暑かった8月も終わってしまいますね。


今月の壁レコードですが、「院長のひとこと」で予告した通り、先日ブルーレイで新装発売されたBeatlesの初主演映画「A Hard Days Night」を特集してみました。


8月15日夜に一回だけ映画館でリバイバル上映がありまして、いそいそと独りで出かけて参りました。 満員かな?と思ってましたが、5~6割程度の入りで丁度良かったです。


同じような境遇(家族を誘っても断られ、映画館に行く程の熱狂的なファンの知り合いも捕まらない・・・)とみえるオッサンの一人客が殆どでした。



映画の話は後程たっぷり・・・という訳でまずは玄関先です。




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1964年発表のサードアルバム  「A Hard Days Night」です。


ビートルズについては下手な事は書けませんので、私感、という事でお読み頂ければ幸いです。


このアルバムは初期の最高傑作だと思います。 全てオリジナル曲で固めた最初のアルバムだし、特にジョンレノンの最もいい部分が炸裂していますよね。


ビートルズのオリジナル曲はジョージ、リンゴの単発以外は、確かインストの「Flying」を除いてはみんな「Lennon/McCartney」のクレジットですよね。

確かに極初期は対等に共作してたんでしょうが、やはり聴きこむと、これはどちらがメインの曲かが分かってきますよね。



後期になると、クレジットは形だけで、てんで勝手バラバラに作ってますけどねえ・・・・・。版権の問題なんでしょうが・・・・・。



多分、完全ポール主体なのは「And I Love Her」、 「Can't buy me love」、「Things we said today」 の3曲でしょうね。

美しい、それでいて彼等でしか成し得ない凝った曲展開の「If I fell」、 「I'll be back」はジョン、ポールが対等に作ったのではないでしょうか。

後はジョンの独壇場でしょうね。ヴォーカルをジョージが執る「I'm happy just to dance with you」もどう聴いてもジョンの作風ですよね。



印象的なギターのコード音で始まるタイトル曲なんぞ、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いが充満してますね。一音として無駄が無い・・・・・。冒頭の「dog」と「log」で韻を踏むとこが洒落てますねえ。


2曲目の「I should have known better」はジョンレノン節炸裂の、個人的にはアルバム中のベストトラックです。 何でこんな素敵な曲が書けるんでしょうか・・・・?

という風に、一曲ずつレヴューしていくと、えらいことになってしまいますので、ちょこちょこコメントさせて頂く事にしますね。


6曲目の「Tell me why」も威勢の良いジョンのヴォーカルが素晴らしい曲ですが、この曲は昔良く上の子供を連れて行った、名古屋の熱田プールの休憩時間にかかってまして、選曲のセンスにニンマリしてました。


A面ラストの「Can't buy me love」は、昔通好みのUKバンド、「Squeeze」の(確か)’92年名古屋公演のアンコールでグレンティルブルックがノリノリで歌ってたシーンが目に浮かんできます。いやあ、あのライヴは最高でした。



B面一曲目の「Any time at all」はサザンの桑田さんの変名バンド、「嘉門雄三&Victor Wheels」の白熱のライヴアルバムでの演奏を思い出します。中古盤屋さんでは割と見かけるので、結構売れたに違いありません。
是非とも完全版(小林克也さん以外の変なMCは要らん!)でCD化して頂きたいです。


10曲めの「Things we said today」はこのアルバムでのポールの最高作でしょうね。 この曲を生で聴けなかったのが今年上半期の心残りです。


11曲目の「When I get home」 と 次の「You can't do that」は地味な曲ではありますが、これぞジョンレノン!といった鯔背な歌い方はファンにはたまらない曲です。


そしてそして、しんがりの「I'll be back」ですが、この曲はあまり有名ではありませんが、完成度としてはアルバム中一番の傑作だと思います。

冒頭からジョンとポールのハモリが美しすぎます! 途中ジョンだけになるとこもなんか男の哀愁を感じさせますし、 ブリッジに至ってはよくこんな展開考えつくなあ、と只々彼らの才能に感服してしまいます。

本当に素晴らしい曲ですが、シングルにもならずにポツンとアルバムに埋もれて?います。  彼等にはこんな曲だらけです。 「赤盤」「青盤」だけでは彼等の本質は解りませんよ!


な~んて、エラそうにすみません。



ではお次はこちらです。




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まずは当時の国内盤ですが、ジャケットが差し替えられてるんですよ。





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これは先々月号の「レコードコレクターズ」誌にありましたが、当時の東芝レコードの担当ディレクターだった高嶋氏のアイディアだったようですね。
因みに、美人毒舌?ヴァイオリニスト、高嶋ちさ子さん(実は結構好きなんです)のお父さんでもあります。




そして、最後は映画のレーザーディスクです。




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実は私、この映画を全編通して観たのは今回が初めてでした・・・・・自他ともに認めるビートルズマニアのくせに、とんでもないですよね。

演奏シーンは何度かあるんですが・・・・・。


今回は映画館でしたので、集中して彼等の演技にも見入ることができました。


感想ですが、やはりこの頃はまだ「遠慮」しているなあ、という感じでした。本来はロックンローラーで豪快な彼等が「アイドル」を演じさせられている、という感じです。


他の3人のセリフが「言わされてる」感が強い中(特にジョージ)、ジョンだけは、立て板に水、というかいつもこんなんだろうな、という感じのウイットに富んだセリフ回しが流石です。


やはり、初期ビートルズはジョンレノンあってのバンドでしたねえ。



4人がホテルから抜け出して地元のクラブ?で発散するシーンなんかは、はしゃぎ踊るジョージとリンゴと、女性を侍らせ酒をあおるジョンとポールの対比が面白かったです。


まさに力関係を表しているようです。


終始気になったのは、リンゴの酷い?扱われ様です。


彼は身長173センチでして、178センチの他の3人と比べて確かに見劣りしますが、「チビ」はないと思います。しかし、イギリス人的にはそうなんでしょうね。

事あるごとに「チビ、チビ」と言われて可哀そうでした。


あと、「デカ鼻」です。

確かに、デフォルメされると例外なく鼻がダンゴッ鼻ででかく描かれてますが、The Whoの Pete Townshend や、 女優のBarbra Streisandなんかに比べれば全然問題ないんじゃあ・・・。


ただ、先の二人の鼻が鼻筋の通り過ぎた、シェイプとしてのでかさであるのに対し、リンゴのそれは団子っ鼻で固まりとしてデカい、という点で大きく異なります。


その辺りがツッコまれてしまうのかも知れません。


本人も十分自覚して?おり、街中で一般人に小馬鹿にされてもメゲるどころか、全くスルーしてるのが映画とはいえ凄いですねえ。


そんな本国での扱われように、高嶋さんも影響されたのか、「This Boy~リンゴのテーマ」のシングル盤では「こいつ」扱いですからねえ・・・・・・。酷いもんです。