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April 2017 の投稿一覧です。
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投稿者: ryokusei
隠れているから面白い その3

話は長くなり、少し脱線するが

私の子供に当時、子供の間ではやりのハリーポッター
の小説を読ませても、まったく興味をしめさなかった
のだが、映画を見て、断然ファンになってしまった。
映画の出演者と同世代であり、出演者と同じ様に
成長して行くのでファンになったのだとおもって
いたのだが、実のところはそうではなかった。

ハリーポッターに限らず我が子は、あまり本に興味
を示さない。
いろいろ見ていてわかったのだが、
本を読んでも物語の情景を頭の中で作れない
のである。
つまり、漫画世代のわが子は、活字から場面を作るの
が苦手なのである。
(本を読むなら挿絵が多い本を好むのである)
これは物語を出来上がった情景で表現する劇画に
慣れている世代の欠点であることがなんとなく
わかってきた。


私は、小説や物語は、読み手の数だけ物語がある
と思っている。だから、いろいろな人に元の物語
から読み手なりの物語を作らせる力がある小説ほど
素晴らしいと思っている。(自分を主人公にして、
周囲に役所広司や、渡辺健を配置したりして)
逆にいえば、小説が映画化されるとその物語の
幅や奥行は一機になくなってしまって魅力が半減
するような気もするのである。

現在は、情報の入手を漫画を超越して画像で
得る様になってきている。
そんな今の状態が、ますます社会を薄っぺらに
してく様な気がしてならない。
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投稿者: ryokusei
隠れているから面白い その2

少し話は変わるが、
またまた映画の話で恐縮だが、私の好きな映画に
“ニューシネマ パラダイス”という映画がある。
この映画には短いバージョンと長いバージョンが
あるが、最初に短いバージョンを見ていたく感動
したのである。ただ、ストーリー展開で、説明不足
の感があったが、それを全く帳消しにするほど
素晴らしい映画であった。(その年のアカデミー
外国語映画賞を取った映画)
その後、しばらくして長いバージョン(いわゆる
完全版)が出て観たのだが、
足りなかったストーリーとさらに付け加えられた
ストーリーがあった。

しかしながら、長いバージョンを先に見ていたら
これほど好きにはなっていなかったかもしれない
と思うほど短いバージョンの方が断然よかった。
あとで考えると短いバージョンを見たとき足りない
部分は自分で勝手に想像してストーリーを作っていたの
である。言い換えれば、主人公になってストーリー
展開を勝手にしたり、その映画を見ながら自分の
頭のなかでスピンオフ映画を作りあげていたのである。


不思議なことにナースの話も、映画の話も
他の人も同じように感じているようなのだ。

つづく
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投稿者: ryokusei
隠れているから面白い その1

手術室のナースは美人ぞろい。。。。。。。と思っていた。

大学で入局してすぐ手術室に出入りしていたころはそう
思っていたのだが。。。。。

その後、私は2年ほど麻酔科にいたが、美人ナースがおもった
ほど。。。。。。い。。。。な。。。。い。。。???
ことに気が付いた。

注釈:手術で手術室に入るとき手術室のナースはマスクを
したところしか見ないが、麻酔科にいるとマスクをはずして
普通にナースの服装をしているのを見ている。


人は、隠れている部分を勝手に想像する。
その想像力は人によってまちまちだとは思うがどうも私の経験
でいうと隠れている部分は、勝手にいいように想像し、創造して
しまっていたのだ。

つまり、
手術室では、ナースは常に帽子とマスク(大き目の)をつけて
いる。露出している顔の部分はきわめて少ない。言い換えると
得られる顔の情報は目だけの状態である。
そこで、自分勝手な私の脳は、その目に見合う口、顎、額、頬
を作りだしていたのである。

つづく
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投稿者: ryokusei

模範解答

テレビの主役の外科医は、
① 手術が終了するなり手術着で
② 家族に“手術は成功でした”と告げるなり
③ 背広に着替えて
④ 綺麗なナースに“お疲れさん”そう言って、
⑤ さっそうと病院を後にして、
⑥ 小奇麗な飲み屋で一杯のんで
⑦ 手術の成功をかみしめるのであった


項目①
基本的に手術着で手術室の外に出てきてはいけません。
厳密にいうと手術室と外では着るものが同じなのは禁止
です。
手術が終わると急いで着替えて先ずは術後の患者のもとに
はせ参じなければいけません。

項目②
手術は成功でしたというセリフをよく聞くが、この言葉に
対しての違和感は強い。逆に失敗でしたということはある
のであろうか? 手術は成功するのが当たり前であり、ど
んな手術も失敗せず一応の決着をつけるのである。
もちろん術後の経過がよくなかったり、合併症が出たりす
ることはある。しばしば病変の広がり方や、個人の解剖
的な違いから(人によって血管の走行が違っていたりする。)
予定外のことがあり、手術法を変更することはあるし、想
定外のことが起こることもあるが、
手術が終了した時点では、厳密に言うと失敗したというこ
とはまずありえない。(すくなくとも自分は経験したことが
ない)
せいぜい手術は予定通り終了しました。という話になる。
(もちろん急患の手術で出血が止まらなかったり、間に合
わなかったことはあるが)

項目③
背広で出勤する医者もいるが、概して、医者は、病院で白
衣に着替えるのでラフな格好で出勤するものが多く、特に
私の当時の外科系はそういう傾向にあった。最近のDrは、
ファッションにこだわる人が多いが、昔は、そういう暇さ
えなかった。ちなみにネクタイは医療では不潔になりやす
いといわれている。

項目④
綺麗なナース。
ドラマではかなり美人の若いナースが多いが、これ以上は
コメントしません。。。

項目⑤
手術が終了してすぐ帰ることはありえない。
外科医に言わせてもらうと術後ほど大変なものはない。
今では大きな病院では、術後を他の麻酔科の医者や、担当
の医者に任せることもあるが、ふつうは、手術が終わると
術後の状態が安定するまで見ていなければいけない。
それが終わると摘出した臓器をホルマリンに固定しなけれ
ばならない。(これが結構大変で、例えば胃なら、その周囲
のリンパ節というものを探して取り出して分けて固定する。
胃は胃で板に張り付けなければならないので慣れていても
小一時間かかる。)
それが終わると手術記事といって、行った手術の記録をか
かなければならない。(昔は、下っ端医者は手術自体が見え
ていないのに手術記事を書かなければならなかった。)
それから、また、術後の出血がないかとかいろいろまた
患者さんを観察していなければいけない。
そこまで当日に終わらせないと、次の日もまた手術がある
ので、仕事が溜まってしまう。
そしてそこで仕事が終わるわけではない。
病棟の担当の入院患者さんの状態を見なければいけない。

項目⑥
そんなこんなで食べる暇もないぐらいで、手術の時間次第
では夜中になり、飲みに行く余裕などあるはずがない。

項目⑦
毎日ほぼ同じ手術をしているので、手術自体に酔いしれる
ことはなく、むしろ、何もなかったことの安堵感が疲れと
ともに出てくるぐらい。

訂正文
実際の外科医は、手術が終了するなり急いで着替えて患者
さんをみて、家族に摘出し臓器を見せて細かく説明したう
えで“おおむね予定通りの手術でした”といい。
それからは、摘出標本を作ったり手術の記録をかいたりし
てさらに術後の患者さんをみて
疲れ果てて食事をしてそれからさらに病棟の入院患者さん
をみて
夜空の星を眺めて、今日の手術も無事終わったと安堵して
家に帰るのでした。

これは標準的な中小の病院の手術を執刀できる主治医クラ
スを対象とした話です。
大学病院の教授クラスはそこまでないし、逆に下っ端はも
っと悲惨です。(私が外科をしていた時代はさらに悲惨でし
た)これではドラマにはならないのは当たりまえ。

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投稿者: ryokusei
お疲れさん。その1

テレビの主役の外科医は、手術が終了するなり手術着で、
家族に“手術は成功でした”と告げるなり背広に着替えて
綺麗なナースに“お疲れさん”そう言って、さっそうと
病院を後にして、小奇麗な飲み屋で一杯のんで手術の成功
をかみしめるのであった。

まさに絵になるカッコいいシーンである。
このシチュエーションにあこがれて医者を目指すものさえ
いる。

馬鹿者!!

そんなわけがないだろ。
こんな間違いだらけのシーンはない。

どの業界を描くテレビドラマも、視聴率を稼ぐにはこれし
かないに違いない。
拳銃を撃ちまくる刑事ドラマでも、いろんな客に最終的に
感謝されるホテルや旅館のドラマでも、その業界で働くも
のからしたらとてもありえないシーンの連続であろう。

いたって現実は厳しいのである。

つづく(次回は間違いの解説)

問題 :以下の文章の間違いに下線を引きそれぞれ訂正せよ

テレビの主役の外科医は、手術が終了するなり手術着で、
家族に“手術は成功でした”と告げるなり背広に着替えて綺麗
なナースに“お疲れさん”そう言って、さっそうと病院を後にして、
小奇麗な飲み屋で一杯のんで手術の成功をかみしめるのであった


つづく(次回は問題の解答と解説)