ベンハーの映画を見て、その4の2の2

 人間というものは、朝、目が覚めれば新しい自我が始ま
って、一日、一日違う自己があるのだが、
いかんせん常に切り離せない過去を引きずって歩いてい
る。それだけに過去のものにノスタルジーを感じることは
決して悪ことではないし、当然のことだと思っている。

戸棚にしまっておいた古い本やCDのホコリを払いなが
ら色あせたその表紙や ひびのはいったCDケースを眺め、
時の流れを感じ
ページの隙間に書いた走り書きに、当時の自分がよみがえ

たまたまページの間に挟まっていた物になつかしさを感
じ、
,当時の宣伝広告にいろいろなものに憧れた当時のこと
を思いだし
レコードの雑音は世界をセピアに染める。

電子媒体の中の本や音楽は色あせたり傷んだりしない。
いつも新品なのである。
置く場所にもこまらない

この完璧さが今の世の中でどんどん広がっている
今後もどんどんそうなってゆくだろう。

でも匂いや味、香りはどんどんなくなってゆく気がする。

                一応 終わり