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May 2016 の投稿一覧です。
カテゴリー: 総合
投稿者: wakui-clinic
 今まで塗っていた ステロイド外用剤 を急にやめると
”リバウンド” という悪化した状態が起こります。

 湿疹がでていた所だけではなく、きれいな所も悪化します。
紅くなったり、じくじくしたり、膿がでたりします。重症なアトピーや
範囲の広い湿疹では、 ”紅皮症”といって全身の皮膚が真っ赤になり熱発
を伴い、場合によっては全身の状態が悪化して入院が必要になります。
じゅくじくした後に、皮膚の皮がむけて乾燥します。
その後またじくじく、乾燥を繰り返します。

 リバウンドの程度は、今まで使っていたステロイド外用剤の量と
塗っていた範囲、病気になっていた期間や程度と相関するようです。
 親指一本にステロイドを塗っていたのでリバウンドは起こらないと
いう事はありません。

 ステロイド外用剤を止めてから一般的には、 約一か月で、リバウンドは
収まります。皮膚のターンオーバーといって、皮膚がはえかわるまで
約一か月かかりますので、それに一致します。

 皮膚の回復と変化は、約一週間ごとにみられます。
 一週間の間に、じくじく、乾く、じくじく、乾くを繰り返します。
今ある皮膚が、ヘビが脱皮するように、はえかわりよくなっていきます。

 皮膚がよくなるスピードや速さは、今までの使用していたステロイド
外用剤の使用料、使用期間、範囲により異なります。
ストレスがかかったり、睡眠不足、食生活の乱れ、冷え、雨や台風等の
気象状況等でも悪化します。

 リバウンド が軽くなるように、 漢方薬(利水剤、気剤、補血や補材),
食生活や生活習慣の改善等により治療します。
リバウンドは、一度おさまり皮膚が良くなったと思っても
しばらくした後に起こることもあります。

 リバウンドは、皆さんの予想以上に大変です。
ご自分で、ステロイド外用剤を勝手に中止しないほうが良いと思います。
それぞれの患者さんにあった方法での治療がすすめられます。
 
カテゴリー: 総合
投稿者: wakui-clinic
 いろんな皮膚病でステロイド外用剤はよく効きます。
 (以下は、ステロイドの外用に限って記載しています。
  内服(飲み薬)の事ではありません。)

また、ステロイド外用剤が治療方法として確立されている皮膚病が多い。

ところで、ステロイド外用剤を治療に使用したために、かえって
もともとの原疾患が治りにくくなったり、悪化したりして
難治性になる場合もあるようです。こういった状況を
”ステロイド皮膚症”とよぶようです。厳密な定義はないようです。
以下に、その原因をあげます。

1、ステロイド外用剤の誤った使い方をしている。

2、ステロイド外用剤にかぶれている。

3、ステロイド外用剤の副作用がでている。
   毛穴の炎症、にきび、皮膚が薄くなる,毛細血管(細い血管が
   浮き上がる)等。

4、外用することで皮膚の症状がよくなるため、悪化要因が
  わからなくなる。
  生活習慣や食生活の改善がおろそかになる。

5、元の病気がわかりずらくなるので、治療期間や治療方法が
  あいまいになることがある。

6、通院の間隔があきがちになる。


 では、”ステロイド皮膚症” は治るでしょうか。


 以下のような治療方法があります。

 1、ソフトランデイング  少しづつステロイド外用剤を弱くしていく。
 
 2、脱ステロイド療法 
  
     ①いきなり今まで使っていたステロイド外用剤を中止する方法。

     ②少しずつ弱いステロイド外用剤に変えて中止する方法。

 どの方法が一番最適かは患者さんによって異なると思います。

 生活環境、食生活、睡眠、ストレス対策、仕事、家庭環境、身体の体調を
整えながら、冷え対策を行ったり、漢方薬を使ったり悪化要因を探しながら
治療していけば、もとの病気が収まりステロイド皮膚症は治まっていくと
思います。漢方薬では、 ”気剤”で気のめぐりをよくしたり、”補剤”にて体力
をつけながら、”利水剤”にてリバウンドを抑えながら治療していきます。

病気の種類や患者さんのおかれている状況、年齢、罹患期間、
ステロイド外用剤の使用料や使用していた期間等で異なりますが
良くなったり悪くなったりしながら軽快していく方が多いようです。      
            
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投稿者: wakui-clinic
 この季節になると現れる皮膚病があります。

 1、チャドグガ皮膚炎

   例年、5月~6月になると腕や首にかゆみが強い紅いボツポツが
 できたと患者さんが来院します。
 よくお話しを聞いてみると、前の日に公園や木の生えている所を
 歩いた。こういった場合が多いようです。椿や樹木についていた
 チャドグガが犯人です。この病気がみられると皮膚科医は5月になったと
 実感します。

 2、サクラソウ皮膚炎

  両手の甲や前腕に紅い斑点やぶつぶつがでてきた。庭やベランダで
 植物を触ったことがあるか否かを患者さんに伺うと、 サクラソウ と
 わかることがあります。

 3、ズック皮膚炎

 新学期になり、学生さんの足の裏のヘリにそった紅い縁取りのある
 湿疹がでていたら、 ズック皮膚炎です。新しいズックの 生地 に
 かぶれたためです。

 4、ジベルばら色粃糠疹(ひこうしん)
 
 5、ジャノッテイ病

 6、多型紅斑

   4,5,6、の病気もこの時期に多くみられます。

  皮膚科医は、皮膚の病気で季節を感じます。
  もっとも最近は、地球温暖化の影響で季節や時期がずれてでてくる
病気も増えているようです。