白い巨塔

久しぶりにNHKのBSで
昔の田宮二郎の
白い巨塔を見た。

やはり、話自体は、物語的に
面白くするために
極端なところがあるのだが
見ていてやはり面白かった。

以前にも言った様に
田宮二郎のあの内面に含む
人間性の情熱、性格的いやらしさ
が、画面に湧き出て
財前教授を強調して
とても面白く見た。
1966年の映画で
私が医者になる約20年前の映画で
当時でも医学、
社会の風情が残っていた。
(今なら2003年ごろ)
(唐沢寿明の白い巨塔がそのころだったから
今みても医学的には遜色ないところだから
当時の私にしてみれば懐かしいのだ)

それにしても色々なものが懐かしかった。
先ず、皆がタバコをプカプカ
ふかしていた。
病院も診察室、医局、当直室、どこでも
灰皿がおいてあって、
タバコをふかしながら
カルテを書いていたこともしょっちゅう。
肺班のカンファランスでさえタバコの煙で
もうもうとしていた。

医学面では、当時の最先端医療が
垣間見える。


そして以前もいったけれども
レントゲンフィルム。
シャーカステンや窓の明かりをとおして
診たものだ。
(私はそれが好きだった!!)

内視鏡
内視鏡をしている所は写真にはなかったが、
当時はファイバースコープができたばかり
(その前は、硬性鏡といってまっすぐな
カメラをサーカスで剣を飲み込むように
まっすぐ入れるカメラさえあった)
今より太くで硬いファイバーで
かなり苦痛だったはず
そして、カメラは手元に重たい大きな
カメラを付けて撮影した。

フイルムは幅が1cm強の写真に直径1cm
位の丸い画像が映っていて
その画像が現像されると(1週間ぐらいかかる)
皆で幻灯機でスクリーンに映してみたものだった。

当然、今とくらべればはるかに暗くて
あらい画像で、必死に見ていた。

そして、少数の人しか知らないとおもうが
透視写真を撮る前に
付けるサングラス。
昔は、透視をするのに
また、直接患者さんの横で
その画像をみていた。
その画像たるや無茶苦茶暗かったので
透視部屋に入る前にサングラスをかけて
眼を慣らしてしていた。

そして教授の絶大なる権力
当時の教授は、一旦なれば
医局の頂点に立ち、
全ての権力を握り、
いわば、天皇陛下。
下っ端は直接話もできなかった。
医局人事は教授の一声できまる。
(ところが今や、医局は崩壊、
教授はパワハラ、袖の下も許されず、
いまやなり手さえいなくなっている。)

教授回診と古い建物。
昔の病院は廊下がせまく、
いま思えばよくあんな狭い廊下を
ストレチャーや思いベッドを
動かしていたな。と思う。
(いまは消防法なんんかもあって
病院の廊下のはばは無茶苦茶広い。)

狭く暗い病室。
今見たら、陰気で、病気が悪くなりそうな
病室である。

しかし、心のどこかで
おじさんは、当時が
なつかしく、医者としては
悠長でよかった時代を
うらやむのであった。
どうも、今の医療は、
今の世間と同じで
モニター画面の並ぶ診察室を
無機質なものを感じるのであった。。。。。。