皆様、お元気でしょうか?

ここの所、激しい雨が続いていまして、割と朝晩は過ごしやすくなってきましたが、まだまだ日中は暑いですね。


今月のレコードジャケットは、久々にBilly Joelでいってみたいと思います。

実は、彼の特集はこれで2回目になりますが、1回目はかなり前でして、このブログがまだ始まっておりませんでしたので、記録がありません。


確か、定番の「Stranger」、「52nd Street」、「Songs in the attic」 の3枚だったと思います。


今回は、80年代以降にスポットを当ててみました。




先ずは玄関先です。




billy1.jpg



1982年秋発表の「The Nylon Curtain」です。  私にとってリアルタイムで聴き始めた最初の彼のアルバムです。


このデザイン性に溢れたジャケット、秀逸ですね。 アート作品としても通用しますね。


何となく、暗さを感じさせるデザインですが、内容を如実に物語っています。


次にご紹介しますが、前作「グラスハウス」で、ちょっとはっちゃけすぎ?た反動か、 はたまたオートバイ事故で入院を余儀なくされて病院のベッドの上で内省的になったのか? このアルバムは非常にシリアスです。


特にA面はその傾向が強く、明るい曲が全くありません・・・。  2曲目の「ローラ」なんて、重厚すぎて、こちらもそれなりの気合いが必要です・・・。 (でも良い曲でして、個人的には白眉です。)


当時良く言われてたのは、このアルバムはジョンレノン的だ、という事です。


恐らく、社会性を帯びた歌詞がそう感じさせたんでしょうが、 それはあくまでもソロになってからの側面であり、彼の本質はビートルズ時代に炸裂していたシニカルな面にあると私は思っています。


あまりに、「イマジン」のイメージだけで、聖人君子的祭り上げられ方をされているのを見ると、「いやいや、彼はもっと人間臭いひとだったと思うよ・・・」と独り言を呟いてしまいます・・・・。




続いて待合壁の2枚です。



billy2.jpg




1980年の大ヒットアルバム、 「Glass Houses」です。




billy3.jpg



「Stranger」 「Just the way you are」、「Honesty」 などでついた「ニューヨークの吟遊詩人」的なイメージをぶち壊せ!的な気概で作り上げた、ロックンロール主体のアルバムです。


ジャケットのコンセプトは、皮ジャンを着た、いかにも「ワル」ぶったビリーがガラスの家の前で今にも石を投げる所なんですが、A面冒頭に針を落とすと、「グワッシャーン!!」とガラスの割れた音が聞こえてきます。


続いて、御機嫌なロックンロール 「You mey be right」 が始まるとこなんざ、いつ聞いてもゾクゾクしますねえ。



しかし、そんな気概を見せたビリーの思惑に反して、日本のソニーさんは邦題「ガラスのニューヨーク」、 「孤独のマンハッタン」 など、全然内容と関係ないのに、「紐育」から切り離せなかったんですよねえ・・・。


ビリーさん、 この事知ってたんですかねえ・・・・・。   (ビリーさんで思い出しましたが、 ビートルズのイエローサブマリンの中間、潜水艦内のエフェクトっぽい所で、空耳で 「気をつけてビリーさん!」と聞こえる所があるのご存じですか?)




そして、最近個人的にはヘビーローテーションになっている、1983年の大傑作アルバム 「Innocent Man」です。





billy4.jpg




前作、「ナイロンカーテン」が、内容はともかく、セールス的には今一つだったこともあり、恐らくコロンビアレコードからせっつかれたんでしょうね・・・・・。 すぐさまこんな小気味よいオールディ―ズ好きが泣いて喜ぶ? 大ポップアルバムを出してくれました!



まあ、とにかく前作で吹っ切れたのか、はたまた新しい恋人、クリスティー嬢とのアツアツぶりがそうさせたのか、どこを聴いても(ほぼ)素晴らしい、金太郎飴のような極上の作品に仕上がっております。  


「ほぼ」と書いたのは、一曲だけしょうもない(失礼!)曲があるからでして、それが恋人を唄った 「君はクリスティー」 であるところが、その後の顛末を考えると、何とも皮肉なんですが・・・・・。



このアルバムは全曲レヴューでいかせて頂きます。先ずはレイチャールズを彷彿とさせるイキの良い冒頭の「Easy Money」で軽くジャブをかまされます。  荘厳で気高いタイトル曲「An Inoccent man」、 一人アカペラでDion&Belmontsみたいな素晴らしいハーモニーを聴かせる「Longest Time」、 ベートーベンの「悲愴ソナタ」を引用した美しい「This Night」



そして最初のシングルカットで彼にとって2枚目のナンバー1ヒットとなった、軽快な「Tell her about it」  邦題の「あの娘にアタック」は、まあ意味はそうなんですが、なんかイモですよね・・・・・。  (イモは死語か!?)




レコードを引っくり返して、 B面にしましょう。   


冒頭の多分Four Seasonsを意識したと思われる名曲 「Uptown Girl」 は2枚目のシングルカットで、第3位にまで登りました。  この曲、我々日本人には、空耳「オッチャンがーる」で有名ですよね・・・。


次の「Caress Talk」もなかなかの佳曲で、いかにも「グローインアップ」や「アメリカングラフィティ」みたいな、青春映画で流れていそうな感じです。


ちょっと浮いてる?「Christie Lee」はすっ飛ばしても構いません!!??


4曲目の「Leave a tender moment alone」 は、名手トゥーツシールマンスの哀愁のハーモニカが冴える、泣ける名曲です。 邦題「夜空のモーメント」は秀逸!!


そして、最後の曲「keeping the faith」も、この名盤のしんがりに相応しい、素晴らしくノリの良い曲です。



こんなに素晴らしいアルバムなのに、アルバムチャートでは全米4位が最高だったなんて、当時のアメリカ音楽界はどんだけハイレヴェルだったんでしょうかねえ・・・・。


記憶では同時期にヒットしてたのは、83年の夏だから、 ポリスのシンクロニシティー とか、フラッシュダンスのサントラ だったような・・・・・。  あと、スリラーのロングセラー状態か・・・・・・。


ならしょうがないかもしれませんねえ・・・・・。   


若者向きのオサレな曲やラップやサンプリングがチャート上位を占める昨今のビルボードチャートとは対極の「楽曲の良さ」で勝負できていた? 昔の音楽業界は良かったですねえ・・・。