こんにちは。今日は連休最後の日ですが、あいにくのお天気に。僕は受験生の親なので、さして遠出もできません。今日はこうして事務仕事と、夕方に少し運動をするつもりです。さて、先日「ためしてガッテン」という健康番組で(いつも見ているわけではなく、子供たちと暇つぶしに見ていました)、「血糖値スパイク」なる言葉を初めて聞きました。勉強不足ですいませんが、医学用語としては、「食後高血糖」が以前から使われているものですから。なお、医学的にはこの「食後高血糖」という言葉は以前からあり、糖尿病の前触れであることや病気のリスクとしては知られていましたが、「血糖値スパイク」それ自体がすでに病気であること、つまり、心筋梗塞、脳梗塞などの心血管疾患につながるということが判ったというのです。これは大変な話で、今までの検診や、食後に適当に血糖をチェックしただけでは判らない、ということになり、一層厳密な検査が求められているのです。さて、ではどうしましょうか?
まずは冷静にご自分のリスクを評価します。親族の糖尿病歴の有無、運動の習慣、体型、食事の量、内容などについてです。また、病院を受診した時には時々採血をしましょう、できれば食後2時間から3時間位までに採血するのが良いでしょう。その際に中性脂肪もチェックして、食後高脂血症も調べましょう。またその際には何をどのくらい食べてきたのかを医師に伝えるのが良いでしょう。なお、そこで、「そんなこと言われてもどのくらいのカロリーあるか判んないから。」とか、「ご飯食べない時に、改めて血を取りましょうね。」などといった医師がいたら、首絞めてやってください!医者変えましょう。
ところで、あの番組では大変重要なことが抜けていました。「グルコーススパイク(血糖値スパイク)」の原因として、インスリンが膵臓から十分な量が出ているのに、体の細胞がインスリンに対する反応が悪くなっているため、その結果血糖が上がってしまうと言われていました。これは医学的には「インスリン抵抗性」と言われ、血糖上昇の大事な原因の一つ(ここが重要)ではあります。しかし、日本人(さらには多分朝鮮民族、漢民族、モンゴル民族なども含めた東アジア人)の多くは、白人に比べてインスリンの分泌(生産)量が少なく、そのため太っていなくても血糖が上がりやすいのです。これは遺伝子レベルの問題で、日本人の約8割の人が白人に比べインスリンの分泌能力が約半分程度しかない、と言われています。ですから、大部分の日本人にとっては、誰でも「高血糖スパイク」に陥っている可能性がある、ということです。
ちょっと待って!そんな大事なこと、なんでテレビで言わないの?と思いますよね。まして、出演して解説していたのは順天堂大名誉教授の河盛先生、糖尿病の研究にかけては知らぬ者は無い、というほどの「大先生」です。僕でも知っていることですから、当然お話しなさらないはずはないのです。ということは考えられるのはただ一つ、放送時間の関係で、編集した際にNHKが削除したのだと思われます。そんなこと有るの?と思われて当然ですが、マスコミは適当にコメントや発言を切り貼りするものなのです。その結果、伝えるべきことの一部が伝わらなかったり、意味が全然違ったりすることはよくあるのです。まして、その分野の「素人さん」が編集するものですから、「トンデモ健康番組」になることはよく有るのです。医学関係者の間では、「ためしてガッテン」はみのもんたの健康番組と「同レベ」の内容だということで、たびたび糾弾されます。まあ実際はそこまでひどくはないでしょうが、構成の段階で、コメンテーターの確認位は取られたほうが良いと思いますね。なんせ「NHKですから!」
皆さんが十全の信頼を置いているテレビや新聞報道にも、理系の専門分野については時にずいぶんとお粗末な内容があることは、研究者の方々がたくさんおられるつくばでは時折耳にすることです。「研究内容について、記者発表の時いくら説明しても(出席した記者は)全然判んなくて、後で記事を見たら(自分たちが言ったことと)全然違うこと書いてるんですよね。」ということを、あちこちの研究所の方からお聞きすることがあります。なんにせよ、今回の放送はとても良い内容でしたので、片手落ちになってしまっているのは残念ですし、どこかで高名な先生がお話しされる機会が有れば良いのですが。
世の中には、みんなにとって何か有益な情報や、ぜひ知ってもらいたいことがあっても、そういうことに限ってなかなか正しく伝わっていないものですね。正しいことをみんなで分かちあうように、それぞれの立場で皆が努力することで、世の中は少しづつでも良くなるのでしょうか?あ、また話が大きくなってしまい、まとまりがつきません。今回の僕の言いたいことは、まず高血糖スパイクの存在と原因について、もうひとつは、大事なことをであっても、それが必ずしも正しく伝えられているわけではないようだ、ということです。ではまた、ごきげんよう。