リハビリ室でよく聞かれるのが、『もっと運動した方がいいですか?』という質問です。大抵こう聞いて来られる方と言うのは、なんらかの運動を既にしていたりする事が多く、『それに加えて何かをする必要はない。』と伝えています。
それよりも実は、運動以上に足りていないのが、食事、もっと言うとタンパク質の摂取です。

年齢と共に食事の質も変わって行き、若い頃に比べ肉(動物性たんぱく質)を食べなくなったり、量も減っていたりしませんか。筋肉は、動けば動いただけできるというわけではありません。作るための材料が必要で、体内で作らせる環境を整えることが重要です。

その環境を作るためには、睡眠中に分泌される成長ホルモンというものが重要となります。成長ホルモンは、思春期に骨の成長させる印象が強いですが、青年期以降も量は減少するものの分泌されていて、その作用機序をきちんと説明すると生理学領域に入り長くなるため、かなり割愛しますが、肝臓等にあるソマトメジンC(IGF-1)を介して、骨格系・内臓・造血系などあらゆる細胞の増殖・分化を促進します。ここではタンパク質同化作用が起き、使われたり損傷した筋肉が再生していくわけですが、体内に栄養としてタンパク質や、その材料となるもの(アミノ酸など)が無いと、修復能は弱くなってしまうということです。

また、ソマトメジン分泌やコリ回路による乳酸から糖を新生するプロセスの役割を果たす肝臓が、飲酒などによるアルコール分解にリソースが割かれれば、やはり筋肉としてはいい環境ではなくなります。

成長ホルモンが分泌されるのは、就寝後1~3時間となっており、以前は22時から2時がゴールデンタイムなどといわれていましたが、現代では睡眠の質によることがわかっているため、質の良い睡眠のためにも夜のアルコールやカフェインは控えた方が良いでしょう。
逆に、筋肉のためなら前途の通り、夜・夕飯にタンパク質多めの食事にするのが理想です。夕飯食べない方がいいというのは、ダイエット目的の話であって、体重を落とさないようにするならば、夕飯はしっかり取り入れるべきです。

つまり、身体ひいては筋肉のためには、飲酒は控え、寝て、魚・肉・卵をよく食べましょうということです。何種類もストレッチやエクササイズを覚えたり、長時間歩いたりするより簡単ですね。

〈リハビリ〉


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