皆さんこんにちは。年末からインフルエンザが流行しています。正月早々家族で罹った気の毒な方もいるようで、ここにも年明けから何人ものインフルエンザの方が来院しています。そこで問題となるのが、この時期の発熱患者さん全員を、インフルエンザであるかどうか検査しなければならないのか?ということです。会社や学校、幼稚園、保育園に通う人たちの場合は、「流行っているのではっきりさせてくるように。」とか、「検査ではっきりするまで出勤や登校、登園はご遠慮願いたい。」などと言われて病医院に来る人が多いものです。しかし、よく考えると、これは必ずしも正しいこととも言えません。それは次のように考えられるからです。
1;インフルエンザは発熱する疾患の一つに過ぎず、世の中には数百種類のウイルス、細菌による熱性疾患があります。症状や所見から医師が軽症と判断した患者さんに対しても、勤務先や学校、保育園などが検査を強要するのは科学的ではないし、そんな権利もありません。こうした対応は後で申し上げますが、世界の非常識です。
2;2歳以下、65歳以上の方、あるいは何らかの病気で抵抗力が落ちている方、心臓や呼吸器の病気の方、妊婦さん以外は普通のインフルエンザに対しタミフル、イナビルなど抗ウイルス薬は必ずしも必要ではありません。先進国でも検査すらしない国が多いです(アメリカは検査を推奨するようになりました)。鎮痛解熱剤を飲んで、自宅で休むよう指示するのが一般的です。なお、日本と海外では考え方が違い、あちらでは薬の使い過ぎで耐性ウイルスが出現し、肝心な時に薬が効かない状況になることを危惧しています。少なくとも、インフルエンザの患者全員にタミフルを出すのは日本だけといえます。
3;一般のインフルエンザでは、職場を一定期間休むよう決めた法律はありません。あくまで、学校、幼稚園、保育園など教育現場に対しての法律です。新型インフルエンザについては法律ですべての人を対象に定められていますが、一般的なインフルは、あくまで自主規定です。実は医療機関、高齢福祉施設などについても、法律で就業が規制されている訳ではありませんが、常識的に休みますよね。
4;検査自体が痛いです。熱が出るたびにやっていたら、保育園の子供さんなんかはひと冬に4回も5回もやることになりますが、どう思いますか?個人レベルで言えば、インフルエンザでも重い時と軽い時が有り、微熱でしっかりしており、症状も軽ければ、検査不要です。ただし、集団の感染予防という面からは、たとえ軽かろうがインフルエンザの人が登校登園してきたら大問題でしょう。管理者の責任問題にも昨今はなりかねません。でも痛いですよね。「ちょっと違うだろうな。」と思いつつわんわん泣く子供を押さえつけて、仕方なく検査している我々はなんでしょうね?そういう時ってやっぱり出ないんです、ほとんど。
要するに、集団感染を防ぐということと、個人の利益が時に相反します。治療も必ずしも必要ではありません。それでも画一的な対応を、過剰ともいえる対応をしなければならないのが、今の日本の現状です。なんだかクレーム対策みたいでしょう?そうなんですよね、「何か有ったらどうするんだ。」的な考えが蔓延している故の、一種の過剰反応だと思います。なお、新型インフルエンザに関しては、全例検査は不要、抗ウイルス薬も全例投与となります。対応は大違いです。
そう言えば、ノロウイルスの検査をしている医師もいますが、3歳以上65歳未満では保険はききません。やっても薬はなく、自然に治る病気ですので、これも過剰な対応は不要です。感染対策も厳密にやれば大変ですので、できる範囲で仕方ないと思います。命にかかわることはほとんど無い病気ですので(万に一つもないとは言いませんが、交通事故のほうがはるかにハイリスクです)、余り神経過敏になるのもどうかと思います。一生のうち、何回かはかかりますから、どうせ。
以上、世の中で広まっていることが、必ずしも常識なのか、正しいことなのかの一例としてもとらえることができそうな話だと思います。ではまた。
1;インフルエンザは発熱する疾患の一つに過ぎず、世の中には数百種類のウイルス、細菌による熱性疾患があります。症状や所見から医師が軽症と判断した患者さんに対しても、勤務先や学校、保育園などが検査を強要するのは科学的ではないし、そんな権利もありません。こうした対応は後で申し上げますが、世界の非常識です。
2;2歳以下、65歳以上の方、あるいは何らかの病気で抵抗力が落ちている方、心臓や呼吸器の病気の方、妊婦さん以外は普通のインフルエンザに対しタミフル、イナビルなど抗ウイルス薬は必ずしも必要ではありません。先進国でも検査すらしない国が多いです(アメリカは検査を推奨するようになりました)。鎮痛解熱剤を飲んで、自宅で休むよう指示するのが一般的です。なお、日本と海外では考え方が違い、あちらでは薬の使い過ぎで耐性ウイルスが出現し、肝心な時に薬が効かない状況になることを危惧しています。少なくとも、インフルエンザの患者全員にタミフルを出すのは日本だけといえます。
3;一般のインフルエンザでは、職場を一定期間休むよう決めた法律はありません。あくまで、学校、幼稚園、保育園など教育現場に対しての法律です。新型インフルエンザについては法律ですべての人を対象に定められていますが、一般的なインフルは、あくまで自主規定です。実は医療機関、高齢福祉施設などについても、法律で就業が規制されている訳ではありませんが、常識的に休みますよね。
4;検査自体が痛いです。熱が出るたびにやっていたら、保育園の子供さんなんかはひと冬に4回も5回もやることになりますが、どう思いますか?個人レベルで言えば、インフルエンザでも重い時と軽い時が有り、微熱でしっかりしており、症状も軽ければ、検査不要です。ただし、集団の感染予防という面からは、たとえ軽かろうがインフルエンザの人が登校登園してきたら大問題でしょう。管理者の責任問題にも昨今はなりかねません。でも痛いですよね。「ちょっと違うだろうな。」と思いつつわんわん泣く子供を押さえつけて、仕方なく検査している我々はなんでしょうね?そういう時ってやっぱり出ないんです、ほとんど。
要するに、集団感染を防ぐということと、個人の利益が時に相反します。治療も必ずしも必要ではありません。それでも画一的な対応を、過剰ともいえる対応をしなければならないのが、今の日本の現状です。なんだかクレーム対策みたいでしょう?そうなんですよね、「何か有ったらどうするんだ。」的な考えが蔓延している故の、一種の過剰反応だと思います。なお、新型インフルエンザに関しては、全例検査は不要、抗ウイルス薬も全例投与となります。対応は大違いです。
そう言えば、ノロウイルスの検査をしている医師もいますが、3歳以上65歳未満では保険はききません。やっても薬はなく、自然に治る病気ですので、これも過剰な対応は不要です。感染対策も厳密にやれば大変ですので、できる範囲で仕方ないと思います。命にかかわることはほとんど無い病気ですので(万に一つもないとは言いませんが、交通事故のほうがはるかにハイリスクです)、余り神経過敏になるのもどうかと思います。一生のうち、何回かはかかりますから、どうせ。
以上、世の中で広まっていることが、必ずしも常識なのか、正しいことなのかの一例としてもとらえることができそうな話だと思います。ではまた。