総回診といえば、
一般の人は、“白い巨塔”の総回診のことを
想像するであろうが、
私のいた当時の総回診はそれを
はるかに上回る大変なものだった。

はっきり言ってこれは大教室の教授であることの
セレモニーの様なものである。

その回診の用意のために
日曜の夕方から教授に見せるフィルム、
カルテの整理、教授に話すために患者さんの
概要や、フイルムを用意する。

そして、月曜の朝に教授回診が始まる。
先にもいった通り大学内だけで7~80人の
医者がいるわけで、テレビで見るより
数倍多い人数での大名行列が始まる。

総計で、一外科だけでも100人近い
入院患者さんがおり、
一番下っ端の丁稚は、7~8人の直接の受け持ち
患者さんがおり、
一人の患者さんを教授にプレゼンテーションをすると
次のもち患者さんまで慌てて移動して
古い大学だったので、3階の主な病棟が
終わると100mほど離れた病棟に行き
(走って)それが終わると10階の
特別室まで行き(階段を走って上がって)
また、他の階の病棟を回って
また逆に100mほど離れた病棟まで
走って行くというありさまで。。。

プレゼンテーションは大抵がすんなり
終わるのだが、教授の意にそわないことを
すれば指導医ともども患者さんの頭越しに
罵倒される。
(回診の後は、指導医に怒られる)
私は結構要領よく進む方であったが、
中には、最初の患者さんから最後の
患者さんまでズーーート
強いお叱りを受ける丁稚もいた。

それはそれは丁稚にとっては戦争の様な
状態でした。
9時から始まり終了が11~12時で
心身ともにへとへとになる。