こんばんは。今日は一日中雨でしたね。ひと雨ごとに寒くなって行き、そしていつしか冬がやってきます。ここ関東では冬枯れですが、僕の育った北海道のニセコ周辺では、家の玄関前でも2メートル近く雪が積もります。観光に行くなら良いでしょうが、久しぶりに帰るとやはり驚きます。生活は厳しいです。こうしてみると、茨城は冬でも雪は降らず、東京へも近すぎず遠すぎず、農作物もいろいろ採れるし、なかなか良い所だと思いませんか?少なくても、都道府県別の魅力度が最下位2年連続、というのは余りにも気の毒、という感じがしますよね?
さて、前回ハチ毒についてお話ししました。アナフィラキシーショックの治療については、一般の方にはあまり必要のない内容と思いましたので、一つ二つだけ。まずはアドレナリンを筋肉、あるいは皮下に注射します。これは血管を収縮させて血圧を上げ、強心作用で心臓の働きを強め、気管支を拡張させて呼吸状態を改善します(言葉が堅苦しくてすいません。)。この薬は携帯用もあり、エピペンという名前で、子供の食物アレルギーでショックになった時や、例えば農林省や林野庁で野外の仕事をされる人で、ハチアレルギーの方などに対しては準備してもらっています。そのあと、ステロイドを投与したりしますが、まずはアドレナリンです。なお、抗アレルギー薬などは全く役に立ちませんので誤解のないように。反応が強すぎて、それどころではないのです。
さて、ハチに限らず様々な動物、植物が毒を持っています。よく、「解毒剤」とか、「血清」とかいう言葉を聞くことがあるかと思いますが、残念ながらほとんどの毒に、そんな良いものは有りませんよ!!というのが事実なのです。ヘビ毒に対しては、抗毒素と呼ばれる治療薬が有り、マムシ、ハブ、ヤマカガシ用と、ヘビの種類によって異なります。ですから、英国の特殊部隊であるSASの隊員用のマニュアルには、「蛇に噛まれたら、殺したうえで頭部を持参して医療者に見せて、適切な処置を受けること。」とあるそうですが、我々素人には無理!もう一回咬まれて終わり、ともなりかねません。地域によって生息するものは決まっているでしょうから、早く救急病院へ行ってください。当院ではだめです(泣)!
また、最近話題のセアカゴケグモですが、オーストラリア国内なら抗毒素があるはずですが、日本ではたぶん大学病院ですらほとんど持ってないでしょう(有ったらごめんなさい、でも無さそう)。沖縄の海によくいるイモガイ、オニヒトデなども血清は有りません。クラゲもだめよ~だめだめ、少なくとも日本では、全然血清が有りません。また、たった10cmしかないタコの一種、ヒョウモンダコも抗毒素なし、神経毒で、これも怖いです。
こうしてみると、いろんな毒が有りますが(植物の毒もいっぱいあり)、特効薬は無いものも多く、症状に合わせた対症療法をして、生命維持に努め、毒素が排出、あるいは分解されるのを待っているしかありません。
毒を持つ生き物については面白い本も出ていますが、著者が医学者ではないので毒性や致死率などがイマイチいい加減、逆に医学書ではそれらの生物について、そうそう詳しいものはありません。治療は難しく、また痛みや神経症状も長引いたりしますので、とにかくかまれたり刺されたりしないのが大事でしょう。では、みなさんお気を付けて。
さて、前回ハチ毒についてお話ししました。アナフィラキシーショックの治療については、一般の方にはあまり必要のない内容と思いましたので、一つ二つだけ。まずはアドレナリンを筋肉、あるいは皮下に注射します。これは血管を収縮させて血圧を上げ、強心作用で心臓の働きを強め、気管支を拡張させて呼吸状態を改善します(言葉が堅苦しくてすいません。)。この薬は携帯用もあり、エピペンという名前で、子供の食物アレルギーでショックになった時や、例えば農林省や林野庁で野外の仕事をされる人で、ハチアレルギーの方などに対しては準備してもらっています。そのあと、ステロイドを投与したりしますが、まずはアドレナリンです。なお、抗アレルギー薬などは全く役に立ちませんので誤解のないように。反応が強すぎて、それどころではないのです。
さて、ハチに限らず様々な動物、植物が毒を持っています。よく、「解毒剤」とか、「血清」とかいう言葉を聞くことがあるかと思いますが、残念ながらほとんどの毒に、そんな良いものは有りませんよ!!というのが事実なのです。ヘビ毒に対しては、抗毒素と呼ばれる治療薬が有り、マムシ、ハブ、ヤマカガシ用と、ヘビの種類によって異なります。ですから、英国の特殊部隊であるSASの隊員用のマニュアルには、「蛇に噛まれたら、殺したうえで頭部を持参して医療者に見せて、適切な処置を受けること。」とあるそうですが、我々素人には無理!もう一回咬まれて終わり、ともなりかねません。地域によって生息するものは決まっているでしょうから、早く救急病院へ行ってください。当院ではだめです(泣)!
また、最近話題のセアカゴケグモですが、オーストラリア国内なら抗毒素があるはずですが、日本ではたぶん大学病院ですらほとんど持ってないでしょう(有ったらごめんなさい、でも無さそう)。沖縄の海によくいるイモガイ、オニヒトデなども血清は有りません。クラゲもだめよ~だめだめ、少なくとも日本では、全然血清が有りません。また、たった10cmしかないタコの一種、ヒョウモンダコも抗毒素なし、神経毒で、これも怖いです。
こうしてみると、いろんな毒が有りますが(植物の毒もいっぱいあり)、特効薬は無いものも多く、症状に合わせた対症療法をして、生命維持に努め、毒素が排出、あるいは分解されるのを待っているしかありません。
毒を持つ生き物については面白い本も出ていますが、著者が医学者ではないので毒性や致死率などがイマイチいい加減、逆に医学書ではそれらの生物について、そうそう詳しいものはありません。治療は難しく、また痛みや神経症状も長引いたりしますので、とにかくかまれたり刺されたりしないのが大事でしょう。では、みなさんお気を付けて。
今日は12日、連休の中日ですが、つくばは穏やかな一日でしたね。クリニック裏の小さな神社あたりを歩いていると、いなごやトノサマバッタ、アキアカネなどが道端のあちこちで見受けられます。また、神社の入り口には大きな木がそびえ立っていて、毎年その辺りには、必ずと言っていいほどスズメバチが巣を作ります。巣から頭をのぞかせ、近づくと周囲を威嚇するように飛んできます。虫は慣れておりますので、そうは驚きませんが、何匹か出てくると退却するのが賢明でしょう。今日は蜂について少しお話します。
ハチについて、皆さんはどういうイメージを持ちますか?、多くの方は怖いもの、危ないものと思っていますよね。でも、ほとんどの蜂はやたらめったに人に向かってくる訳ではありません。また、蜂の毒そのものはそう強いものではなく、例えば、ミツバチでは「300から500か所刺されると、毒液の直接作用で死ぬことがある。(ハリソン内科書)」と記載されています。従って、ハチに刺されて死亡する人のほぼ全員が、アレルギー反応によってです。
まず、ハチ毒についてですが、症状としては、刺された部分の充血、腫れ、出血、激しい痛みが起こり、まれに壊死、また発熱、けいれん、虚脱がまれに起こることがあります。スズメバチでは症状が激烈で、悪心、嘔吐、下痢、胸痛、チアノーゼ、痙攣が起こることがあります(薬、毒物中毒救急マニュアル 改訂7版)。毒の成分については省略します。アナフィラキシーについては、免疫細胞の一部から、自分の体にむしろ害を引き起こす物質が大量に放出させるために、血管が拡張し、またそこから血漿成分が漏れ出してきて、血圧が下がってしまうこと、さらには気管が収縮し、分泌物が貯留し(痰が大量にたまるということ)とそれによる呼吸困難になること、じんましん、浮腫が起こります。こうなると、数分の遅れが死を招きます。
すいません、午前1時近くなり、眠くなりましたので、治療は明日お話しします!ではまた。
ハチについて、皆さんはどういうイメージを持ちますか?、多くの方は怖いもの、危ないものと思っていますよね。でも、ほとんどの蜂はやたらめったに人に向かってくる訳ではありません。また、蜂の毒そのものはそう強いものではなく、例えば、ミツバチでは「300から500か所刺されると、毒液の直接作用で死ぬことがある。(ハリソン内科書)」と記載されています。従って、ハチに刺されて死亡する人のほぼ全員が、アレルギー反応によってです。
まず、ハチ毒についてですが、症状としては、刺された部分の充血、腫れ、出血、激しい痛みが起こり、まれに壊死、また発熱、けいれん、虚脱がまれに起こることがあります。スズメバチでは症状が激烈で、悪心、嘔吐、下痢、胸痛、チアノーゼ、痙攣が起こることがあります(薬、毒物中毒救急マニュアル 改訂7版)。毒の成分については省略します。アナフィラキシーについては、免疫細胞の一部から、自分の体にむしろ害を引き起こす物質が大量に放出させるために、血管が拡張し、またそこから血漿成分が漏れ出してきて、血圧が下がってしまうこと、さらには気管が収縮し、分泌物が貯留し(痰が大量にたまるということ)とそれによる呼吸困難になること、じんましん、浮腫が起こります。こうなると、数分の遅れが死を招きます。
すいません、午前1時近くなり、眠くなりましたので、治療は明日お話しします!ではまた。
こんにちは。明日からインフルエンザワクチンの接種が始まります。もう十月なんですね。子供のうちは一日が長くって、季節の移り変わりもゆっくりだったような気がしましたが、50歳を数年前に超えた今は、いつの間にか時が過ぎて行ってしまっています。先ほど車の中から公園の木々や街路樹を見ていると、いつの間にか赤や黄色に色づいていることに驚かされます。こうして日々が過ぎて行って、年を取るんだなあと思いました。
さて、今日はインフルエンザのあれこれをいくつかお伝えして、皆さんのお役に立てようと思います。前回の補足とも言えます。1;インフルエンザには毎年どのくらいの人がかかるの?ということですが、実は人口の2,3割の人がかかっているというデータがあります(海外)。でも、1/3位の人は症状がほとんどない、いわゆる「不顕性感染」なのです!実は、ウイルスや細菌に感染しても病気の症状が出ない(発症しない)人が意外にいまして、おたふくかぜ(ムンプスウイルス感染症)でも3割、あのエボラ出血熱でも数%は不顕性感染の人がいるのです。ただし、病気になってないわけではなく、体からウイルスが出てきて、人には感染させるという、まあちょっと迷惑な状態の人です。残りの人は、軽い風邪症状で済む人、典型的な高熱、関節、筋肉痛、頭痛などが起こる人、気管支炎、肺炎などの合併をする人、極めて稀に、脳症を発症する人などに分かれます。ですから、季節型のインフルエンザについては、小児や老人、持病の重い人を除けば症状はきついが、命を取られるっていうのんじゃない!とご理解ください。
次に、タミフルは効くの?という点ですが、今のところ、効くことは効きます。しかしウイルスによるものか、患者さんの個人差なのか(体質、薬の吸収率など)、あるいは内服までの時間経過なのか、とにかく解熱までの時間は人それぞれです。同じ型にかかっているはずなのに、次の日解熱した人も多いのですが、4,5日かかって、これは効いてるのかどうか判らないな、という場合もあります。ちなみに、私の家族は効きが今一つで、かかると熱出っ放しのことが多いです(泣)。理由は色々ですので、考えない方がいいです。
じゃあ新型ってどうよ?これは全くの別物です。H5N1ならば、かかったら50%は死にます。しかも飛沫や飛沫核感染ありなので、ウイルスのついた粒子を吸い込んだり目に入ったりしても感染する可能性があります。検査もできません。検査した医師、看護師などにくしゃみ、咳が降りかかると感染しますので、検査は禁止です。怪しいならタミフル投与します。しかも最低でも倍量が必要ですので、きちんといきわたるかが心配ですし、もし胃腸をやられていたら、飲んでも吐いたり下痢したりして、薬が十分に吸収されなければそれまでです。研究者の中には、変異を続けているうちに弱毒化すると言っている人がいますが、嘘です!!強毒の因子はそのままで、感染に関する因子が変異して他の動物にも感染するタイプになるという実験結果があります。希望的観測のみでものを言うのは原発だけにしてもらいたいです。なお、新型インフルエンザが流行した場合、率先して診療をする医療機関というのに当院は登録していません。なぜなら、「登録しても、新型インフルエンザワクチンを必ずしも接種できるわけではない」と明記されているからです。それでは神風特攻隊と一緒ではありませんか!死亡したときの保証もありません。私も職員をこのような状況では働かせられません。
すいません。ちょっと忙しいのでブログの更新がされませんでしたが、もうちょっと頑張りますのでよろしく。
(参考文献) 感染症学(改訂第4版)、感染症の事典(国立感染研究所)、改訂版 人獣共通感染症、ブラック 微生物学 第2版、ネルソン小児科学、その他には日本感染症学会誌のあれこれより また、厚生省、感染症学会のホームページなども参照します
さて、今日はインフルエンザのあれこれをいくつかお伝えして、皆さんのお役に立てようと思います。前回の補足とも言えます。1;インフルエンザには毎年どのくらいの人がかかるの?ということですが、実は人口の2,3割の人がかかっているというデータがあります(海外)。でも、1/3位の人は症状がほとんどない、いわゆる「不顕性感染」なのです!実は、ウイルスや細菌に感染しても病気の症状が出ない(発症しない)人が意外にいまして、おたふくかぜ(ムンプスウイルス感染症)でも3割、あのエボラ出血熱でも数%は不顕性感染の人がいるのです。ただし、病気になってないわけではなく、体からウイルスが出てきて、人には感染させるという、まあちょっと迷惑な状態の人です。残りの人は、軽い風邪症状で済む人、典型的な高熱、関節、筋肉痛、頭痛などが起こる人、気管支炎、肺炎などの合併をする人、極めて稀に、脳症を発症する人などに分かれます。ですから、季節型のインフルエンザについては、小児や老人、持病の重い人を除けば症状はきついが、命を取られるっていうのんじゃない!とご理解ください。
次に、タミフルは効くの?という点ですが、今のところ、効くことは効きます。しかしウイルスによるものか、患者さんの個人差なのか(体質、薬の吸収率など)、あるいは内服までの時間経過なのか、とにかく解熱までの時間は人それぞれです。同じ型にかかっているはずなのに、次の日解熱した人も多いのですが、4,5日かかって、これは効いてるのかどうか判らないな、という場合もあります。ちなみに、私の家族は効きが今一つで、かかると熱出っ放しのことが多いです(泣)。理由は色々ですので、考えない方がいいです。
じゃあ新型ってどうよ?これは全くの別物です。H5N1ならば、かかったら50%は死にます。しかも飛沫や飛沫核感染ありなので、ウイルスのついた粒子を吸い込んだり目に入ったりしても感染する可能性があります。検査もできません。検査した医師、看護師などにくしゃみ、咳が降りかかると感染しますので、検査は禁止です。怪しいならタミフル投与します。しかも最低でも倍量が必要ですので、きちんといきわたるかが心配ですし、もし胃腸をやられていたら、飲んでも吐いたり下痢したりして、薬が十分に吸収されなければそれまでです。研究者の中には、変異を続けているうちに弱毒化すると言っている人がいますが、嘘です!!強毒の因子はそのままで、感染に関する因子が変異して他の動物にも感染するタイプになるという実験結果があります。希望的観測のみでものを言うのは原発だけにしてもらいたいです。なお、新型インフルエンザが流行した場合、率先して診療をする医療機関というのに当院は登録していません。なぜなら、「登録しても、新型インフルエンザワクチンを必ずしも接種できるわけではない」と明記されているからです。それでは神風特攻隊と一緒ではありませんか!死亡したときの保証もありません。私も職員をこのような状況では働かせられません。
すいません。ちょっと忙しいのでブログの更新がされませんでしたが、もうちょっと頑張りますのでよろしく。
(参考文献) 感染症学(改訂第4版)、感染症の事典(国立感染研究所)、改訂版 人獣共通感染症、ブラック 微生物学 第2版、ネルソン小児科学、その他には日本感染症学会誌のあれこれより また、厚生省、感染症学会のホームページなども参照します