・チメロサールは予防接種の薬に殺菌・防腐剤として含まれるエチル水銀です。
・何人もの人々に予防接種を行うにはこの殺菌・防腐剤は必要でした。
・1990年代はエチル水銀の蓄積と自閉症との関連が問題視されましたが、現在では否定されています。
・それでも、現在の各種予防接種の薬にはチメロサールを含まないものが増えており、含まれていてもごく少量で、健康には問題ないレベルです。
・現在使用されている一般のインフルエンザワクチンも少量ですがチメロサールは含まれています。
・どの予防接種にも副反応として発熱、発疹、接種部位の腫れや発赤がおこる人がいます。この原因として、チメロサールも可能性がありますが、他にも含有物が複数入っているため、何が原因かは特定できません。
・チメロサールなし(フリー)のインフルエンザワクチンを選択する理由とすれば、①過去にチメロサールありのもので接種部位の腫れや発赤、痛みがひどかった。②アレルギー体質なので、念のためチメロサールなしをうっておきたい。③妊婦である。などがあげられますが、チメロサールなしなら副反応はおこらないという保証はありません。
・チメロサールなしの注射は製造に手間がかかるので、生産量が少なく、割高になります。
・以上の点を踏まえ、ご理解、ご希望があれば「チメロサールなし」もよいかと思います。
・何人もの人々に予防接種を行うにはこの殺菌・防腐剤は必要でした。
・1990年代はエチル水銀の蓄積と自閉症との関連が問題視されましたが、現在では否定されています。
・それでも、現在の各種予防接種の薬にはチメロサールを含まないものが増えており、含まれていてもごく少量で、健康には問題ないレベルです。
・現在使用されている一般のインフルエンザワクチンも少量ですがチメロサールは含まれています。
・どの予防接種にも副反応として発熱、発疹、接種部位の腫れや発赤がおこる人がいます。この原因として、チメロサールも可能性がありますが、他にも含有物が複数入っているため、何が原因かは特定できません。
・チメロサールなし(フリー)のインフルエンザワクチンを選択する理由とすれば、①過去にチメロサールありのもので接種部位の腫れや発赤、痛みがひどかった。②アレルギー体質なので、念のためチメロサールなしをうっておきたい。③妊婦である。などがあげられますが、チメロサールなしなら副反応はおこらないという保証はありません。
・チメロサールなしの注射は製造に手間がかかるので、生産量が少なく、割高になります。
・以上の点を踏まえ、ご理解、ご希望があれば「チメロサールなし」もよいかと思います。
ニュースなどでご承知の様に、成人の麻疹(はしか)が問題になっています。
日本での麻疹ワクチン接種の過去を振り返ると、1回義務接種の時代、1回定期接種の時代、そして平成18年度(2006年)から2回定期接種(1歳と小学校就学前)になり、
また、平成20年度(2008年)から5年間、中学1年と高校3年に追加接種しました。
以上より、空白の世代といわれる1回のみ接種した世代の26歳以上方は麻疹の免疫が低い可能性があります。1回のみでは年齢とともに免疫が低下します。
26歳以下の方は前述のように定期接種で2回接種しているので、免疫が持続します。
40歳以上の方は、若い時代に実際に麻疹にかかったり、知らずに感染していた可能性が強く、すでに免疫を持っている人が大半だと思われます。
結局、26歳から39歳までの方は麻疹感染要注意の世代となります。
今回の成人麻疹感染者出現で、成人の接種希望者が増え、各地で麻疹・風疹ワクチン(麻疹のみのワクチンはありません。麻疹目的で麻疹・風疹混合ワクチンを接種しても問題ありません)が不足しています。
ワクチンは9月26日以降、全国的に流通する見込みですが、あくまで見込みで、確定
できません。厚労省は子どもの定期接種優先をとしています。
当クリニックでは、成人の方の麻疹ワクチン(麻疹・風疹ワクチン)接種希望を下記のように考えます。成人は「保護者のかたのみ(ご両親)」に限らせていただきます。
26歳〜39歳の方、他の年代でも1回しか接種していない方や免疫があるか心配な方で
①お子さんが一般外来に受診時に付き添いの保護者(ご両親)に限り、麻疹・風疹ワクチンを予約をしていただき、後日接種にきていただく。
②お子さんの各種予防接種を予約時に保護者(ご両親)の麻疹・風疹ワクチンも予約していただく。
※必ず、あらかじめ予約が必要です。当日接種はできません。
※いつから麻疹・風疹ワクチンが可能か、後日、HPでお知らせします。
※妊娠中や妊娠の可能性がある方は接種できません。また、接種後2か月は妊娠を避けて
ください。
日本での麻疹ワクチン接種の過去を振り返ると、1回義務接種の時代、1回定期接種の時代、そして平成18年度(2006年)から2回定期接種(1歳と小学校就学前)になり、
また、平成20年度(2008年)から5年間、中学1年と高校3年に追加接種しました。
以上より、空白の世代といわれる1回のみ接種した世代の26歳以上方は麻疹の免疫が低い可能性があります。1回のみでは年齢とともに免疫が低下します。
26歳以下の方は前述のように定期接種で2回接種しているので、免疫が持続します。
40歳以上の方は、若い時代に実際に麻疹にかかったり、知らずに感染していた可能性が強く、すでに免疫を持っている人が大半だと思われます。
結局、26歳から39歳までの方は麻疹感染要注意の世代となります。
今回の成人麻疹感染者出現で、成人の接種希望者が増え、各地で麻疹・風疹ワクチン(麻疹のみのワクチンはありません。麻疹目的で麻疹・風疹混合ワクチンを接種しても問題ありません)が不足しています。
ワクチンは9月26日以降、全国的に流通する見込みですが、あくまで見込みで、確定
できません。厚労省は子どもの定期接種優先をとしています。
当クリニックでは、成人の方の麻疹ワクチン(麻疹・風疹ワクチン)接種希望を下記のように考えます。成人は「保護者のかたのみ(ご両親)」に限らせていただきます。
26歳〜39歳の方、他の年代でも1回しか接種していない方や免疫があるか心配な方で
①お子さんが一般外来に受診時に付き添いの保護者(ご両親)に限り、麻疹・風疹ワクチンを予約をしていただき、後日接種にきていただく。
②お子さんの各種予防接種を予約時に保護者(ご両親)の麻疹・風疹ワクチンも予約していただく。
※必ず、あらかじめ予約が必要です。当日接種はできません。
※いつから麻疹・風疹ワクチンが可能か、後日、HPでお知らせします。
※妊娠中や妊娠の可能性がある方は接種できません。また、接種後2か月は妊娠を避けて
ください。
5歳から小学校1年生以降で夜尿症がある子供さんは、治療を考えましょう、という考えに最近は
なってきました。以前は抗利尿ホルモンを点鼻で投与していましたが、鼻からの吸収は不安定で
使いにくい点がありました。数年前から飲み薬ができ、決めた量が確実に体に入ります。
夏休みに家族旅行や合宿があるけども、おねしょが心配。そういう場合はご相談ください。
夜尿症は成長すればいづれはなくなりますが、本人や親御さんの悩みが大きい場合も多く、早めの
治療で効果があると本人の喜びも大きく、普段の生活・行動も前向きになります。
いつでもご相談ください。
なってきました。以前は抗利尿ホルモンを点鼻で投与していましたが、鼻からの吸収は不安定で
使いにくい点がありました。数年前から飲み薬ができ、決めた量が確実に体に入ります。
夏休みに家族旅行や合宿があるけども、おねしょが心配。そういう場合はご相談ください。
夜尿症は成長すればいづれはなくなりますが、本人や親御さんの悩みが大きい場合も多く、早めの
治療で効果があると本人の喜びも大きく、普段の生活・行動も前向きになります。
いつでもご相談ください。
インフルエンザの予防接種を済ませた方も多い思いますが、それでも流行期には個人個人の感染予防が大切です。
感染する経路はまず、飛沫(核)感染(空気感染ともいいます)。インフルエンザは感染者(発症1,2日前の潜伏期からすでに人に感染させます)の咳やくしゃみで唾液のしぶき内のインフルエンザウイルスが多量に周囲に飛び散ります。それを吸い込んだ人が感染します。
その予防にはマスクが有効です。くしゃみなどではウイルスは唾液や鼻汁に包まれて体外に出ます(飛沫)。乾燥したウイルス自体はマスク本体の隙間よりもかなり小さくて簡単にマスクを素通りします(飛沫核感染)。しかし、唾液などで包まれれているとかなり大きいのでマスク内に入ってこられず、感染予防になります。
もう一つの感染経路は接触感染です。最近はエチケットとして、くしゃみや咳は手で鼻や口を押えるのではなく、服の袖などで押さえましょう。これはもし、
手でくしゃみなどを受け止めると、ウイルスが手に付着し、その手で電車のつり革、ドアのノブなどを触ると、そこにウイルスが付いて、他の人が触るとその人の手にも付着し、
その手で鼻や口を触ればその人が感染します。知らぬ間に他人のウイルスが自分の手に付着しています。
インフルエンザウイルスには消毒用アルコールが有効ですので、適宜これで手を消毒することが有用です。
一般的な石鹸も実は大変予防に有効です。石鹸の泡が非常に大切で、泡の表面張力で手に付着した汚れと一緒にウイルスや細菌を除去する、いわゆる「除菌」が石鹸の最大のメリットです。ウイルスや菌をやっつけるというよりも、手から取り除くのです。
この「手洗い」、子供も大人も、石鹸も使わず水道水で少し手を濡らす程度の人も
多いのでは?
帰宅時やトイレの時、食事前は最低限、石鹸を良く泡立てて、手首から指先、指の腹も、
指の間。手の指を5本、小さいものをつまむようにそろえて、反対の手のひらで刷り込むようにこする。親指は反対の手で握ってぐるぐる回す。そして、流水で良く流します。
何回も石鹸での手洗いが大変なら、市販の消毒用アルコールを家の1,2か所に置いておいて、石鹸と同じような手順で消毒してください。
(注:ノロウイルスは一般的なアルコールや石鹸ではやっつけたり、除去できません)
結局、インフルエンザの感染を減らすのは、少しでもウイルスが体に入るチャンスを減らすしかありません。
こういう研究結果があります。インフルエンザウイルスの生存率についての研究。
少し昔の研究ですが、条件を変えての実験です。室温を21-24度にし、湿度が50%の場合、6時間後のウイルスの生存率は3-5%。しかし、同じ温度でも湿度を20%の乾燥状態にすると、ウイルスの生存率は60%でした、また、温度32度、湿度50%での6時間後のウイルス生存率は何と0%でした。このことから、インフルエンザウイルスをやっつけるには高温・多湿の条件が良いことが分かります。今の真冬の乾燥シーズンに室内を湿度60%に保つというのは加湿器でも難しいかもしれませんが、なるべく加湿ができるようにした方がいいです。
咳、くしゃみで唾液に包まれた大きなウイルス飛沫は空気が乾燥していると、唾液が蒸発し、軽いウイルスだけが長時間、空間に漂うことになり、人がそれを吸い込むチャンスも増えます。また乾燥状態はウイルスや異物を体外に出そうとする鼻や気管支の排出能力もかなり低下するのも感染しやすくなります。
手などにインフルエンザが付着して、その手で物に触った場合、その場でウイルスはどれくらい生きるのでしょうか。ドアノブなどに付着した場合は何と24時間から48時間、生存し、感染能力があるとされています。
やつらインフルエンザウイルス感染症は古代ギリシャの時代にすでに記録があるとされています。人間と共存を延々とし、延々と続きます。しばらくは完全制圧は無理でしょうけども、我々はまず、ワクチンを打ち、ウイルスが体に侵入する機会をなるだけ減らすしかありません。
①予防接種、②手洗い、③加湿、④マスク、⑤咳エチケット、⑥流行時期に不要不急の外出を控える、そして⑦ふだんから充分な睡眠、休息も大切です。
感染する経路はまず、飛沫(核)感染(空気感染ともいいます)。インフルエンザは感染者(発症1,2日前の潜伏期からすでに人に感染させます)の咳やくしゃみで唾液のしぶき内のインフルエンザウイルスが多量に周囲に飛び散ります。それを吸い込んだ人が感染します。
その予防にはマスクが有効です。くしゃみなどではウイルスは唾液や鼻汁に包まれて体外に出ます(飛沫)。乾燥したウイルス自体はマスク本体の隙間よりもかなり小さくて簡単にマスクを素通りします(飛沫核感染)。しかし、唾液などで包まれれているとかなり大きいのでマスク内に入ってこられず、感染予防になります。
もう一つの感染経路は接触感染です。最近はエチケットとして、くしゃみや咳は手で鼻や口を押えるのではなく、服の袖などで押さえましょう。これはもし、
手でくしゃみなどを受け止めると、ウイルスが手に付着し、その手で電車のつり革、ドアのノブなどを触ると、そこにウイルスが付いて、他の人が触るとその人の手にも付着し、
その手で鼻や口を触ればその人が感染します。知らぬ間に他人のウイルスが自分の手に付着しています。
インフルエンザウイルスには消毒用アルコールが有効ですので、適宜これで手を消毒することが有用です。
一般的な石鹸も実は大変予防に有効です。石鹸の泡が非常に大切で、泡の表面張力で手に付着した汚れと一緒にウイルスや細菌を除去する、いわゆる「除菌」が石鹸の最大のメリットです。ウイルスや菌をやっつけるというよりも、手から取り除くのです。
この「手洗い」、子供も大人も、石鹸も使わず水道水で少し手を濡らす程度の人も
多いのでは?
帰宅時やトイレの時、食事前は最低限、石鹸を良く泡立てて、手首から指先、指の腹も、
指の間。手の指を5本、小さいものをつまむようにそろえて、反対の手のひらで刷り込むようにこする。親指は反対の手で握ってぐるぐる回す。そして、流水で良く流します。
何回も石鹸での手洗いが大変なら、市販の消毒用アルコールを家の1,2か所に置いておいて、石鹸と同じような手順で消毒してください。
(注:ノロウイルスは一般的なアルコールや石鹸ではやっつけたり、除去できません)
結局、インフルエンザの感染を減らすのは、少しでもウイルスが体に入るチャンスを減らすしかありません。
こういう研究結果があります。インフルエンザウイルスの生存率についての研究。
少し昔の研究ですが、条件を変えての実験です。室温を21-24度にし、湿度が50%の場合、6時間後のウイルスの生存率は3-5%。しかし、同じ温度でも湿度を20%の乾燥状態にすると、ウイルスの生存率は60%でした、また、温度32度、湿度50%での6時間後のウイルス生存率は何と0%でした。このことから、インフルエンザウイルスをやっつけるには高温・多湿の条件が良いことが分かります。今の真冬の乾燥シーズンに室内を湿度60%に保つというのは加湿器でも難しいかもしれませんが、なるべく加湿ができるようにした方がいいです。
咳、くしゃみで唾液に包まれた大きなウイルス飛沫は空気が乾燥していると、唾液が蒸発し、軽いウイルスだけが長時間、空間に漂うことになり、人がそれを吸い込むチャンスも増えます。また乾燥状態はウイルスや異物を体外に出そうとする鼻や気管支の排出能力もかなり低下するのも感染しやすくなります。
手などにインフルエンザが付着して、その手で物に触った場合、その場でウイルスはどれくらい生きるのでしょうか。ドアノブなどに付着した場合は何と24時間から48時間、生存し、感染能力があるとされています。
やつらインフルエンザウイルス感染症は古代ギリシャの時代にすでに記録があるとされています。人間と共存を延々とし、延々と続きます。しばらくは完全制圧は無理でしょうけども、我々はまず、ワクチンを打ち、ウイルスが体に侵入する機会をなるだけ減らすしかありません。
①予防接種、②手洗い、③加湿、④マスク、⑤咳エチケット、⑥流行時期に不要不急の外出を控える、そして⑦ふだんから充分な睡眠、休息も大切です。
本格的に新学期が開始になりました。
今シーズンはインフルエンザの流行開始は遅く、またノロウイルスの流行も
まだ本格化していません。しかし、幼稚園や学校が始まり、集団生活が再開すると、
これからの大流行が予想されます。
結局は心配するよりも普段の「予防」が大事で、インフルエンザのワクチンもそうですが、どの
感染症に対しても「手洗い」が大切です。微生物は知らないうちに、手指に付着し、知らぬ間に
自分の口などから体に侵入してきます。手洗いといっても、ただ水道のお水で1,2秒
指を濡らすだけでは効果はありません。
近々、改めて手洗いの方法を書きたいと思います。
今シーズンはインフルエンザの流行開始は遅く、またノロウイルスの流行も
まだ本格化していません。しかし、幼稚園や学校が始まり、集団生活が再開すると、
これからの大流行が予想されます。
結局は心配するよりも普段の「予防」が大事で、インフルエンザのワクチンもそうですが、どの
感染症に対しても「手洗い」が大切です。微生物は知らないうちに、手指に付着し、知らぬ間に
自分の口などから体に侵入してきます。手洗いといっても、ただ水道のお水で1,2秒
指を濡らすだけでは効果はありません。
近々、改めて手洗いの方法を書きたいと思います。
秋になり、RSウイルス感染症が増える季節に入ってきました。小児科にとってはRSウイルスも重要な感染症です。
RSウイルス感染症は生後数か月から1歳台に多く3歳未満までで全年齢の約80%を占めます。このウイルスは気管支の一番奥の方の細い気管支に好んで感染をおこします。ただでさえ細い乳幼児の気管支が、炎症でさらに狭くなり、痰も多くなってなおさら空気が通りづらくなります。さらに、鼻汁も多く、鼻呼吸もつらくなります。その結果、主な症状は咳、鼻汁、発熱で、なんといっても気管支が狭くなるので喘鳴(ゼーゼー)を伴い、呼吸が早くなったり、胸がペコペコするような呼吸困難が強くなれば、入院となることがあります。呼吸がしづらいので、不機嫌になり、飲みも悪くなります。特に、早期産で生まれたお子さんや生まれつき心臓疾患や肺の疾患を持っているお子さんは重症になりやすい傾向があり、現在はこういうお子さんには感染を予防する注射がありますが、正常に生まれ、普段元気なお子さんには注射の適応はありません。
このウイルスに感染した乳幼児が咳やくしゃみをすると、気道分泌物や鼻汁に含まれたウイルスが周囲に飛び散り、他の人がそれを吸い込んで感染する「飛沫感染」。さらに、乳幼児に濃厚に接触する保育士さんや医師、看護師さんが患者のウイルスに手などで触れ、別の人に触ってうつしてしまう「接触感染」もあります。人間は無意識にウイルスが付着した手で眼や鼻、口を頻繁に触れるので感染は容易におきてしまいます。
大学病院に在籍していた時も毎年秋以降から春先にRS感染症の患者さんが大勢受診され、その中には入院が必要なお子さんもでてきます。また、大学病院ですので近隣のクリニックからの入院依頼も多く、そのためこの感染症が入院できる部屋が満床になり、他の入院病院を探さなければならないなど、苦労も多いのです。
ところで、なぜ、“RS”という名前がついているのか、医大生も(ひょっとしたら医師も)その由来を知らない人がいるかも知れません。Rは“呼吸の”を意味するRespiratoryから、Sは“合胞体”を意味する
Syncytialからきています。合胞体ってむつかしい言葉ですが、これはこのウイルスが感染した細胞を電子顕微鏡でみると、細胞の核がいくつも集合した様にみえることからきています。
このRSウイルスは鼻水を綿棒で採って検査すれば感染しているかどうか、すぐに結果が分かります。
残念ながら、たとえRSウイルスが原因だと判明しても、特効薬はありません。咳や痰の薬などの症状に応じた薬が主なものです。また、気管支の薬を吸入することもあります。全員が重症というわけではありませんが、先述のように、飲みが悪ければ点滴をしたり、呼吸困難がひどければ、入院の適応となる場合もあります。
特効薬はないのに、なぜ検査をするのか?。治療に結びつかない検査は必要ない、という意見もあります。反面、親御さんにしてみれば、「原因を知りたい」という要望もあります。しかし、RSウイルスに感染したと分かれば、他のお子さんへの感染予防に効果的ではないかと思います。たとえば、保育園では園のお子さんがRSウイルスに感染したという情報を職員が持っていれば、他児への感染予防対策を立てることができます。特に病院ではRSウイルスの患者が入院する場合、他の入院患者さんにうつさない様、医師や看護師は細心の注意を払います。
RSウイルスは、まとめると①秋から冬、初春に流行する気管支炎(細気管支炎)の原因。②生後数か月から1歳代に多く、早期産で生まれたり、心臓疾患などを持つ児は重症化する傾向がある。③症状は咳、鼻汁、発熱、ゼーゼー(喘鳴)、呼吸困難。④診断は鼻汁から検査し、診断は短時間で可能。⑤しかし、特効薬治はなく、まずは咳や痰などの薬。吸入を行うことも多い。⑥呼吸状態が悪化したり、苦しくて哺乳ができないと入院となる場合がある。
以上の様になかなか手ごわいウイルスですが、「相手」を少しでも知って、たとえ感染しても安心につながれば幸いです。(松田)
RSウイルス感染症は生後数か月から1歳台に多く3歳未満までで全年齢の約80%を占めます。このウイルスは気管支の一番奥の方の細い気管支に好んで感染をおこします。ただでさえ細い乳幼児の気管支が、炎症でさらに狭くなり、痰も多くなってなおさら空気が通りづらくなります。さらに、鼻汁も多く、鼻呼吸もつらくなります。その結果、主な症状は咳、鼻汁、発熱で、なんといっても気管支が狭くなるので喘鳴(ゼーゼー)を伴い、呼吸が早くなったり、胸がペコペコするような呼吸困難が強くなれば、入院となることがあります。呼吸がしづらいので、不機嫌になり、飲みも悪くなります。特に、早期産で生まれたお子さんや生まれつき心臓疾患や肺の疾患を持っているお子さんは重症になりやすい傾向があり、現在はこういうお子さんには感染を予防する注射がありますが、正常に生まれ、普段元気なお子さんには注射の適応はありません。
このウイルスに感染した乳幼児が咳やくしゃみをすると、気道分泌物や鼻汁に含まれたウイルスが周囲に飛び散り、他の人がそれを吸い込んで感染する「飛沫感染」。さらに、乳幼児に濃厚に接触する保育士さんや医師、看護師さんが患者のウイルスに手などで触れ、別の人に触ってうつしてしまう「接触感染」もあります。人間は無意識にウイルスが付着した手で眼や鼻、口を頻繁に触れるので感染は容易におきてしまいます。
大学病院に在籍していた時も毎年秋以降から春先にRS感染症の患者さんが大勢受診され、その中には入院が必要なお子さんもでてきます。また、大学病院ですので近隣のクリニックからの入院依頼も多く、そのためこの感染症が入院できる部屋が満床になり、他の入院病院を探さなければならないなど、苦労も多いのです。
ところで、なぜ、“RS”という名前がついているのか、医大生も(ひょっとしたら医師も)その由来を知らない人がいるかも知れません。Rは“呼吸の”を意味するRespiratoryから、Sは“合胞体”を意味する
Syncytialからきています。合胞体ってむつかしい言葉ですが、これはこのウイルスが感染した細胞を電子顕微鏡でみると、細胞の核がいくつも集合した様にみえることからきています。
このRSウイルスは鼻水を綿棒で採って検査すれば感染しているかどうか、すぐに結果が分かります。
残念ながら、たとえRSウイルスが原因だと判明しても、特効薬はありません。咳や痰の薬などの症状に応じた薬が主なものです。また、気管支の薬を吸入することもあります。全員が重症というわけではありませんが、先述のように、飲みが悪ければ点滴をしたり、呼吸困難がひどければ、入院の適応となる場合もあります。
特効薬はないのに、なぜ検査をするのか?。治療に結びつかない検査は必要ない、という意見もあります。反面、親御さんにしてみれば、「原因を知りたい」という要望もあります。しかし、RSウイルスに感染したと分かれば、他のお子さんへの感染予防に効果的ではないかと思います。たとえば、保育園では園のお子さんがRSウイルスに感染したという情報を職員が持っていれば、他児への感染予防対策を立てることができます。特に病院ではRSウイルスの患者が入院する場合、他の入院患者さんにうつさない様、医師や看護師は細心の注意を払います。
RSウイルスは、まとめると①秋から冬、初春に流行する気管支炎(細気管支炎)の原因。②生後数か月から1歳代に多く、早期産で生まれたり、心臓疾患などを持つ児は重症化する傾向がある。③症状は咳、鼻汁、発熱、ゼーゼー(喘鳴)、呼吸困難。④診断は鼻汁から検査し、診断は短時間で可能。⑤しかし、特効薬治はなく、まずは咳や痰などの薬。吸入を行うことも多い。⑥呼吸状態が悪化したり、苦しくて哺乳ができないと入院となる場合がある。
以上の様になかなか手ごわいウイルスですが、「相手」を少しでも知って、たとえ感染しても安心につながれば幸いです。(松田)
毎年、秋になればクリニックもインフルエンザワクチン接種の予定を立てなければなりません。
インフルエンザには「ウイルス」と「細菌」があり、まったく別物です。
毎年、流行し、秋以降に子供から大人までワクチンを接種するのがインフルエンザウイルスに対してのもの。乳幼児にヒブと呼ばれるワクチンを接種しますが、こちらはインフルエンザの細菌に対する予防接種です。ヒブの名称は菌の正式名称であるHaemophilus influenzae type bからつけられました。
一般に、“インフルエンザ”といえば、ウイルスの方を指しますが、ではなぜ、ウイルスと細菌という2種類のインフルエンザがあるのでしょう?。
インフルエンザウイルスの感染症は古代エジプト時代からあったとされるくらい、大昔から流行があったようです。急に高熱で多くの人が次々と倒れる。大昔はきっと今以上に恐怖の現象だったでしょう。2009年、世界的に新型インフルエンザがパニックになりましたが、この現代になっても恐怖でしたね。“宇宙から何だか悪い影響がきているのではないか”。昔の人は思いました。
その悪い“影響”=influenceがインフルエンザの語源とする説があります。
世界の学者はその原因を我先に発見しようと頑張ったのでしょう。1800年代の終わり、インフルエンザの患者の痰から新種の細菌が発見されました。この発見者が日本の北里柴三郎かドイツ人かという議論があります。この細菌がインフルエンザの原因であるとして、当初、“インフルエンザ菌”と命名されました。しばらくの間、本当にこの細菌が昔からのインフルエンザの原因であるのか、議論がありました。1800年代から1900年代初頭は細菌よりも小さい微生物であるウイルスの証明は困難だったのでしかたありません。しかし、1933年、イギリスの研究者らがついにインフルエンザウイルスA型のウイルスを発見し、ようやく、古来からのインフルエンザの原因として証明されました。
一方、悪く言えば“間違ってインフルエンザの原因とされてしまった”インフルエンザ菌。しかし、かわいそうどころか、現在でも乳幼児の細菌性髄膜炎などの原因として微生物学や小児科感染症では主役のひとつです。
インフルエンザ、ウイルスも細菌(ヒブ)も予防接種がありますが、接種時、これらの事を思いながら接種を受けると、痛みも一味違うかも知れません。(松田)
インフルエンザには「ウイルス」と「細菌」があり、まったく別物です。
毎年、流行し、秋以降に子供から大人までワクチンを接種するのがインフルエンザウイルスに対してのもの。乳幼児にヒブと呼ばれるワクチンを接種しますが、こちらはインフルエンザの細菌に対する予防接種です。ヒブの名称は菌の正式名称であるHaemophilus influenzae type bからつけられました。
一般に、“インフルエンザ”といえば、ウイルスの方を指しますが、ではなぜ、ウイルスと細菌という2種類のインフルエンザがあるのでしょう?。
インフルエンザウイルスの感染症は古代エジプト時代からあったとされるくらい、大昔から流行があったようです。急に高熱で多くの人が次々と倒れる。大昔はきっと今以上に恐怖の現象だったでしょう。2009年、世界的に新型インフルエンザがパニックになりましたが、この現代になっても恐怖でしたね。“宇宙から何だか悪い影響がきているのではないか”。昔の人は思いました。
その悪い“影響”=influenceがインフルエンザの語源とする説があります。
世界の学者はその原因を我先に発見しようと頑張ったのでしょう。1800年代の終わり、インフルエンザの患者の痰から新種の細菌が発見されました。この発見者が日本の北里柴三郎かドイツ人かという議論があります。この細菌がインフルエンザの原因であるとして、当初、“インフルエンザ菌”と命名されました。しばらくの間、本当にこの細菌が昔からのインフルエンザの原因であるのか、議論がありました。1800年代から1900年代初頭は細菌よりも小さい微生物であるウイルスの証明は困難だったのでしかたありません。しかし、1933年、イギリスの研究者らがついにインフルエンザウイルスA型のウイルスを発見し、ようやく、古来からのインフルエンザの原因として証明されました。
一方、悪く言えば“間違ってインフルエンザの原因とされてしまった”インフルエンザ菌。しかし、かわいそうどころか、現在でも乳幼児の細菌性髄膜炎などの原因として微生物学や小児科感染症では主役のひとつです。
インフルエンザ、ウイルスも細菌(ヒブ)も予防接種がありますが、接種時、これらの事を思いながら接種を受けると、痛みも一味違うかも知れません。(松田)
皆様にご覧いただけましたら幸いです。