3月も後半にて、春めいてきましたが、本日23日は真冬のような寒波がおしよせ、寒かったです。
まさに「三寒四温」ですね。


さて、今月の壁レコードは、前から特集してみたかったBruce Springsteenでいってみます。


昨年、気合いの入ったリマスターボックスが出まして、即アマゾンで購入したものの、暫く未聴のままでした。
ここ最近、無性に聴きたくなり、一枚目からガンガン聴きまくりましたが、いやあ、やはり素晴らしいですね。

また、皆さん指摘されている事ですが、今回のリマスターは音がすこぶる良いです!

特に、初期の2枚と、そろそろボックスが噂されている「The River」は新たな命を吹き込まれたかのように、輝いています。



それでは玄関先です。




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1984年発表の大ヒットアルバム、 「Born in the USA 」です。


今回、3枚アルバムを選ぶにあたって、2枚(待合室壁の2枚)は直ぐに決まりましたが、あと1枚は非常に悩みました・・・。


順当にいけば、「闇に吠える街」なんでしょうが、確かにダークネスツアーは最高なんですが、あまりに凄いライヴ音源を聴きすぎた為に?何かスタジオ作は物足りないんですよね。


内容的には、ブレイク前の昂揚感の感じられるセカンド作なんですが、やや冴えない髭面の大アップ(リヴァ―の精悍な顔つきとは大違い!)でちと医院にはそぐわない・・・・・。


という訳で、ベタすぎますがこれになりました。


このアルバムは高校当時、耳たこになる位聴きまくりましたので、抵抗感あったんですが、改めて聴いてみたら、やはり凄いアルバムでした。


アルバムは当然全米№1を独走したんですが、凄いのはシングルカットを何と7曲!も切り、しかも全てトップ10入り!という過剰人気ぶりでした。


しかし、最高位は「Dancing in the dark」の2位 (4週連続!惜しい・・・)という所がボスらしい・・・・。


確かに、最初のシングル3枚・・・「Dancing in the dark」、 「Cover me」、 「Born in the USA」 はシングルに相応しいナンバーですが、あとの4曲はLP収録曲、というレヴェルでして決して名曲!という訳ではないと思います。


とにかく稼げるうちに稼いだれ!ってなコロンビアレコードの思惑が手に取るように分かりますが、コレクターとしてはアイテムが多いことは嬉しいといえば嬉しいのですが・・・。


この後、1985年に出したライヴアルバムボックスは、シカゴも驚く何と5枚組!! それでも確かチャートの首位に立ったんですから、この時期の人気は凄まじかったですよねえ・・・。


このボックス、日本盤は7500円もしましたが、ボス狂の友人、牧君は発売日に買ってたなあ・・・・




続いては壁の2枚です。




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やはり、ボス(Springsteenの愛称)といえば、この2枚でしょう・・・・。




先ずは出世作にして、ロック界を代表する名盤、 1975年発表の「Born to run ~ 明日なき暴走」です。






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この、ボスがサックスのビッグマン~クラレンスクリモンスの肩にもたれてニヤけてる構図が最高ですね。


このフォトセッションで撮られた有名な写真に、ボスがテレキャスのネックに紐で繋いだスニーカーをひっかけてるものがあるんですが、あれもいつ見ても胸にグッとくるものがあります・・・。 分かる方は分かってくださると思います・・・。



まあ、このアルバムはホント、神がかり的な出来栄えですね。  ロックの神が降臨したのでしょうか・・・・。 全ての曲が素晴らしいです。



冒頭の「Thunder Road」、 哀愁あるボスのハーモニカからバンマス、ロイビタンのテンポ良いピアノが聞こえてきたら、もう他事はできません!  全身全霊をかけてスピーカー(ヘッドフォン)に耳を傾けるしかありません!!


何てワクワクする曲なんでしょう・・・。 歌詞の内容も素晴らしいものがあり、フィナーレまで息もつかせぬ展開に、フェードアウトが恨めしくなります・・・。 


でも大丈夫、 次の「Tenth avenue freeze out ~ 凍てついた10番街」 も、負けず劣らずの名曲なんですから・・・・・・




ブレッカー兄弟やデヴィッドサンボーンらのシャープなホーンセクションの勇ましいリフに、これまた御機嫌なロイビタンの弾むピアノが乗っかって、非常にソウルフルな演奏ですが、これに絡むボスのヴォーカルが、これまたいかしてるんです!



まさに、「ガッツだぜ!」てな感じでして、トータス松本さんがカヴァーしたら、案外ハマるんじゃないかな? (余談ですが、トータス松本さんのサムクックのカヴァーアルバムは、ジャケットも含め最高でしたがな・・・・。)



3番の歌詞で、「big man joined the band・・・」ていうと、クラレンスがサックスをブオ~と鳴らすとこはライヴでも定番ですが、 カッコいいですねえ、鳥肌立ってきます。



しかし、この曲に関しては、ライヴよりもこのスタジオヴァージョンの方が数段カッコいいと、個人的には思います。  やはり、サックス一本ではあのリフの厚みが出ないんですよね、仕方ありませんが・・・。



冒頭2曲の素晴らしさの余韻に浸っている暇なく始まる、疾走感溢れる「Night」 に続いて、よく自伝のタイトルなんかに使われる、壮大な「Backstreets」でA面が終わります。



これだけでも、精神的には満足感満ち溢れているんですが、レコードをひっくり返してB面に針を落としましょう・・・。



B面一曲目は、タイトルトラックにしてSpringsteenの代名詞と言える超名曲、「Born to run ~ 明日なき暴走」です。



しかし、「走る為に生まれた」 を 「明日なき暴走」 とつけた当時のCBSソニーのディレクターのセンスは最高です! 素晴らしい感性の持ち主ですよ。



この曲に関しては、もう私があれこれ下手な講釈垂れるより、まず聴いて頂きたいです。   何から何まで完璧な出来です! 


よくぞこんな曲が書け、演奏でき、唄えたものです。   1975年という時代がそうさせたんでしょうか?   1974年でも1976年でもいけないような、そんな気がします。  理由はうまくいえませんが・・・・・・。



リズミックな「She's the one」に続いて、ランディブレッカーの哀愁味溢れるトランペットが素晴らしい、「Meeting across the river」が始まります。



ロイビタンのジャジーなピアノは相変わらず素晴らしいですが、ベースはいつものギャリ―タレントではなく、ジャズ界の大物、リチャードデイヴィスが担当しております。



私はこの曲を聴くと、いつも夜のハドソン河のたもとで、ぽつんと膝を抱えて座っている自分の姿が浮かんできます。 行ったことありませんが・・・・・。



ニューヨークの闇、(ボスは故郷ニュージャージーから見たニューヨーク、というイメージで作ったのかしら?) を感じさせる渋い作品です。



さあ、そしてラストに控えしは、映画みたいな壮大なスケールで描かれる「Jungleland」です。


いつもこの曲を聴き終わると、あまりのスケールに来る日も来る日も同じような生活をしている自分が嫌になり、どこかへ逃避行したくなる、恐ろしい?曲です。



アルバム全編通して、やはりロイビタンのピアノが光ります。  マックスワインバーグの、細身からは予想できないパワフルなドラムも最高です。  もちろん古くからの盟友、ギャリ―タレントのベースや、圧倒的な存在感のビッグマン、クラレンスも凄い!




そして、これまた素晴らしい2枚組アルバム、 1980年発表の 「The River」です。





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見てください、この精悍な顔付を・・・・。  昔のハリウッドホラー映画なんかでよく使われた「お化け文字」のレタリングに負けない存在感です。



このアルバムは私がロックを聴き始めた1981年では、彼の「最新アルバム」でしたので、ほぼリアルタイムで聴いた事になります。



2枚組という事でかなりのヴォリュームがあります。 確かに一枚目の方が質が高いのでシングルアルバムにしても良かったかもしれませんが、Led ZeppelinのPhisical Graffitiと同じで、「一枚にまとめるにはマテリアルが多すぎる、かと言ってボツにするのも惜しい・・・」

という感じだったんでしょうね。   ただ、ボスはそういう曲がやたら多く、数多いスタジオアウトテイク集が存在してますね。



A面ド頭の「Ties that bind」はダークネスツアーでも披露されていた曲ですが、ここでのアレンジは最高です! 12弦ギター?の音がキラキラしてます。

次のパーティー会場で歌われているような楽しげな「Sherry Darling」に続いて、 硬派な「Jackson Cage」、畳み掛けるような「Two Hearts」、この4連続パンチにノックアウトされます!


B面一発目はこのアルバムで最も有名なヒット曲、「Hungry Heart」ですが、この曲は特にフィルスペクターの影を感じますね。


E Street Bandの厚みあるサウンドに、フロー&エディの変態チックなハイトーンコーラスが絡むと、正に「ウォールオブサウンド」ですね!


続く「Out in the street」はスプリングスティーン節というか、いかにも彼らしい曲調でして、ライヴでも人気の高い曲です。


そして、「Crush on you」、「You can look (better not touch) 」のロックンロール2連続はかなりぶっ飛びます!  カッコいいの一言です。


特に後者は、アメリカ留学時代の私が常に心がけていたスローガン?でして、要は、金髪美人を見かけても、決して調子にのって手を出さない!という事でして、分かる方は分かって頂けると思うんです。


亜米利加に留学する若者は多いですが、東洋人女性は白人男性にモテますが、その逆は稀です。 私も淡い幻想を抱いて乗り込みましたが、玉砕いたしまして身に染みて感じました・・・・・。


時代背景は違いますが、マッサンは凄いですよねえ。



さ、阿呆な話はこれ位にして、次にいきます。


B面最後はアルバムトラックにして、キャリアを代表する名曲、「The River」です。


もの悲しいハーモニカから始まり、ボスの淡々とした唄が次第に熱を帯びてバックの演奏と共に盛り上がっていく所は鳥肌が立ちます。


歌詞もとっても深いものがあります。 デヴュー当初は第二のボブディラン、なんてキャッチフレーズだったんですよね。



素晴らしい一枚目に比べて、二枚目はちょっと散漫なイメージがあり、キーとなる曲がないように感じます。


歌詞がダイレクトに入ってくると大分違うんでしょうが、ミドルテンポのじっくり聞かせる曲が多くて、正直キャデラックランチ以外あまり印象に残らないんですよね・・・・・。マニアの方、失礼。


先日、とある所から、このアルバム(The River)の当初リリース予定だったが、諸事情で頓挫した一枚ものの音源を入手しましたが、う~ん、確かにすんなりシングルアルバムで出した方が良かったかも・・・と思わせる内容でした。