「ドミノ骨折」6月ごろから女優の山口智子さんが出演しているテレビコマーシャルですが見たことがあるでしょうか。骨粗しょう症で、一度骨が折れると次々と骨折する危険性が高まります。それが「ドミノ骨折」で予防をしましょうという内容です。

骨粗しょう症とは、骨の新陳代謝のバランスが崩れて、骨がスカスカになり、ちょっとした外力で折れたりつぶれやすくなる病気です。

閉経後の女性に好発し、椎体(特に胸椎12番目腰椎1番目)や大腿骨近位部分の骨折が多いです。骨粗しょう症で治療を受けている総患者数は、138万7000人で男性は7万8000人、女性は130万9000人と患者数をみても女性が圧倒的に多いことがわかります。

「ドミノ骨折」と言われているように、過去に背骨を骨折した人は、新たに背骨の骨折を起こす人に比べて5倍、新たに太もものつけ根の骨折を起こす人に比べて2.5倍という結果が出ています。

そして、なぜ高齢者が骨折するのがいけないのか。それは、骨折がきっかけで自立機能が障害され生活の質が低下し、介護が必要になる割合が増えているからです。骨折してしまうと、とにかく痛いです。骨折した部位によっては手術が必要なこともあります。痛みや術後の安静により筋力はあっという間に低下してしまいます。骨折がよくなっても、以前のように歩けなくなったり、寝たきりになってしまうかたもいらっしゃいます。
 そうならないためにも、普段から骨粗鬆症を予防することが大切になってきます。ではどんな予防法があるのでしょうか。

基本的には食事療法と運動療法です。そして必要に応じて医師の診察、薬物療法となります。
生活の改善として、生活環境の整備や日光浴、禁煙も大切です。
食事療法は、カルシウム(牛乳・乳製品、大豆、緑黄色野菜など)やカルシウム吸収を促進するビタミンDを含む食品(きくらげ、鮭など)、ビタミンK(納豆、ブロッコリーなど)を摂取することが重要です。

運動療法では、運動療法によって骨量の低下速度をゆっくりにすることができます。負荷がないと骨量は減少し骨はもろくなります。そのため、成長期、青壮年期、老年期とそれぞれ骨の状態にあった適切な運動が必要です。高齢者は軽いウォーキングや転倒により容易に骨折するため、下肢の筋肉やバランスをきたえる運動もするといいでしょう。

「自分はまだ若いから大丈夫」と思わず、若い時から予防的介入を開始し、30代40代50代と継続し、より高い骨量を獲得することで閉経後も骨量を保つことができます。
閉経後は誰でも骨量が減ります。あきらめずに今から「ドミノ骨折」にならないよう工夫してみてはいかがでしょうか。

〈看護師〉




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