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09 June 2025 の投稿一覧です。
カテゴリー: 総合
投稿者: furujinmachi

前回の記事はこちら。当院のリワークデイケアについても紹介して、リワークデイケアという存在の認知度を上げていきたいと思います。


リワークデイケアが果たす役割は、結局のところ次の3つになるのかなと思います。
・「働ける力」の再構築
・リハビリをする意味
・本人、家族、会社の橋渡し

「働ける力」の再構築
目的:メンタルヘルス不調からの回復と職場復帰には、単なる「症状の軽快」だけでなく、「仕事を継続できる力=ワークエンゲージメントを持てる状態」の回復が必要です。リワークデイケアでの支援内容
・生活リズムの安定: 毎日決まった時間に通所し、起床・通所・活動・帰宅のサイクルを整える。
・認知機能のリハビリ: 注意力・記憶力・遂行機能など、仕事に必要な基礎的認知機能を評価・トレーニング。
・対人スキルの再習得: グループワークやディスカッションを通じ、協調性や適切な自己主張力のトレーニング。
・ストレス対処スキルの獲得: CBT、マインドフルネスなどの技法を取り入れ、ストレス耐性を高める。
・職場を想定した活動:課題推敲やプレゼン練習など、仕事に近い場面での活動を実施。

リハビリをする意味
なぜ「回復=即復職」ではないのでしょうか?
・回復期には「元気になったと感じるが、仕事をこなす体力・集中力はまだ不足している」ことが多い。
・「医学的な寛解」と「社会的な機能回復」にはギャップがある。

リワークの意義
・段階的に慣らすプロセス: フルタイム復帰ではなく、週数回・半日から始めて、徐々に活動量と質を上げていく。
・自己理解の深化: なぜ不調に陥ったのか、どうすれば再発を防げるか、を考える機会。
・成功体験の積み重ね: 小さな達成感を積み上げ、自信を取り戻すことがモチベーション維持につながる。
・再発予防:再燃リスクの高い時期に支援体制があること自体が、安心材料になる。

本人・家族・会社の橋渡し
三者の関係の複雑さ:本人、家族、会社にはそれぞれの思いがあります。
・本人の「不安」や「焦り」
・家族の「心配」と「限界」
・会社の「期待」と「配慮義務」

リワークデイケアの中立的役割:そんな中で、三者の橋渡し的な役割も期待されます。
・本人の代弁者: 専門職が本人の状態を客観的に評価し、第三者的視点で職場と調整。
・家族へのサポート: 家族との面談を通じて、理解や支援の方法を共有。
・会社との連携:復職に向けた「情報提供書」や復職面談同席などで、業務調整や配慮の必要性を伝える。

例:復職前ミーティング
・本人・会社・主治医(または支援者)による三者面談で、復職条件やリスク要因を擦り合わせる。
・例)「週3回、午前中のみ」「段階的に業務を戻す」など。

まとめ
・リワークデイケアは、単なる「通所訓練」ではなく、「働き続けられるための力を再構築し、関係者との橋渡しを行う復職支援」として機能しています。
・医療・家族・職場が連携し、本人が「再発しない形で働き続ける」ことを目指します。

さて、次回に講演自体の締めくくりを作成して、準備が完成しそうです。
カテゴリー: 総合
投稿者: furujinmachi

心理検査の説明文を作って、発達障害の検査希望の人に早速使ってみました。

でも、なんか違和感があるんですよね。自分で好きにしゃべった方が、伝えたかったことが伝わる気がする。でも、患者さんからしたら、後から見返せていいかもとも思うんですよ。言われただけだと、覚えきれないことも忘れることもあると思います。初診でクリニックに来て、緊張した中で診察を受けて、いったい医者に言われたことのどれだけを覚えて帰れるか?ということを自分に置き換えると、半分覚えてくれていたらいい方かなと思うんですよね。

なので、記載した用紙を渡すことは無駄ではないと思いたい。どのみちきちんと書面で渡すことは必要なことだと思いますので、説明の仕方を自分なりに工夫していこうと思います。

資料を作って良かったな、と思ったのは、院内で心理検査について共有できたことです。受付スタッフは、検査の予約を取る兼ね合いでかなり心理検査のことは詳しく知っています。それから検査を担当する心理師ももちろん分かっています。けれども、他のスタッフは、心理検査のこと自体、そこまで細かく把握できていないところもあるんですね。概要は知っているけれども、詳細はちょっと分からない、みたいな。どこの会社でも、他部署の業務は詳しくは分からない、ということはよくあると思います。

しかしながら、当院では、初診の患者さんの予診を取るのは看護師の業務で、看護師も、けっこう心理検査について聞かれたりするらしいんですね。発達障害の検査を受けたいけど、どんな感じなんでしょう?みたいな相談を、予診中に受けたりしてたみたいなんですよ。そこで、知っていることは答えるけど、少し自信のない部分もあったようです。今回作成した資料を看護師さんにも見せたところ、「これで患者さんに尋ねられても答えられる」と喜んでもらえました。実は不安だったのね、と思うともっと早く作れば良かったと思いました。

とにかく自分が作成したものが役に立ちそうで良かったです。

さて、資料を作りたいと思っていることがもう一つ。お薬をはじめてお出しするときの注意点について。これも、けっこう同じ内容を話すようになるので、資料にしてしまって、持って帰って後で読んでもらえるようにしたらいいのかなと思ってます。こちらは同じ内容を何度もいろんな人に話してるんですが、患者さんから聞くと初めての話ですよね。そして伝え忘れがあってもいけないし。薬はいろんな薬がありますが、開始時の注意点はけっこう共通している部分もあるんですよね。

お薬を出すときに、普段説明しているのは以下のような点です。
・精神科のお薬は、少量から開始します。これは副作用の発現を抑えるためです。
・副作用で多いのは、眠気と吐き気です。薬によっては、逆に夜が眠りにくくなったり、頭痛が起きるものもあります。飲み始めの数日間が一番出現しやすく、飲み慣れると取れてくることも多いです。
・効果は、ゆっくりと出てきます。今日飲んで、明日すぐ効果が出るわけではありません。また、少量から開始しているので、効果が十分でなければ、徐々に増やしていくようになります。
・もし、副作用がきつく感じた場合は、一旦中止して下さい。そして、診察の時に、そのことを報告して下さい。診察の予約を早めたい場合は、診療所に連絡をお願いします。

これで資料を作ってみようと思います。
カテゴリー: 総合
投稿者: furujinmachi

以前にも共感について書いたことがありましたが、このテーマは本当に難しいです。

先日聞いた研修で、講師の先生がこんなことをおっしゃってました。
「そもそもコミュニケーションとは困難なものです。」
「ストレスのほとんどは対人関係にあります。」
「安易に共感されると嫌だと感じる方が多いです。」
「共感しようとする過程が重要なのだと思います。」
本当に、心に染み入るキーワードばかり。

「そもそもコミュニケーションとは困難なものです。」
この大前提って、結構重要だなと感じました。コミュニケーションとは難しいものなのです。簡単にできることではないんです。だからこそ、練習が必要だったりするんです。できて当たり前のことではなくて、スキルとして学ぶ必要があることなんです。
その意識があるかどうかですよね。うまくコミュニケーションが取れるようになるんだったら、その方法を知り、学び、実践していく必要があるんですね。



「ストレスのほとんどは対人関係にあります。」
これも、その通りだと思います。いろんな人から、ストレスでしんどいという話を聞いた時に、何がストレスか、ということを考えていくと、対人関係にいきつくことがほとんどなんですよね。たとえば過労状態でしんどくなっている人でも、そもそも過労になってしまう原因に、部下に頼めないとか、上司に言われたことを全部頑張ってしまうとか、他人との関係性の問題が浮き上がってくるんですよね。対人関係のストレスを解消していくためにも、上述のコミュニケーションのスキルが重要になってきます。



「安易に共感されると嫌だと感じる方が多いです。」
自分でも、自分の気持ちが分かりかねる時があるのに、ちょっと話しただけで「分かる」とか言われると嫌悪感を抱いてしまう、みたいな話はよく聞きます。楽しい話や、そこまで深刻でない話であれば、ちょっと話して、「あ、分かる!」みたいに盛り上がるのはとてもいいことだと思うんですよ。でも、辛い気持ちや悲しい気持ち、なんとも言えない気持ちなんかは、うまく話せないことも多いし、それでも共感したいと思ってもらえるなら、丁寧に聞いてほしい。そういうことだと思います。



「共感しようとする過程が重要なのだと思います。」
安易に共感するのではなくて、ああでもない、こうでもないって話しながら、自分にぴったりの気持ちの表現を、一緒に探していく。本当に十分には共感できないかもしれない。それでも、そうやってじっくりコミュニケーションをとっていく過程そのものが、とても重要だ、ということですね。相手の話をまず、とにかくひたすら聞くこと。その中で、相手の気持ちを理解するための質問だけをしていくこと。そうやって、相手の気持ちの理解にだんだんと近づいていくこと。それが共感するという過程なのだと思います。