こんにちは。出かけていたので一週空いてしまいました。いつの間にか春めいて、ここつくばでは木蓮の花が咲いていますね。桜も咲き始めたようで、僕の生まれた北海道とは全く違う春の景色です。
さて、今回も食物アレルギーの話をします。食物アレルギーは、積極的な治療法があるのか?ということについてですが、最近マスコミなどでは、少しづつ食べさせて慣らしてゆき、いずれは食べられるようにする、いわゆる経口免疫療法が主流であるかのように言われています。しかし、これは全くの間違いであり、未だに実験的に一部の医療機関で研究レベルで行われている治療法である。よって、一般診療で行うことは推奨しない(食物アレルギー診療ガイドラインより一部改編)。となっています。筑波メディカルセンターで行われていた理由は、前部長の市川先生が、日本を代表する小児喘息の専門医の一人であり、先進的な治療を自ら行わなければならない立場でいらっしゃったためです。アメリカの食物アレルギーガイドラインにおいても、「一部の症例においてはこの治療の効果を認めるが、エビデンスは低く、専門家の意見としては推奨しない。その理由としては、安全性の確保が十分でなく、一度摂取可能となった食品についても、運動時、ウイルス疾患(風邪、インフルエンザ、胃腸炎など)に罹った際にはアナフィラキシー反応を含む全身性の反応が時に出現する。」ということが挙げられています。さらに、この療法を積極的に行っている病院の一つである、大阪市立病院が数年前に学会発表した論文でも、「免疫療法がどの患者に安全に行えるか、未だに事前に判定する手段がない。」とあります。ですから、この治療法に期待なさっている患者さんとその家族には大変残念ですが、なかなか安全確実に治る方法は、今のところないのが現実です。また、どんな抗アレルギー薬や、ステロイド剤を飲んだとしても、アレルギーが起こる食べ物は、食べられないのです。せいぜいアレルギー症状を押さえはしますが、安全に食べられはしません。ですから、今のところは、他に良い治療法や、安全にできる免疫療法が出てくるのを待つしかありません。
今日はがっかりさせてしまうお話でしたが、誤解したままでは非常に危険な問題ですので、あえて書きました。ではまた、お元気でお過ごしください。