前回の記事はこちら。当院のリワークデイケアについても紹介して、リワークデイケアという存在の認知度を上げていきたいと思います。


リワークデイケアが果たす役割は、結局のところ次の3つになるのかなと思います。
・「働ける力」の再構築
・リハビリをする意味
・本人、家族、会社の橋渡し

「働ける力」の再構築
目的:メンタルヘルス不調からの回復と職場復帰には、単なる「症状の軽快」だけでなく、「仕事を継続できる力=ワークエンゲージメントを持てる状態」の回復が必要です。リワークデイケアでの支援内容
・生活リズムの安定: 毎日決まった時間に通所し、起床・通所・活動・帰宅のサイクルを整える。
・認知機能のリハビリ: 注意力・記憶力・遂行機能など、仕事に必要な基礎的認知機能を評価・トレーニング。
・対人スキルの再習得: グループワークやディスカッションを通じ、協調性や適切な自己主張力のトレーニング。
・ストレス対処スキルの獲得: CBT、マインドフルネスなどの技法を取り入れ、ストレス耐性を高める。
・職場を想定した活動:課題推敲やプレゼン練習など、仕事に近い場面での活動を実施。

リハビリをする意味
なぜ「回復=即復職」ではないのでしょうか?
・回復期には「元気になったと感じるが、仕事をこなす体力・集中力はまだ不足している」ことが多い。
・「医学的な寛解」と「社会的な機能回復」にはギャップがある。

リワークの意義
・段階的に慣らすプロセス: フルタイム復帰ではなく、週数回・半日から始めて、徐々に活動量と質を上げていく。
・自己理解の深化: なぜ不調に陥ったのか、どうすれば再発を防げるか、を考える機会。
・成功体験の積み重ね: 小さな達成感を積み上げ、自信を取り戻すことがモチベーション維持につながる。
・再発予防:再燃リスクの高い時期に支援体制があること自体が、安心材料になる。

本人・家族・会社の橋渡し
三者の関係の複雑さ:本人、家族、会社にはそれぞれの思いがあります。
・本人の「不安」や「焦り」
・家族の「心配」と「限界」
・会社の「期待」と「配慮義務」

リワークデイケアの中立的役割:そんな中で、三者の橋渡し的な役割も期待されます。
・本人の代弁者: 専門職が本人の状態を客観的に評価し、第三者的視点で職場と調整。
・家族へのサポート: 家族との面談を通じて、理解や支援の方法を共有。
・会社との連携:復職に向けた「情報提供書」や復職面談同席などで、業務調整や配慮の必要性を伝える。

例:復職前ミーティング
・本人・会社・主治医(または支援者)による三者面談で、復職条件やリスク要因を擦り合わせる。
・例)「週3回、午前中のみ」「段階的に業務を戻す」など。

まとめ
・リワークデイケアは、単なる「通所訓練」ではなく、「働き続けられるための力を再構築し、関係者との橋渡しを行う復職支援」として機能しています。
・医療・家族・職場が連携し、本人が「再発しない形で働き続ける」ことを目指します。

さて、次回に講演自体の締めくくりを作成して、準備が完成しそうです。