ご存じですか,こんな病気?
    -21世紀の文明病「睡眠時無呼吸症候群」


睡眠時無呼吸症候群とは、その名のとおり寝ている間に頻繁に呼吸が止まる病気です。このために、夜間の熟眠が妨げられて昼間の眠気が生じ、仕事の能率が上がらない、疲れがとれないなどの症状が起こります。また、車を運転する方では頻繁に居眠り運転をして事故の原因にもなります。さらに恐ろしいことには、無呼吸によって血液中の酸素の値が低下するため高血圧や心臓病がおきやすくなり、程度がひどい場合には突然死の危険すらあると考えられています。

睡眠時無呼吸症候群の発症要因の一つは肥満であり、この病気が太っている人に多いのは事実ですが、やせ型の人は絶対大丈夫かというとそうではありません。実はこの病気の原因として一番重要視されているのは顔の骨格で、わかりやすく言えばあごが小さく、少し奥まっているようなタイプの人に起こりやすいと考えられます。最近、食生活の変化で堅いものを噛むことが少なくなったせいかあごの発達が悪くなる傾向にあり、このような人ではあまり肥満がなくてもこの病気が起こってきます。

このように、睡眠時無呼吸症候群は食生活とも密接な関係があると思われます。また、その発症要因の一つである肥満自体、深夜の食事やストレスからくる摂食異常、運動不足など現代の生活習慣を反映して起こっており、実際の患者さんの話を聞けば聞くほど、この病気の「現代文明病」的な側面に気付きます。先進国でのこの病気の頻度は、全人口の3%とも5%とも言われ、20人~30人に1人はこの病気の人がいるということになります。あなたや、あなたの周りの人は大丈夫ですか?

睡眠時無呼吸症候群ではないかと疑う第一歩はいびきです。いつもいびきをかくということ自体が病的ですが、いびきの大きい人の中にひどい無呼吸の人が含まれています。逆に言うと、いびきをかかない人はこの病気の心配はまずありません。

睡眠時無呼吸症候群の診断には、呼吸や酸素の値などを検出するモニターを装着して眠っていただく必要があります。専門施設に入院して行う方法もありますが、当院ではご自宅にモニター装置を搬入させて頂いてご自宅で検査を行う方法をとっております。この病気の診断や治療には、健康保険が適用されます。お気軽にご相談下さい。

睡眠時無呼吸症候群の診療の流れ


1. 初診時
まず問診、血圧測定などの診察をさせて頂きます。
診断のための検査(終夜睡眠ポリグラフィー)を行います。
当院から検査機器業者へ検査の申し込みを行います。
業者から患者さんへ直接連絡して都合の良い日時をうち合わせの上、
機器をご自宅へ搬入して装着法、使用法のご説明を致します。
ご自宅で検査機器を装着して普通に眠って頂きます。
翌日以降、業者が機器を引き取りに伺います。その後、機器内に記録されたデータを取り出して当院へ報告します。
検査終了後一週間以内にはデータが当院に到着しておりますので、
再度当院へお越し下さい。検査データや治療法についてご説明させて頂きます。
(念のため、再診の前に検査データが当院に届いているかどうかを
お電話でお問い合わせ頂いても結構です)。

※ 初診時は、初診料と検査料とで10.000円程度かかります。
健康保険が適応されますので、2割負担の方なら2.000円程度、
3割負担では3.000円程度をご負担頂くことになります。


2.再診時

(ア) 再診時には、解析されたデータをもとに睡眠時無呼吸症候群かどうかの診断、およびその重症度の診断を行い、重症度に応じて治療法を決定します。

(イ) 睡眠時無呼吸症候群の治療法は以下の3つに代表されます。

  1. 持続陽圧呼吸療法(CPAP)
  2. 口腔内スプリント
  3. 手術
なお、1.は当院にて導入、管理させて頂きますが、
2.の場合には口腔内スプリント作製に関心を持たれている歯科、口腔外科を
3.の場合には耳鼻科をご紹介することになります。


3.持続陽圧呼吸療法(CPAP)について
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(ア) 現在、中等症以上の睡眠時無呼吸症候群に対する最も標準的な治療法と言えます。

(イ) 専用の機器にシリコン製のマスクを接続して鼻に装着し、この機械を通じて
風を送り込み、その圧力でのどのつまりを解除して無呼吸を防ぎます。

(ウ) 必要となる圧力には個人差がありますので、適正な圧を設定する必要があります
(当院では、このプロセスもご自宅で機器を使用していただきながら行います)。

(エ) この治療法には月々16.000円程度の費用がかかります。健康保険が適用されますので、 2割負担の方なら3.200円程度のご負担となります。

(オ) この治療法を続ける限りは必ず1ヶ月に1回の通院受診が必要です。