今回も睡眠について触れます。

 本多静六という明治時代から昭和まで活躍した方がいらっしゃいます。東大教授であり、林業など実学にも秀で、さらに全国の公園の設計にも携わり「公園の父」とも言われた方です。一方で、自分に厳しい生き方をしながら、倹約に努めて資産の運用で成功し、一代で巨額の財産を築いたことでも有名です。

 その本多先生は、睡眠5時間で、朝からフルに頭を使い、そして文章も書き、さらに夜2時間散歩をして、頭と体を疲れるまで使い、寝る時には何の心配もない境地で床につけばすぐに眠りに入られたそうです。それでも、眠れない日があった時には、まだ眠るなということだと考え、眠くなるまで本を読み文章を書き考えておれば、そのうちに眠くなるので、眠くなるまで仕事をしながら待つこととおっしゃっておられます。

 とかく眠れないとあせりがちですが、本多先生の実践には、たくさんの示唆があります。

 前回分も含めてまとめると、
1 早起きをする。 2 日中、仕事をしたり、本を読んだり、文を書いたり、考えたりして頭を使ったりして、充分に頭を使い体を動かす。座っての仕事が多い人は、2時間程度の散歩をする。 3 眠れない時には、まだ寝るなということを悟り、本を読んだりして眠くなるまで待つ。(ただし、推理小説など先をどんどん読みたくなる本は、やめた方がよいでしょう)
4 付け加え 寝よう思う2時間前までに入浴をすませましょう。体温が下がってくることで眠くなるので、寝る前に入浴をすると体温が高すぎて眠気がきません。

 ただ、どうしても眠ることができない方は、睡眠薬を上手に使うことをお勧めします。眠れない日が続くと心身の喪失をしがちです。とりあえず、眠りをコントロールしながら、上記の取り組みをお勧めします。睡眠薬は、どんどん改良されています。睡眠障害を疑われる方、日中睡魔に襲われがちな方、睡眠で悩んでおられる方、一度当院でご相談ください。