検診での透視はいつまでするのだろう。

今年も検診が6月から
あっているのだが、今年も
胃の検診で透視を時々やっている。

当院で、透視を希望される方には
説明しているのだが
胃の透視はとても細かいところまでは
分からない。

私が若いころは、まだ、透視が
重要視されていた。
と、いうのも、一つは、内視鏡が
いまほど普及していなくて、
内視鏡をできる医師もすくなかった
また、一般的な開業医では
透視の装置すらないところが沢山あった。
そんな中で胃がんを見つける方法は、
透視に頼るしかなかった。

私、若いころ胃班にいたものだから
透視の当番が当たると一日中透視
レントゲンを浴びすぎて昼過ぎには
気分が悪くなっていた。。。。
そんな時代。

当時は、小さな病変をだすために
精密透視といって、鼻からチューブを入れて
造影剤や空気を出し入れしてまでして
小さい病変を透視で見つけていた。
そんな、時代に生きていたので
上手いとはいわないが、下手な方ではないと
思っている。(私よりまだ上の人は私より上手かも
しれない。)
また、検診を中心にしている病院は、レントゲン技師の
人が透視をして、医者がその結果を読んでいる。

透視は、結果を見るより
やりながらおかしいところを見つけて、
そこを中心にいろんな角度から見ることが多い。
それでも大きな病変を見逃すことが
多々あった。
(丁度、胃を見るのが透視から内視鏡に
うつりつつある時代に
両方検査して比べる機会が結構あったので
結構大きな病変もうつらないことが
あることが経験的にわかってきた)

それよりもなによりも
内視鏡の制度の上昇である。
もともと、
内視鏡は、光ファイバーをつかって
手元でその像を見る装置であったのだが、
ICDカメラの進歩は目覚ましく
さらに、今は偏光技術の進歩で
ほとんど今までにはとても見えなかった
病変が見える様になった。

極端な話、
透視では描出不可能な平坦な
病変の色調変化だけで
病変を見つけることができる様に
なったのだ。

さらに、さらに、
専門的なことを言えば
今、胃のピロリ菌感染率が
激減して、今、胃の病変で最大の問題は
ピロリ未感染の胃の病変や
ピロリ除菌後の胃の病変の検出なのだが、
こともあろうに
これらの病変は、非常にわかりにくい
病変が多いのである。

さらに付け加えて
小さな病変であれば条件がそろえば
おなかを開けずに内視鏡で切除できる。

そんなこんなで、
検診で透視をする意味が
だんだん薄れてきている。。。。

最大の問題は、お金

内視鏡の機械をかえば高級外車が十分帰る
また、内視鏡一本買うと国産の普通車が買える。
つまり、内視鏡室には
高級外車と国産普通車が
並べてあるようなもの。
だからどうしても内視鏡をすると
お値段が高くなってしまう
(透視の機械も高級外車が買えるけどね)

だから、内視鏡をしたいわけではないけれど
どうせ、胃の検査をするなら
内視鏡をおすすめします。

だって箱の中のものを
外から見るのと
中から見るのでは大違いでしょ。