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July 2016 の投稿一覧です。
カテゴリー: 総合
投稿者: satohcli10-9
こんにちは。梅雨が明けて、外にはようやく夏らしい日差しが降り注いでいます。とは言え医師の仕事はデスクワークですので、家の中から夏空を眺めているばかり。たまには外に出たいものです。さて、先日の週末は二日間にわたり、ぜんそくの講演会に出席してきました。ぜんそくの薬を製造しているメーカーさんからの招待で、それなりの喘息患者さんがいる専門医限定の会でした。厳密に言えば僕は呼吸器内科医ではなく、しかも大人限定の薬の話題が中心だったので、出席者の中では異色の部類でした。
もちろん現在のぜんそく治療の中心はステロイド吸入薬であり、これなしでは治療が成立しませんので、これらの話題が中心となっていました。各社の薬剤、吸入器のつくりと特色など、イギリスから招待された喘息の権威や、日本を代表する喘息専門医の先生方による発表やディスカッションはとてもにためになり、勉強になりました。1日目の会場は数百人が入る大ホールで、大勢の参加者の一人、という気楽な立場で拝聴しておりました。ところが2日目の会場に着くと、一人づつのテーブルに置く名前の立札を渡され、変だな、と思いながら会場に入るとたった20人分の椅子!どんどん席が埋まると、大学の准教授、大病院の呼吸器科部長などに交じり、数人の開業医(みなさん僕より年配の先生です)。「なんか自分がミスマッチかな?」と思いつつ机を見ると、昔のクイズ番組に使うような丸い金属のプレートに数字が書いてあり、持ち手がついているものが1から5までの5枚。
この講習会も参加者限定の会で、講演の後に難治性の(治りにくい)症例が提示され、プレゼンテーションされた後、「さて、ご参加の先生方は、次にどの治療を行いますか?1から5までの中から選んでください。」と質問され、自分が選んだ治療法の番号札を上げる。次に司会の大学教授が口頭試問のように、「では、、、番を挙げた、、先生、その理由をお聞かせください。」と振ってきます。「なんだ妙なプレッシャーかかるな?」と思いながら答えを考えてゆきました。各参加者の答えが出そろい、回答に対する短い討議の後「正解」と解説が提示されました。あくまで、この治療を追加したらぜんそく喘息の経過がこのように改善して、現在こうしている、というものですから、他の治療法でも良くなった可能性が。ただ、最も妥当性のありそうな選択をするとこれでしょう、というもので、おかげさまで何とか全問「正解」し、また、その際には当院に通院している小児喘息やアスリートの患者さんの治療経験が役立ちました。ある回答について発言を求められ、それについて答えると(たまたま提示された症例に似た状況の患者さんがうちに数人来ていたので、考えやすかったのです)、「ほー、そういうことですか。」的なことで妙に感心されまして、(逆に恥ずかしいくらいでしたが)その場を何とか持たせられました。大学や基幹病院の呼吸器科医が主体の会なので、スペシャリストの参加者の方々でさえも、小児や運動選手の治療や診断のご経験は少ないようでした。何でもどうぞ、とりあえず診察します(でも得意分野に偏ってますが)という僕の開業医としての診療スタンスも、そういう点では、決して悪くないと思っています。
終了後は昔の友達と会って食事をし、(虎ノ門ヒルズにも初めて行きました。僕は北海道の田舎で育ったので、東京のような大きい建造物が立ち並ぶ所には未だに心身ともになじまないのですが、短時間なら大丈夫です)楽しい時間を過ごしました。子供にまだ時間がとられたり、平日に学会が多いため、仕事を休まないと参加できず(開業医に有給休暇はありません)、ついつい足が遠のいていますが、勉強し、アップデートしなければまともな医者ではありません。本でも、最近はWebでも勉強はできます。「継続こそ力、毎日勉強だ!(塾のキャッチコピーみたいですね)」これからも頑張りますので、よろしく。
カテゴリー: 総合
投稿者: satohcli10-9
こんにちは。今日は良い天気で、ここ関東でも梅雨明けかな?と思える暑い日でした。こども2名と(といっても大学生と高校生ですが)テニスを2時間ほどして、これはさぞダイエットに!と思ったらお昼はバイキング。運動した分はすっかりチャラになってしまいました(泣)。
今日は先日の続きをお話ししましょう。勢いで書いてしまったのですが、少々気が進まなくなっています。何故なら、一時収まっていた(寛解した、と言います)病気がまたぶり返し(再燃した、と言います)、2か月に一回注射していた免疫抑制剤に加え、ステロイドの錠剤を追加しなければならなくなったからです。僕の病気は要するに、昔風に言えば膠原病の一種、今は自己免疫疾患といいますが、その一種です。
病気の始まりは十年以上前でしょうか?今となっては始まりも定かではありませんが、めちゃくちゃ腹が痛くなって(胃腸に穴が開いた?と思ったことも数十回あるほどの痛みです)、出血し、2から4週間で血液の三分の一くらいが体から無くなったことも何度もある、という状況でした。「これはホントにこのままだと死ぬかな。でも仕事休めないし。」「まだ借金あるし、自営業だし、子供困るからなんとかしなくっちゃ。でもどうすれば?」などという毎日でした。一時的にステロイドを大量に飲むとおさまりますが、少しづつ減らしてゆくとぶり返してしまい、また初めからの量に戻って,ということを何年も繰り返していました。そのうちステロイドの副作用と(僕は1日20~40mgという大量のステロイドを数年間飲み続けていましたので)、ストレス(によるやけ食い?)で十数キロ太ってしまいました。開業医は基本一人(ボッチの仕事)ですし、変わって仕事をしてもらうわけにはゆきません。自分と患者さんとはかなりパーソナルな関係(大病院の外来に比べると)であることも多く、診療技術が仮に同等だからと言って、僕はこのクリニックの、僕の仕事をほかの医者にやらせることを良しとしません。それくらいこのクリニックにはこだわりがありますし、ここにはぼくの良くも悪くもすべてが反映されているからです。とはいえ、患者さんも多くなってきていることに加え、うちは子だくさんで、しかも次々受験やいろいろ手のかかる年齢に差し掛かり、一日働いて、そのあとも休み無しでした。今思い返しても、本当につらかったです。
「痛い。」というのが目に見えたり、数字に表わせたらどんなに便利でしょう、と思いますよね。そうすれば、患者さんももっと楽になれるでしょうに、と思います。自分がどの位痛いのか、日常生活にも差支えているのか、家族や周りの人に伝えても仕方ないので、我慢するしかありませんでしたね、でも、きっと余裕が無くて、嫌な感じだったかもしれませんね、自分では気を付けているつもりでも。「先生、少し仕事休んで入院したほうが。」と当時の担当の先生に言われたこともありますが、「すいません、自営業で、代わりがいないから休めないんです、すいません。」といつも返答してました。
こんなしょうもないことを繰り返しているうちに収拾がつかなくなり、ついに免疫抑制剤の一つを試すことになりました。ですが、それが何故か胃に全然合わなくて、それでも我慢していたら2か月たたないうちに肝臓がへばってしまい、これ以上続けると危ないほどの肝機能障害になってしまい中止。すると間もなくレミケードというリウマチなどで使われていた薬が僕の病気に使えるようになり、本当にワラをもつかむような気持ちで投薬してもらいました。当時はとんでもなく高額でしたので、そこで初めて難病患者の申請をし、定期的に注射するようになったのです。それが僕には劇的に効いてきて、一切の症状がほぼ消えました。「こんな楽なのは10年ぶりくらいかな?」日常にも余裕ができてきて、「この腹で死ねるか!目指せ72kg!」などどパソコンのモニターに張ったりはじめしました。同時にダイエットと筋トレをするようになり、86kgから69kgまで落としました。そして今に至っています。また少々体重が増えてしまいましたが、筋トレのおかげで、その増えた体重の少なくとも半分は筋肉です。
この病気は僕の場合には完治はしないようですが、小康状態にはなっています。今は普通の人同様に、何でも食べられますし、運動も出来ます。体に不自由なところは何もありませんので、本当にラッキーです。そう思って暮らしています。ただし、免疫抑制剤にステロイドですから、当然さまざまな感染症にはかかりやすくなっています。添付文章(注意書きです)には、致命的な感染症にかかることがあるなどと書いていますし、免疫低下状態でこの仕事?という気もしますが、ほかに仕事ができないので、僕はこうして死ぬまで開業医をやっていると思います。
世の中にはたくさんの治りにくい、あるいは治らない病気がたくさんあります。「何が原因で?」「直らないんですか。」多くの人がそう思うでしょう、そうした病気になったら。ですが、考えても仕方がないことが、この世の中にはたくさんあると思ってあきらめるしかない、その様なことも、生きている間には結構数多くあるものだと僕は思います。その中でどうやって生きてゆくかで、大げさに言えば人としての鼎の軽重が問われてくるのだと思います。でも、痛くて苦しいのは誰しも嫌ですよね、そんな時のために医者がいるのだと思います。これを読んでくれている方や、そうでない方も、何でも言ってくだされば、僕は少しでもお役にたてるように努力しますし、また、そうでなければ医者じゃない、と思っています。
今日はちょっと力が入りすぎ?でしたか?長くなったので、このくらいにしておきます、ではさようなら。
カテゴリー: 4.生活習慣病
投稿者: satohcli10-9
こんにちは。更新がなかなか出来ずごめんなさい。寝不足がたたり、このパソコンの前で意識消失。気が付くと午前3時、などということもあり、全然書けませんでした。今日は前回と打って変わってまた病気の話です。前回の続きはもう少し後で書きますので、お楽しみに。
さて、胸が苦しい、痛い!これはなかなか危なそうな症状です。僕のクリニックに来院する方の中にも、これを訴えて、心配そうになさっている方が多くいます。では、これらの症状は、本当に心臓や、その他危ないものなのでしょうか?場合によっては、「死に至る病」なのでしょうか?
これについては、心臓血管系、いわゆる循環器をやっていた医師とそうでない医師の差が如実に表れるもののひとつです。循環器以外の医者では、胸が痛いと言ったら、まず自分でそれ以上は判断せず、丸投げします。「これはやばい、危ない。自分の専門ではないし。」でも、冷静に考えることが大事なのです。まず、心臓の病気は意外にシンプルで、筋道を立てて考えれば割と解りやすいものです。医学とは自然科学の分野の一つである、というのは皆さんご存じのとおりです。つまり、人が病気になるにはそれだけの理由があり、またきちんと理論的に考えられるものです。したがって、心臓病についてもきちんと理論、必然があり、よほど特殊なものでなければ例外はほとんど有りません。ですから、訳も判らず直ぐに心電図をとったり血液検査をしたりしてはいけません。その前にやることがあるのです。きちんと病歴を取り(患者さんから症状や状況を聞き出してまとめること)、整理すること。例えば、心臓の筋肉へ血液を送る血管が細くなったり、詰まりそうになって胸が痛くなる狭心症では、まずは体を動かし、心臓に負担がかかった時に胸が痛くなる。また、内臓の痛みは放散痛と言って痛みがあいまいに広がるため、広い範囲で痛む。さらに、痛みの持続時間は数十秒から数分は続くはずであるので、そこもチェックする。また、痛み発作には再現性があり、同じような状況、行動ではほぼ毎回同じような症状が出現するはずです。
以上、ざっとこれ位は患者さんからお話を聞き、確認することが必要です。ここまででだいたい狭心症か否かの見当がつきます。いや、つかなければ循環器内科医としてどうか、という内容です。その上で、動脈硬化を生じるリスクがないかを確認、あればその評価をします。リスクとしては年齢、血糖、コレステロール、中性脂肪、喫煙、尿酸値、家族歴、肥満などです。なお、ストレスは現代人ならみんな大なり小なり有りそうなのでリスクに数えられないかもしれません。また、ある種の不整脈でも胸の不快感、痛みなどが起こることもあるので、その鑑別も必要でしょう。それから心電図を取ってもおかしくありません。なお、胸が痛くて病院に来ている人については、痛みが消えないうちに急いで心電図をとり、その場で判定します。
なお、一般的に体の痛みの過半数は、その部分の内臓の病気ではないことが判明しております。たとえば頭が痛いからと言って脳腫瘍や脳動脈瘤がみんなに有る訳では無いことは、少し考えればお分かりだと思います。セデスやバファリンを飲んで痛みが治る脳腫瘍はありません。ですが、焦ってすぐに脳外科などに駆け込んでCTやMRIなどを取ってもらうのはお金と医療資源の無駄ですし、患者さんの話もろくに聞かずに「あ、心配だから頭の検査を念のためしましょう。」などとすぐにいう医者は、よほど検査代をとるノルマがかかっている病院の勤務医か、頭が悪いかのどちらかですので、皆さん、十分注意してくださいね。
胸の痛みも、肋間神経痛、心因痛、食道スパスム(痙攣の一種)、気胸、肺がん、肋骨損傷や肋間筋の損傷など様々です(他にも有りますが、頻度の高いものを挙げてみました)。ただし、なんでも心臓、という訳では有りませんが、見逃されるとあっさりあの世行き、ともなりかねません。ご心配、不安でしたらご相談ください。ではまた、今日はこの辺で時刻も午前2時半を回りました。そろそろ筋トレでも、って寝たほうが良いですかね?では、おやすみなさい。