2013/2/22、23と京都で日本人工関節学会が開催されています。

当院でもお世話になっている、尾道市民病院整形外科 藤井先生の抄録。
日常業務が忙しいのに学会活動もされて感心させられます。


P1-051 80歳以上の高齢者に対する人工股関節全置換術の短期成績
尾道市民病院 整形外科
○藤井 淳一,高田 直樹
【目的】高齢化社会に伴い、より良いQOLを求めて人工股関節置換術、
以下THAを希望する高齢者が増加している。今回、当科で80歳以上
の高齢者に対して施行したTHAの短期の治療成績について検討したの
で報告する。
【対象と方法】2008年1月より2011年10月までにTHAを施行した
80歳以上の17例18関節 を対象とした。男性4例4関節、女性13例14関節、手術時平均年齢82.8歳(80~93歳)、術後の経過観察期間は平均2年であった。原疾患は全例、変形性股関節症であり、使用機種はJMM社製のPerFix Total Hipでセメントレス固定とした。術前には全例で何らかの既往疾患を認め、高血圧などの循環器疾患が13例と最多であり、糖尿病2例、慢性腎不全2例、脳血管疾患2例などであった。検討項目は周術期の合併症、
術前および調査時の日整会股関節機能判定基準、以下JOA scoreおよび
X線学的評価とした。
【結果】周術期の合併症として深部静脈血栓症2例、一過性のせん妄1例を認めたが、重篤なものはなく治療により軽快した。またJOA scoreは術前平均
37.8点が調査時平均73.6点になり、疼痛項目については術前平均11.1点
が調査時平均35.6点に改善した。X線学的評価ではcupとstemの移動やlooseningなども認めなかった。
【考察】高齢者においては内科的な既往疾患を有することも多く、術前に全身状態の評価が重要である。また骨粗鬆症による脆弱な骨質や髄腔の拡大などの問題もあり、インプラント設置にも注意を要する。今回、意欲があり、全身状態が比較的良好な高齢者に対して施行したTHAの検討結果では、全例で疼痛の軽減が得られ、X線学的にも問題を認めず、短期の術後成績は比較的良好であった。