今週は、大変な事件が

今週は、安部元総理の殺害事件という
あまりにもショッキングな
事件が起こりました。

いろいろな思いや、意見があろうかとは
おもいますが、
一個人としてではなく、
医者として感じたこと。。。。。
(救急にたづさわったことがある
医者としての冷静な目でいえば)

あの状態で血液を多量に輸血しながら
手術して
もとにもどそうとしたこと
に驚きを隠せなかった。

医者の目からすれば
倒れた写真をみると
ほぼ即死状態。

“AED”という声が
とんだといいますが、
以前にもいったとおり
AEDは魔法の道具ではありません。

ある、一定の不整脈の状態に
反応する機会であって
決して心臓が止まっているのを
動かす魔法の機械ではないのです。

心臓が止まっていたらこそ
通電できないのです。

それを通電できるのは
カウンターショックという機械で
AEDでは無理です。

そのうえ、あの状態では、
おそらく心破裂か大血管の損傷による
大量出血による心停止がおこっている
のでAEDが無効であるどころか
心マッサージもおそらく
ほとんど効果がない状態と
かんがえます。
(ながれる血液がない状態で
心臓マッサージをしても
頭に血がいかない)
(下手をすれば止まりかけの
心臓、傷んだ心臓を破裂させて
しまいます)

そこで即、脳への循環が
たたれているために、
奈良県立医大に到着した
ころには、どうあがいても
脳死状態なのです。

それを無理やり大切な
血液を大量に使いながら
心、血管の損傷を治そうとした
というのがとても信じられなかった。

まちがいなく、一般の人では
しないことなのです。
おそらく上からの至上命令で
しかたなくしたのだとは
思いますが、、、、、、

おそらく銃撃が手術室でおこっても
たすけることは不可能だったと
推測されます。


医者というのは
現場の真ん中でいたら
興奮状態になって
目の前の患者をわき目もふらず
どうにかしようとすることがある。

こういう事件を見ると若いころの
経験が走馬灯の様に頭に浮かんでくる。

若いころ、麻酔科にいたとき
出血の緊急手術で麻酔をかけていて
出血のために心停止して
なにをしても心臓が動かなくなった
ことがある。
術者に心停止をつたえても
ずっと手術をつづけていて
手術をやめさせたことがある。

ほかにも自殺で
下大静脈を17cm切ってきて
(おなかの中の大きな血管)
緊急で手術をして
その時は助手だったので
いろいろしていたが、
出血が多すぎて
血がまにあわなくて
普通の点滴をどんどんいれていっていたら
ほとんど出てくる血が
水の様になって
どうしようもなくなって
術者にもうあきらめるように
手術を止めさせたこともある。

それもこれも
また、医者になって1年目の時に
自分の持ち患者さんが
手術中に大出血を起こし
その時はなんとか命をとりとめたが
ほとんど脳死状態になってしまって
忘れがたい経験があったからかも
知れない。

命の大切さと
救命の引き際は
医者として
永遠の葛藤の様な気がします。。。

と今週は真面目にかんがえたりして。