筋膜(ファシア)リリ-ス・ハイドロリリ-ス
筋膜(ファシア)とは?
Fascia(ファシア)と呼ばれる様々な組織を包む膜の表面に出現する発痛源を注射などで治療する方法を、Fasciaリリースと呼びます。Fasciaは筋肉だけでなく靭帯,脂肪組織,腱など、様々な組織を包む膜の総称。そのためFasciaリリースは、筋肉以外の組織の痛みの治療にも用いられます(靭帯リリース、腱リリース、神経リリースなど)。Fasciaの日本語訳が筋膜というわけではないのですが、患者様に馴染みやすいように、Fasciaリリースを筋膜リリースと呼んでいます。液体を用いて治療するので、Hydro(ハイドロ:液体)リリースとも呼ばれています。
リリースって、どんな治療法?
筋肉を包むFasciaには多くの知覚神経が存在しており、肩こりや慢性腰痛の患者様の筋・筋膜間には多くの疼痛物質の存在やヒアルロン酸の粘度の上昇が報告されています。痛みのある部位の皮膚に超音波プローブ(探触子)を置き、筋間の筋膜を確認。近傍から刺入した針先からFasciaと筋肉の間に薬液を注入することでリリース(開放)され、局所補液効果による鎮痛効果(疼痛物質の洗い流し)と、Fascia同士の摩擦(ストレス)の改善による組織の滑走性や可動性,伸張性の向上が得られる、と考えられています。治療直後からの鎮痛・徐痛が期待されます。
副作用の心配は?
従来のブロック注射では注射針先端部が確認できませんでしたが、超音波で針先を目視できることから、臓器や神経・血管損傷を防ぐことが出来るためとても安全に行える手技です。
注入液を生理食塩水で実施する場合は、麻酔薬で起こりうるアレルギー反応(ショック)の心配がありません。ただしそれ自体に鎮痛作用がないためリリース効果が充分得られなければ、筋肉内に余分な圧が加わることでかえって痛み(張り)が増強してしまう場合があります。
治療対象となる病気は?
筋膜・腱鞘間に癒着(ゆちゃく)を起こす病気・その他
●五十肩 ●頸肩腕症候群 ●肩関節周囲炎 ●坐骨神経痛 ●慢性腰痛症 ●頭痛
●腱鞘炎(バネ指) ●肉離れ ●石灰沈着性腱板炎
医療保険が適応されますか?自費の場合の料金は?
局所麻酔薬を使用した場合は、神経ブロック療法としてこれまで通り医療保険治療になりますが、超音波検査機器使用による判断料・技術料として2,000円/回が必要となります。
生理食塩水を用いたリリースの場合は、保健適応外となるため、5,000円~/1部位1回となります。著効した場合は鎮痛効果が局所麻酔薬使用時よりも強くしかも長期間(数週~数ヶ月)継続するとの報告があります。
当クリニックでは、初回は局所麻酔を使用したリリース(保険適応料金のみで、超音波検査機器による判断料・技術料はサービス)を実施し効果判定を行います。
再診時に、
①局所麻酔薬による従来の神経ブロック療法(保険適応料金)
②局所麻酔薬によるリリース(保険適応料金上限510円+2,000円)
③生理食塩水を用いたリリース(保険適応外5,000円~)
から選択いただいています。 ※③については令和2年7月1日現在、まだ実施しておりません。
※神経ブロック療法が適応されない部位へのリリースの場合は、トリガーポイント注射(保険適応料金上限150円)+2,000円となります。