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January 2017 の投稿一覧です。
カテゴリー: 2.感染症
投稿者: satohcli10-9
皆さんこんにちは。年末からインフルエンザが流行しています。正月早々家族で罹った気の毒な方もいるようで、ここにも年明けから何人ものインフルエンザの方が来院しています。そこで問題となるのが、この時期の発熱患者さん全員を、インフルエンザであるかどうか検査しなければならないのか?ということです。会社や学校、幼稚園、保育園に通う人たちの場合は、「流行っているのではっきりさせてくるように。」とか、「検査ではっきりするまで出勤や登校、登園はご遠慮願いたい。」などと言われて病医院に来る人が多いものです。しかし、よく考えると、これは必ずしも正しいこととも言えません。それは次のように考えられるからです。
1;インフルエンザは発熱する疾患の一つに過ぎず、世の中には数百種類のウイルス、細菌による熱性疾患があります。症状や所見から医師が軽症と判断した患者さんに対しても、勤務先や学校、保育園などが検査を強要するのは科学的ではないし、そんな権利もありません。こうした対応は後で申し上げますが、世界の非常識です。
2;2歳以下、65歳以上の方、あるいは何らかの病気で抵抗力が落ちている方、心臓や呼吸器の病気の方、妊婦さん以外は普通のインフルエンザに対しタミフル、イナビルなど抗ウイルス薬は必ずしも必要ではありません。先進国でも検査すらしない国が多いです(アメリカは検査を推奨するようになりました)。鎮痛解熱剤を飲んで、自宅で休むよう指示するのが一般的です。なお、日本と海外では考え方が違い、あちらでは薬の使い過ぎで耐性ウイルスが出現し、肝心な時に薬が効かない状況になることを危惧しています。少なくとも、インフルエンザの患者全員にタミフルを出すのは日本だけといえます。
3;一般のインフルエンザでは、職場を一定期間休むよう決めた法律はありません。あくまで、学校、幼稚園、保育園など教育現場に対しての法律です。新型インフルエンザについては法律ですべての人を対象に定められていますが、一般的なインフルは、あくまで自主規定です。実は医療機関、高齢福祉施設などについても、法律で就業が規制されている訳ではありませんが、常識的に休みますよね。
4;検査自体が痛いです。熱が出るたびにやっていたら、保育園の子供さんなんかはひと冬に4回も5回もやることになりますが、どう思いますか?個人レベルで言えば、インフルエンザでも重い時と軽い時が有り、微熱でしっかりしており、症状も軽ければ、検査不要です。ただし、集団の感染予防という面からは、たとえ軽かろうがインフルエンザの人が登校登園してきたら大問題でしょう。管理者の責任問題にも昨今はなりかねません。でも痛いですよね。「ちょっと違うだろうな。」と思いつつわんわん泣く子供を押さえつけて、仕方なく検査している我々はなんでしょうね?そういう時ってやっぱり出ないんです、ほとんど。
要するに、集団感染を防ぐということと、個人の利益が時に相反します。治療も必ずしも必要ではありません。それでも画一的な対応を、過剰ともいえる対応をしなければならないのが、今の日本の現状です。なんだかクレーム対策みたいでしょう?そうなんですよね、「何か有ったらどうするんだ。」的な考えが蔓延している故の、一種の過剰反応だと思います。なお、新型インフルエンザに関しては、全例検査は不要、抗ウイルス薬も全例投与となります。対応は大違いです。
そう言えば、ノロウイルスの検査をしている医師もいますが、3歳以上65歳未満では保険はききません。やっても薬はなく、自然に治る病気ですので、これも過剰な対応は不要です。感染対策も厳密にやれば大変ですので、できる範囲で仕方ないと思います。命にかかわることはほとんど無い病気ですので(万に一つもないとは言いませんが、交通事故のほうがはるかにハイリスクです)、余り神経過敏になるのもどうかと思います。一生のうち、何回かはかかりますから、どうせ。
以上、世の中で広まっていることが、必ずしも常識なのか、正しいことなのかの一例としてもとらえることができそうな話だと思います。ではまた。
カテゴリー: 総合
投稿者: satohcli10-9
みなさん、明けましておめでとうございます。お正月は開けましたが、どのように過ごしていましたか?我が家はクリスマスの後に上の子供たちがつくばに帰省してきたので、家でお正月を過ごしていました。その時、「ああ、やっぱり自分は年を取ったんだな。」と痛感した出来事が有りました。
それは仕事も終わった年末に、僕と子供たちとで肺活量を測定してみた時の事です。娘たちは大学生でも3000ml前後、高3の息子は5000ml,僕は55歳で約4000mlでした。その時、「えっ?なんで1000も違うの?(息子と、という意味です)昔は自分も5000は有ったのに!!」と少なからずショックを受けました。なんせ身長もほとんど変わらないし、あっちの方がややぽっちゃりだし(ただし、彼は中学、高校と硬式テニス部員でしたし、テニスは全くかないませんが)。ですが、冷静になって考えると、これは当然のことなのです。医学的な事実として、呼吸機能は年齢とともに必ず低下します。低下の幅が大きいか小さいか、その違いだけなのです。50歳を過ぎて、若い人と同じな訳は無いに決まっています。道理で、走っても全然追いつかないわけです。ボディが同じで、エンジンの排気量が1000ml違うと、まったく走りが違いますよね。理屈は十分わかっているはずですが、いざ自分のこととなると、こんな風に思ってしまうものなのですね。ちょっと恥ずかしいです。自分も「年相応」だと、つくづく思い知らされました。
ただし、中年の皆さん、僕たち中高年者の全てが若者より劣っているわけではありません!!例えば、筋力は意外に落ちないものです。また、がんばれば伸びます。自分を例に挙げれば、ダンベルを持つと、まだ息子より1.5から2倍の重量が上がりますし、数年前より明らかに腕、背中、胸の筋肉量は増えています(若い時に始めればもっと良かったと思いますが)。ボディビルダーも、全日本で上位の人たちは40歳代が多いです。50台の選手もいます。なお、ボディビルで大学日本一の選手はもちろん20代前半の若者ですが、例外なく、中年であるはずの彼らに筋量も、最大筋力もまったくかないません。瞬間的な筋力、筋肉の大きさ、太さはは若ければ良いという訳ではなく、数年どころか十数年、二十年近くかかって作ってゆくもののようです。
また、新しいことにまだまだ取り組める時期です。!NHKの子供向け教養番組「日本語で遊ぼう」の監修をしている斉藤孝明治大学教授も、「自分のことに時間が使えるようになる中高年者こそ、教養を高め、色々な新しいことにチャレンジできるものです」というようなことをおっしゃっています。若い時に読んだ本でもまた読み返すと新しい発見が有りますし、今まで読んだことのなかった作者やジャンルの本にも挑戦できます。さらに、あまり聞かなかったジャンルの音楽なんかも聞こうと思えば聞けるものです。若い時に比べ、物を知ってるつもりであっても、全てのことを知り尽くしているわけではありません。「ああ、なんで今まで読んでなかったんだろう、聞かなかったんだろう。」ということがままあるものです。ちなみに僕は、若い時にまったく読まなかった村上春樹さんと瀬戸内寂聴さんをここ2年ほどで「読み倒し」ました。また音楽は、もともと楽器を弾くので(ギター、ドラム、パーカッションなど少々)あれこれと(ジャズ、ラテン、民族音楽、ロックやフォークソングなども)聞いていましたが、なぜか昔は聞かなかった山下達郎やサザン、ユーミンなど80年代のJ-Popを今更のように聞いてます(過ぎ去った青春を懐かしんでいる、という一面もありますが)。
僕たちは毎年、一つずつ確実に年を取ります。それは或る年齢からは、余り嬉しいものとは言えないでしょう。ですが、それは仕方のないことですから、その中で「充実して過ごす」「受け入れながらも老け込まない。」ことは大事かなって感じます。ただし、怪しげな「アンチエイジング」には走らない方が良いと思います。若ければ良いってものでもないし、その年齢なりの良さ、さらにはその年になって初めて判ることって必ずありますよね(僕は若いうちは傲慢な人間だったので、昔はそんなことは全く判りませんでした。今思うととても恥ずかしいですけれど。)ミドル、あるいはシルバーエイジの皆さん、まだ人生は長短の差こそあれ、まだ自分の手の中にあります。この一年、家族や仕事のために使うことはもちろん大事ですが、自分の取り分もお忘れなく、充実させましょう、お互いに。
新年から取り留めのない文章になりましたが、今年もよろしくお願いします。