学生の時にいろいろな科の
病棟をまわって、各診療科の
臨床研修をするのだが、

精神科では、鍵をわたされほぼ2週間
精神科病棟にいた。

精神科の患者さんというものは、
もちろん自分がすることは
間違っていないとおもうから
こちらから見れば、変なことを
大真面目にやっている。
つまり、言い方をかえると
我々と違う世界を生きているといっていい。

顔をあらってから
必ず不潔な雑巾で顔をふく人
いるはずのない人と真剣に話す人
どうやっても動かないのに
ゴミが落ちていたら素早く拾う人

2週間もそういう人達の中で
いたら、
だんだん、自分の方が正常ではない
様な気がしてくる。
つまり、自分の世界の方がおかしいのでは
ないか?という思いが芽生えてくる。
あるいは
いったい正常って何だろうと
考える様になってしまう。
自分のしていることこそ異常なのではないか

洗脳なんてそんなものかもしれない
最初は怪しいと思いながら
その世界だけで生きてゆくことで
最終的に他の世界がおかしいと
思いだすようになってしまうのだろう。


先日、東京のワクチンの会場で、
コロナのワクチンを
打ってはいけないという
団体がワクチン接種を妨害にはいって
もめたらしい。

非ワクチン論者は、
我々からみれば、荒唐無稽なデータ
を見て、信じ、
(こういう人達の見るデータは
出所不明かあるいはバイアスの
かかったデータが多い)
そこまででは、都市伝説を信じる
いわゆる陰謀論者であるのだが、
(ここまででは、ただ自分が
ワクチンを頑なにしない人)

そういうことを信じる人達だけの
コミュニティーの中に
浸かっていると自分の主張の方がただしく
大多数の考えが間違っていると
真剣に思う様になるのであろう。
(ここまで来ると、他人のワクチンを
妨害するにまでに至るのだろう)

新興宗教はこれの粋たるものの様な気がする。

今をときめくプーチンも
ソ連の再興を目指しているうちに
イェスマンばかりの環境の中で
正常な世界が見えなくなってしまったに違いない。

そういうことを考えているうちに
また、自分は正常なのだろうか??
正常ってなんだろうか??
と思い込んでしまったりして。

俺っておかしい??