。そして、乾燥を防ぐために保湿剤を塗ること。さらには、痒みの範囲が広い場合には、かゆみを抑えるために抗アレルギー剤を飲むことも必要です。きっちり続ければ、ごく一部の人を除いて、かなり改善しますし、思春期前後までには寛解(落ち着くこと)する例が70%以上と言われています。
アトピーと言われるのが嫌で、「ただの乾燥だ。」とか「乳児湿疹だ。」などと言って、薬はしっかりステロイドを出している医者もたくさんいます。嫌なことを言っては評判が悪くなる、患者が少なくなる、などと、黒を白とごまかしているようではまともな診療はできません。言い方さえ考えれば、説明をきちんとすれば、判ってくれる人が大部分ですから、僕ははっきり言います。アトピーはアトピーなのです。そのうえできちんと理解して、病気に向き合ってほしいものです。なお、塗り方、回数、保湿剤の種類など、季節や状況によって、少しづつ変えてゆくのですが、詳しく説明するには、実際に診察することが必要ですので、受診してください。もう遅くなりました。ではまた。
カテゴリー: 2.感染症
投稿者: satohcli10-9
こんにちは。連日の雨で桜もところどころ散りかけてはいますが、この週末はまだあちこちで花見ができそうです。関東は春真っ盛り、ほんの少しの間に冬はどこへやら、遠く過ぎて行ったようです。さて、新学期も始まり、学校、幼稚園、保育園も新しいクラスに通い始める子供たち、屈託なく、楽しそうです。今日はこの季節にも多くみられる感染症の一つ、溶連菌についてお話ししましょう。溶連菌とは「溶血性連鎖球菌」という菌の略称で、代表的な感染症としては、咽頭炎、扁桃炎など、喉にくっつき、炎症を起こし、熱が出たり、腫れたり、喉が痛かったりするものです。
「なんだ、そんなのただの風邪と同じじゃん?」と言われそうですが、似てはいますが全然違います。普通の風邪、大多数はウイルスによるものですが、これらは放っておいてもまず大丈夫、自然に治ります。しかし、溶連菌は自然に治る場合も多いのですが、場合によってはとんでもないことが起こるのです。例えば、リウマチ熱と言って、多関節炎、心臓の広範な炎症などを合併したり、急性糸球体腎炎という腎臓の炎症を起こすこともあります。場合によっては一生涯抗生剤を飲み続けることになる患者さんもいます。しかも、こんなありふれた、しかも重大な感染症があちこちの病医院で見逃されてしまっているのです!!なんてこった!治療はペニシリンを10日間内服させる、というシンプルなものです。診断が問題です。これは溶連菌の所見ですよ、という明らかなものはなく、すごく腫れている、とか、喉の粘膜がとても赤くなっていて、ちょっとした擦り傷なみのようであるとか、まあ、溶連菌の患者を500人くらい見ればわかるよ、というような、あいまいで、感覚的な所見しかありません。ですから、ある程度怪しい場合は、必ず検査します。僕が知っているちゃんとした小児科医の人たちは、見逃さないよう検査をなさっています。喉の専門家であるはずの耳鼻科医が意外に見逃しているのが、とても残念です。
なお、日本の医学部および大学教育では、感染症の教育がなおざりになっています。大学に臨床の感染症内科医がいる病院はごくわずかです。僕の知る限り、筑波大にもいません。教育が十分でないので、師匠もだめなら弟子もダメ、という状況が僕の若い時からずっと続いています。感染症に興味や関心を持つ医師は、本当に少ない、というのが現実です。良い所もたくさんある日本の医療ですが、感染症については、多くの改善すべき点があると考えます。
すいません、ちょっと力が入りすぎ?ましたか。なお、以前のブログも、「カテゴリー」の中から呼び出してお読みになれます。皆さんが病気を知るうえで、少しでも参考になるようにと真面目に、考えながら書いているつもりです。最後に、溶連菌については色々な話が有りますので、、また別の機会にお話しします。読んでもらって、皆さんのために少しでもなればうれしいです。では、また。