五月に入り、かなり過ごし易くなってまいりました。
皆様、如何お過ごしでしょうか?


今月の壁レコは、ウエストコーストの歌姫、Linda Ronstadtを特集してみました。


Eaglesの結成にも一役買った(彼女のバックバンドがEaglesに発展した?)とされ、その彼等をして「Witchy woman」と言わしめた彼女ですが、すごい美人という訳では(失礼!)ないんですが、愛嬌のあるチャーミングな容姿で、全盛期には数々の浮名を流したようです。


有名な所ではイーグルスとも関係の深いJ.D.Souther、当時のカリフォルニア州知事ジェリーブラウンなど。またMick Jaggerも噂されましたが、これはストーンズの「ダイスをころがせ」をカバーした際の話題作りだったような感があります。



では玄関先から・・・


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出世作、1975年の「Heart like a wheel」です。
このアルバムよりPeter Asherが全面プロデュースするようになり、全盛時代へと突入していきます。


彼女のような自作曲を書かない「シンガー」のアルバムには、辣腕プロデューサーが必要ですが、本当にPeter Asherはいい仕事をしてます。


A面一曲目の「悪い貴方」は初の全米No.1ヒットで、先述のJ.D.Southerの事を歌った曲と言われてますが、自作ではないんですよね。


Paul Anka作の2曲目「もうおしまい」は曲の良さもありますが、抑制の利いた優しい唄い方が最高です。


3曲目は例のJ.D.Southerの曲で、何とハモリまでつけています!当時の二人の関係が垣間見られるようですね。
J.D.Southerはハモリの名手で、他にもJames Taylorの「想い出の街」でも惚れ惚れするようなハーモニーを聴かせてくれます。


4曲目、5曲目も素晴らしいボーカルが堪能できます。5曲目、タイトルトラックの哀愁感は堪りません。


B面もEverly Brothersの「いつになったら愛されるのかしら」、Lowell Georgeの「ウイリン」など選曲の良さが光ります。

全曲捨て曲がなく、初期のカントリー風味とLAサウンドが調和した名盤ですね。


彼女はこの後もPeter Asherのプロデュースの下、良作をコンスタントに発表し、70年代後半に絶頂期を迎え「ミスアメリカ」の称号を得るようにまでなります。

ジャケットも、KOSHが手がけるようになり、洗練されていきます。
KOSHの特徴はアメリカンノスタルジック調のレタリングにありますが、Lindaの一連の作品は非常に統一感があって好きです。



壁の二枚です。


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先ずは個人的には一番好きな82年の「Get Closer」です。


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水玉模様をあしらったKoshのセンス溢れるジャケットです。
これ、ゲートフォールドで出して欲しかったですね。何でシングルジャケットなんだろう、と当時思いました。
単に予算の都合だったのか?それともこれが「粋」なのか??


内容は盛り沢山でして、A面一曲目のタイトル曲は、当時のLAロック的なサウンドに乗ってシャウトする、前作「Mad Love」を踏襲した感じの佳曲です。


2曲目のJim Webb作の「月はいじわる」はJoe Cockerのバージョンにも負けず劣らずの名唱です。本当に彼女って歌が巧いなあと思います。


3曲目の「さよならのページ」はアルバムのベストトラックと思います。
ラスカンケルのドラムが最高で、派手なオカズはありませんが、歌伴としての役割を知り尽くしたそのプレイはもっと評価されて欲しいです。


5曲目の「people gonna talk」もニューオーリンズっぽく決めてて最高な一曲です。サックスと張り合うリンダのパンチある歌声も素晴らしい。


B面は大ロックンロール大会?で非常に小気味良い演奏、歌が楽しめますが、5曲目でまたまたJ.D.Southerが登場します。リンダさん、本当に好きなんですね。


最後はドリーパートン、エミルーハリスと組んだトリオ曲です。
この数年後、3人名義のフルアルバム「Trio」がリリースされますが、3人とも綺麗で、歌も巧く、最高なアルバムでした。



彼女はその後、1983年に永年の夢であったジャズスタンダードアルバム「What's new」をリリースします。
何とネルソンリドルに歌伴を依頼するという徹底ぶりで、大成功をおさめました。

その勢いをかって出された第二弾「Lush Life」がこれです。



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如何にもあの時代を彷彿とさせるジャケットはKOSHの最高傑作ではないでしょうか?
これ、衣装ケースの箱を開ける(ジャケットを上にずらす)とリンダさんが出てきます!



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裏ジャケットも古き良き時代のアメリカって感じがしてうっとりします。

リアルタイムを知っている訳でありませんが、素晴らしい時代だったんでしょうね。



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曲目は誰もが知っている有名曲から、通好みまで様々ですが、発表当時の評価は「唄が一本調子」とか、あまり良くなかったように記憶してます。
しかし、セールスは好調で、この後もう一枚ネルソンリドルとの共演作を発表します。



欧米の歌手たちは「成功の証」として、クリスマスアルバムとスタンダードアルバムを発表したくなるみたいです。

あのRod StewartやRobert Palmerもスタンダードアルバムを発表しましたもんね・・・。




さて、数多くの作品を発表しているLinda Ronstadtですが、入門編として先ずお勧めしたいのは、禁じ手かもしれませんが、「Greatest Hits Vol.1&2」です。


しかし、このベスト盤はよくある、ただ年代順にヒット曲を並べただけ、というお手軽ベストとは一線を画したもので、ジャケットのアートワーク(写真アルバムを模したもの~勿論KOSHデザイン)や、選曲、曲順まで配慮したオリジナルアルバムとカウントしてもいいような愛情のこもった仕上がりです。


中学生の時、この2枚を90分テープの両面にダビングし、カセットケースに「FM fan」から切り取った写真を入れ、むさぼるように聴いていました。「未だ見ぬ亜米利加」を夢見て・・・・・



(最後、シカゴⅧの当時の邦題みたいになっちゃいましたね。何を隠そう、私はコロンビア時代のシカゴはBeatlesに次ぐフェイバリットグループなのです。またそのうちシカゴへの想いも語りたいですね。)