精神科医のつぶやき「薬の開始時の説明についても資料を作ってみようと思います」 (2025/06/09)
投稿者: furujinmachi
心理検査の説明文を作って、発達障害の検査希望の人に早速使ってみました。
でも、なんか違和感があるんですよね。自分で好きにしゃべった方が、伝えたかったことが伝わる気がする。でも、患者さんからしたら、後から見返せていいかもとも思うんですよ。言われただけだと、覚えきれないことも忘れることもあると思います。初診でクリニックに来て、緊張した中で診察を受けて、いったい医者に言われたことのどれだけを覚えて帰れるか?ということを自分に置き換えると、半分覚えてくれていたらいい方かなと思うんですよね。
なので、記載した用紙を渡すことは無駄ではないと思いたい。どのみちきちんと書面で渡すことは必要なことだと思いますので、説明の仕方を自分なりに工夫していこうと思います。
資料を作って良かったな、と思ったのは、院内で心理検査について共有できたことです。受付スタッフは、検査の予約を取る兼ね合いでかなり心理検査のことは詳しく知っています。それから検査を担当する心理師ももちろん分かっています。けれども、他のスタッフは、心理検査のこと自体、そこまで細かく把握できていないところもあるんですね。概要は知っているけれども、詳細はちょっと分からない、みたいな。どこの会社でも、他部署の業務は詳しくは分からない、ということはよくあると思います。
しかしながら、当院では、初診の患者さんの予診を取るのは看護師の業務で、看護師も、けっこう心理検査について聞かれたりするらしいんですね。発達障害の検査を受けたいけど、どんな感じなんでしょう?みたいな相談を、予診中に受けたりしてたみたいなんですよ。そこで、知っていることは答えるけど、少し自信のない部分もあったようです。今回作成した資料を看護師さんにも見せたところ、「これで患者さんに尋ねられても答えられる」と喜んでもらえました。実は不安だったのね、と思うともっと早く作れば良かったと思いました。
とにかく自分が作成したものが役に立ちそうで良かったです。
さて、資料を作りたいと思っていることがもう一つ。お薬をはじめてお出しするときの注意点について。これも、けっこう同じ内容を話すようになるので、資料にしてしまって、持って帰って後で読んでもらえるようにしたらいいのかなと思ってます。こちらは同じ内容を何度もいろんな人に話してるんですが、患者さんから聞くと初めての話ですよね。そして伝え忘れがあってもいけないし。薬はいろんな薬がありますが、開始時の注意点はけっこう共通している部分もあるんですよね。
お薬を出すときに、普段説明しているのは以下のような点です。
・精神科のお薬は、少量から開始します。これは副作用の発現を抑えるためです。
・副作用で多いのは、眠気と吐き気です。薬によっては、逆に夜が眠りにくくなったり、頭痛が起きるものもあります。飲み始めの数日間が一番出現しやすく、飲み慣れると取れてくることも多いです。
・効果は、ゆっくりと出てきます。今日飲んで、明日すぐ効果が出るわけではありません。また、少量から開始しているので、効果が十分でなければ、徐々に増やしていくようになります。
・もし、副作用がきつく感じた場合は、一旦中止して下さい。そして、診察の時に、そのことを報告して下さい。診察の予約を早めたい場合は、診療所に連絡をお願いします。
これで資料を作ってみようと思います。