流石に11月近くになりますと肌寒くなってまいります。

ついこないだまで半袖ケーシーで診察していたのですが、今週から白衣も羽織るようになりました・・・。


こないだ、いきつけの中古レコード屋さんでRod Stewart のNight On The Townのイギリス盤をゲットしまして、嬉しくて何度も聞いてますが、素晴らしいんですよ!

という訳で、今月の壁レコードは彼の特集でいこうと思います。



先ずはその、「Night on the town」です。




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1976年に発表された名盤ですが、ジャケットの絵は、あのルノワールの「ムーラン・ドゥ・ラ・ギャレット」の精巧なパロディでして、学生時代、ヨーロッパ放浪中、パリ滞在時にオルセー美術館で本物を見た時、脳裏に浮かんできたのは「今夜決めよう」のイントロでした。


その「Tonight the night ~ 今夜決めよう」ですが、シングルカットされ、全米№1に輝いています。  凄くロマンティックな曲なんですが、当時の恋人、べべヴエルの色っぽい語りを挿入したエンディングはちとやり過ぎな感も致します。


歌詞をそのまま映像化した、下世話なPVも今見るとこれはこれで粋だなあ・・・・・。  べべヴエルはそれまではトッドラングレンとお付き合いしてたんじゃなかったっけ?  なかなか有名なグルーピーさんだったようです。


このアルバムはA面が本当に素晴らしく、今の季節にピッタリなんです。


2曲目はこれまたもの哀しい内容の曲で、キャットスティーヴンスのカヴァー、「First cut is the deepest ~ さびしき丘」です。



これはかつてフラれた彼女に心身を深く傷付けられた男が、復縁を迫り、「もし君が再び僕を愛する事になれば、その傷は幸運に変わるのだ。しかし君はかつて僕を傷付けた事を後悔し、苦しむ事になるのさ」 という意味と解釈してますが、メンドクサイ男ですな。


3曲目もなかなかいい感じの曲ですが、A面ラストの「Killing of Georgie」は軽快なパート1、悲壮感漂わせ熱唱するパート2、共に出色の出来です。


何でもゲイの友人の死を唄ったノンフィクションだそうで、まだ当時はタブーだった「ゲイ」を堂々とテーマにしたという事で、評価されているようです。


あのVillage Peopleが出てきたのはもう少し後なんですかね? しかし、彼らの作る曲は内容は兎も角、物凄くキャッチ―なメロディですよね・・・。 西城秀樹もピンクレディーもいいとこ取りしてズルい!!などと当時は全く思いませんでしたよ。


B面は最後の「Trade Wind」以外はパッとしない(失礼!)ので、あまり触れませんが、盟友ロンウッドも同時期に採り上げた「Big Bayou」を唄っているんですが、残念ながらロンの方に軍配が挙がりますね・・・・。





そして待合壁の2枚です。




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この2枚はイギリス時代、アメリカ時代それぞれの最高傑作だと思います。



先ずは、イギリス時代の傑作アルバム、「Every picture tells a story」です。




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1971年発表の3枚目のソロアルバムでして、「マギーメイ」の大ヒットを生んだアルバムで有名ですが、典型的ブリティッシュハードなタイトル曲や、抒情性のあるトラッドっぽい、いかにもイギリス的な曲も収録されているバランス良いアルバムです。


この頃は並行してフェイセス(このバンドもまた特集してみたいです)でもリードヴォーカリストとして活動しており、八面六臂の大活躍振りでした。



1974年まではそういうスタイルで忙しくしていたロッドが、ギターのロンウッドがローリングストーンズに加入する為に、完全にバンドを解散する事になったので、ロッドはソロだけでやっていく決意を固め、アメリカ移住の為に大西洋を渡るのでした。




そして出たのが、この大傑作アルバムです。




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まさに、「Allantic Crossing」です。  ジャケットの印象的なアールデコ調イラストはあのKOSHのデザインでして、その通り、ロンドンからニューヨークへ大西洋を一跨ぎしている様子がユーモラスに描かれています。



まあ、私はこのアルバムを何度聴いたか分かりません・・・。


A面のファーストサイドは一曲目の余裕いっぱいのミディアムナンバー、「Three time looser」と2曲目のJesse Ed Davisの乾いたギターソロが最高な、「Allright for an hour」が最高です。


B面は唄のうまさを生かしたスローサイドで、全曲が素晴らしい!  一曲目の「もう話したくない」はオリジナルのDanny Whittenの、2曲目の「It's not the spotlight」はオリジナルのBarry Goldbergのヴァージョンをそれぞれ完全に凌いでおり、このアルバムのベストトラックです。


Isley Brothresの名曲、「This old heart of mine」も流麗なバックの演奏及び女性コーラスも際立って、本家顔負けの名唱を聴かせてくれます。


そして、一般的にはこのアルバムで一番人気の「セイリング」ですが、私的には、オリジナルのサザーランドブラザーズのテイクの方が、いかにも荒海に出ていく勇ましい感じがして好きです。


アレンジのせいもありますが、ちとロッドの歌い方も女々しい感じがするんですよねえ・・・。 (女性蔑視、との声も聞こえてきました・・・。申し訳ありません、あくまで言葉のあやですので、お許しを・・・)