まだまだ寒い日々が続きます。一年で最も寒い時期とはいえ、辛すぎます。


おかげで?ウチの副院長(小生の親父)が、体調をくずしてしまい、長期療養中であります。


幸い、かなり良くなってきましたが、暫くは様子をみて医院での仕事は控えてもらおうと思っております。



そういう事もあり、ここ最近忙しくてブログの更新もままならない状況でした。申し訳ありませんでした。

ジャケット自体はかなり前から変えてはいたんですが・・・・・。




さて、今回はちょっと渋い所で、パブロックのアーティストを特集してみました。


最近ひょんな事から、昔買ったStiff Recordのボックスを聴きまくっており、やはりあの時代のイギリスロックは素晴らしかったなあ、と独り再評価?している次第であります。



パブロックとは普通のロックからパンクロックに至るまでの過渡期的なモノ、とする向きもあるようですが、うまく定義づけられませんが、パブロック!といえばその筋の御仁にはニンマリされる、通をうならせる渋い音楽であることは間違いありません。




イギリスの庶民の交流場として欠かせないPub、私も学生時代英国放浪の旅をした時に、毎晩あちこちのパブに入り浸ってましたが、やはり「町の社交場」なんで、ロンドンはともかく、地方都市のパブでは変な東洋人、的な数奇な眼で見られてましたね。



そんなパブでは良く、バンド演奏が入りますが、大体皆R&Bをベースにした肩肘ばらない酒のすすむ?渋いロックを演奏していました。
まさにそれこそがパブロックの定義だと思います。




では私のお気に入りのアルバムをご紹介します。




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Elvis Costelloの個人的には最高傑作、83年の「Punch the clock」です。



厳密にはこの時期のコステロはもはやパブロックの範疇を通り越して、ビッグネームになっており、このアルバムも確か全英№1になっているんですね。



でも、やはりスティッフからレコードを出してた初期のコステロは如何にもパブロックでしたよねえ・・・。


パンクの範疇にも入れられる事もありますが、何かちょっと違うんじゃないかな、と思います。



このレコードはほぼリアルタイムで聴いたのですが、金太郎飴のように次から次へと出てくる名曲の数々にノックアウトされましたねえ。



特にA面は全ての曲がシングルカットできる程、素晴らしい出来です。
特に好きなのが5曲目の「Love went mud」でして、小気味良いSteve Neiveの鍵盤さばきは素晴らしいです。



そして、A面最後の「Shipbuilding」ですが、Robert Wyattのバージョンもいいですが、コステロ版もいい味を出しております。



特に、Chet Bakerのトランペットは哀愁味溢れる素晴らしい効果を出しており、80年代のベストプレイの一つに挙げられると思います。



当時私は高校一年でして、ジャズには門外漢だったのですが、インサートにコステロよりもでかい顔で写ってる彼に非常に興味を持ちました。 


その後、「Chet Baker Sings」を聴いて一挙に彼の虜になり、いろいろ聴きあさりました。またChetについては書かせて頂きたいと思います。



さあ、B面に移りましょう。
A面に比べると、ややキャッチ―なメロディーが少ないんですが、しんがりに凄い曲が登場します!


「The world and his wife」、邦題は何と!「コステロ音頭」!!


何じゃそりゃ!と思うでしょうが、聴いてみれば納得納得の名邦題です。



ラッパのリフがまさに「音頭」なんですよ。眼を閉じて聴いていると、ドラえもんとかオバQが法被を着て踊ってる姿が浮かんできます。



歌詞の事は全くすっ飛ばして、曲調だけで邦題を決めてしまうなんて当時の担当さん、粋だなあ。


フランクザッパの「〇△□」なんてハチャメチャなのもありましたが、昔の洋楽担当ディレクターの権限は凄かったんですねえ。



お次の2枚です。



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この2枚はまさにパブロックの超名盤!これを聴かなきゃ始まらない!的なレコードです。




先ずはIan Dury の最高傑作「New boots and panties」です。




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何ともいかがわしいというか、下世話なジャケットですが、中身もやはり相当にぶっ飛んでる愛すべきアルバムです。



Nick Loweと Elvis Costelloという二代看板に去られたStiff Recordを救った?のはやはり彼でしょう。まさにレーベルを代表するアーティストでしたね。



パブロックの連中は後述のDr.FeelgoodのようなR&Rをベースとしたバンドが多いのですが、彼とバックバンドのBlockheadsはファンクを取り入れた黒っぽいサウンド創りがいかしてましたね。



バンマスのChaz Junkelのセンスもあるのでしょうね。彼が脱退してからは少し雰囲気が変わってしまいますから・・・。



このレコードも全曲捨て曲なしの文句なしの名盤です。是非聴いてみて下さい。人生変わりますよ!?




そして、パブロックといえばこのバンド、ドクターフィールグッドです。




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3枚目の傑作ライブアルバム「Stupidity」です。邦題は「殺人病棟」!


何とまあ、恐ろしい病院だこと。大体、前作の邦題も「不正療法」だったし、いくらバンド名にドクターがついてるからって、ちとやりすぎなんじゃないの、当時の担当者さん!



気を取り直してまいりましょう。


このバンドはリーブリローの塩辛い?ダミ声ボーカル(AC/DCのボンスコットもそうでした)とハーモニカ、ウィルコジョンソンのマシンガンギター(ソロを派手に取るんじゃなくて、ひたすらコードを掻き毟る)の二代看板が売りのシンプルなロックンロールバンドでした。



特にWilko Johnsonの人気は日本でも絶大でして、今でもライブをやればソールドアウトでしょうね。



彼の逸話にまさにパブロックの本質を代弁している名言がありますので、それを引用させて終わりとさせて頂きます。



当時パブシーンで人気上昇中の彼等のステージを見に、とあるパブにやってきたスパークスという人気バンドのマネージャーがウィルコを引き抜こうとしてこう言います。



「君はどうしたいんだ?(有名バンドに入って)プロフェッショナルなミュージシャンになりたいのか?それともあんな(パブに入り浸っているようなくだらない)奴らと一緒に無駄に時間を過ごしていたいのか?」


それを聞いてウィルコジョンソンが言った言葉です。



「あんな奴らと時間を無駄に過ごしていたいんです!」