秋も深まり、日に日に冬に近付いている今日この頃、皆様如何お過ごしでしょうか?


これから寒くなってくると、暖かい音楽が欲しくなってきますね。
外は寒くても、心が癒されれば暖かく感じられますよね。


という訳で、今回のレコードジャケットは大人の為のジェントルでハートウォーミングな音楽を特集してみました。



先ずは玄関先です。



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Michael Franksの1977年の名盤、「Sleeping Gypsy」です。



神秘的なジャケットはブラジルの熱帯雨林をイメージしていると思われる淡い光群と蛾(蝶?)の幻想的なイラスト(写真?)です。



私はアメリカ留学時代、機会がありブラジル旅行をしたんですが、イグアスの滝を観に行った時、生い茂る熱帯雨林を散策し、木々の隙間から空を見上げた時に同じ様な光景を目の当たりにし、これだったのか~と妙に感動した覚えがあります。



初めてこのアルバムを聴いたのは高校一年の時でしたが、針を落とした瞬間から拡がる幻想的なサウンドにノックアウトされ、勉強そっちのけで暫く聴いていましたね。



ブラジル(ボサノヴァ)に強く影響を受けたと言われるマイケルフランクスのサウンド、確かに朴訥とした唄はジョアンジルベルトを彷彿させます。


レコードの解説で、「彼は歌っているが、決して歌手ではない」という記載がありますが、言われてみればそんな感じもします。



「唄+伴奏」ではなく、声がでしゃばらなくて、それ自体が一つの楽器の様に全体に溶け込んでいる、といった感じです。
アルジャロウやボビーマクファーリンの様な技巧的な、非人間的?な感じではなく、もっとヒューマンでジェントルですが・・・。



バックのメンツも素晴らしく、Larry Carlton, Joe Sample, Wilton FelderのCrusaders一派、Joni MitchellのパートナーだったJohn Guerlain、ホーン陣はMichael Brecker,  David Sanbornなど目のくらむような豪華さ。
制作陣もTommy LiPuma、Al Schmidtと最高の布陣です。



内容も全て素晴らしいのですが、特にA面一曲目の「淑女の想い」はカールトンの浮遊感のあるギターが素晴らしい名曲です。


日本ではアントニオカルロスジョビンを唄った「アントニオの唄」が特に人気ありますが、他にも良い曲沢山なので、是非LPを通して聴いてみて下さい。



壁の二枚です。



先ず、Joni Mitchellの1974年の傑作「Court and Spark」です。



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ジャケットの絵はジョニ自身の手によるものです。
彼女の絵の才能は並々ならぬもので、自身のレコードジャケットを沢山描いていますが、割としっかり描きこんだものが多いので、このようなシンプルなイラストは珍しいですかね?



参加メンバー的には結構先のマイケルフランクスと重複するんですが、クルセイダーズの3人、特にラリーカールトンのギターは重要な役割を果たしてますよね。


あのプリンスも好きな「Help Me」、アサイラムレコードのオーナー、David Geffinをモチーフとした「Freeman in Paris」は彼のギターでなければ、随分印象が変わってくると思います。細かなバッキングにもセンスが感じられるんですね。



ギター繋がりで言えば、B面の「陽気な泥棒」ではあのThe BandのRobbie Robertsonの例の個性的なパキパキギターが楽しめます。
本当に彼のギターってワン&オンリーですよね。



他の曲はピアノとアコースティックギターを主体としたしっとりとしたものが多く、解説で小倉エージさんが絶賛するほど全体がファンキーなものではありません。



彼女はこの後もフュージョン路線を突き走り、ジャコパスやパットメセニーらフュージョン界のトッププレーヤー達と共演します。


「Shadows and Light」の映像も素晴らしいですが、個人的には「The last waltz」で、The Bandをバックに「コヨーテ」を唄った時の映像が大好きですね。



続いてキャロルキング1975年の名盤「Wrap around Joy」です。



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大ヒットした「つづれおり」には敵いませんが、このアルバムも全米№1になっているんですよ。



あまりにもシンガーソングライター然とした「つづれおり」よりも歌詞を他者に委ねた今作の方が、元々ブリルビルディングのソングライターだった彼女らしい、ともいえます。


「つづれおり」の様な超名曲の目白押し!というのとは違いますが、このアルバムも良い曲がたっぷり詰まってます。

日本盤ライナーにもありますが、「聴いていて楽しくなってくる」アルバムなんです。



愛娘達をコーラスに使った穏やかなA-1に始まり、男女の心情の機微を唄った、ほろりとくるA-2、トムスコットのサックスをフューチャーしたシングルヒットA-3、楽しげなタイトル曲B-1、美しいメロディラインのB-2、当時の夫君チャールズラーキーのベースがカッコいいB-3などが特にお気に入りですが、全曲捨て曲なしの名盤です。


昨年James Taylorと共に来日し大好評だったコンサート、名古屋はとばされましたので観に行けれなかったのですが、バックバンドはあのSectionだったそうで、素晴らしかったようですね。観に行けた方が羨ましいです。



今回紹介した3枚のアルバム、いずれも黄色~ベージュっぽい色合いですね。

参加ミュージシャンも近いものがあり、聴いていると心が癒される、という点で共通してます。


本当はもう一枚、Joan Baezの「Diamonds and Rust」も同系統のアルバムとして紹介したかったのです。

Larry Carlton、Joe Sampleがここでも良い仕事をしています。

Bob Dylanの「Simple twist of fate」では、掟破りの?Dylanの物真似まで披露してくれますよ。

これも良い曲満載の良作なので、是非聴いてみてくださいね。



それではまた来月!