高血圧、高脂血症、高コレステロール血症、痛風、糖尿病など、いわゆる体の代謝の異常のために何かが高くなってしまう (血糖、尿酸、コレステロールなど)病気、あるいは状態をこう呼びます。最近は「生活習慣病」と呼ばれることが普及していますが、僕はこの言葉は非常に誤解されやすく、また、病気の原因の一部しか表していないので、間違っていると言えますし、また、自分は嫌いです。
まず、これはここ十年くらい言われる、「自己責任」(何とも都合よく、またいやらしい言葉です)という言葉とセットになり、「だらしない生活をしているから病気になるんだ!!」「好きなもの食って太って病気になっているんだから、自己管理もできないしょうもないやつ!」とか「そんな奴のために保険料払っているんじゃねー!」(どこかの財務大臣?)などなど。
馬鹿言ってるんじゃねー!はこっちのセリフです。だいたい、コレステロールや中性脂肪が高いかどうかは、遺伝子レベルで大部分は決まります。また痛風の一番のリスクは飲酒でも肥満でもなく、遺伝子異常による腎臓からの尿酸排泄低下です。糖尿も、日本人では80%の人が白人に比べ、血糖を下げるインシュリンを作る働きが半分しかなく(日本人かわいそー!!)それはやはり染色体異常であると数年前に解明されたのです。
「なんだ、おれの(私の)せいじゃないじゃないか!」半分はその通りです。例えば、当院の糖尿病、高脂血症、痛風、高血圧の患者さんは、50%以上が標準体重で、喫煙率も10%位です。運動もできる範囲でしている人がほとんどですから、これで「お前のせいだ」とか言われたら、一体どうすれば良いのでしょう、まさに、泣きっ面に蜂、です。
僕はあえて言いたい、この言葉を提唱した先生方やそれを喧伝したマスコミは、記者会見でもしてそれを修正すべき責任があります(新聞の話ではないですが)。これら「生活習慣病」とひとくくりにされた多くの患者さんは、勉強不足の医師、栄養士、さらにはいわゆる「健康な」人々からのいわれなき中傷に泣いています。困っています。
さらに、体に良いと言われることさえしていれば、みんなが元気で長生きするという妄想、幻想をも与えた罪も大きい。そんな単純なものではないことは偉い先生方は当然ご存じなはずですが、彼らほど医学知識がなく、また長生きする遺伝子(これもあるだろうと言われています)も持っていないであろう多くの一般市民を惑わしています。

また熱がこもりすぎ?てしまったようですが、言いたいことはお判りでしょうか?病気になるのは、多くは偶然や生まれつきのものも多く、気を付けていれば、自分がしっかりしていれば病気にならない、などと言う考えは単純で、幼稚すぎます。とても一人の「おとな」としてどうよ!ということです。ただ、開き直って、「どうせ何食っても太るんだ!」「好きなもん食って、早く死んでもいい!!。」というのはお止め下さい。仕事柄そんな人はたくさん見てきましたが、それで最後まで通せた人には、ほとんどお会いしたことはありません。みなさん「こんなことだったら。」「もう少しなんとかしてれば。」と手遅れになってからおっしゃいます。
まとめ1:生活習慣病はある意味嘘くさい病名。遺伝子、要は体質の要素がかなりを占める場合が多い。ただし喫煙は体質ではなく、本当に生活習慣。
    2:体質や、さまざまな意味で人間は不平等にできているが、嘆いたり、開き直っても仕方ないので、せめて体に良いことはしていて損にはなりません。      以上。