こんにちは。明日からインフルエンザワクチンの接種が始まります。もう十月なんですね。子供のうちは一日が長くって、季節の移り変わりもゆっくりだったような気がしましたが、50歳を数年前に超えた今は、いつの間にか時が過ぎて行ってしまっています。先ほど車の中から公園の木々や街路樹を見ていると、いつの間にか赤や黄色に色づいていることに驚かされます。こうして日々が過ぎて行って、年を取るんだなあと思いました。
さて、今日はインフルエンザのあれこれをいくつかお伝えして、皆さんのお役に立てようと思います。前回の補足とも言えます。1;インフルエンザには毎年どのくらいの人がかかるの?ということですが、実は人口の2,3割の人がかかっているというデータがあります(海外)。でも、1/3位の人は症状がほとんどない、いわゆる「不顕性感染」なのです!実は、ウイルスや細菌に感染しても病気の症状が出ない(発症しない)人が意外にいまして、おたふくかぜ(ムンプスウイルス感染症)でも3割、あのエボラ出血熱でも数%は不顕性感染の人がいるのです。ただし、病気になってないわけではなく、体からウイルスが出てきて、人には感染させるという、まあちょっと迷惑な状態の人です。残りの人は、軽い風邪症状で済む人、典型的な高熱、関節、筋肉痛、頭痛などが起こる人、気管支炎、肺炎などの合併をする人、極めて稀に、脳症を発症する人などに分かれます。ですから、季節型のインフルエンザについては、小児や老人、持病の重い人を除けば症状はきついが、命を取られるっていうのんじゃない!とご理解ください。
次に、タミフルは効くの?という点ですが、今のところ、効くことは効きます。しかしウイルスによるものか、患者さんの個人差なのか(体質、薬の吸収率など)、あるいは内服までの時間経過なのか、とにかく解熱までの時間は人それぞれです。同じ型にかかっているはずなのに、次の日解熱した人も多いのですが、4,5日かかって、これは効いてるのかどうか判らないな、という場合もあります。ちなみに、私の家族は効きが今一つで、かかると熱出っ放しのことが多いです(泣)。理由は色々ですので、考えない方がいいです。
じゃあ新型ってどうよ?これは全くの別物です。H5N1ならば、かかったら50%は死にます。しかも飛沫や飛沫核感染ありなので、ウイルスのついた粒子を吸い込んだり目に入ったりしても感染する可能性があります。検査もできません。検査した医師、看護師などにくしゃみ、咳が降りかかると感染しますので、検査は禁止です。怪しいならタミフル投与します。しかも最低でも倍量が必要ですので、きちんといきわたるかが心配ですし、もし胃腸をやられていたら、飲んでも吐いたり下痢したりして、薬が十分に吸収されなければそれまでです。研究者の中には、変異を続けているうちに弱毒化すると言っている人がいますが、嘘です!!強毒の因子はそのままで、感染に関する因子が変異して他の動物にも感染するタイプになるという実験結果があります。希望的観測のみでものを言うのは原発だけにしてもらいたいです。なお、新型インフルエンザが流行した場合、率先して診療をする医療機関というのに当院は登録していません。なぜなら、「登録しても、新型インフルエンザワクチンを必ずしも接種できるわけではない」と明記されているからです。それでは神風特攻隊と一緒ではありませんか!死亡したときの保証もありません。私も職員をこのような状況では働かせられません。
すいません。ちょっと忙しいのでブログの更新がされませんでしたが、もうちょっと頑張りますのでよろしく。
(参考文献) 感染症学(改訂第4版)、感染症の事典(国立感染研究所)、改訂版 人獣共通感染症、ブラック 微生物学 第2版、ネルソン小児科学、その他には日本感染症学会誌のあれこれより また、厚生省、感染症学会のホームページなども参照します