ベンハーの映画を見て、その2

私は昔の映画の方に真のリアリティーを感じるのである。

それはなんなのであろうか。
今の映画には匂いや味や香を感じないのである。

昔のスペクタクル映画を見ていると
スタントマンがする危険なシーンでは、スタントマンが大丈夫
だろうか、けがしなかったのだろうか、あるいは痛かっただろうなーと
いう感覚を共有し
炎のシーンでは、出演者たちが感じた熱を感じ、あるいは、
スタントマンたちが火傷しなかったか心配し、
爆発シーンでは、出演者たちの危険を共有し、吹き飛ばされる
スタントマンたちの大変さを感じ恐怖心を自然と共有してしまう。
カーチェイスシーンでは、ドライブテクニックに圧倒され、
巧なカメラワークには、いかにしてとったのであろうかという疑問や思考
をめぐらせてしまう。
、数多くのエキストラや馬が出るシーンでは、統一した
動きを演出する大変さを考え、感心してしまう。

そんなスリリングな感覚は、画面が自然すぎてCGで作られたシーンには
それが感じられない。(それを作るのがどんなに大変でも)

さらにいうと、昔の怪獣映画では、怪獣がおこした風で家の瓦が一枚一枚
吹き飛ぶシーンや、張りぼてではないビルが(本物の様に内部もつくって
ある)壊されるシーンがある。
それを見て間違っても本物とは思わないし、現実の実物とはとても考えら
れないのだが、そこまで突き詰める製作者のこだわりが、実物以上に実物
を感じさせるのである。
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また、一回しか壊したり、燃やしたりできない、一発勝負の緊張感さえ感
じるのである。

今の映画の方が、映像でいえば、文句なくすばらしい。逆にいえば非の
打ち所がない。その映像は余りにもナチュラルに存在する。

しかし、昔の映画には
いまの映画にはない匂いや味や香りそして汗を感じ、
そして臨場感を感じてしまうのである。