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投稿者: satohcli10-9
みなさん、明けましておめでとうございます。お正月は開けましたが、どのように過ごしていましたか?我が家はクリスマスの後に上の子供たちがつくばに帰省してきたので、家でお正月を過ごしていました。その時、「ああ、やっぱり自分は年を取ったんだな。」と痛感した出来事が有りました。
それは仕事も終わった年末に、僕と子供たちとで肺活量を測定してみた時の事です。娘たちは大学生でも3000ml前後、高3の息子は5000ml,僕は55歳で約4000mlでした。その時、「えっ?なんで1000も違うの?(息子と、という意味です)昔は自分も5000は有ったのに!!」と少なからずショックを受けました。なんせ身長もほとんど変わらないし、あっちの方がややぽっちゃりだし(ただし、彼は中学、高校と硬式テニス部員でしたし、テニスは全くかないませんが)。ですが、冷静になって考えると、これは当然のことなのです。医学的な事実として、呼吸機能は年齢とともに必ず低下します。低下の幅が大きいか小さいか、その違いだけなのです。50歳を過ぎて、若い人と同じな訳は無いに決まっています。道理で、走っても全然追いつかないわけです。ボディが同じで、エンジンの排気量が1000ml違うと、まったく走りが違いますよね。理屈は十分わかっているはずですが、いざ自分のこととなると、こんな風に思ってしまうものなのですね。ちょっと恥ずかしいです。自分も「年相応」だと、つくづく思い知らされました。
ただし、中年の皆さん、僕たち中高年者の全てが若者より劣っているわけではありません!!例えば、筋力は意外に落ちないものです。また、がんばれば伸びます。自分を例に挙げれば、ダンベルを持つと、まだ息子より1.5から2倍の重量が上がりますし、数年前より明らかに腕、背中、胸の筋肉量は増えています(若い時に始めればもっと良かったと思いますが)。ボディビルダーも、全日本で上位の人たちは40歳代が多いです。50台の選手もいます。なお、ボディビルで大学日本一の選手はもちろん20代前半の若者ですが、例外なく、中年であるはずの彼らに筋量も、最大筋力もまったくかないません。瞬間的な筋力、筋肉の大きさ、太さはは若ければ良いという訳ではなく、数年どころか十数年、二十年近くかかって作ってゆくもののようです。
また、新しいことにまだまだ取り組める時期です。!NHKの子供向け教養番組「日本語で遊ぼう」の監修をしている斉藤孝明治大学教授も、「自分のことに時間が使えるようになる中高年者こそ、教養を高め、色々な新しいことにチャレンジできるものです」というようなことをおっしゃっています。若い時に読んだ本でもまた読み返すと新しい発見が有りますし、今まで読んだことのなかった作者やジャンルの本にも挑戦できます。さらに、あまり聞かなかったジャンルの音楽なんかも聞こうと思えば聞けるものです。若い時に比べ、物を知ってるつもりであっても、全てのことを知り尽くしているわけではありません。「ああ、なんで今まで読んでなかったんだろう、聞かなかったんだろう。」ということがままあるものです。ちなみに僕は、若い時にまったく読まなかった村上春樹さんと瀬戸内寂聴さんをここ2年ほどで「読み倒し」ました。また音楽は、もともと楽器を弾くので(ギター、ドラム、パーカッションなど少々)あれこれと(ジャズ、ラテン、民族音楽、ロックやフォークソングなども)聞いていましたが、なぜか昔は聞かなかった山下達郎やサザン、ユーミンなど80年代のJ-Popを今更のように聞いてます(過ぎ去った青春を懐かしんでいる、という一面もありますが)。
僕たちは毎年、一つずつ確実に年を取ります。それは或る年齢からは、余り嬉しいものとは言えないでしょう。ですが、それは仕方のないことですから、その中で「充実して過ごす」「受け入れながらも老け込まない。」ことは大事かなって感じます。ただし、怪しげな「アンチエイジング」には走らない方が良いと思います。若ければ良いってものでもないし、その年齢なりの良さ、さらにはその年になって初めて判ることって必ずありますよね(僕は若いうちは傲慢な人間だったので、昔はそんなことは全く判りませんでした。今思うととても恥ずかしいですけれど。)ミドル、あるいはシルバーエイジの皆さん、まだ人生は長短の差こそあれ、まだ自分の手の中にあります。この一年、家族や仕事のために使うことはもちろん大事ですが、自分の取り分もお忘れなく、充実させましょう、お互いに。
新年から取り留めのない文章になりましたが、今年もよろしくお願いします。
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投稿者: satohcli10-9
こんにちは。今日は寒くてあいにくの休日ですね。通りのプラタナス、公園のカエデなどの紅葉もそろそろ色あせ、落ち葉で歩道が色づいています。間もなく冬が訪れてきます。寒くなると急に上がってくることがあるのが血圧です。今日は血圧、中でも血圧とは何を測っているのかということと、血圧計について少しお話します。
まず皆さんご存知の血圧についてですが、これは血管内の圧力のことです。さらに、心臓が収縮したときに生じる圧のことを収縮期血圧(上の血圧)と言い、拡張したときの血圧を拡張期血圧と言います。また、それを体の外から測定できないかということで、ロシア人医師のコロトコフさんが考えた方法が、今、私たちが日常的に測っている「血圧」です。まず動脈を血液が流れないほど圧迫し、次いでその圧迫を少しずつ緩めてゆきます。するとあるところで血液の流れが再開し、トントンという音が聞こえます。その時の圧力が収縮期血圧で、さらに緩めると音がしなくなります。ここを拡張期血圧と言います。つまり、血管を圧迫し、その際に生じる音を聞いて、その時圧迫している圧力のことを「血圧」と言っているのです。自動血圧計はまたちょっと違って、圧迫をするのは同じですが、音ではなく、血液が流れる圧(脈圧)をセンサーで感知し、上下を決めています。圧迫を緩めてゆき、脈圧が急に上がったところが上の血圧で、圧迫が緩んだために抵抗が減り、低くなったところが下の血圧、という訳で、実は微妙に違うものを測定しているのです。だって片方は音で、もう片方は圧ですから。本来は音で判断することが望ましいとされていますが、人間の場合聴力、耳の良し悪しに左右されること、また機械に音センサーを付けたものも有りましたが、センサーの位置で精度が狂うことや雑音を拾うことなどもあり、現在は圧を測定するオシロメトリック法が主流です。ただ、聴覚が正常な人間と比べると、下の血圧が高く出る印象が有りますが、その一方機械の方が低く出る、という論文もあります。
僕は今のところ耳は悪くなっていないようで、下の血圧は機械より5~10mmHg低い所まで聞こえます。ですから外来では自分の測定値を優先してます。そこで昔循環器学会の会場で聞いた、笑うに笑えない話を一つ。10年以上前のことです。僕が血圧の発表をしている、比較的小さなセッションを聞いていた時、司会(座長と言います)の先生どこかの教授でしたが、聴衆者の中に高血圧の専門の他大学の教授を見つけ、「先生、何かご意見有りませんか?」と振ったわけです。その先生は発表についてコメントしてから、「ところで、うちの医局(大学病院)は、全部自動にしたんだ。なんでかというと、うちの大学の近くにうちと定年退職した元教授なんかが勤めてる病院が有って、そこへ患者が行くと、うちの若いやつが(医師のことです)血圧が高いよって言ってる患者にも、「良い血圧ですよ。」て言ってるんだ!あいつら聞こえてないんだよ!耳が悪くなってさ。(だから、その先生たちの測る血圧は当てにならない、ということです)」をおっしゃいました、会場は笑っていいやら悪いやら、年配の先生方は固まっていたようでしたが、さらにその先生は、「俺も年だから、当てにならないんだよ。」と続け、最後にダメ押し「あんたらも気を付けたほうがいいよ。」大先生らしく、誰も何も言えないままその場は終わりました。
日付が変わり、24日になりました。間もなく9時。雪が降っていますね。僕は子供みたいにうれしいです。ではまた。
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投稿者: satohcli10-9
こんにちは。今日は連休最後の日ですが、あいにくのお天気に。僕は受験生の親なので、さして遠出もできません。今日はこうして事務仕事と、夕方に少し運動をするつもりです。さて、先日「ためしてガッテン」という健康番組で(いつも見ているわけではなく、子供たちと暇つぶしに見ていました)、「血糖値スパイク」なる言葉を初めて聞きました。勉強不足ですいませんが、医学用語としては、「食後高血糖」が以前から使われているものですから。なお、医学的にはこの「食後高血糖」という言葉は以前からあり、糖尿病の前触れであることや病気のリスクとしては知られていましたが、「血糖値スパイク」それ自体がすでに病気であること、つまり、心筋梗塞、脳梗塞などの心血管疾患につながるということが判ったというのです。これは大変な話で、今までの検診や、食後に適当に血糖をチェックしただけでは判らない、ということになり、一層厳密な検査が求められているのです。さて、ではどうしましょうか?
まずは冷静にご自分のリスクを評価します。親族の糖尿病歴の有無、運動の習慣、体型、食事の量、内容などについてです。また、病院を受診した時には時々採血をしましょう、できれば食後2時間から3時間位までに採血するのが良いでしょう。その際に中性脂肪もチェックして、食後高脂血症も調べましょう。またその際には何をどのくらい食べてきたのかを医師に伝えるのが良いでしょう。なお、そこで、「そんなこと言われてもどのくらいのカロリーあるか判んないから。」とか、「ご飯食べない時に、改めて血を取りましょうね。」などといった医師がいたら、首絞めてやってください!医者変えましょう。
ところで、あの番組では大変重要なことが抜けていました。「グルコーススパイク(血糖値スパイク)」の原因として、インスリンが膵臓から十分な量が出ているのに、体の細胞がインスリンに対する反応が悪くなっているため、その結果血糖が上がってしまうと言われていました。これは医学的には「インスリン抵抗性」と言われ、血糖上昇の大事な原因の一つ(ここが重要)ではあります。しかし、日本人(さらには多分朝鮮民族、漢民族、モンゴル民族なども含めた東アジア人)の多くは、白人に比べてインスリンの分泌(生産)量が少なく、そのため太っていなくても血糖が上がりやすいのです。これは遺伝子レベルの問題で、日本人の約8割の人が白人に比べインスリンの分泌能力が約半分程度しかない、と言われています。ですから、大部分の日本人にとっては、誰でも「高血糖スパイク」に陥っている可能性がある、ということです。
ちょっと待って!そんな大事なこと、なんでテレビで言わないの?と思いますよね。まして、出演して解説していたのは順天堂大名誉教授の河盛先生、糖尿病の研究にかけては知らぬ者は無い、というほどの「大先生」です。僕でも知っていることですから、当然お話しなさらないはずはないのです。ということは考えられるのはただ一つ、放送時間の関係で、編集した際にNHKが削除したのだと思われます。そんなこと有るの?と思われて当然ですが、マスコミは適当にコメントや発言を切り貼りするものなのです。その結果、伝えるべきことの一部が伝わらなかったり、意味が全然違ったりすることはよくあるのです。まして、その分野の「素人さん」が編集するものですから、「トンデモ健康番組」になることはよく有るのです。医学関係者の間では、「ためしてガッテン」はみのもんたの健康番組と「同レベ」の内容だということで、たびたび糾弾されます。まあ実際はそこまでひどくはないでしょうが、構成の段階で、コメンテーターの確認位は取られたほうが良いと思いますね。なんせ「NHKですから!」
皆さんが十全の信頼を置いているテレビや新聞報道にも、理系の専門分野については時にずいぶんとお粗末な内容があることは、研究者の方々がたくさんおられるつくばでは時折耳にすることです。「研究内容について、記者発表の時いくら説明しても(出席した記者は)全然判んなくて、後で記事を見たら(自分たちが言ったことと)全然違うこと書いてるんですよね。」ということを、あちこちの研究所の方からお聞きすることがあります。なんにせよ、今回の放送はとても良い内容でしたので、片手落ちになってしまっているのは残念ですし、どこかで高名な先生がお話しされる機会が有れば良いのですが。
世の中には、みんなにとって何か有益な情報や、ぜひ知ってもらいたいことがあっても、そういうことに限ってなかなか正しく伝わっていないものですね。正しいことをみんなで分かちあうように、それぞれの立場で皆が努力することで、世の中は少しづつでも良くなるのでしょうか?あ、また話が大きくなってしまい、まとまりがつきません。今回の僕の言いたいことは、まず高血糖スパイクの存在と原因について、もうひとつは、大事なことをであっても、それが必ずしも正しく伝えられているわけではないようだ、ということです。ではまた、ごきげんよう。
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投稿者: satohcli10-9
こんにちは。もう10月ですね。この間夏になったと思ったらあっという間に秋になっていました。毎年この季節には、僕たちのクリニックではインフルエンザのワクチンを毎日打っています。午後2時半から3時半までの1時間、昼休みや午後の診療時間を30分削って、ひたすらワクチンを打っているのです。すでに土曜日は12月末までほぼいっぱい、平日も、10月の空きはわずかです。一般の診察時にも、例えば高齢者の患者さんには診察時に注射していますし、合わせると延べ1000本以上は打つと思います。
そう言うと、なんとなく「書き入れ時。」とか「儲かってますね(さすがにこの辺りでは、面と向かってこう言うストレートな物言いをする方はいませんが)」というイメージをもたれがちですが、僕たちからすると、そう言うポジティブなイメージはありません。むしろ「あー、なんか忙しいよね。」とか「毎日疲れるよね、昼休み短いし(休みなしで働いている皆さん、ごめんなさい。ですが、これ以上時間を詰めると僕も年になってきたので、午後の診療に間違いなく響くのです。)」というものなのです。
時には、せっかく僕たちのクリニックを信用していただき、予防接種を受けようとしても、すでにいっぱいでお断りすることがあります。そして毎年外来で繰り返す「先生のところがいっぱいで入らなかったんですよ!」「すいません。」「仕方ないのでよそで打ちました。」「ごめんなさいね、間に合ってなくて。」など。こうしたやり取りはなるべく避けたいので、僕としてはできるだけ頑張っているつもりですが、それでも希望される方全員に打てないのが現実です。すいません、皆さんの希望に添えなくて、この場を借りて、お詫びいたします。
ただし、かかりつけの患者さんにできるだけ不便をおかけしないように、例えば僕のクリニックでは、インフルエンザのワクチンのみ打ちに来る、いわゆる「一見さん」はお断りしてます。いつも来てくれる人にしか注射しません。また、流行っていない病院が客寄せのために、「デフレ価格」でやっているところを除けば、価格は抑えているつもりです(とはいえ、ヤマダ電機のように、きっちり周辺調査をしているわけではありませんが)。
インフルエンザの予防手段として、WHOも一番に推奨するワクチン。でも、医療機関にとっては医学的な要素以外で、悩み多き代物です。なお、当院では今月6日から、12月29日、年末まで行います。ご希望の方は、お電話あるいは直接窓口にてご予約を受け付けていますので、お早めにご連絡ください。ではまた。
明日が皆さんと僕にとって良い日でありますように。
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投稿者: satohcli10-9
こんにちは。台風が通過した今日はものすごく熱くなりましたね。昨日北海道から本州に戻ってきた僕には(とはいえ3日しかいませんでしたが)、少々強烈な暑さです。まだ青少年たちは夏休み。スポーツや野外活動の機会には、熱中症のリスクも伴いますので、しばらくは十分な注意が必要です。
さて、熱中症とは何か?高温の環境である程度過ごしたり、体を動かしていると、体の中の水分や、ナトリウムなどの塩分が主に発汗により失われます。また体温を下げるために末梢血管(体のすみずみに広がっている細かい血管)が広がり、熱を放出しようとします。そのため、血圧が下がったり、相対的に血液の循環する量が不足したりして、内臓(脳も内蔵です)や筋肉などに十分に血液が回らない状況になります。そのために起こるいろいろな障害、症状のことを熱中症というのです。ですから、熱いところにいる時にリアルタイムに起こりますので、例えばスポーツをしていて次の日に体調を崩した、または具合が悪い、というのは全然熱中症ではありません。
さて、熱中症は1度、2度、3度の3段階があり、緊急性、重症度が全く違いますので、皆さんも覚えていて損はないでしょう。以下、簡単に説明いたしますが、より詳しく知りたい方は、厚生省や環境庁のホームページなどもご覧ください。
まず1度は、めまい、たちくらみがある。筋肉痛、足やほかの筋肉がつる(こむら返り)これらは低ナトリウム血症によるものです。また、時には失神する場合もあります(意識は戻ります)。さらには大量に発汗(汗が出ること)します。この状況ではまだ明らかな体温の上昇はなく、深部体温(直腸などの温度)も38度以下です。これに対しては、安静、冷やす、水分と塩分の補給、これはただの水だけではなく、ナトリウムなどが入っているスポーツドリンクが良いです。あまり成分にこだわらず、量が必要です。
2度になると頭痛、吐き気、倦怠感、脱力感、判断力や集中力の低下が起こります。このレベルでは体温調節は上手くゆかなくなり、38度台の高体温となってきます。深部体温は38~40度となります。積極的に体を冷やす、十分に水分、塩分を取ることはもちろん重要ですが、自分であまり飲めないことも考えられますので、病院に受診させます。輸液(点滴)も必要なことが多いです。場合によっては入院しますが、その判断は、主に意識状態、症状の改善の程度などで判断します。
3度は最も重篤な状態で、体温調節が破たんしており、39度以上の高体温となります。意識がない、または低下しており、けいれんも起こることもあり、この状況では血液検査で肝臓、腎臓の障害、血液凝固機能の異常など、命にかかわるほどの異常も認めるようになってきます。すぐに病院に搬送し、集中治療室による管理が望ましいとされ、残念ながら当院では無理ですので、救急車でメディカルセンター、記念病院、土浦協同病院、(受けてくれれば大学病院もあり)などの3次救急病院での治療が必要です。要するに、熱くなりすぎるだけでも人間は簡単に死ぬことがある、こう覚えていて下さい。
いつも熱いならむしろ起こりにくく、急に暑くなった、湿度が高い、激しい運動や重労働、または熱い室内などで起こりやすいものです。さらに注意していただきたいのは、一人でいるときに起こると動けないままどんどん悪化してゆき、そのまま死んでしまい、後で発見された時には手遅れ、ということも多いのです。人通りの少ない夏の道をランニングしたり、一人で畑仕事をしたりする時は、前もって家族に声をかけたり、携帯電話を持っているようにするなど、助けを呼べるようにしておくことも大事でしょう。最近は、水分補給はみなさん気を付けていらっしゃるようですからここでは申し上げません。
夏の日差しを浴びて、外で何かをするのは悪いことばかりではありません。ただし、地球が温暖化し、僕が若かった頃(30年位前)より格段に夏は暑く、厳しくなっています。体調を崩さず夏を満喫できるよう、少しの慎重さ、注意深さが必要だと思いますが、いかがでしょうか?ではまた。
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投稿者: satohcli10-9
こんにちは。梅雨が明けて、外にはようやく夏らしい日差しが降り注いでいます。とは言え医師の仕事はデスクワークですので、家の中から夏空を眺めているばかり。たまには外に出たいものです。さて、先日の週末は二日間にわたり、ぜんそくの講演会に出席してきました。ぜんそくの薬を製造しているメーカーさんからの招待で、それなりの喘息患者さんがいる専門医限定の会でした。厳密に言えば僕は呼吸器内科医ではなく、しかも大人限定の薬の話題が中心だったので、出席者の中では異色の部類でした。
もちろん現在のぜんそく治療の中心はステロイド吸入薬であり、これなしでは治療が成立しませんので、これらの話題が中心となっていました。各社の薬剤、吸入器のつくりと特色など、イギリスから招待された喘息の権威や、日本を代表する喘息専門医の先生方による発表やディスカッションはとてもにためになり、勉強になりました。1日目の会場は数百人が入る大ホールで、大勢の参加者の一人、という気楽な立場で拝聴しておりました。ところが2日目の会場に着くと、一人づつのテーブルに置く名前の立札を渡され、変だな、と思いながら会場に入るとたった20人分の椅子!どんどん席が埋まると、大学の准教授、大病院の呼吸器科部長などに交じり、数人の開業医(みなさん僕より年配の先生です)。「なんか自分がミスマッチかな?」と思いつつ机を見ると、昔のクイズ番組に使うような丸い金属のプレートに数字が書いてあり、持ち手がついているものが1から5までの5枚。
この講習会も参加者限定の会で、講演の後に難治性の(治りにくい)症例が提示され、プレゼンテーションされた後、「さて、ご参加の先生方は、次にどの治療を行いますか?1から5までの中から選んでください。」と質問され、自分が選んだ治療法の番号札を上げる。次に司会の大学教授が口頭試問のように、「では、、、番を挙げた、、先生、その理由をお聞かせください。」と振ってきます。「なんだ妙なプレッシャーかかるな?」と思いながら答えを考えてゆきました。各参加者の答えが出そろい、回答に対する短い討議の後「正解」と解説が提示されました。あくまで、この治療を追加したらぜんそく喘息の経過がこのように改善して、現在こうしている、というものですから、他の治療法でも良くなった可能性が。ただ、最も妥当性のありそうな選択をするとこれでしょう、というもので、おかげさまで何とか全問「正解」し、また、その際には当院に通院している小児喘息やアスリートの患者さんの治療経験が役立ちました。ある回答について発言を求められ、それについて答えると(たまたま提示された症例に似た状況の患者さんがうちに数人来ていたので、考えやすかったのです)、「ほー、そういうことですか。」的なことで妙に感心されまして、(逆に恥ずかしいくらいでしたが)その場を何とか持たせられました。大学や基幹病院の呼吸器科医が主体の会なので、スペシャリストの参加者の方々でさえも、小児や運動選手の治療や診断のご経験は少ないようでした。何でもどうぞ、とりあえず診察します(でも得意分野に偏ってますが)という僕の開業医としての診療スタンスも、そういう点では、決して悪くないと思っています。
終了後は昔の友達と会って食事をし、(虎ノ門ヒルズにも初めて行きました。僕は北海道の田舎で育ったので、東京のような大きい建造物が立ち並ぶ所には未だに心身ともになじまないのですが、短時間なら大丈夫です)楽しい時間を過ごしました。子供にまだ時間がとられたり、平日に学会が多いため、仕事を休まないと参加できず(開業医に有給休暇はありません)、ついつい足が遠のいていますが、勉強し、アップデートしなければまともな医者ではありません。本でも、最近はWebでも勉強はできます。「継続こそ力、毎日勉強だ!(塾のキャッチコピーみたいですね)」これからも頑張りますので、よろしく。
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投稿者: satohcli10-9
こんにちは。今日は良い天気で、ここ関東でも梅雨明けかな?と思える暑い日でした。こども2名と(といっても大学生と高校生ですが)テニスを2時間ほどして、これはさぞダイエットに!と思ったらお昼はバイキング。運動した分はすっかりチャラになってしまいました(泣)。
今日は先日の続きをお話ししましょう。勢いで書いてしまったのですが、少々気が進まなくなっています。何故なら、一時収まっていた(寛解した、と言います)病気がまたぶり返し(再燃した、と言います)、2か月に一回注射していた免疫抑制剤に加え、ステロイドの錠剤を追加しなければならなくなったからです。僕の病気は要するに、昔風に言えば膠原病の一種、今は自己免疫疾患といいますが、その一種です。
病気の始まりは十年以上前でしょうか?今となっては始まりも定かではありませんが、めちゃくちゃ腹が痛くなって(胃腸に穴が開いた?と思ったことも数十回あるほどの痛みです)、出血し、2から4週間で血液の三分の一くらいが体から無くなったことも何度もある、という状況でした。「これはホントにこのままだと死ぬかな。でも仕事休めないし。」「まだ借金あるし、自営業だし、子供困るからなんとかしなくっちゃ。でもどうすれば?」などという毎日でした。一時的にステロイドを大量に飲むとおさまりますが、少しづつ減らしてゆくとぶり返してしまい、また初めからの量に戻って,ということを何年も繰り返していました。そのうちステロイドの副作用と(僕は1日20~40mgという大量のステロイドを数年間飲み続けていましたので)、ストレス(によるやけ食い?)で十数キロ太ってしまいました。開業医は基本一人(ボッチの仕事)ですし、変わって仕事をしてもらうわけにはゆきません。自分と患者さんとはかなりパーソナルな関係(大病院の外来に比べると)であることも多く、診療技術が仮に同等だからと言って、僕はこのクリニックの、僕の仕事をほかの医者にやらせることを良しとしません。それくらいこのクリニックにはこだわりがありますし、ここにはぼくの良くも悪くもすべてが反映されているからです。とはいえ、患者さんも多くなってきていることに加え、うちは子だくさんで、しかも次々受験やいろいろ手のかかる年齢に差し掛かり、一日働いて、そのあとも休み無しでした。今思い返しても、本当につらかったです。
「痛い。」というのが目に見えたり、数字に表わせたらどんなに便利でしょう、と思いますよね。そうすれば、患者さんももっと楽になれるでしょうに、と思います。自分がどの位痛いのか、日常生活にも差支えているのか、家族や周りの人に伝えても仕方ないので、我慢するしかありませんでしたね、でも、きっと余裕が無くて、嫌な感じだったかもしれませんね、自分では気を付けているつもりでも。「先生、少し仕事休んで入院したほうが。」と当時の担当の先生に言われたこともありますが、「すいません、自営業で、代わりがいないから休めないんです、すいません。」といつも返答してました。
こんなしょうもないことを繰り返しているうちに収拾がつかなくなり、ついに免疫抑制剤の一つを試すことになりました。ですが、それが何故か胃に全然合わなくて、それでも我慢していたら2か月たたないうちに肝臓がへばってしまい、これ以上続けると危ないほどの肝機能障害になってしまい中止。すると間もなくレミケードというリウマチなどで使われていた薬が僕の病気に使えるようになり、本当にワラをもつかむような気持ちで投薬してもらいました。当時はとんでもなく高額でしたので、そこで初めて難病患者の申請をし、定期的に注射するようになったのです。それが僕には劇的に効いてきて、一切の症状がほぼ消えました。「こんな楽なのは10年ぶりくらいかな?」日常にも余裕ができてきて、「この腹で死ねるか!目指せ72kg!」などどパソコンのモニターに張ったりはじめしました。同時にダイエットと筋トレをするようになり、86kgから69kgまで落としました。そして今に至っています。また少々体重が増えてしまいましたが、筋トレのおかげで、その増えた体重の少なくとも半分は筋肉です。
この病気は僕の場合には完治はしないようですが、小康状態にはなっています。今は普通の人同様に、何でも食べられますし、運動も出来ます。体に不自由なところは何もありませんので、本当にラッキーです。そう思って暮らしています。ただし、免疫抑制剤にステロイドですから、当然さまざまな感染症にはかかりやすくなっています。添付文章(注意書きです)には、致命的な感染症にかかることがあるなどと書いていますし、免疫低下状態でこの仕事?という気もしますが、ほかに仕事ができないので、僕はこうして死ぬまで開業医をやっていると思います。
世の中にはたくさんの治りにくい、あるいは治らない病気がたくさんあります。「何が原因で?」「直らないんですか。」多くの人がそう思うでしょう、そうした病気になったら。ですが、考えても仕方がないことが、この世の中にはたくさんあると思ってあきらめるしかない、その様なことも、生きている間には結構数多くあるものだと僕は思います。その中でどうやって生きてゆくかで、大げさに言えば人としての鼎の軽重が問われてくるのだと思います。でも、痛くて苦しいのは誰しも嫌ですよね、そんな時のために医者がいるのだと思います。これを読んでくれている方や、そうでない方も、何でも言ってくだされば、僕は少しでもお役にたてるように努力しますし、また、そうでなければ医者じゃない、と思っています。
今日はちょっと力が入りすぎ?でしたか?長くなったので、このくらいにしておきます、ではさようなら。
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投稿者: satohcli10-9
こんにちは。梅雨も後半ですね。あとひと月足らずで夏がやってきます。北の国出身の僕は夏が苦手、ではなく、むしろ暑い夏が好きです。大好きな虫取りができるし、海、山も暑いほうがしっくりくるでしょう?!80年代の若者だった僕は、山下達郎やサザン、ユーミンの曲が似合う暑い夏が今でも好きです。ただし、エアコンなし、というわけには行きませんがさて、ぼくは仕事柄皆さんの病気についてよく見聞きして、知っています。でも、みなさんは、僕が病気をするものなのか、それとも丈夫で、病人の痛み、苦しみも判らないのか、どんな風に見ていらっしゃるでしょうか?実は、僕は生まれてから今まで、かなり病気がちの人生を送っています。アレルギーがあるのはもちろんですが、「よく生きてたな。」と思うような経験もしているのです。今日はそんなお話を少々してみましょう。
まず第一に、僕は子供のころから畳に布団を引いて寝ると必ず、くしゃみ、鼻水、さらに咳が出ました。今考えるとダニ、ハウスダストアレルギーなのは判りますが、当時はそのような診断をされたことはありませんでした。さらに、開業して2年ほど、カビっぽいコンクリート住宅に住んでいたのですが、ついにぜこぜこし始めました。その後はアドエアなどの世話になっております(泣)。
次は中一の時。初めはただの風邪をひいたのでしょうが、無理して登校して、熱が上がるとちょっと休んで、ということを繰り返しているうちに妙に朦朧として、ふらふらしてきました。「これはやばいな。」と思い地元の総合病院へ。「これはだめだ、入院だね。」と言われましたが、頭も働かず、状況がよく呑み込めなかったので、「え、いつ入院ですか?」と尋ねました。「今だよ今すぐ!」と怒られ、とりあえず実家に電話して即入院。その後約3日間意識が飛んでいましたので、やはり相当まずい状態だったのでしょう。またその当時はあまり抗生剤もパッとしなかったのでしょう、退院まで3週間かかりました。ただ、学校帰りに友達が次々と見舞いに来てくれたのと、付属の看護学校の生徒さんが二人、よく部屋に来てあれこれお話ししてくれたのが嬉しかったものです。(今思うと、彼女たちは高校生くらいだったのでしょう。若い男の子がひまヒマそうにしていたのでかわいそうに思ったのでしょうか?)
今度は中3の冬、クリスマス前に体育でちょっとしたけがをして近くの整形外科へ。軽い肉離れ、というつもりが、偶然かけたレントゲンで、骨盤にありえない影が映っているとのことで親が呼ばれ、大きい病院で検査することに。しかもそれが国立札幌病院(北海道がんセンター併設)でしたので、さすがに「これはやばい。」と思いお先真っ暗に!その当時から医学部志望で、結構あれこれ本だけは読んでいたので、骨の悪性腫瘍はその当時ほとんど助からないこと、抗がん剤や放射線もあまり効かないことは何となく判っていました。また当時、進行がんにも効果があるという「丸山ワクチン」の本がベストセラーだったので、「骨肉種なんかだったら足切っても無駄だから、丸山ワクチンでも頼んで打ってもらおうかな。」などと考えておりました。そして病院にてあれこれ検査。その後「ご両親の方お入りください。」とのこと。しばらく出てこないので、「ああ、やっぱりだめじゃん。」とあきらめの境地に。やがて両親が出てくると、母などは「良かったね、悪いものじゃないって!」と泣いたりしていましたが、ドラマでもよくある話なのでかえって怪しく聞こえ、信用できずに診察した整形外科部長の部屋へ入りました。すると正面に座っていた先生がくるりと後ろを向いて、「ふーっ。」「あ、やっぱりだめなこれは。」と思うと先生が振り返り、「これは治るから、大丈夫。」とのこと(だったら紛らわしいリアクションすんなよ!)と思いましたが、ここは患者ですので、「ありがとうございました、よろしくお願いします。」
年明けすぐ入院して手術。入院が約2か月の予定だったので、高校入試と重なるかも、ということで入院先で試験を受けるという特例の手続きも取ることに。手術はお尻のほうから20センチくらい切って腫瘍と骨をえぐって取ったので、術後しばらくは痛くてまったく座れず、仰向けで寝てるしかありません。おかげで書くことがほとんどできず、読むだけ勉強でしたし、さらに消灯が9時でしたので、受験生とは思えない生活でした。毎日ゆるゆると過ごしていましたが、やがて、僕とそのほかの患者さんとの間には越えられない溝があることに気づきました。それは、僕の入院しているこの外科病棟では、僕を除く全員が悪性腫瘍の患者さんだったということです。患者さんの半分以上が手、足を切断しており、手足が全部揃っている人は転移して取りきれない人。抗がん剤治療の方は髪の毛がなくなり、免疫が落ちてしまったので、感染予防のため個室に入ってました。また、当時の放射線治療は周りの健康な部分も焼いてしまうらしく、「放射線は嫌だー。」と泣きながら連れられて行った子供の声が響いたりしてました。僕が入院している間、治って退院した人は無く、状態が悪くなる、個室に移動、いつしか居なくなっている、ということが繰り返されていました。
僕は思ったより傷の回復が早く、2月末に退院が決まりました。それを聞いた隣の病室の男の子が(10歳にもならない子でした)「良いね、もう帰っちゃうんだ。」と言ってきました。その子は9か月間入院していて、帰れる見込みがないとほかの大人の患者さんから聞いていましたので、「うん、悪いね、短くて。」としか言えませんでした、なんだか申し訳ない気がして。やがて退院してすぐ高校受験、まあ合格して何かの間違いで男子校へ。病気のことなどすっかり忘れ、遊びすぎで浪人。筑波大へ合格するも全く反省なく遊びすぎ。その後色々有りましたが医者になり、ストレスフルで、つまらない研修医生活を数年過ごしました(今は改善されているようですが、いろんな意味で)。大学病院、関連病院などの雰囲気に強い違和感を感じて北海道の僻地に行ってしまいましたが(僕は自分の中ではアンチ体育会系で、団体スポーツを自分ですることが嫌いです。ですから、大勢で団体行動をとるような仕事をしなければならない病院勤務が非常に嫌だったのは、そういったことが大きいのかもしれません。なんせ、趣味のスポーツはスキー、テニス、筋トレですから.完全に一人でできるものばかり。ただし、体育会系の人で好きな人はたくさんいます、というのが複雑なところですが)地域住民の意識、医療、医師に対するよくわからないネガティブな認識にも閉口し、「やっぱり(話の通じる患者さんのいる)つくばで開業だ!」となりました、一人で決めました。初めは本当に誰も来ませんでしたが、まじめに、一生懸命自分の仕事をし、毎日診療しているうちにわかってくれる患者さんも増え、今のような状況になりました。しかし、好事魔多し、という訳では無いでしょうが、またとんでもないことが起こり、現在進行形なのですが、それは次回の話に。
書いていて、忘れていたことをいろいろ思い出してしまいました。この間に、幾人かの好きだった子に振られたり、父が51歳で亡くなったりしています。こちらのほうが自分の病気よりショックでしたね。まあ、人間生きていると、いろんなことがあるものですね。ではまた。
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投稿者: satohcli10-9
おはようございます。いまだにインフルエンザが出ていますね。2週間くらい前は春日、今は二の宮地区で発生しています。今シーズンかからなかった方、まだ狙われていますので、高熱、だるさ、関節や筋肉があちこち痛む、あるいは吐き気、胃の痛み(B型は時に胃腸炎症状を引き起こします)などあれば、ひょっとしてインフルかもしれませんので、ご注意を。
ところで、細菌やウイルスなどの病原体に感染すると(固い表現ですいません)、熱が出たりします。これをどうするか?下げたほうが良いの?我慢したほうが良いの?ちょっと悩みませんか?「熱は体が菌やウイルスと闘いやすくするために出ているのだから、下げると治りが悪い。」とか、「熱が高いと脳みそに悪い影響がある、心配。」とか考えたり、聞いたことはありませんか?よく考えてくださいね?どちらもうそです!だいたい、40度かそこらで菌やウイルスが弱るなら煮沸消毒は不要です。風呂に入って温めたらどうでしょうか?(笑)この考えは、発熱のメカニズム、要するに、熱が出る仕組みが分からなかった30年位前の、昔の医学の考え方から来ています。いわゆる病原体に感染すると、白血球の一部から(単球、マクロファージと呼ばれる成分です)からサイトカインと呼ばれる物質が放出され、それが脳にある視床下部という体温を調節する中枢に働き、体温が高くセットされ(エアコンの設定を変えるようなものです)そして熱が出るのです。では、これに意味があるかというと、体に良い反応だという証拠はなく、「ただ熱が出る」だけなのです。
現在でも、基礎医学のテキストには、発熱は感染に対して、いくつかの有益な反応をする、と言ったことが書いてあることも(例;ブラック微生物学 第2版)。しかし、臨床医学(実際の医療現場では)ではそうした証拠はなく、例えば、「解熱薬の使用が感染症の回復を遅らせるという証拠はなく、感染からの回復や、免疫システムに補助的に作用するという証拠も存在しない、よって、発熱やそれに伴う症状を治療することは、感染症の治療を遅らせたり、妨げたりしない。」(以上、ハリソン内科学 第3版)
と言うように、世界で最も信用されている内科書でこのように言い切っています。ですから、僕は熱が出たり体が痛くなったりしたら、迷わず解熱剤を飲みます。ただし、子供の場合はその種類に注意が必要です。13歳まではアセトアミノフェンか、せいぜいブルフェンが使えるくらいです。また、熱が出たからと言って、1日3回解熱剤を飲むのも間違いです。大した症状がなければ飲む必要ありませんし、まして、一時的に体温が39度になったくらいで脳が溶けたり、ダメになったりは、感染症の場合はありません。脳炎や、髄膜炎など、脳細胞がウイルスや細菌によって直接破壊されたり、あるいは新型インフルエンザなどによるサイトカインストーム(免疫過剰状態の一種です)で脳細胞が壊されると、発熱と脳の障害が同時に起こることがあります。しかし、それは熱によるものではありませんので、誤解しないで下さい。
今回のお話は、少しなじみのない言葉が出てきて読みにくかったでしょうか?病気の正しい理解には、きちんと詳しくお話ししようとすると、時にかなり難しい内容で、医学、生物学の基礎知識が必要なことがあります(あえて言わせていただけば、医学部に入ってからの勉強は、入試より大変です)。ですから短時間で説明することが困難な話題、内容も医学にはたくさんあります。そのあたりはご了解ください。ではまた。