かなり前に話したけれど

さる40年ほど前、学生であったころ
1年間、各科を2週間ずつまわって
臨床実習をする年があった。

いろんな科があったが、
内科、外科、耳鼻科、、、
内科は4科あるし、外科も2科ある。
脳外科、産婦人科、など
科としては20以上あるので
1年間ずっと病院の中を回っていた。

いろいろいったが、
実践で診て、初めて患者さんに接する。
本で診たものが実際に目の前にあらわれて、
実践の厳しさを体感するとともに
将来、自分がすすむ科、あるいは
医者として自分が進む方向性が
そこで決まるといってもいいだろう。

その中でも
一番衝撃を受けたのは
なんといっても
精神科であった。

2週間ずっと精神科病棟に
詰めっぱなしであった。
(病棟に入るのに鍵がいるので
各人、鍵を持っていた。)

そこで衝撃を受けるのは
患者さんが、
マジメに変なことをしているのである。

もちろん、あばれる様な
重傷者とはあまり接しないのだが、
一応、入院がいるような患者さん
なのである。

いもしない人と真剣にしゃべったり
一日中、意味もなく
うろうろ歩き回ったり、
いろいろな事を反射的にして
食べることはするが
その他は表情もなくじっと一点を
見ていたりとか、
変なことはするが、
しゃべったら
結構まともに喋れたりする。

1週間はまあ、いろいろ
見れて楽しいのだが、
2週目ともなると
どちらが正しいことをしているのかが
分からなくなってしまいだした。

マジメに変なことをしているのを
ずっと見ていると
ひょっとすると患者さんの方が
正常で、自分が変なのではないかと
思い出す。

つまり、正常という中心軸が
ずれ始めるのである。

この科だけは、できない!!
自分が変になる!!
と思ったものだった。

結局、人間の営みは社会共存の中
にあるので、それが
できなく、社会を乱してしまう
というのが基準になっているのだろう。


しかしながら、今の世の中、
正常という中心軸が
どこにあるのかわからない。
今の世の中
おじさんの目から見ると
マジメに変なことをしてる
人達が山ほどいる。

それが、だんだんひどく
なっている様な気がしてきて、、、

個人でいえば、
何でもかんでも自分が正義といわんばかりに
いろいろネットで人を批判したり、
国でいえば、
正当な理由をつけて
戦争、紛争したり、

自分が、中心軸からずれているのか
中心軸がかわってしまったのか、

気がつけば
私が変な人??