そのおっちゃんは、
94歳の今でもバリバリ現役の
農家である。
前から、この人は仕事を辞めたら
終わるなと思うほどの人である。

日頃は、結構いい加減なところ
があり、当院でもちゃっかり
ナースのお尻を触って帰るおっちゃんである。

今でも牛の世話をしており、
つい最近も子牛を買い付けていた。
(子牛を買って、数年かけて
大きくしてから売るのである。)
当然、大きくなるときは
おっちゃんも100歳近い。
自分でも牛が大きくなるまで
生きとるかどうかわからんと言いながらも

“ずっと生きとると思わんかったら
生きて行けんわ。。wahahahaha
!“
と言い放って帰った。

おっちゃんは、戦時中に
海軍で特攻兵器の訓練をしていて
同僚も何人かは戦死したらしい。
そんな若い時代を過ごして、
戦後ずっと農家をしてきた
苦労人のことばは、
いつものいい加減さと
対照的で、何とも言えない重さがあった。

その言葉に救われて
やや持ち直して、
今日も仕事をしているのです。