一般的に、近視の進行は、眼軸(眼球の長さ)が伸展することでおこります。
要するに眼の長さが横に長くなってくるのです。形態的な変化でおこる近視に対して、訓練や目薬は無効なことも理解できると思います。


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海外での近視進行の疫学的調査の結果、以下のことが明らかになっています。


(1)近視進行には、遺伝的因子が最も強力。(Jones LA,2007; Saw SM,2006)
両親とも近視の場合は8倍、片方の親が近視の場合は2倍、その子供さんは、両親とも近視ではない子供さんに対して、近視になりやすいという報告もあります。これは、やはり身長などと同じで近視になりやすい体質は遺伝するのかもしれません。
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(2)都市部の方が、近視が進行しやすい。(IpKC,2008)
これは最後の(4)と関連するのかもしれません。

(3)近業は近視進行を加速させる。(Ip JM,2008; Saw SM,2006)
勉強や読書やゲームを1時間したら、10分くらいは遠くの景色を見て目を休ませましょう。
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(4)戸外活動に費やす時間は、近業の程度によらず、強力な近視抑制効果を示す。(Rose K, 2008; Dirani M, 2009)
まだ、仮説の段階ですが、戸外活動との関連性については、強力な野外の光線によって、ドーパミンが分泌され、これが眼軸長の伸展を抑制していると説明されています。

面白いのは(4)で、戸外活動が多い方は、近業作業が多くても近視が進みにくいとう報告です。子供のうちは、しっかり勉強して、しっかり外で遊ぶというのは近視進行の予防になるのかもしれません。