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June 2016 の投稿一覧です。
カテゴリー: 総合
投稿者: satohcli10-9
こんにちは。梅雨も後半ですね。あとひと月足らずで夏がやってきます。北の国出身の僕は夏が苦手、ではなく、むしろ暑い夏が好きです。大好きな虫取りができるし、海、山も暑いほうがしっくりくるでしょう?!80年代の若者だった僕は、山下達郎やサザン、ユーミンの曲が似合う暑い夏が今でも好きです。ただし、エアコンなし、というわけには行きませんがさて、ぼくは仕事柄皆さんの病気についてよく見聞きして、知っています。でも、みなさんは、僕が病気をするものなのか、それとも丈夫で、病人の痛み、苦しみも判らないのか、どんな風に見ていらっしゃるでしょうか?実は、僕は生まれてから今まで、かなり病気がちの人生を送っています。アレルギーがあるのはもちろんですが、「よく生きてたな。」と思うような経験もしているのです。今日はそんなお話を少々してみましょう。
まず第一に、僕は子供のころから畳に布団を引いて寝ると必ず、くしゃみ、鼻水、さらに咳が出ました。今考えるとダニ、ハウスダストアレルギーなのは判りますが、当時はそのような診断をされたことはありませんでした。さらに、開業して2年ほど、カビっぽいコンクリート住宅に住んでいたのですが、ついにぜこぜこし始めました。その後はアドエアなどの世話になっております(泣)。
次は中一の時。初めはただの風邪をひいたのでしょうが、無理して登校して、熱が上がるとちょっと休んで、ということを繰り返しているうちに妙に朦朧として、ふらふらしてきました。「これはやばいな。」と思い地元の総合病院へ。「これはだめだ、入院だね。」と言われましたが、頭も働かず、状況がよく呑み込めなかったので、「え、いつ入院ですか?」と尋ねました。「今だよ今すぐ!」と怒られ、とりあえず実家に電話して即入院。その後約3日間意識が飛んでいましたので、やはり相当まずい状態だったのでしょう。またその当時はあまり抗生剤もパッとしなかったのでしょう、退院まで3週間かかりました。ただ、学校帰りに友達が次々と見舞いに来てくれたのと、付属の看護学校の生徒さんが二人、よく部屋に来てあれこれお話ししてくれたのが嬉しかったものです。(今思うと、彼女たちは高校生くらいだったのでしょう。若い男の子がひまヒマそうにしていたのでかわいそうに思ったのでしょうか?)
今度は中3の冬、クリスマス前に体育でちょっとしたけがをして近くの整形外科へ。軽い肉離れ、というつもりが、偶然かけたレントゲンで、骨盤にありえない影が映っているとのことで親が呼ばれ、大きい病院で検査することに。しかもそれが国立札幌病院(北海道がんセンター併設)でしたので、さすがに「これはやばい。」と思いお先真っ暗に!その当時から医学部志望で、結構あれこれ本だけは読んでいたので、骨の悪性腫瘍はその当時ほとんど助からないこと、抗がん剤や放射線もあまり効かないことは何となく判っていました。また当時、進行がんにも効果があるという「丸山ワクチン」の本がベストセラーだったので、「骨肉種なんかだったら足切っても無駄だから、丸山ワクチンでも頼んで打ってもらおうかな。」などと考えておりました。そして病院にてあれこれ検査。その後「ご両親の方お入りください。」とのこと。しばらく出てこないので、「ああ、やっぱりだめじゃん。」とあきらめの境地に。やがて両親が出てくると、母などは「良かったね、悪いものじゃないって!」と泣いたりしていましたが、ドラマでもよくある話なのでかえって怪しく聞こえ、信用できずに診察した整形外科部長の部屋へ入りました。すると正面に座っていた先生がくるりと後ろを向いて、「ふーっ。」「あ、やっぱりだめなこれは。」と思うと先生が振り返り、「これは治るから、大丈夫。」とのこと(だったら紛らわしいリアクションすんなよ!)と思いましたが、ここは患者ですので、「ありがとうございました、よろしくお願いします。」
年明けすぐ入院して手術。入院が約2か月の予定だったので、高校入試と重なるかも、ということで入院先で試験を受けるという特例の手続きも取ることに。手術はお尻のほうから20センチくらい切って腫瘍と骨をえぐって取ったので、術後しばらくは痛くてまったく座れず、仰向けで寝てるしかありません。おかげで書くことがほとんどできず、読むだけ勉強でしたし、さらに消灯が9時でしたので、受験生とは思えない生活でした。毎日ゆるゆると過ごしていましたが、やがて、僕とそのほかの患者さんとの間には越えられない溝があることに気づきました。それは、僕の入院しているこの外科病棟では、僕を除く全員が悪性腫瘍の患者さんだったということです。患者さんの半分以上が手、足を切断しており、手足が全部揃っている人は転移して取りきれない人。抗がん剤治療の方は髪の毛がなくなり、免疫が落ちてしまったので、感染予防のため個室に入ってました。また、当時の放射線治療は周りの健康な部分も焼いてしまうらしく、「放射線は嫌だー。」と泣きながら連れられて行った子供の声が響いたりしてました。僕が入院している間、治って退院した人は無く、状態が悪くなる、個室に移動、いつしか居なくなっている、ということが繰り返されていました。
僕は思ったより傷の回復が早く、2月末に退院が決まりました。それを聞いた隣の病室の男の子が(10歳にもならない子でした)「良いね、もう帰っちゃうんだ。」と言ってきました。その子は9か月間入院していて、帰れる見込みがないとほかの大人の患者さんから聞いていましたので、「うん、悪いね、短くて。」としか言えませんでした、なんだか申し訳ない気がして。やがて退院してすぐ高校受験、まあ合格して何かの間違いで男子校へ。病気のことなどすっかり忘れ、遊びすぎで浪人。筑波大へ合格するも全く反省なく遊びすぎ。その後色々有りましたが医者になり、ストレスフルで、つまらない研修医生活を数年過ごしました(今は改善されているようですが、いろんな意味で)。大学病院、関連病院などの雰囲気に強い違和感を感じて北海道の僻地に行ってしまいましたが(僕は自分の中ではアンチ体育会系で、団体スポーツを自分ですることが嫌いです。ですから、大勢で団体行動をとるような仕事をしなければならない病院勤務が非常に嫌だったのは、そういったことが大きいのかもしれません。なんせ、趣味のスポーツはスキー、テニス、筋トレですから.完全に一人でできるものばかり。ただし、体育会系の人で好きな人はたくさんいます、というのが複雑なところですが)地域住民の意識、医療、医師に対するよくわからないネガティブな認識にも閉口し、「やっぱり(話の通じる患者さんのいる)つくばで開業だ!」となりました、一人で決めました。初めは本当に誰も来ませんでしたが、まじめに、一生懸命自分の仕事をし、毎日診療しているうちにわかってくれる患者さんも増え、今のような状況になりました。しかし、好事魔多し、という訳では無いでしょうが、またとんでもないことが起こり、現在進行形なのですが、それは次回の話に。
書いていて、忘れていたことをいろいろ思い出してしまいました。この間に、幾人かの好きだった子に振られたり、父が51歳で亡くなったりしています。こちらのほうが自分の病気よりショックでしたね。まあ、人間生きていると、いろんなことがあるものですね。ではまた。
こんにちは。つくばはとても暖かく、初夏の心地よい日差しが降り注いでいます。ずっとこんなお天気が続くと幸せですよね、でも、間もなく梅雨空が広がる季節がやってきます。関東の梅雨入りは
例年6月8日前後ですので、あと4,5日しかありません。困ったものです、まったく!
というと「医者と梅雨と何の関係があるんだい?」と言われそうですね?かかりつけの患者さんはご存知と思いますが、僕のようなアレルギーを診療する医者や、ダニアレルギーの患者さんには大いに関係があるのです。だって、梅雨時の日本は(北海道と一部高原地帯をのぞいて)高温多湿な気象条件となり、室内で猛烈にダニ、カビが繁殖、増殖するのです。と言うわけで、喘息や鼻炎が悪くなりやすいのです。梅雨、というと何か風情のある「良きもの」のようにも、、情緒のあるもののように聞こえますが、はっきり言って迷惑千万。これは温帯の天候ではありません。降水量の多さときたら、アフリカや、東南アジアのような、いわゆる「雨季」です。少なくても先進国の天候ではないですから。さらに、それに続く猛烈な夏の暑さ(東京のほうが那覇より暑いときも多いです)のために、関東から九州までの太平洋沿岸地域は、世界で最も室内のダニが多い所になっています。なんせ、東南アジアの国々より東京のほうがダニが多いくらいですから。「ああ、なんてこった!」ですね、ホントに。
ですから、ダニアレルギーの方、特に小児喘息の方は咳、喘鳴、呼吸困難が悪くなって、たびたび受診することになってしまうのです。さらに、大気の状態が不安定となり、朝夕の低温、低気圧の接近と通過などでも喘息は悪化しますから、この時期は良いことがありません。「空梅雨だとよいですね。」「早く梅雨が明けると良いですね。」というのは、ただ晴れて欲しいと言うだけではなく、そういった患者さんたちにとっては本当に切実な問題になってくるのです。
対処としては、前もって治療を受ける、すなわち薬を使っておくこと。また、掃除は常識の範囲で行うこと。さらに大事なことは、室内の湿度、温度を低めに保つこと。室温は6月なら25度以下、湿度はできるだけ下げて、最高でも60%くらいが望ましいのですが、気象条件、建物の状態によっては難しいかもしれません。電気代はかかってしまいますが、喘息、アトピーなどの悪化を防ぐためのコストだと割り切ってください。それが嫌でしたら、薬を「てんこ盛り」にして差し上げても良いのですが、それはできるだけ避けたいので、ぜひやってみてください。
>間もなく梅雨です。この週末お天気が良ければ、貴重な晴れ間を楽しんでください、ではまた。