おたふく流行っていますが (2016/01/24)
投稿者: satohcli10-9
こんにちは、しばらくぶりの更新です。
昨年からおたふくが流行っていますが、意外にこれが複雑な病気なので、少し勉強しましょう。
症状としては、ほっぺたのやや上が腫れて痛い、というシンプルなものがほとんどです。そのほかには、下あごの内側が晴れる場合もあります。どちらも、片方だけ腫れる場合と、両方腫れる場合が有りますが、どちらも罹った事には変わりません。熱が出ることも出ないこともあります。
なんだ、こんなことは誰でも知ってる、でしょうが、ここからが問題です。1%位の患者さんが髄膜炎になります。運が良くなければ入院です。耳の神経がやられて、一生治らない難聴になる人も、4%ほどいます。思春期以降では精巣炎、卵巣炎になる人も5~30%います。症状が出なくても膵炎となり、後にインシュリンの生産ができなくなって、糖尿病の引き金になる可能性も指摘されています。
その一方で、まったく症状がない、いわゆる不顕性感染と呼ばれる状態の人も3割ほどいます。なお、その人たちも人にはうつします(感染力有ります)ので、一度流行すると、なかなか食い止められません。また、この原因となるムンプスウイルスが問題なのです。治療薬は無いし、開発の見込みもありませんから、ワクチンしか手立てはありません。しかし、2回打っても罹る人が意外に多く、海外でも問題になりました。ここからはコアな、ニッチな話なので、感染症科以外の医師では余りご存じないでしょう。このウイルスは12のサブタイプ、いわゆる型に分かれていて日本製のワクチンはB型、海外のワクチンはA型のウイルスから作ります。ですから、他の型にも有効なのか?という問題が有ります。どうも、他の型に対する免疫が十分でないらしく、よって、他のタイプのムンプスウイルスに再感染する例があるということが判っています。先日、当院でも、ムンプスの抗体があるのにおたふくになり、血液検査の結果で新たなムンプス感染が判った、という人がいました。この場合は、以前罹ったものとは別のタイプに感染したことが考えられます。
潜伏期間も12から25日と幅が広く、いつ感染したかもはっきりしません。症状もピンからキリまであり、ということで、ありふれた病気であるおたふくかぜも、実は結構難しいのです。医師は、毎日が勉強ですね。でもがんばります。ではまた。
昨年からおたふくが流行っていますが、意外にこれが複雑な病気なので、少し勉強しましょう。
症状としては、ほっぺたのやや上が腫れて痛い、というシンプルなものがほとんどです。そのほかには、下あごの内側が晴れる場合もあります。どちらも、片方だけ腫れる場合と、両方腫れる場合が有りますが、どちらも罹った事には変わりません。熱が出ることも出ないこともあります。
なんだ、こんなことは誰でも知ってる、でしょうが、ここからが問題です。1%位の患者さんが髄膜炎になります。運が良くなければ入院です。耳の神経がやられて、一生治らない難聴になる人も、4%ほどいます。思春期以降では精巣炎、卵巣炎になる人も5~30%います。症状が出なくても膵炎となり、後にインシュリンの生産ができなくなって、糖尿病の引き金になる可能性も指摘されています。
その一方で、まったく症状がない、いわゆる不顕性感染と呼ばれる状態の人も3割ほどいます。なお、その人たちも人にはうつします(感染力有ります)ので、一度流行すると、なかなか食い止められません。また、この原因となるムンプスウイルスが問題なのです。治療薬は無いし、開発の見込みもありませんから、ワクチンしか手立てはありません。しかし、2回打っても罹る人が意外に多く、海外でも問題になりました。ここからはコアな、ニッチな話なので、感染症科以外の医師では余りご存じないでしょう。このウイルスは12のサブタイプ、いわゆる型に分かれていて日本製のワクチンはB型、海外のワクチンはA型のウイルスから作ります。ですから、他の型にも有効なのか?という問題が有ります。どうも、他の型に対する免疫が十分でないらしく、よって、他のタイプのムンプスウイルスに再感染する例があるということが判っています。先日、当院でも、ムンプスの抗体があるのにおたふくになり、血液検査の結果で新たなムンプス感染が判った、という人がいました。この場合は、以前罹ったものとは別のタイプに感染したことが考えられます。
潜伏期間も12から25日と幅が広く、いつ感染したかもはっきりしません。症状もピンからキリまであり、ということで、ありふれた病気であるおたふくかぜも、実は結構難しいのです。医師は、毎日が勉強ですね。でもがんばります。ではまた。