2015年度の介護報酬改定が決まりましたね。

2015年度予算編成で最大の焦点だった介護報酬改定は2・27%の引き下げと正式に決まった。給付費抑制を狙い大幅減額を主張した財務省に対し、サービス低下を懸念する厚生労働省は与党族議員と業界団体を巻き込んで抵抗。攻防の末、首相官邸が裁定する格好で「過去最大の下げ幅」は回避されたが、人手不足で悩む介護現場からは不安の声が上がる。

 ▽もうけ過ぎ

 「財政が厳しい中、サービスの質を改善しながら効率化も図っていく」

 11日午後、塩崎恭久厚労相は麻生太郎財務相との折衝後、記者会見で淡々と話した。

 マイナス改定を主導したのは財務省。昨年10月、同省の審議会で職員賃金アップ分を除き6%程度の引き下げを打ち上げた。「介護サービス事業者の利益率は他産業に比べ高過ぎる」「特別養護老人ホーム(特養)は内部留保を約2兆円もため込んでいる」。席上、そんなデータが配られた。

 だが厚労省は「財政当局の派手な演出」(幹部)と反応が鈍く「最終的には1%未満の微減で折り合える」とみていた。

 また、介護事業者がもうけ過ぎとの批判には与党にも同調する見方があり、ベテラン自民議員の一人は「これまでの(もうけ過ぎの)ツケだ」と突き放していた。

 局面が変わるのは11月以降。消費税再増税の延期で、介護報酬に回る財源の不足が明白になった。民主党など野党から「報酬減額で職員の待遇は悪化する」と批判が高まり、与党の族議員は「政権への打撃になりかねない」と危機感を強めた。

 ▽「負担増」強調

 財務省は安倍晋三首相の取り込みに動く。「報酬を下げなければ介護保険料が急増します」。12月下旬、麻生氏や同省幹部は国民負担が重くなるリスクを強調して説明。与党幹部には「大幅マイナスで首相の意思は固い」と触れ回った。

 年が明け、厚労省側は微減での決着を諦め「過去最大の引き下げは避ける」と目標を修正。8日、田村憲久前厚労相らが麻生氏に会い「事業者が倒産する」「高齢者切り捨てと非難される」と申し入れた。都内で開かれた介護団体の集会で公明幹部は「(首相の)昭恵夫人に皆さんがアプローチしていると聞く」と業界にエールを送った。

 翌9日、官邸で首相と麻生氏が向き合った。

 介護職員の賃金増を、当初予定した平均月1万円から「1万2千円」に上積みするよう首相が指示。これで03年度改定の2・3%減、06年度改定の2・4%減にぎりぎり届かない水準に収まった。

 財政再建のための社会保障費切り込みと、デフレ脱却に向けた賃上げとの両立―。与党に配慮しながら、政権のメンツを守る妥協策だった。

 ▽意欲そがれる

 大幅減収につながるマイナス改定に、介護関係者の表情は厳しい。

 東京都府中市の認知症グループホームの藪田(やぶた)なぎさホーム長は「サービスの質を守れなくなるのではと不安」と話す。賃金アップのための報酬加算は手厚くなるが「親(事業者)の財布が苦しいときに子ども(職員)の小遣いを増やせるのか」と効果を疑問視する。

 "もうけ過ぎ批判"に戸惑う事業者も少なくない。北海道余市町で特養などを運営する「社会福祉法人よいち福祉会」の亀尾毅(かめお・たけし)理事長は「どこにそんな事業者がいるんだろう」と首をかしげる。

 特養待機者の解消に向け、施設の増築を重ね、職員の人件費や研修費に資金を投じてきた。「介護の質を向上させようと努力していて、内部留保なんてない。事業を続ける意欲をそがないでほしい」と訴えた。

消費税先送りもあり仕方ないのでしょうが、この厳しい現状の中、当院もようやく本格的に訪問リハビリができる環境が整いましたので報告致します。
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