5月のさわやかな日差しの中、外に出ると、なんというわけではないけれども気持ちが明るく、いつもと変わらない景色の中を歩く、そんなことでさえ、足元が心なしか軽くなっているような気がするこの季節。しかし、そんな時でもある種の花粉は人々を襲ってきます。それは、ハルガヤ、カモガヤ、芝生など、イネ科雑草とも呼ばれる草草の一団。5月の初め、ようやくヒノキ花粉が終わったころから7月中旬の梅雨明けまで、外に出るとくしゃみ、鼻水、目の痒みが出現します。名前を言われてもどんな植物なのか、ほとんどの人は判らないでしょう。写真を見せて、「こんなのどこにでも生えているでしょう?」というと、「ああ、確かに。」とか「こんな草で花粉症になるんですか?」とか、みなさん言います。なるんですよ、いわゆる、どこにでも生えている雑草で!
これらは大部分が、明治時代にヨーロッパなどから牧草として持ち込まれた、いわゆる帰化植物です。だからどうという訳では有りませんが、これらが日本中に広がり、毎年人々が大量に花粉にさらされているうちに、アレルギー反応を起こすようになってしまった、ということです。ちなみに、日本のスギは日本固有種で、海外にはありません。ですから、海外から来たからといって、それが特別悪いわけではありません。なお、これらイネ科雑草のアレルギーは意外に早くから発病し、患者さんの過半数は、子供のころから発症します。また、外でスポーツをする子供は特に多い印象があります。現に、サッカー、野球、テニスなどのクラブチームや部活で活動する子供や中高生が、今の季節にはたくさん外来に来ます。たくさん走るスポーツですから、練習や競技中は絶対にマスクはできません。花粉症眼鏡も、サッカーやラグビーの競技ではかけられず、従って、抗アレルギー薬を飲み、まめに目薬をつけるしかありません。
我慢は禁物。鼻が出て、目が痒ければ試合にも練習にも集中できませんし、走るのも苦しいし、ボールの見え方も悪くなります。「なんだか目をこすって。」とか、「外にでると鼻出てるんだよね。」などがあれば、一度受診をお勧めします。一般的に、アレルギー性鼻炎が自然治癒する可能性は1~5%以下と思われますので、何か画期的な治療法が現れるまでは毎年同じように発症し、同じように治療する、といったことになります、やれやれ。
それとは全く関係ないことですが、僕は昨日(13日朝にこれを打ってます)55歳になってしまいました。生きているのは嬉しいですが、年を取ること自体はうれしいとは思いません。ですが、個人的には若いころに戻りたいとか、もう一度生まれ変わって、とは思いません。だって、若いころはあとで考えると愚かしくて恥ずかしいことをいっぱいしていたり、世の中で軽く見られたり、いろんな意味で余裕がなかったでしょう?今風に言えば、「黒歴史」がいっぱいで、思い出したくないことも多いのです。まあ、今となっては懐かしいことですが。
皆さんはいかがですか?若いときに戻りたいですか?ではまた、お会いしましょう。