ペイン・クリニック
ペインとは日本語で“痛み”の意味、クリニックとは“診療所”とか“治療”の意味を持ち、五十肩や腰痛などの神経痛に対する治療を担っており、当クリニックの主力、まさに看板的な治療分野です。
我が国でペイン・クリニックが発足したのは、昭和37年8月。東京大学麻酔科が最初で、50数年後の現在、全国500以上の医療施設においてペイン・クリニック診療が行われています。
どのような治療かといいますと、麻酔薬を主成分とした注射(俗にブロック注射)を痛みのある神経領域に注射するもので、麻酔により痛みが遮断=ブロックされることにより、一般に“神経ブロック療法”と呼ばれています。
右は肩こりに対し当クリニックでよく実施するブロック(肩甲上神経ブロック)の一例です。
効果としては、主に
1) 麻酔による鎮痛効果 2)血管拡張作用による血行促進効果があげられます。
普段使わない筋肉を急に使った後に筋肉痛になりますが、これは無酸素運動により局所に発痛物質(乳酸等の疲労物質)が溜まることが一因で、五十肩や腰痛でも局所の血行障害により同様の現象が起こります。 2)の効果は、この滞った発痛物質を局所から取り除き、筋肉などのこりをほぐす働きを生み出します。
当クリニックでは、五十肩に代表される肩の痛み、むち打ちや疲労による首の痛み、ぎっくり腰やヘルニアに伴う腰痛、ふくらはぎから足の甲にかけての坐骨神経痛、その他 頭痛・顔面痛(三叉神経痛)・肋間神経痛などに有効な神経ブロック療法を実施しています。
よくある質問
- (1)単に麻酔をかけるだけで、効果は一時的なのでは?
- ⇒ 麻酔薬のみでは確かに歯科治療での歯ぐきへの麻酔と同様に数時間すると鎮痛作用は無くなってしまいます。ただし、上述していますように、注射部位の血管拡張作用もあるため、鎮痛・血行促進の両作用を併せ持つ治療効果が得られます。
また、注射液には麻酔薬とともに鎮痛剤も含まれており、その成分が局所で作用ししばらくとどまるため、鎮痛剤の服用による全身療法に比べるとより効果的で、胃の痛みなどの副作用の心配もありません。
このように、麻酔薬と鎮痛剤の局所での相乗効果により、注射部位によっては一度のブロックで1週間程度効果が持続する場合があります。
- (2)ブロックを始めると、癖になるのでは?
- ⇒ ブロック療法は、予防的に実施するものではありませんし、注射によるある程度の痛みも伴うため、習慣化することはありません。実際、医療施設側でブロックの間隔・回数等は決定しますので、自己注射でもしない限り問題となることはありません。
- (3)継続していると、骨がもろくなる?
- ⇒ (1)でもお示ししたようにブロック注射液には、麻酔薬と鎮痛剤が含まれています。その中でも、急性期の強い痛みを抑える目的で鎮痛剤にステロイド薬を用いる場合があります。
ステロイドは、長期間しかも頻回に使用すると、浮腫・多毛・易感染性・骨粗鬆症の誘発等の副作用が起こります。
当クリニックではステロイドを使用する場合は、最低1週間は注射間隔を開け、副作用が起こらないよう対応しています。